なんか妹の距離が近い気がする。   作:シマイノ=ユリスキー

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18. 親友と再会する姉と約束する妹

~姉視点~

 

「それで、アンタいつの間に妹なんて出来たのよ。」

 

 美優とメンバーが分かり合えている様子に宇宙猫状態になっていると、気の強そうなツリ目の美人さんが話しかけてきた。若干睨まれてる。

 

 えっ、何?今度は私が殴られる番だったりする?な、殴るなら痕が残らないところでお願いします…。………アレ?

 

「ってなんだ、ちーちゃんじゃん。改めて久しぶり!!」

 

 その子は親友のちーちゃんだった。本名は及川千咲。高校からの仲である。いかにもツンデレって感じの見た目と話し方をしてる美人さん。彼氏はいない。

 

 めっちゃヒロインっぽいんだけど、主人公君はどこにいるんだろうね?今まで見たことがない。

 

「だからちーちゃんって呼ぶなって何度も…。まぁいいわ。とりあえず退院おめでとう。」

 

「ありがとう!!入院中暇つぶしに付き合ってくれてありがとね!」

 

 実は入院中、美優が来てない時は通話相手になってくれていた。こっちが切ろうとするまで切らないでいてくれたので、とても感謝している。

 

「別に?アンタが寂しいだろうと思ったから相手になっただけよ。気にしないで。」

 

 そう言って顔を背けるちーちゃん。若干頬と耳が赤い気がする。か~わ~い~い~。

 

 ほら見てよこのザ・ツンデレヒロインって感じ。こんなん男の子にやったらイチコロじゃん。

 

 私が男だったら危うく勘違いしてたね。こいつ俺のこと好きなんじゃね?って。私が女でよかったな!!それと主人公君早く出てきてあげて。

 

「てか、話しかけてきて大丈夫?部長みたいに殴られない?」

 

 ちーちゃんが殴られるのは嫌だよ。部長は…まぁ、筋肉があるから大丈夫っしょ!

 

「アタシなら大丈夫よ。部長はその…皆の逆鱗に触れただけだと思うから。」

 

「えっ、こわ。」

 

 部長まじでなにやらかしたの?話しかけてきただけじゃない?皆の沸点低くない???

 

「で、アンタにくっ付いているその子はなに?今まで妹がいるなんて言わなかったわよね?」

 

 そう言って美優を睨むちーちゃん。美優もちーちゃんを睨んでいる。あなたたち初対面でしょ?なんでそんなに仲悪そうなの。

 

「あれ?ちーちゃんに言ってなかったっけ?ごめんごめん。実は父さんが再婚して妹ができたんだよね。」

 

 まだ再婚すると決まったわけでは無いけど、どうせするだろうし別にいいか。

 

「ふ~ん、それにしてはアンタたち近くない?」

 

「あっ、やっぱり?そうだよね近いよね?ほら美優、やっぱりちか―――」

 

「いいえ、近くないです。これが普通です。」

 

 わぁ~遮られたぁ。お姉ちゃん悲しい。しくしくしく。

 

「…あっそ、まぁいいわ。アンタは…美優だっけ?ちょっとアンタと二人で話したいからこっち来てくれる?」

 

「ええ、分かりました。」

 

 ちーちゃんは美優を連れて部室の外へ行ってしまった。なんかギスギスしてない?どうして???

 

「お姉さんモテモテですね!」

 

「どこにモテモテな要素があったんだい?ん~言ってみ?」

 

 そう言って萌ちゃんのほっぺたをぐにぐにする。やわらか~い。

 

「いひゃいへふ…。」

 

「何言ってるか分からないな~うりうり。」

 

 

 

 ……まぁあの二人なら大丈夫でしょ。すぐに仲良くなって帰ってきそう。

 

 

―――――

 

~妹視点~

 

 私は及川さんに続いて部室をでる。

 

 何をされるのだろうか。目立つようなことはしてこないとは思うが、一応警戒しておいて損はないだろう。

 

「それで、アンタはなんであんなに陽菜とくっ付いてるの?流石に普通の姉妹の距離じゃないってことぐらいは分かっているわよね?」

 

「ええ、分かっています。」

 

「…そう。ならなんで?」

 

「私がお姉さまを愛しているからです。」

 

 私は迷わずにそう答える。

 

「ふ~ん、陽菜をねぇ…。」

 

 そういって及川さんは私の目を見つめてくる。この流れは私の陽菜に手を出すなってやつだろうか?

 

「まぁそれなら頑張って。応援はしてあげる。」

 

「……?応援…ですか?」

 

 応援?どういうことだ?

 

「そっ、応援。でも陽菜は天然だし、女同士なうえ姉妹でもあるってことで結ばれるのは茨の道だと思うわよ。」

 

「それは覚悟しています。ですがそれよりも、私を責めないのですか?」

 

「責める?なんでアタシが。」

 

「てっきり私のモノに手を出すなと言うのかと。」

 

「アタシが?まさか。陽菜はただの親友よ。それにアタシは彼氏募集中だと公言してるわよ。」

 

「そうでしたか。ビンタされることぐらいは覚悟していましたが、余計な心配でしたね。」

 

「ビンタなんかするわけ無いわよ。大事になるじゃない。」

 

「冗談です。」

 

 半分はだが。

 

「はぁ……ちょっと大事な話をするからちゃんと聞きなさい。さっきも言ったけど、陽菜は天然だし、見た目も性格も良いじゃない?だから今まで何度も騙されそうになったことがあるの。」

 

「そんなことが…。」

 

 お姉さまがそんなことになっていたなんて知らなかった。

 

「そう。高校の時は告白に呼び出されたと思ったら、男が数人待ち構えていて危うく大変な目に遭いそうになったなんてこともあったわ。無事に連れ出せたから良かったけど、その時の落ち込み具合はひどいものだったわね。」

 

「それは…非常に腹立たしいですね。」

 

 お姉さまの心を踏みにじっただけでなく、二度と治ることのない傷をつけようとしていたなんて…。そんなゴミどもに生きる価値なんてないだろう。絶対に許せない。

 

「ええ、本当にそう。それ以降はアタシが大事にならないように近くで守ってきたけど、そのたびに傷付く陽菜を見てきたの。それで、今回もなにか悪いことに巻き込まれていないか心配だったの。」

 

「そうでしたか。まず、今までお姉さまを守ってくださり、本当にありがとうございます。そして、私は絶対にお姉さまを幸せにしてみせますのでご安心ください。」

 

「ええ、それはアンタの顔で分かるわ。絶対に陽菜を幸せにしてあげなさいね。泣かせるなんて許さないから。」

 

「約束します。それから、千咲さんと呼んでも?」

 

「別にいいわよ、名前くらい。なんて呼ばれても気にしないわ。それとはい、連絡先。交換しておいた方が何かと便利でしょ?」

 

「ありがとうございます。」

 

「ん、じゃあそろそろ戻りましょ。」

 

「はい。」

 

 

 

 部室に戻ると、お姉さまが萌さんの頬で遊んでいた。少しだけ…ほんのすこ~しだけ羨ましい…萌さんが。

 

「戻りました。」

 

 お姉さまの隣に座る。千咲さんは一瞬こちらを見たが、今度は何も言わなかった。

 

「あ、二人ともおかえり~。やっぱり二人とも仲良くなって帰ってきたね。あっ、ちーちゃんのほっぺたも触らせて~。」

 

 そういってお姉さまは千咲さんの頬に手を伸ばす。

 

「ちょ、やめなさいってば!」

 

「ふふふ、すべすべだねぇ。」

 

 千咲さんは嫌がる素振りを見せてはいるものの、頬と耳は赤いうえに離れようとしない。

 

 私は気づいてしまった。今までお姉さまを近くで守ってきたことと、お姉さまに対する今みたいな態度。それによって周りが近づくことができないからこそ、千咲さんに彼氏が出来ないのだろう、と。

 

 

 

 あと二人ばかりずるい。私もお姉さまと触れ合いたい。

 

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