両親が死んだ。宿儺の斬撃をくらい、死体は残らなかったらしい。
そんな知らせを聞いたのは、両親が出発してから1ヶ月後のことだった
分かっていた。覚悟もしていた
だが、堪えた
両親だった、紛れもなく。前世の親に愛はなかったから、今回はあったから。
生まれて初めて愛された、求められた
…でも、まだへこたれるわけにはいかない
父親から受け継いだ術式は、誰の術式よりも強いんだ
母親からもらった体は、前世とは比べものにならないほど健康だ
…強くなられば、強くなって必ず、宿儺を討つ
俺の術式の最大のポテンシャルは、手数の多さではない
ある一定のラインを超えたモンスターの持つ無法さ
そう、モンハンを一度でもプレイしたら必ず苦戦するであろう
古龍だ
コイツラを調伏できれば、俺は宿儺にも届きうると考える
そしてこの術式の特性がもう一つ
それは、調伏したモンスターが増えれば、俺の呪力も増えていくという特性だ
…古龍の調伏には、自身の呪力による強化とモンスターの手数、そして圧倒的な実戦経験がいる
すべて、こなしてやる
待ってろよ宿儺
…あれから、もう5年たった。
依然、宿儺は健在
そろそろ、藤原家や安倍家といった大物どころが出てくるという話を聞いた
かなりの数のモンスターの調伏に成功した。が、未だ古龍の調伏には至っていない
チャレンジはしたけど、3乙。最上位の
焦らなければ
実戦経験は積めている。呪詛師狩り、呪霊狩りは毎日のように行い、自身の強化は怠っていない
…まずは、対古龍用のモンスターを先に調伏しようと思う
「纏竜調伏、星七域【怨虎竜】」
生得領域へと視界が変わる
モンスターによっては、俺の生得領域を書き換え、自身の棲みかのように改変することがある
「夜の竹林、そうだな、お前らしい」
紫色の炎が揺ら揺らと揺蕩い、こちらへ向かってくる
「来い、マガイマガド」
暗闇から鬼火を纏った尾が飛んでくる
殺す気満々の一撃だが、これは予習済みである。
ニートの知恵舐めんな、ありとあらゆるモーションを覚え、その悉くを狩ってきたんだ
「纏竜、ティガレックス」
両手にティガレックスの剛拳が現れる
「纏竜、ナルガクルガ」
両足にナルガの機動力を
「纏竜、バサルモス」
全身にバサルモスの硬度を纏う
危険度の低いモンスターを纏った場合身体的特徴が現れる
そして
「纏竜、バゼルギウス」
それ以上の実力を持つモンスターには、身体的特徴と
術式が備わっている
「爆ぜろ!」
ボボボボン!とマガイマガドの周りが爆ぜる。
バゼルギウスの術式は、自身がマーキングした箇所を爆破させる術式
単純だが、強力だ
高速移動で怯むマガイマガドに肉薄し、爪、拳に呪力を込め、抉る殴るの繰り返し
避け、殴る、爆破する、避ける
いつの間にかマガイマガドは疲弊し、こちらに背を向け逃げようとする
「逃がすか、纏竜、リオレウス」
ブレスの炎を溜め、逃げるマガイマガドに向け放った
…死んだか
すでに現実世界へと視界は戻っていた
さて、マガイマガドの術式は…
うむ、かなりいい術式だ
古龍を喰らう術式
だいぶ抽象的だが、具体的に言えば、古龍種のモンスターのHPの3分の1を削るお団子ってとこかな
…まじで古龍用の術式だな
モンスターの術式は、そのモンスターの身体的特徴をモチーフにしたものもあれば、そのモンスターの逸話、ってかストーリーをもとにした術式だったりする
今回のは、マガイマガドの『百竜夜行で、古龍をも退けている』というストーリー上の話が術式に昇華されているってことだな、よきよき
よし!これでだいぶ攻略が進めやすくなるだろう!
さらに、5年のときがたった
俺はもう17である
古龍の調伏も進んできた
あとは、禁忌のバケモノ共ぐらいか
あと、フロンティア産のモンスターだけはまだ数種類しか調伏できていない
アレのモンスターは、古龍でなくても最強なのだ…
さて、朗報というべきか
俺の実力を聞きつけて、藤原北家の戦闘部隊が打倒宿儺のための戦力として俺を勧誘しに来た
さて、ようやく来たな
打倒宿儺を掲げて生きてきたんだ
絶対に殺してやるよ