なんか妹の距離が近い気がする。   作:シマイノ=ユリスキー

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49. 相談する妹

~妹視点~

 

 今日は期末試験の最終日だ。今お姉さまは試験を受けており、私、萌、千咲先輩の三人は大学付近のカフェで時間をつぶしていた。

 

 雑談が一区切りついたところで、私は悩み事があることを告げる。

 

「その…最近とある悩み事がありまして…お二人に相談しても良いですか?」

 

「もちろん!てかどしたん?そんなにかしこまっちゃって。うちらの仲じゃん!遠慮なく言ってよ!!」

 

「そうよ。アタシたちの間に遠慮なんかいらないわ。困ったときはお互い様よ。」

 

「お二人とも…ありがとうございます。」

 

 二人の優しさが身に染みる。私は意を決して、最近悩んでいることについて話し始める。

 

「実は…最近お姉さまの様子が変なんです。」

 

「お姉さんが変…と。」

 

「……。」

 

「はい。なんだか私を避けているような気がして。」

 

 実は、最近お姉さまとの距離が少し離れてしまっているように思う時がある。

 

「お姉さんが美優を避ける…?」

 

「…どうしてそう思ったのかしら?」

 

 萌は考えるそぶりをみせ、千咲先輩が話の続きを促す。

 

「今まで私はお姉さまとかなり近めの距離感で過ごしてきましたよね?」

 

「うんうん。見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいの距離感だったよね!」

 

「ほんとにそうね。あれで姉妹の距離だって信じちゃうあの子も凄いけどね。」

 

「私は普段からお姉さまに密着したり、お姉さまと手を繋いだりしていました。しかし、最近は近づこうとしても一歩引かれ、手を繋ごうとしてもお姉さまは私の袖を握るだけになってしまいました。」

 

 普段の生活で完全に密着できることは無くなり、外に出るときも手を繋げなくなってしまった。以前は毎日のように行っていたことが出来なくなってしまった。

 

「他にも、お姉さまから視線を感じたので見つめ返そうとすると目を逸らされましたし、ぼーっと遠くを見つめていることが多くなりました。私が話しかけても気づかないことさえあります。」

 

 今まで目が合ったときはどんな時でも微笑んでくれた。そして、私が話しかけた際に気づかない事なんてなかった。

 

「……私はお姉さまに嫌われてしまったのでしょうか…。それとも、お姉さまに好きな人が出来てしまったとか…。」

 

 最悪の想像をしてしまい、思わず涙がこぼれそうになってしまう。顔を俯かせ、涙が落ちないように気持ちを落ち着かせようとするが、不安な気持ちが次から次へとあふれだしてくる。

 

「…あ~。」

 

「……なるほど。これは思ったより重症ね。」

 

「千咲先輩、これは…どうします?」

 

「そうねぇ…。流石に私達から本当のことは言えないけど…まさか美優も鈍いなんて思っていなかったわ。どうしたもんかしら…。」

 

「ん~…。ねぇ美優、美優ってお姉さんのことが好きなんだよね?」

 

「…もちろんです。」

 

 好きに決まっている。好きじゃなければこんな相談はしていない。

 

「うん、そうだよね。じゃあ告白したことは?」

 

「…ありません。」

 

「ふ~ん、なんで?」

 

「それは…まだ告白するタイミングじゃないからです。」

 

「じゃあ告白するタイミングっていつ?」

 

「お姉さまも私を好きになってくれた時です。」

 

「……なるほどねぇ。……ん~…ごめん美優、うち今からひどい事言うね。それじゃあ一生お姉さんと付き合うことはできないよ。」

 

「なっ…!」

 

 萌がこんなことを言うとは思っておらず、思わず絶句してしまう。まるで頭をガツンと殴られたような思いだ。

 

「ちょっとアンタ!何てこと言うのよ!」

 

「すみません千咲先輩。でもこれ大事なことなんで。」

 

「…そう。じゃあアタシは黙ってるわ。ちゃんと丸く収めるのよ。」

 

「ありがとうございます。…ねぇ美優、告白もせずに相手に好きになってもらおうなんて、恋愛ナメすぎじゃない?」

 

「そんなことあるわけ!!」

 

「い~や、そんなことあるよ。そもそも両想いで付き合える人なんてほんの一握りなんだよ?確か、両想いの確率って400分の1らしいし。それなのに告白もしないでお姉さんが好きになってくれるのを待つって、そんなんじゃ結ばれるわけないじゃん。」

 

「でも…。」

 

「でもじゃないよ。チャンスを掴みに行こうとすらしてないのに、チャンスが巡ってくるわけないっしょ。なのにお姉さんが自分のことを嫌いになったかもしれないとか、好きな人が出来たかもしれないとか、告白すらしてないのに何を寝ぼけたこと言ってるんだって感じだよ。」

 

「……。」

 

 目が覚めるような思いだった。確かにその通りだ。私はただ手をこまねいて待っていただけだ。そんなんじゃ付き合えるチャンスなど一生巡ってこないに決まってる。

 

「…確かにその通りです…。私は…何をしていたのでしょうか…。」

 

「目が覚めた?」

 

「はい、おかげさまで。ありがとうございます。」

 

「んっ!どういたしまして!じゃあ告白するの?」

 

「はい。お姉さまのテストが終わったら告白しようかと。」

 

「わぁ行動力の塊!でも流石にムード作りは考えた方がいいと思う…。」

 

 若干引いた様子の萌。なるほど、もう少し考えるべきだったか。

 

「なるほど。ではどうしましょうか…。」

 

「ん~…定番だけど、夏祭りとか?ほら、今度四人で行く約束してたじゃん!そん時とかどう?打ち上げ花火の下で告白とかめっちゃ良くない!?」

 

「夏祭り…良いですね。告白はその日にしましょうか。」

 

「丁度もうすぐこの近くの夏祭りが開かれるし、二人きりで行動できる時間を作るわ。それでどうかしら?」

 

「良いと思います!ってことで美優、応援してるよ!」

 

「ありがとうございます。悔いが残らないようにします。」

 

 手をこまねくだけはもうおしまいだ。成功するのかは分からないが、私は悔いが残らないようにしたい。フラれたらフラれたでそのあと考えれば良いだろう。

 

 

 

 そうして、夏祭りの日にお姉さまに告白することが決まった。

 

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