トロいわ、悟くん。 作:狐大総統
今回は差別主義な直哉が多いです。
それにしても、ここまで最低なキャラ改変しても傷つかない直哉って凄くない?(褒め言葉)
side 傑
直哉が入学してきてから、悟の強さに磨きがかかっていたことを理解してはいた。
直哉は私や悟よりも強くて、そんな直哉から悟は多くの刺激を貰っていた。
正直、2人で最強と言っていても置いていかれてしまったようにも感じてしまい、焦燥に駆られていたことも自覚していた。それでも諦めずに努力し続ければ、まだ隣に立てるのではと希望を持っていた。
直哉からこの発言が出たのはそんなときだった。
「悟くんと傑くんじゃ格が違うんやから、無理に決まっとるやろ」
私は一瞬頭が真っ白になった。
side直哉
今日は悟くん達よりも更に上の世代の先輩と一緒に任務を行うらしい。
庵歌姫っちゅう女の先輩やって聞いとる。
弱いのに気が強いんやって
上下関係を強調してくるんやって
どんな女王様なんやろ
どんなペット(人)を飼ってるんやろ
あ、悟くんや。一緒に巫女服の人もおる。あん人が先輩やろうか。
「悟く…」
「歌姫よえーもんな。直哉との任務が怖くて泣きそうになってんだろ」
「泣きそうになってねーよ!あと!敬語!先輩だって言ってんでしょ!」
…あれ?悟くん、庵さんには嫌われてへんって言っとらんかった?
あの人、たぶんガチで悟くんのこと嫌ってんで。S Mには信頼関係が大切やから、その人が愛情ある拒絶なのか本気の拒絶なんかを見極める点において、俺の目は六眼以上やって確信しとる。
せやから言える。あの人、マジで悟くんを嫌っとるわ。
んー?悟くんはSやから庵さんを揶揄っとるんやろうか?けど、庵さんは俺の眼で見るとSな筈なんやけどな。そもそも、女の人はみんな女王様の気質を隠し持っとるから、Sやない人なんておらんねんけど。
…ちゅうことは、まさか悟くんは庵さんにいびって欲しいってことなんちゃうか!?いや、絶対そうやろ!!まさか、悟くんもこっち側(ドM)やったとは!!盲点やったわ!傑くんは甚爾くんと同じあっち側(S)やって確信しとったから、悟くんも同じやって先入観もあったのかもしれんな。にしても、本気で嫌われても尚嫌われてないと思えるMやとは、ただのMとは格が違うなぁ。俺とは違う方向やけど、真のドMともいえるかもあらへんね。
けど、悟くんの本音に対して、今のままやとパワーバランスが悟くんの方に偏りすぎてて、綺麗なSM関係になっとらんなぁ。しゃーない、ここはドMの先輩として、一肌脱いだろうやないか!
side 庵
禪院直哉と合同任務を行うと聞かされた私は、はじめは気分が最悪だった。
『禪院家に非ずんば呪術師に非ず。呪術師に非ずんば人に非ず』という家訓と男尊女卑で有名な家の当主の息子であり、あのクズだが実力はたしかな後輩2人から一目置かれており、入学の少し前に五条を倒したという話から、既に私の中ではスリーアウトだ。
共同任務は別の人とチェンジして欲しいと思っていた。
だが、実際に会って話してみたり、任務をこなしたりする最中は至極真面目だった。
なんなら、任務で呪霊に背後をとられて危険な場面に陥ったとき、私が気づいて振り向いた瞬間には既に祓われており守られてしまった。
そのことについて任務後に謝罪すると、直哉は全く予想もしてなかったような言葉を述べた。
「先輩は術師で、プロです。せやけど、傷つくのは女の人やなくて男ってのが古来より決まっとります。庵先輩が特級やったとしても、僕は先輩に3歩後ろに下がっといてもろて、先輩の盾になります。それが僕の決めとる生き様なんで、謝らんくて良いです」
生き様で後悔はしたくないと言う禪院。
この言葉を聞いて、本当に禪院家の人間かしらと疑いたくなってしまった。同じ御三家当主の息子である五条とは似ても似つかない。
禪院直哉への好感度は私の中で急上昇した。
任務の二週間後、禪院が渡したいものがあるというので呼び出された場所に行ってみると、禪院は袋を渡してきた。
「なにこれ?」
「とりあえず、中身を見てほしいんです」
説明はその後にしますんでと言う禪院。
禪院に言われて中身を見てみると、大きめの杭のようなモノが入っていた。
「嘱託式の帳です。五条悟の侵入を拒む代わりに、その他全ての者が出入り可能な結界にしました。」
「詳しく。」
私はあの時ほど真面目な顔をしたことは後にも先にもないだろう。
side直哉
いやー、喜んで貰えて良かったわ。
あんなに人に感謝されたのいつぶりやろ?
感謝されるのは気持ちがええね。
それに、これで悟くんも放置プレイってのが体験できるやろうし、一度に2人に喜んでもらえるとは、これぞ一石二鳥というやつやな。
いや、俺も感謝されて気持ちええし、一石三鳥やろか?
そんなことを考えていると、傑くんに声をかけられた。
「や、直哉。さっき目に入ってしまったんだけど、歌姫先輩に今渡していたのはなんなんだい?」
もしかして、新しい女王様への貢ぎ物かい?と傑くんは揶揄ってきおった。
「ちゃうちゃう。俺の女王様は硝子様だけや。さっき渡しとったんは、嘱託式の帳やで」
「嘱託式?そんなことができるのかい?」
「まあ、難易度はそこそこ高いねんけどな。いつも俺がやっとることに比べたら造作ないことやで」
結界術は趣味で色んなことを試しとるからな。
特に、天元様の結界術を参考に禪院家に作った空性結界はとんでもなく大変やったけど、最高の世界になったわ。
あらゆるSMプレイが楽しめる天国やで!
「直哉は本当に多彩だね。私も見習わなければならないな。最近は悟も反転術式を得て、戦法の幅が広がったし」
「あー、悟くんな。本当にバケモンになりつつあるわ」
あそこまでバケモン(ドM)に成長しとるとは思わんかったで。
「ははは、私も早く反転術式を見に付けてそっち側にいかなければね」
え、反転術式を身につけてそっち側(ドM)に行かないとって言いよった?
いや、たしかに反転術式を身につけたら、とんでもなく過激で普通なら治らんからやらへんようなプレイもできるかもしれへんけど…
傑くんはどう考えてもドSやろ。ドSがドMになるとか聞いたことないで。どっちもいけるってパターンもあるけど、傑くんは純粋なドSやろ。ただのMがドMになるだけでも多くの試練があるいうのに、ドSがドMになるんは厳しいで。
ここは、心を鬼にして言ったらなアカンな。
「悟くんと傑くんじゃ格が違うんやから、無理に決まっとるやろ」
俺の言葉に傑くんはショックを受けたようだった。
ホンマごめんやで。けど、ここは言ったらなあかんとこやねん。
「悟くんと親友なんは知っとるけど、できることとできひんことはあるやろ。悟くんはこっち側(ドM)やけど、傑くんは違うやん(ドSという意味)。諦めも肝心やと思うで。」
俺がいい終わって、少し間をあけて傑くんは言った。
「…それでも、絶対に反転術式は身につけてみせるよ。必ず直哉を見返してみせる…!」
傑くんの目は本気やった。正直、気圧されてしまったわ。
せやから、俺も手を貸すことにした。
「そうか、そこまで本気やったらしゃーないわ。俺の伝手も全部使って、傑くんにこっちの世界(ドM)を見せたる。まずは反転術式を身につけるために動くとしよか。」
そう言うと、傑くんの目が大きく開いた。
「本当かい!?ありがとう、直哉!」
「ええって、ええって。ただ、そう簡単になれるもんちゃうから、文字通り死ぬ気でくらいついてきてな」
「ああ!それくらいでないと簡単に目覚めることはできないことは理解しているつもりだ」
これから、傑くんは色んな種類の痛みを経験するやろう。人によって、好む痛みは違うから、途中で挫折することも多いんや。せやけど、ここまでの覚悟があるんやったら問題無いやろうね。
「それにしても、傑くんがそこまでドMになりたかったとは知らんかったで」
「直哉、私達には理解の齟齬があるようだ」
単に傑くんは強くなりたかっただけなんやて。せやから、そっちのみに手を貸すことになったわ。
はじめからそう言ってや!
「先輩は術師で、プロです。せやけど、傷つくのは女の人やなくて男ってのが古来より決まっとります。庵先輩が特級やったとしても、僕は先輩に3歩後ろに下がっといてもろて、先輩の盾になります。それが僕の決めとる生き様なんで、謝らんくて良いです」
上記の内心はようするにこういうことです。↓
(女の人は女王様で、傷つくのはドMな男ってのは古来より決まっとるんや。庵先輩が特級やったとしても、俺は女王様の盾になって喜びを味わえんねん。まあ、俺の本当の女王様は硝子様やけど、女王様は庵さんのこと好きみたいやしええやろ。俺はドMの生き様をまっとうするで!)