お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜 作:哀上
『ヴィランという存在』⑥
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部屋の中央には大理石っぽい天板の机、それを挟むように配置された革の張られたソファー。
おそらく本物なのだろう、どちらも無駄に高そうだ。
ヴィランの影響で社会が滅茶苦茶になって以降、世界的に不景気だなんだと言われているが金はあるところにはある物らしい。
ヴィランがその片側にどかりと腰を下ろした。
その風貌も相まってか、無駄に似合ってる。
引きずってきた先輩を反対側のソファーの脇に転がす。
「それで、話ってなんだ?」
「まぁまぁ、そうせかさないで」
僕もそのまま座ろうかと思ったのだが、喉が乾いたし腹も減った。
思い返してみれば、妹が帰ってきてから夕飯食べようと思っていたから昼食以降何も食べていない。
別に食い意地が張ってるって事はないと思うが、今日は色々あったから流石に何か食べたい。
ヴィランの言葉を適当にあしらい、室内を物色する。
「適当に何か飲みながら話そうよ」
「……なんで、我が物顔でお前がキッチン漁ってるんだ」
「君の家ってわけでもないんだし、別にいいだろ?」
電気は死んでるが、別に食いもんが冷蔵しかないって事はないだろ。
適当に漁っていると、ここの家主は酒飲みだったのかつまみっぽいのがいくつか見つかった。
他にもカップラーメンもあったし、腹に入れる物自体は結構ありそうだ。
後は、ヴィラン用に適当に高そうなワインを引っこ抜く。
アルコールだし、いくら電気が死んでるとは言っても流石に数日でダメになったりはしないだろ。
味は落ちてるのかもしれないが、それはあいつの自業自得だ。
グラスは、まぁ別にいっか。
適当なナイフ……、も見当たらない。
もう包丁でいいや。
ワインと包丁をヴィランの正面に置く。
机の中央に適当につまみをばら撒き、ちょっとしたパーティー気分だ。
「なんのつもりだ?」
自分の前に置かれたワインと包丁を怪訝そうな顔で見つめるヴィラン。
あれ?
これって伝わらないのだろうか。
「その包丁で瓶の口をこうスパッと」
何故か微妙そうな顔された。
動画サイトかなんかで、こんなことやってるのを見たことがあるのだが。
どうやら、あまりお気に召さなかったらしい。
この飲み方、豪快でヴィランらしくて結構似合うと思うんだけどなぁ。
「まぁいい。それで、魔法少女のお前がヴィランである俺と話したい事があるだったか?」
「うん」
「わざわざご苦労なことで、この街の魔法少女って訳じゃないんだろ?」
「そうだね、ニュース見てあなたに会いたいと思って」
「まさか、もう暴れるのをもうやめろとかそういう話んじゃないだろうな? 話し合いでなんとかなると思ってるなら、お花畑もいい所だぞ。ま、この写真を見る限りそうは見えないが……」
「全然、そんなんじゃないよ。ただ、コレの話が信用に足らなかったからせっかくなら両方の話を聞いてみようかなと思って」
「ほう、マスコットが信用ならないか……。魔法少女を引退でもしようとして揉めたか?」
「さぁね」
ヴィランでもそれが思い当たるぐらいにはよくある事なのか……
あのマスコットの個体だけが特別悪事を行なっていたって訳でも無さそうだな。
そして、それが当の人間と魔法少女の間に全く広まってないと。
マスコットの情報統制能力はヤバいな。
マスコミも政治も、それも日本だけでなく世界中が、か。
そこにただの少女を兵器に変えてしまえる力だ。
これほどの力と権力、世界征服ほぼ完了してると言っても過言じゃないんじゃないかってレベルだ。
「……で、その対価が」
「このマスコットの死体ってわけ」
「なるほどな」
「これで足りないって言うならまた考えるけど?」
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