お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜 作:哀上
『魔法少女という存在』①
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辺りはもう完全に陽が落ちきっている。
街灯がぼんやりと道路を照らしているだけでそこから外れれば真っ暗、奥の雑木林はおろか手前の田畑ですら普通の人間ではまともに見えないだろう。
僕の場合、魔法少女に変身しているおかげで何も見えないという事はないが、視界が悪いことに変わりはない。
不意を突きマスコットを排除して以降レーザーによる攻撃も止まった。
別にマスコットがあれも操作してたって事はないだろうが。
それならもっと連携じみた動きをしていたはずだし、こんな簡単に殺しきれなかったはずだ。
あのヴィランのスナイパー……
まだ混乱から立ち直っていないのか、
この状況で撃ったら僕に居場所を特定されると恐れているのか、
仕留めきれないと悟って今回は清く諦めるつもりなのか、
どしらにしても鬱陶しいやつだ。
実際、あれだけ狙撃されておいて僕は敵の詳しい位置を把握出来ないでいる。
とは言え、だ。
流石に、おおよその位置は分かっている。
このヴィランを野放しにする手はない。
全く、同じような場所から移動もせず狙撃してくれちゃって。
舐められているのか、それとも……
このレーザー、音が小さいのかかなりの隠密性能。
だが、何発も狙撃され、幾つもの着弾跡を見れば流石に当たりが付けられる。
僕の予想としては、プロって感じでも無いのだろうなと。
素人にそれがバレるレベル。
未だ詳細な位置は分からないが、攻撃は辞めたのに撤退に動く気配も無い。
本職の人じゃない、少なくとも狙撃に関しては。
一応警戒しながら雑木林に近づく。
遠距離だからこそある程度余裕を持って対応出来ていたが、この近距離で不意を突かれたら結構不味い。
それは相手も理解しているのか、向こうから姿を現す気はないようだ。
おそらくそいつが潜んでいるであろう場所から視線を外さず、トラップなんかも警戒しながらの接近。
見破れる確証なんてないが、そこは素人なりに。
結局トラップに掛かる事もなく、不意打ち気味に襲われることもなく、ヴィランの潜伏場所付近まで接近できた。
僕が運が良かったのか、そんなもの存在しなかったのか……
気配は感じない。
当然、未だ撤退に動いてる様子もなし。
しかし、ここらにいるのは確定。
一切動かず、魔力も抑え、息を潜めているのだろうか?
この状態から見逃される可能性があると?
もしくは、奥の手でもあって逃げ切れると踏んでいるのか?
ヴィランとして、僕が今までの行動から想像していたイメージとかなりの乖離がある。
あまりにアンバランスだ。
そして、そのアンバランスさにちょっと心当たりがある。
まぁ、どうでもいい。
ヴィランであれ、別の存在であれ、この先にいるのが僕の敵である事は間違いない。
マスコットの言葉が全て嘘だとしても、僕を撃ったのは事実だから。
そもそも、ここから先草木をかぎ分けてバカ真面目に探す気はない。
ここまで接近した時点で十分だ。
相手の正体がなんであれ、能力的に背中を取られたら事。
もうおおよその場所に当たりは付いている、ならば……
前回と同じだ。
下腹部が熱を持ち、魔力を大量に変換する。
それをメイスに集中させて行く。
敵の前でこんな行動隙でしかない。
が、隙など気にしない。
むしろ、積極的に隙を見せる。
不意さえ突かれなければ問題ない。
釣られて出てくるなら、それも結構。
動いた時がお前の最期だ。
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