お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜 作:哀上
『妹の失踪』⑤
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マスコットって存在は、魔法少女がヴィランと戦闘してる間は何処かに隠れているか魔法少女に守られているものだと思ってた。
実際初戦闘の時はしっかり隠れてたし、僕も一応そっちに戦闘の余波が行かない様に気を使っていた。
でも、今の僕にそんな余裕はないわけで。
マスコットを狙われたら、庇えない。
自力で避けられるのかもしれないが、だからと言って一発も飛んでこないのはおかしくないか?
別にコイツなんて撃たれてもいいやと思ってる自分もいるが、それは相手視点ではわからないわけで。
狙わない理由もないはずだ。
思い返してみれば、マスコットが死んだなんてニュース、テレビは勿論ネットでも見た覚えが無い。
マスコットを視界の端で追い続ける。
ヴィランの攻撃に慌ててる様な動作こそしているが、一度疑ってしまうと何処か嘘くさい。
なんか、そんなに焦って無さそうにも見える。
そもそも、ヴィランの攻撃が当たったところで果たしてコイツはダメージを受けるのだろうか?
それを知ってるから攻撃されてないだけ?
今までと同じく、聞かれなかったから話してないけどみたいなそれだけの話?
……
僕をここに誘導したのはマスコットだ。
こんなヴィラン有利のフィールドに。
そして待ち構えていたかのような遠距離からの狙撃。
下手したら、僕はあの時頭を撃ち抜かれそれで終わっていた。
変身前、生身の人間の状態だったのだ。
事前に魔法少女に変身してなかった僕の不注意、それを指摘しなかったマスコットもただの……
実際のところ、本当に妹がここに来ていたのかすら僕には分からない。
マスコットなら、妹のことも。
ヴィランには無理でも、マスコットなら疑われる事なく誘導できる。
戦う必要も、攫う必要もない。
だが、マスコットを疑うって事は魔法少女という存在そのものへの……
今この状況で裏切られたら詰みだ。
そして、僕はこんな疑惑だらけのマスコットを信頼出来るほどお人好しではない。
確証はない、ただの勘だ。
それでも、
「マスコット、いい作戦を思いついた」
「どうするんじゃ?」
未だ僕はヴィランのレーザーに晒されたまま、当然変身するほどの隙はない。
でも、メイスだけなら。
何処にいるかも分からないヴィラン相手には無意味だが、マスコットは僕のマジック・ウェポンの射程の範囲内だ。
「こうするんだよ!」
メイスをマスコットに向かって振り下ろす。
不思議と躊躇みたいなものはない。
まぁ、出会ったばかりだし、好感なんて抱いていなかったから当然か。
知性はあるが、人間って見た目でも無いしね。
初戦闘でヴィランを殺した時の方が心理的にキツかった。
さようなら、僕のために死んでくれ。
僕はこれまで生きるために肉も野菜も命ある存在を殺して来た人間だ、いまさら動物の命を一つ追加で消費することぐらいなんてことない。
「な、何をするんじゃ!!」
完全な不意打ちだった。
手加減もしなかった。
しかし、手応えが肉を殴ったそれとは違った。
「主、血迷ったのか!?」
いくらマジック・ウェポンを持っているとはいえ、人間の力でこんな不思議生物を殺そうなんて少々無理があったのだろう。
マスコットの周りには半透明なバリアの様なものが張られている。
それなりの自衛手段はあったらしい、そうじゃなきゃ魔法少女にここまでついてこないか。
「ま、待て。待つんじゃ、話を……」
ギャーギャーうるさいが、不必要な会話をする気は無いのだ。
僕はもう初心者では無いのだから。
ヴィラン相手に会話なんて、時間の無駄でしょ?
バリアを破れる気はしないが、それで構わない。
間髪入れずに追撃をかます。
バリアごと殴り飛ばし、多少の距離ができた。
そのまま変身する。
明らかに隙だらけだが、向こうから狙撃してた奴も今ので多少は動揺したのか反応が遅れた。
こうなればこっちのもんだ。
レーザーが飛んでくる前に真っ白な精神世界に突入。
変身を完了。
生身でも避けれてたレーザー、変身した今その脅威はさらに下がった。
急所にあたれば分からないが、当たらなければどうと言う事はない。
そして、そんな遠くからちまちま撃ってるようじゃ魔法少女に変身した僕には当たらない。
あっちは後回しだ。
それよりも、まずは推定妹の仇。
マスコット退治と行こうか!
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