お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜   作:哀上

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『魔法少女という存在』④

『魔法少女という存在』④

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 ……さて、気を取り直して。

 

 雑木林に潜んでいたのはヴィランなんかではなく僕と同じ魔法少女だった。

 

 マスコットが絡んでる時点で、薄々そんな可能性も頭をよぎってはいた。

 敵の歪さを感じそこからますます嫌な予感が強まった。

 それは、僕自身としてもどこか覚えのある歪さだったから。

 

 僕に向かって放たれたレーザー、その威力と連射性は素晴らしいものがあった。

 でも、その使い方、作戦……

 それがその強力な能力と釣り合っているようには見えなかった。

 

 そう、歪だった。

 

 元がただの少女でしかない魔法少女なら、その歪さも当然のことなのだ。

 戦闘なんてものと縁のない生活を送ってきて、それがまともな訓練も受けずに力だけを与えられて戦場に送り込まれるのだから。

 力はあってもそれ以外が何もない。

 

 まぁ、そこに関しては僕も人のことを言えた義理じゃないんだけど。

 ただ、個人的に遠距離は近距離より致命的だと思うんだ。

 近接戦闘は魔法少女の恩恵による身体能力や五感の強化で誤魔化せる部分が大きいように思うし、そもそも出来る動きも感じ取れるものも個人によって違いすぎて常識が通用しない。

 

 これが遠距離になるとそうはいかない、経験や知識が重要になる場面が近距離よりは多くなりそうな気がする。

 少なくとも今回はそうだった。

 確かに遠距離であろうとも出来る事が個人で違うことには変わらないのだが、僕にはその基本的な部分戦闘に関わる根本的な思考自体には多くの共通点があるように思える。

 

 狙撃場所の選定はまさにそれ。

 潜伏場所を敵にバレたくないのに狙撃後移動しないのも知識不足。

 作戦失敗してもすぐに撤退出来ないのは判断力不足。

 

 まあ、だからなんとなく覚悟は出来ていたんだ。

 追い込んだ時点で、そうなんだろうなと。

 必殺技を放って魔法少女が飛び出してきた時、やっぱりって気持ちが強かった。

 

 なのに、どうしてだろうか……

 

 それでも、まさか本当に魔法少女が僕を攻撃してきていたなんてという驚きが今もまだ心を占領している気がするのだ。

 その可能性が高いと事前に分かっていてなお。

 だって、それはあってはいけない出来事なのはずだから。

 

 いつからか、この世界にヴィランという超常の力を使い好き勝手する存在が現れるようになった。

 社会は混乱しその役割を果たせなくなり、人が簡単に死ぬ世界になってしまったのだ。

 そんな世界に現れたのが、同じく超常の力を操りながらヴィランと敵対し人々を守る魔法少女という存在。

 

 僕にとって、というか人々にとって、魔法少女っていうのは希望の象徴そのもの。

 

 魔法少女に武器を向けられていたという過去。

 魔法少女に武器を向けているという現状。

 理屈とは別に、心に相当なストレスがかかっている。

 

 マスコットを攻撃しておいて、殺しておいて今更なのは重々承知している。

 あの時、すでに覚悟を決めたつもりではあったのだ。

 マスコットを殺すということは、魔法少女というシステムそれ自体への否定だと理解したつもりだった。

 

 ただ、頭で考えるのと実際目の当たりにするのは少し違ったというだけだ。

 そう、それだけ。

 

 ……

 

 メイスのおかげで助かったな。

 僕は冷静じゃなかった。

 いや、冷静すぎた。

 自分の混乱に目を向けられていなかった。

 

 まぁ、アレは本当に文句があったってのもあるんだろうけど。

 

 もう大丈夫だ。

 僕は自分の混乱から目を逸らしていない。

 混乱を自覚して、その上で向き直る。

 

 魔法少女にメイスを向ける。

 形だけではない。

 しっかりと魔力を込めて。

 

 こいつは僕を殺そうとしたのだ。

 ヴィランそのもの。

 いや、魔法少女を否定する以上ヴィランは僕か。

 

 いつでも目の前の存在を、魔法少女という存在を殺せるように……

 

「先輩、洗いざらい全部話して貰いますよ?」

 

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