お兄ちゃんは付いてる娘!?〜双子の妹に魔法少女を押し付けられた〜 作:哀上
『魔法少女の初仕事』①
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「出動なのじゃ!」
「は?」
僕がどうしたものかと途方に暮れていると、突然マスコットが叫び出した。
本当に唐突に。
耳元で叫ばれたせいでめっちゃうるさかった。
頭の中でキーンって甲高い音の残響が聞こえる気がする。
え?
と言うか、出動って何?
なんか、ちょっと嫌な予感が。
「ヴィランが現れたのじゃ!」
「ヴィラン……、って事は?」
「魔法少女として、ヴィランを退治し人々を助けに行くのじゃ!」
ですよねぇ~。
いや、確かに僕魔法少女になったけどさ。
いくらなんでも急じゃない?
まだ魔法少女になって十分も経ってないんですけど。
それでもうヴィランとの実践ですか……
魔法少女になる過程もうそうだったけどさ、ちょっと急じゃない?
こう、なんか勢いと流れに身を任せさせようとして来るって言うか。
君たちそう言うとこあるよね。
「いやいやいや……、まだ戦い方とかも知らないし」
「お主は魔法少女に変身したのじゃ、ヴィランの前に立てば自ずと理解できるはずなのじゃ」
「そう言うもんなの!?」
そんなぶっつけで……
それ、本当に大丈夫なんか?
いざヴィランを目の前にして力をうまく発揮できなかったらどうしてくれよう。
このマスコット責任とってくれるのか?
「事前の研修とかは」
「そんなものはない」
「魔法少女、ブラックすぎるでしょ!」
妹はこんなところで働いていたのか。
そりゃ大変だわ。
やめたくもなる訳だ。
……そんな職場にお兄ちゃんを斡旋しないでくれ。
こんな時に、妹はどこに行ったんだ。
あ、そうだ!
妹だよ妹。
昨日まで、妹が街を守っていたんだもんな。
そして今日から妹の代わりに魔法少女になって、これからは僕が守ることになる訳だ。
でもさ、初めだけ、今回だけでいいから見本を見せて欲しいなぁなんて。
いや、出来れば魔法少女としての戦い方を1から教えて欲しい。
この際、この格好になるのを黙ってたこととかはもういいから。
お兄ちゃん我慢してこの格好で活動するから。
めっちゃ恥ずかしいけど、でも怒らないから……
「あの、マスコットさん。今回だけシズに頼むって言うのは」
「魔法少女の力もない、ただの少女にか?」
「えっ」
ただの、少女?
「お主がシズに変わって魔法少女になるって話じゃったろ」
「魔法少女の力ってそんな即無くなる物だったの?」
「力の譲渡だからこそ、こうしてお主がすぐに魔法少女になれたのじゃ」
「そ、そうだったのか」
初耳だ。
でもさ、そんな意地悪な言い方しなくても良くね?
いや、力を失った妹に頼ろうとしたのが気に食わんかったのかもしれないけどさ。
そこら辺、君たち全然説明してくれなかったじゃん。
そんな事情知らないんだから、仕方なくね?
でも、そっか。
妹にはもう魔法少女としての力は残って無いのか。
と言う事は、
やるしかない、のか……
「とにかく、出動じゃ! 魔法少女としての使命を果たすのじゃ!!」
マスコットに導かれるまま、家を飛び出す。
あぁ、もう。
近所だから知り合いだっていっぱいいるのに。
ぱっと見じゃ僕だってバレないだろうけど。
ゴスロリ姿で走ってるとこなんて見られたら……
もう、ごちゃごちゃ言っていても仕方がない。
妹から魔法少女を継いだのだから。
僕が躊躇って居たりしてたら、犠牲も増えるばかりだ。
今までこの街を守ってくれていた妹のためにも、頑張らないと。
ただ、次会ったら一発だけ殴らせろ。
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