お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜 作:哀上
『先輩、生贄になる』②
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「話を戻して、魔法少女になっての初仕事をこなした後の事。僕を魔法少女に誘った人と連絡を取ろうとして、何故か連絡がつかなかった」
「あぁ、なるほど」
「……もしかして、これって良くあるパターン?」
「俺自身が積極的に魔法少女の方については情報を追ってるわけではないが、それでも耳に入る程度には」
「やっぱり」
ま、想像はついていたけどね。
元魔法少女なんて存在、マスコットからしたら邪魔でしか無いもんな。
毎回、それなりの方法で処理してたのだろう。
でも、そうか。
ヴィランのコミュニティーではそこそこ有名な話だったのか。
マスコットの人間への情報統制の徹底ぶりが窺えるな。
人間にとってその事実は、ネットの奥深くに書いてあるようなことでほぼ妄言のようなもの。
しかも、基本的に証拠はない。
実際、そこに書かれているものは仮に真実と合致していたとしてもそれはただの偶然、そのほとんどが妄想なのだろうし。
情報の操作は、人間に対してはほぼ100%成功していると言っても過言ではない。
「想像通りだとは思うけど、その人の事を探そうって事になったわけ。マスコットにその人がヴィランに襲われた可能性があると言われて、そのまま人気のない場所まで案内され……」
「それで?」
「そこで、不意打ち仕掛けて来たのがこの娘ってわけ」
「……それがこの女とお前の出会いか」
「うん」
「そりゃ、仲間では無いわな」
理解は得られたらしい。
今思い返しても、先輩への扱いは我ながら寛大な措置だと思っている。
現に、今もこうして生きているのだし。
だからヴィランにも変な誤解を受けたわけだが。
ヴィランとの交渉材料として有効活用するのに文句を言われる筋合いはない。
SDGs、エコ精神である。
むしろ、賞賛されて然るべきまである。
……ま、流石に賞賛は冗談だけど。
「不意打ちとは言っても、マスコットもこの娘も随分お粗末なものだったんだけど」
「ほう?」
「まず、不意打ちなのに初撃外したんだよね」
「そりゃ、あり得ないな」
「そこからも、マスコットが狙われないから仲間なの丸わかりだし。それなのに騙せてると思っていたのか僕に大した警戒も向けやしない。隙をついてマスコットを倒したら今度はこの娘が動揺して隙作るし……」
「なるほど、お粗末も良いところだな」
でしょ?
本当、やりようはいくらでもあったと思うのに……
残念な人達だ。
もし僕がマスコットか先輩の立場だったら、間違いなく殺せていた。
相手は初心者なんだ。
いや、確かに先輩は魔法少女としての練度が低い。
初心者の僕に劣るレベルだ。
でも、だとしてもだ。
先輩程度の魔法少女としての練度でも、不意をついた時点で仕留め切れただろう。
そもそも、変身もしてない所を不意打ち出来たのだから練度とか関係ないし。
……
なんか話がまたずれて来た気がする。
良くないな。
これは、よろしくない。
僕にこんな癖は無かったはずなんだが。
思考が、自己中寄りになって来てる気がする。
「だから、コイツをあなたに売ろうってわけ。もともと仲間でもなんでもないし、殺そうとして来たところを命奪うのだけは勘弁してやってるんだから。どう使おうと僕の勝手でしょ?」
「理屈はわかった。しかし、随分と詳しく話すな?」
「先の話をするんだから、信用は欲しいからね。裏切るかもと思われてたらうまくいくものもいかなくなる」
「信用、ね。……その女と同じく、俺とも元が敵同士のはずだが?」
「だからだよ。僕から話裏切らないよってせめて態度で示しておこうかと。あなた、そういうの好きそうだし?」
こんな感じでいいだろ。
このヴィランは倫理とかどうでもいいと思ってそうだが、自分ルールがありそうなタイプだ。
現に僕が先輩を簡単に差し出した時ちょっと嫌悪感を覚えてそうな顔をしてたし。
まぁ、その誤解は解けたってことで、ヴィランも先輩を対価として受け取ってはくれるはず。
大した情報は与えてない、その上で嘘もついてない。
無駄になるかもしれないが、別に大した損があるわけでもないんだから話すだけ得だ。
先輩に変な同情心抱かれても面倒だし。
その上で、どう転がしてマスコットと戦ってもらうか……
敵対こそしてるみたいだが、それじゃ足りない。
かと言って、全面戦争みたいな事になるのもそれはそれで好ましくはない。
僕は、まだしばらくは生きていく予定なのだ。
地球が異星人の争いに巻き込まれて荒廃していくのは困るし、支配された植民地での貧困生活も御免だ。
あと、魔法少女関連で命を狙われるのも遠慮したい。
彼らには、環境にやさしく静かに死んでもらいたいものだ。
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