お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜 作:哀上
『隣町』④
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「そう言えば、先輩を嵌めた奴ってどうなったの?」
「え? それは、今アキさんが持ってるじゃないですか」
「いや、そうじゃなくってさ」
「?」
「先輩も別の魔法少女に誘われてこのマスコットと契約したんでしょ?」
「……」
「ま、別にどうしても聞きたいって訳じゃ無いけど」
どちらにしろ、もうまともな状態では無いだろうしな。
妹も含め。
元魔法少女はみんな、
「……あの人は、凄い人だったんです」
「あ、話すんだ?」
「アキさんが聞いてきたんですよね!? ヴィランに襲われかけてたうちの事を助けてくれて、強くてかっこよくて……」
「憧れの人?」
「うん、そんな感じ。だから少しでも近づきたくて、うちなんかの事を魔法少女に誘ってくれて」
「まんまと騙された、と」
「うっ……。まぁ、そうなんですけど」
騙されたというのに、まだ憧れていそうな口ぶりだ。
いやきっとそうなんだろうな。
それぐらい強烈だったって事か。
魔法少女を辞めるには、誰か生贄を用意するかそれこそ死ぬかだったか?
この話が広まっていない以上、例えマスコットに言われるがまま生贄を用意したとしても日常に戻れるとは到底思えない。
だってそんな存在、真実を隠したい連中にとっては邪魔でしかないから。
人の口を完全に閉ざす方法なんて限られている。
例え政治やらマスコミが影響下にあったとて、魔法少女なんていう大多数の人間から関心を得られている事柄の闇を隠蔽しようなんていうのだから尚更。
ただ脅せば安心という規模感じゃない。
一番穏便な処置で記憶の消去、
妹が帰ってきてないことを考えれば拉致監禁、
安牌はやっぱり殺害か、
一年以上も前となれば、先輩のその憧れの人とやらはおそらくは……
僕も魔法少女のまま居るわけにはいかない。
が、まともに辞められる保証もないんじゃなぁ。
別に生贄ぐらいどうとでもなる。
ポンコツ先輩じゃないんだ。
多少時間がかかるかもしれないが、変わりは見つかる。
でも、それだけだ。
いざ辞めて、力失ったところを不意打ちではい終わりなんてごめん被る。
そもそも、マスコットも居ないし。
はぁ、面倒な事だ。
「……アキさんは?」
「ん?」
「いや、だから。誰に誘われて魔法少女になったのかなって」
「……、秘密」
「えぇ~、ズルくないですか?」
「奴隷の癖に、随分と生意気だな?」
「えっ、いやその……。ごめんなさい」
なんて言われたんだったか。
確か、「お兄ちゃん、私の代わりに魔法少女やってくれない?」とか何とか。
よくもこんな面倒ごとに巻き込んでくれて、という気持ちはある。
でもまぁ、妹のことを恨んじゃいない。
むしろ安心したぐらいだ。
こんなわかりやすく欠点と呼べるような部分があって。
その分じゃ僕もこの先輩と一緒か。
騙されたって言うのに、相手を嫌いになれていないんだから。
「……まぁ、大体一緒だよ」
「?」
「僕も憧れの人に誘われた」
「そう、なんだ……」
僕と妹は双子だと言うのに全然似ていなかった。
勉強も運動も妹の方が成績が良くって、本当に双子なのかと何度も疑問に思った。
性別も違うし、二卵性だから一卵性の双子とは違うんだけど。
それにしたって、だ。
本当に同じ親から生まれてきたのかと、そこさえ疑ったものだ。
ただの兄妹だったとしても大きな差に思えたから。
その上、いつの間にか妹は魔法少女にすらなっていた。
完璧すぎてちょっと怖い。
僕は妹のようになりたいとかは思わなかったが、確かに憧れてはいた。
いや、僕なんかがなれるとは思えなかった、か……
今になって思う。
多少、いやかなり無理してやっていたのだろうと。
欠点を一つ見つけて、ようやくそう思えた。
見つけたらたっぷりいじってやろう。
確かに能力はあったのだろう。
でも、その大元は見栄っ張りで自信過剰なナルシストの面から来ていたのだから。
散々振り回されたのだ。
仮面の剥がれた場所を突っつくことぐらい、許されていいはず。
僕にはその権利がある。
学校も、親も、まるで僕が不良品みたいな扱いしてくれたけど、妹が隠蔽するのうまかっただけなんだよって。
兄妹揃って、本来はこんなもの。
まぁ、それのために危険を犯すつもりまではないけど。
あくまで努力目標。
あとは元魔法少女の確保か。
仮に安全に魔法少女辞める方法見つかったとしても、真っ先に自分が試すのは危ないしな。
ポンコツ先輩もいつまで生きてるか微妙なとこあるし、先輩の予備としても元魔法少女のサンプルとしても欲しいところだ。
二卵性とは言え双子ではあるし、僕の代わりに使ってその方法のリスクを試すにももってこいだろう。
うん、名案だな。
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