お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜   作:哀上

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『妹の失踪』⑥

『妹の失踪』⑥

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「なぜ……」

 

 どうやらこのマスコット、ここまでされてまだ現状に理解が追い付いていないらしい。

 と言う事は、あのバリアは自動制御なのだろう。

 まぁ、そうじゃないと僕の初撃を防がれた理由が分からないし。

 

 自動で敵の攻撃を防いでくれるバリアか。

 魔法少女のそばにいながら、随分とぬるま湯の中で生きてきたらしい。

 危機感が死んでいる。

 

 だから、簡単に死ぬ。

 

「まっ、」

 

 マスコットが何かを言い切る前に腹に風穴を開けてやった。

 これでもまだ動く可能性もあると警戒して見ていたが、生物としてそこまで不自然な存在では無いらしい。

 心臓に穴が開けば死ぬようだ。

 

 バリアを打ち破った方法、タネが分かってしまえば簡単だ。

 あのバリアは意思とは関係なく展開される。

 しかし、常にあのバリアが張ってたら何かと困るだろう。

 

 コイツは、『マスコット』なのだから。

 魔法少女と戯れて、警戒心を解いてもらわなきゃならない。

 小動物の見た目をしてるのもきっとそれが理由だ。

 

 だから、バリアがあって触れ合えないなんて論外。

 普段は魔法少女のマスコットとして近い距離感を保っているくせに、僕の意識外からのメイスの攻撃を防いだ。

 なら、反応する条件があるはず。

 

 僕の攻撃に反応したってことは、魔法少女のそれも強い魔力にはまず反応を示すのだろう。

 そして、あの油断のしようから言って、おそらくヴィランの攻撃も防げるのだろう。

 強度は不明。

 例え僕の必殺技を当てたとして、破壊できると思うのは楽観的すぎる。

 

 ヴィランも、魔法少女も、その出現以前では存在すら確認されていなかった謎のエネルギーを使って戦う。

 現在でも解析は不可能。

 科学的にはunknown、未知のままって話だ。

 

 だから、石を投げた。

 

 それだけ。

 魔法少女への変身と魔力の集中によって強化された腕力こそ使ったが、別に石自体には魔力を乗せたりはしていない。

 純粋な物理攻撃だ。

 

 ……

 

 それは、あっさりとマスコットの腹を貫いた。

 バリアは反応しなかった。

 やっぱり、僕の予想は少なくとも大外れはしていなかったらしい。

 

 今までずっと不思議だったのだ。

 魔法少女が銃火器含む近代兵器で武装しない事が。

 警察や自衛隊が援護しない事が。

 

 遠距離から攻撃出来れば、どれだけ有利に事を進められるか。

 戦闘のプロからの援護があれば、どれだけ心強いか。

 魔法少女は、ずっと魔法少女だけでヴィランと戦い続けてきた。

 

 今までそれっぽい理由はいくらでも耳にした。

 

 未成年に銃を持たせるのは危険だから、とか。

 そもそも法律でこの国じゃ銃を持てる人は限られてるから、とか。

 誤射でもして人に当たったらどう責任を取るんだ、とか。

 ヴィランに銃火器は効果が薄く費用対効果が悪いんじゃないか、とか。

 

 でも、納得は出来ていなかった。

 全部それっぽいだけだったから。

 

 だって、そうだろ?

 まだ成人もしていない女の子に魔法少女なんてやらせて、ヴィランと戦わせて。

 それで回ってる社会なのに。

 

 何が危険だ、

 何が法律だ、

 何が責任だ、

 何が費用だ、

 

 だから、きっとこれが答えなのだ。

 

 腹に穴を開け動かなくなったマスコットを見下ろす。

 色々聞きたい事はあったが、コイツとの会話が無駄なことは今までで理解させられたからな。

 それは向こうに聞くとしよう。

 

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『妹の失踪』ー完ー




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