「本当に使えるんだろうな、あのガキは」
「ええ、ええ。あの男は黒金家の出、前回の討伐隊で宿儺に最も手傷を負わせた男の倅です」
「なるほど、それは……」
「それに、母親も優秀な反転術式使いでしたので」
「期待できるな、それは」
「ええ! ええ! もちろんですとも! 必ずやかの両面宿儺を今度こそ討ち取ってみせましょうぞ!」
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討伐隊に合流し、両面宿儺の棲んでいるところへ出発した
いよいよ、両親の敵を殺せる、そう思うと前世から持ってきた矮小な自分でさえ武者震いしだす
呪力が高まっていく感じがする
感情を起爆剤にしすぎると良くない、ブレるな
暫く馬を走らせ、ついに宿儺の呪力を捉えた
脅威だ、あれは
呪力だけで死を間近に感じる
討伐隊の面々も顔を強張らせている
……あれだ
腕が二対あり4つ目の化け物
ああまさしく、漫画でも何度も見た
「両面宿儺を相手取るんだ、必ず陣形を意識しろ、事前に隊はくんでッおい待て!!!」
「宿ッ儺ァ!!!!!」
「……やかましいな、誰だ貴様は」
「殺す!!」
「そうか、死ね」
あぁ、討伐隊の言葉なんて耳に入んなかったな
眼前に優しい両親を殺したやつがいるって思うと体が勝手に動いちまった
「纏龍、クシャルダオラ」
全身に、クシャルダオラを纏う
「解」
ガキンッと甲高い音を立てて斬撃を弾く
「む、俺の術式を弾くか、単なる強化ではないな。そういった術式か」
術式は、攻撃を弾く術式
具体的に、俺の呪力量よりも大きい呪力を込めた攻撃であること
俺の呪力は眼の前の宿儺の80%程度だ
つまり、宿儺は御厨子を通すために、80%の呪力を籠める必要がある
故に、
「ハハッ良いなお前! 俺の術式が通用しない!!」
ただし、術式を行使するために呪力は一定間隔で減ってゆく
呪力効率は悪くないほうだが、それでも長引けば長引くほど不利になっていく
なので目指すは、短期決戦!
「纏竜、ジンオウガ!!」
「ッ!! 電撃か!」
纏う竜はジンオウガ
術式は電撃と雷速
原作でも雷に対する有効打を持っていなかった
化け物でも生物ではある
生物にとって、雷は致命的に刺さる!
このまま呪力籠め全力で
焼き殺す!!
弾く、弾く、弾く、弾く、弾く、弾く、弾く、弾く、殴る、弾く、蹴る、殴る!
一方的に戦況が動いていく、怖いぐらい順調だ
解だろうが、「開」だろうが、受けきれるんだ
このまま押し切る!
ダメ押しだ
「纏龍、メル・ゼナ!」
メルゼナの術式はシンプルな身体増強! 古龍レベルの破壊力を拳に乗せるッ!!
行けるぞ! このままっ
「……領域展開」
っはは! そりゃそうだよな!
追い詰めてきゃそうなるって最初から……!
「伏魔御厨子」
ゾワリと全身が粟立たった
日常の対極と言える感覚が体を支配する
リンと、鈴が鳴った音がした
「あっあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!???????????」
領域展開の強み、それは術式の必中だけでなく
術式の中和
五条悟の無限さえも、中和によってその効力ごと押し通される
「ほう、耐えるか。素の呪力強化でよくここまでやる」
「ッ!! 彌虚葛籠ァ!!」
くっそ!!! クソクソクソ!!
領域対策が彌虚葛籠しかねえ!!
まだ展開できないんだよ領域は!
そんでもって反転も未習得!
ああ??!! 準備不足だって!? うっせえなあ!!
そもそも反転も領域も並の術師にとっちゃ難易度クソ高ヘルモードなんだよ!!
5年そこらで習得できるか!!
「今度は、俺の番だな?」
まずい、宿儺が来る
彌虚葛籠でガッツリ両手が塞がってる! 奴と違って腕は2本しかねえし、対応が!
「がッ!?」
「ずいぶんと」
「ぎッ!! オェ!?」
「調子に乗っていたが」
「ハァハァ、ごあッ!?」
「こんなものか」
「つまらん」
「お前の潜在能力はそんなものではなかろう」
「猶予をやる、3つ数えるうちに」
「領域を展開してみろ」
遊ばれている、が、チャンス
原作でも散々そうだった
慢心、自身が圧倒的有利を取っているときの戯れ
彌虚葛籠を解く、斬撃は来ない
「3」
掌印を組む
恐れるな、自分を信じろ
そもそも俺の術式は、生得領域でモンスターを調伏するんだ。それを持ってくるだけ、できない道理はない
「2」
イメージしろ、俺の、領域を
形作れ、空間を
死ぬ気でやれ!!!
「1」
「領域展開ッ!!!」