気がついたら森の中にいた。何を言っているのか分からねーと思うが、俺も何が何だか分からねー。
公園で昼飯食って、ちょっとぼーとしていたら、いきなり目の前が真っ暗になって、気がついたら森の中にいた。
記憶があやふやだな。つか頭が痛い。殴られた? 拉致か? いや、ごく普通のサラリーマンの俺を攫って何の得がある? それに拘束もされてないし、周りに人も見えない。
スマホは……あるな。ん? 圏外だと? マジか。どんな山奥だよ。とりあえず歩くか。
そして、少し歩いた辺りで妙な恰好をした三人組に出会った。
「おい、兄ちゃん。いいもん着てるじゃねえか。俺たちにくれよ!」
道を聞こうと思ったらいきなりカツアゲされた。いや、これカツアゲか? 金出せってのなら分かるけど、服くれと言われたのは初めてだぞ。
しかも、剣を抜いている。というか、あれ剣か。すごく安っぽく見えるけど。
映画の撮影とかじゃあ……なさそうだな。
「は、はい。すぐに脱ぎます!」
俺がそう言うと、三人組はニヤニヤと笑い始めた。分かりやすいチンピラだな。まあスーツの上からじゃあ、体格は分かりにくいから仕方ないとも言えるが。
ちなみに三人組は貧相な体付きだ。筋肉とかあんまりなさそうな感じ。
ベルトを外し、鞭のようにしならせる。バックルの部分がリーダーらしき男の右手に直撃した。
「痛ってぇ! なにしやが――ぶべらっ!?」
痛みで身を屈めたところに、膝蹴りをぶち込む。顔面を強打した男は、鼻血を吹き出しながら後方に吹き飛んだ。
男が落とした剣を拾い上げ、残りの二人に突きつける。
なるべくすご味を出しながら二人を睨みつけた。
「俺の質問に答えろ。嘘偽りなく答えれば、命は助けてやる」
「は、はい」
「ここはどこだ?」
「は? ああいえ、ここは幽州です」
ゆうしゅう? 優秀? いや違うか。もしかして、幽州? 中国? いや、だったらなんで俺たち日本語で会話してるんだよ。
……落ち着け。まだ慌てる時間じゃない。
「今年は何年だ?」
「え、えーっと、アニキ、今年って何年でしたっけ?」
「うぐっ、確か熹平の、あー、忘れちまった」
蹴り飛ばした男が鼻血を拭いながら答えた。熹平ってなんだよ、元号か? 心当たりがないな。いやまて、さっき幽州っつったよな。確か熹平って霊帝時代の元号だった気がする。
え? マジで? マジでか?
にわかには信じられんが、そういうことにして話を進めよう。じゃないとまとまるものもまとまらない。
「……あー、おまえら、なんでこんな馬鹿なことをする? 真面目に働こうとは思わんのか?」
「……お、俺たちだって、こんなことしたくねぇ! でも真面目に畑を耕したって、収穫物のほとんどは役人に持っていかれちまう!」
小柄で痩せぎすな男が涙を浮かべて訴えてくる。
なるほどな。こいつら、元農民か。この時代の農民は不遇だ。毎日朝から晩まで働き、しかし収穫物のほとんどはお上に持っていかれて手元には残らない。天災に苦しむこともあり、しかもお上はお構いなしに臨時税を取り立ててくる。
胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなりってのは、誰の言葉だったか。
「ふむ。まあ、ここで会ったのも縁といえば縁か。よし、おまえら俺についてこい」
「……ど、どういうことだ?」
「少しはマシな暮らしをさせてやるって言ってるんだよ。こんなこと続けても、今みたいに返り討ちにあうか、そのうち役人に殺されるぞ」
「あ、あてはあるのかよ……あるんですか?」
「まあな」
正直あてといえるほどのものでもないが、とりあえずこの服一式を好事家にでも売り払えば、それなりの金になるだろう。量販店で買った安物のスーツだが、この時代じゃあ布としても上等の品だろうからな。
「……分かりました。よろしくお願いします」
「うむ」
ふっ、手下ゲットだ。マンパワーは基本だからな。人手はあって困るものじゃあない。
「それで、なんとお呼びすれば?」
「ああ、俺の名は――」
とりあえずこの時代に合わせた方がいいか。俺は逡巡の後、名前を答えた。
◇
俺は最初に出会った三人と共に、塩の密売を始めた。塩の採集は塩湖から行われることが多いが、そんな場所にはすでに先客がいる。
海は遠いし、監視の目が厳しい。なんせ塩は国の専売だからな。
だから俺は山から塩を採っている。そう、岩塩である。
岩塩の採れた場所なんて一生使うことのない無駄知識とばかり思ってきたが、こんなところで役に立つとは。
あと豪商から物資を頂くこともある。そこに罪悪感はない。この時代は、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなるというのが基本構造だからだ。
貧しき者の代表である農民は、常に搾取される存在である。収穫物のほとんどを奪われ、理不尽な税を支払う。支払えなければ借金をしてでも支払わなければならない。
そこで金を貸すのが商人だ。彼らは暴利で金を貸す。だが農民はそれを粛々と受け入れている。受け入れるしかないというのもあるが、そもそも農民たちは、読み書きもできなければ、計算もできない。
だから奪われる。搾取される。商人は常に奪う側なのだ。
ゆえに、俺が奪うのだ。農民が奪われたものを、さらに俺が奪い、還元する。その結果、この辺りの農村はすべて俺たちの味方になった。
ある日、近隣の村から報告があった。
役人に雇われた『黒髪の山賊狩り』が、俺たちの討伐にやってくるらしい。ちなみに、この時代の中華なんて九割九分が黒髪だと思うが、たまにありえないほどカラフルな髪の人間がいる。しかもそれを不思議に思う人間がいないのだ。単純なタイムスリップとは思っていなかったが、やはりこの世界はおかしい。
その『黒髪の山賊狩り』の名前は、関羽というらしい。
ゲェ! 関羽! しかも女! しかもしかも連れがいるとのことだ。連れの名前は張飛。
ゲェ! 張飛! どうなってるんだよ。なんか張飛も女みたいだし。袁紹や曹操が女らしいってのは、人づてで聞いていたが、まさか有名どころはみんな女なのか? やはりこの世界はおかしい。
つーか関羽も塩の密売やってたじゃん。まさか競合相手だから潰しにきたのか? でもなぁ、関羽って河東の人だから、経済圏は被らんと思うんだが。
うーん、とりあえず会ってみるか。
採掘場の前には普通の農村がある。隠れ蓑ってわけでもないが、畑を耕すことも必要なのだ。
まさかいきなり襲ってくることもなかろう。そうして関羽と張飛を待っていると、部下から報告が入った。
よし、行くか。
門前に行くと、二人の少女がいた。
一人は黒髪ロングの美少女。こちらが関羽だろう。もう一人はファッションピンクの髪色のロリッ
いや、ファッションピンクて! なんて世界だ!
「どうもどうも、私が村長です」
「……随分と若いな。私は関雲長。この辺りに塩の密売組織があると聞いて調査にきたのだが」
「鈴々は張翼徳なのだ!」
やっぱり関張だった。鈴々というのは真名だろう。この世界の初見殺しシステムである。認めてない相手に真名を呼ばれることは最大の侮辱であり、殺されても文句は言えないらしい。
なんだろう、仮面の下の素顔を見た相手は殺すか愛すしかないという掟くらいの理不尽さを感じる。
だから戦場で相手を挑発する時も、決して真名を口にしたり汚したりすることはない。
つーか一人称で真名を使うのはやめてほしい。普通に釣られそうだ。
ハッ!? これが張飛の罠か。
「元気なお嬢さんですな。さて、塩の密売ですか。それは、果たして本当に悪いことですかな?」
「当たり前だ! 塩は国の専売だぞ! 商人が手を出す分野ではない!」
関羽は手に持っていた青龍偃月刀の石突でドンと地面を叩いた。
「ほーりつ違反なのだ! 悪いことなのだ!」
と、張飛も関羽の言葉に追随する。
正論なんだが、反応に困るな。挑発しているのか、至極真面目なのか。どっちだろう?
「人は正論だけでは生きていけませぬ。農民たちは収穫物の大部分を奪われ、役人が気まぐれに作った税を払い、わずかに残った銭で塩を買います。しかし国の売る塩は高い。だから密売されている塩を買う。法を守って死ぬよりも、法を破って生きる道を選択したのです。彼らは密売の安い塩がなければ死んでしまいます」
「……それは、確かに憂慮すべきことだが、役人に訴えればいいだろう」
話聞いてなかったのかよ。その役人が不当に税を徴収してるって言ったんだよ。
「訴え出た前の村長は、首だけになって帰って来ましたよ」
これは近隣の村であった本当の話だ。
俺の言葉を聞いて、関羽は唸るように沈黙した。
「愛紗、どうするのだ?」
「う、うむ……」
愛紗、おそらくは関羽の真名だろうが、関羽は悩んでいるようだ。問答無用でうるさい、死ね! と言わないあたり、根が真面目なだけの世間知らずなのかもしれない。
「そうですね。では、しばらくこの村に滞在してはいかがですか?」
「……どういうことだ?」
「そうすれば、我々の仕事、塩の密売が民百姓にとって必要なことだと理解できると思いますよ。それでもお二人が納得できなければ、斬り捨てるがよろしいかと」
「それほどまでの覚悟か。あい分かった。しばらく世話になろう。それでいいな、鈴々」
「わかったのだ! よろしくなのだ、おっちゃん!」
「ええ、歓迎しますよ」
こうして、一時的ではあるが関羽と張飛が仲間になった。
◇
日課の鍛錬を始める。呼吸を整え、気を整える。この世界には気というシステムがある。俺もその中に組み込まれたらしい。
気というのは、まあ漫画やゲームでよくあるアレだ。
そもそもこの気というものを、普通の人間は理解できていない。気を習得している者でさえ、身体の内側から溢れてくる不思議パワーとしか思っていない。
間違ってはないんだが、肉体の鍛錬と気の鍛錬がごっちゃになっているのだ。
まあ偉そうなことを言ったところで、俺も正しい鍛錬法を知っているわけではない。だが気というものを大まかにとはいえイメージできているのは大きな利点だろう。
何より、気の鍛錬は楽しい。筋トレにハマった時も、増えていく筋肉が嬉しかったものだが、気はまた違った楽しさがある。
気は筋肉のように、目に見えて増えていくわけではないのだが、感覚的に分かるのだ。
体内に気を充溢させ、右手に集約させる。
「――ハッ!」
そしてそれを一気に放つ。手の平から放出された気功波はエネルギーの塊となって突き進み、しばらく進んだ辺りで消失した。
ふぅ、やはり気の放出は相性が悪いな。
中国拳法でいうところの百歩神拳という技だが、俺の場合は三十歩神拳といったところだ。
「見事なものですね」
と、物陰から現れた関羽が賞賛の言葉を口にした。
そうなのだ。どうもこの気の放出というのは高等技術らしい。いや、技術というよりは才能に左右されるようだ。一線級の武将はみんな、意識的、無意識的に限らず気を習得しているが、主に使っているのは肉体強化のみで、まず気を放出するという発想すらないらしい。
実際、この技を初めて見た時の関羽も驚いていた。それから色々と試してみたようだが、関羽も張飛も気を放出することはできなかった。
「仕事は終わったようだな。そろそろ答えは出たんじゃないのか?」
関羽には岩塩の採掘から塩の精製、そして販売にも護衛として同行させている。根が真面目なせいか仕事も忠実にこなし、部下たちからの評判もいい。まあ見目が麗しいってのもあると思うが。
「……確かに、塩を購入した者たちは、私たちに感謝していました。私たちがいるから生きていける、と」
「国の売る塩は高いからな」
うちが売る塩の値段は大体四分の一程度だ。塩は生きる上で不可欠なもので、ナトリウムなど小難しいことは知らずとも、経験として人はそれを知っている。
塩なくして人は生きられないのだ。
とそこで、副長が困惑した様子で俺のもとに近づいてきた。
「頭領、お客さんです」
「客? 対応はおまえに任せているはずだが、紹介状でも持ってきたのか?」
「いえ、なんでも水鏡女学院からやってきたそうです。首席と次席だとかで、どうしたものかと……」
ふむ。水鏡ってのはアレだ。
伏龍と鳳雛、どちらか一人でも得られれば天下を取れるなどと予言めいたことを言った隠者である。どちらも手に入れた劉備だが、アレは天下を取ったと言えるのだろうか。一応、一応だが皇帝にもなったし、天下を取ったと言えなくもない。
要するに、だ。「孔明と士元はワシが育てた」と言いたいだけのような気がする。
私塾を開いていたし、結構な教え子がいたはずだ。その中から一人でも出世すればいいのだから、割と成功率は高いような気がする。
この世界では女学院のようだが、理由はある。どうもこの世界は女性優位らしいのだ。基本的には男性の方が色々な部分で優れているのだが、いわゆる秀才、天才と呼ばれる者たちは女性の方が多く見られる。
だから司馬徽は大きく出世する可能性の高い女性のみに弟子を絞ったのだろう。
そこの首席と次席といえば、やっぱり孔明と士元かな? 別の奴だったら逆に面白いが、とりあえず会ってみよう。
「ふむ。では会ってみよう。着替えてくるからしばし待たせておけ。ああ、それと――」
どうせなら驚いてもらうか。俺は副長に応対の指示を出した。
「あの、私も同席させていただけますか?」
「うん? まあ、構わんか。では護衛として同席してくれ」
「ありがとうございます!」
と、関羽は喜色を浮かべて頭を下げた。こんな素直に頭下げられるんだな。まあ護衛としては優秀だ。孔明にいきなりビーム撃たれてもかなわんからな。
俺は水を浴びて汗を流し、身支度を整えてから応接室へと向かった。
そして中に入ると、金髪と銀髪のロリッ
……もう驚かんぞ。
「……んぐっ、ぷはっ! お、お初にお目にかかります。水鏡女学院から参りました、諸葛孔明と申します!」
「お、同じく鳳士元と申しましゅ! あう、かんじゃった……」
二人が立ち上がり挨拶するが、孔明は茶菓子が喉につっかえたのか、胸を叩きならが無理矢理流し込み、士元は最後の最後で噛んだ。
うむ、ぐだぐだだな。つか若ぇな。絶対ローティーンだろ。
「ああ、そのままで。気にしなくていいよ。別に大層な役職があるわけでもないしね。畏まる必要はない」
「あ、ありがとうございます」
「お恥ずかしいところをお見せしました」
どうやら蜂蜜牛乳とカステラは気に入ってもらえたらしい。まあこの時代では甘味が強烈な魅力だからな。あの年頃ならなおさらだろう。
ウチでは色んなことをやっている。メインは塩の密売だが、耕作や畜産、製紙に養蜂、写本を売ったりもしている。
ただ牛乳や鶏卵なんかは地産地消だ。管理が難しいからな。知らんところで食中毒を起こされて、ウチのせいにされてはたまったものじゃない。
最初の頃は豪商を襲ったりもしていたが、今ではその必要もなくなった。
というか、やっぱり孔明と士元か。何の用できたんだろうか? まあ聞けば分かるか。
俺も名乗りを返して席につく。
俺に続いて関羽も名乗りを上げた。
おい、そんなに威圧するな。と言いたいが、張飛の例もあるからな。見た目弱そうだからといって油断はできない。いきなりビームを撃ってくる可能性もある。
「では、用件を聞きましょう」
俺が促すと、二人は視線を交わした。ずいっと前に出たのは孔明だ。
「今の世の中を、どうお思いでしょうか」
「随分と抽象的な質問だね。ふむ……」
今の世の中ときたか。
時はまさに世紀末、腐敗と自由と暴力が支配する世界が始まろうとしていた。そう、世にも有名な農民反乱、黄巾の乱の勃発である。
この中華では度々農民の反乱が起こっているが、最も有名といえる乱であろう。この反乱は後漢の衰退を招き、三国時代に移るひとつの契機となった。
すでにその兆しは世に現れており、黄色い布を巻いた荒くれ者どもが徒党をなして各地で暴れているらしい。
一〇〇人程度の集団もいれば、万を超す大集団もいる。ここらではまだ見かけないが、そのうちやってくる恐れもある。まあ対策はしているがな。
最終的には一〇〇万人くらいまで膨れ上がったはずだ。まあかなり盛っているだろうけど。さすがにその数が押し寄せてきたら勝てんな。
「世はまさに乱世。群雄割拠の時代。つまり、漢王朝は滅亡する!」
『な、なんでしゅってーー!!』
孔明と士元の言葉がハモッた。
「それはさすがに不敬ですよ。官軍が賊の集まり如きに後れを取るとは思えません」
「関羽、言いたいことは分かるが、事はそう簡単ではないのだ。これはただの権力欲しさの反乱ではない。農民の反乱なのだ。農民たちの鬱憤は、杯に注がれた水のように蓄積され、ついには溢れた。漢の政治腐敗による苛政が招いた必然なのだ。これは呼び水にすぎぬ。洛陽の者たちはたかが賊と楽観視しているようだが、その実態は深刻である。物事の表面だけを見てはいかん。一見すれば倒れそうにない立派な大樹も、根が腐っておれば、倒れる時は一瞬よ」
俺がそう言うと、場は水を打ったように静まり返った。
正確には黄巾の乱って国家転覆を狙った宗教反乱なのだが、この世界だとなんか違うっぽい。どうも張角主導というよりは、熱心な信奉者たちが暴走しているような感じがするのだ。
「……さすがですね。私たちも薄々は感じていましたが、断言できるほどではありませんでした」
「あわわっ、漢王朝は腐っても漢王朝です。倒れることはない……と思ってましゅた」
これは黄巾の乱で滅びることはないって意味だろうな。実際、滅びたのはもっと後の、群雄割拠の時代だし。
「国は興り、滅びるもの。森羅万象、諸行無常、全てに終わりがある」
「……ではこの乱世で、あなたはどう生きるのですか?」
孔明が真剣な眼差しで俺を見つめてくる。え? もしかして俺に期待してんの? 俺はただの村長で、密売組織の頭領で、商会の会頭だよ。たいしたモンじゃないのよ。
「私よりも、キミたちの先生を動かした方が良いのではないかね? 聞けば、誘いはいくつもあったのだろう?」
「……先生のお考えは、私如きの及ぶところではありませんので」
さすがは酔狂な水鏡先生だ。確か死ぬまで出仕しなかったはず。
「ふむ。だが私には護るべきものがある。それを失う危険を冒してまで出世しようとは思わぬよ」
「決起するおつもりはないと?」
「逆に聞くが、私が起てば、キミたちは私に力を貸してくれるのかね?」
俺がそう問うと、二人が小さく笑ったような気がした。
『それをお望みとあらば!』
孔明と士元の言葉がハモッた。
……マジでか。これって劉備どうなるんだ? 主要人物の四人がここにいるんだけど。一生むしろ売りで終わるのかもしれんな。大幅な歴史改変じゃねぇか。
とはいえ、あのキラキラした瞳は、たぶん俺に期待してここまでやってきたのだろう。
追い払うのは簡単だが、それもなぁ。なんか恨みを買いそうだし。迂闊なこと言っちゃったなぁ。これはもう、仕方ねぇか。
俺は小さくため息を落とした。
主人公に恋姫知識はありません。
ご都合主義多めです。ご了承ください。