転生した世界が打ち『斬』り漫画だった   作:空使い

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四太刀

 

 

 

教室の中から聞こえる呼び声に返事して、ガラガラと引き戸を開け入室する。

 

「さあさあ辰爾(たつみ)君っ、ここに立って、自己紹介して下さいねっ! みなさんちゅうもーっく! 今日からこのクラスの仲間になる辰爾空也君ですっ!」

 

もう名前言っちゃってるし……と思いつつ、言われた通りに教卓の横に立って、横で()()()()()担任を横目でチラリと盗み見る。

 

「静かにしなさーいっ!」

 

と、出席簿をブンブン振りながらプンスコしている()()()()女の子……というか、女性。

薄桃色の髪をリスの尻尾の様なポニーテールにして、赤いアンダーリムの丸眼鏡をしたスーツ姿の先生だ。

教卓の前に立つと首から上しか見えなくなる位の低身長で、踏み台みたいなモノに乗って高さを補っている。

こんな治安の悪い学校で教員をやるだけあって女だてらに剣を使うらしく、腰の後ろに刃渡り一尺二寸程の、御酒草(みきくさ)模様の(こしらえ)をした脇差しを横向きに括っている。

スーツの袖が余ってダボダボなのがまた子供っぽさに拍車を掛けているこの方こそ、我ら2−Cの担任、栗沢(くりさわ)小桃(こもも)先生……だそうだ。

担当教科は英語。

御年24才だとか。

聞いてもいないのに教えてくれた。

 

「……辰爾空也です。見ての通り、実家がお寺なんで坊主見習いもしています」

 

黒板に名前を書き、自己紹介をしながら思う。

これに関しては断言出来る。

 

(こんなキャラ知らねぇ!)

 

「家の都合で半端な時期の編入になりましたが、仲良くして下さい」

 

そもそも、記憶が正しければ『斬』作中で担任の先生はおろか、教員らしきキャラクターが描写されていた記憶がない。

いや、記憶に無いだけで何処かで見切れる位はしていたかもしれないが、少なくともこんな主要人物です! と言わんばかりの濃いキャラクターは間違いなく居なかった。

おかしい……『斬』はもっとこう、チビっ子先生ぇとか出てこない硬派な作品だったハズ……!

 

「寺育ちではありますが、剣振るタイプの寺だったんで武芸一般はこなせます。特技は立ちながら寝られる事で、趣味は……写経かな。宜しくお願いします」

 

「はいっ! ありがとうございますー! みなさん、拍手ーっ!」

 

ぱちぱちぱちと気の無い拍手が教室に響く。

まともに拍手してくれている内の一人の斬が、既に俺の中で癒やしになりつつある。

……先生はその世界観をガン無視した萌え袖スーツで拍手するのやめて欲しい、頼むから。

 

「それでは、(たちゅ)……辰爾君に何か質問のあるヒトはーっ?」

 

ツッコまないからな。

教室のそこかしこでシュババっと手が上がるのを見ながら、にへらっと笑みを浮かべる栗沢先生。

 

「……とっ、思いましたがっ! 今日は先生、授業の準備があるので、ホームルームはここまでですっ! 質問のあるコは各自休み時間に聞いて下さいねっ! じゃ、辰爾君の席はあそこなんで、みんなと仲良くするよーにっ! 以上っ!」

 

それだけ言うと、栗沢先生はシュタッと踏み台から飛び降り、生徒たちの「えー」っという声を背にテテテッと疾風の様に教室を出て行ってしまった。

最後までキャラの濃い先生だった……。

 

チラリと先生が指差していた席を見ると、窓際の一番後ろ……に座る斬の前の席だ。

さすが斬、当然の様に主人公席だ。

小さく手を振ってこちらに控え目に笑いかける斬に笑みを返す。

そして俺は○ョンポジション。

後ろから事あるごとに(つつ)かれそうな気配。

 

軽くクラスメイト達に会釈しながら席につき、邪魔でしょうがない大錫杖を壁に立て掛けていると、果たして後ろの斬が早速声を掛けてくる。

 

「空也く――」

 

「ねえねえ! その袈裟ってイイのっ!? 校則違反じゃない!?」

「お寺で武術っていうと刀禅(とうぜん)宗? それとも曹刃(そうじん)宗? 武芸一般って何が出来るの?」

「坊主って言うクセに髪メッチャ長いじゃん! それアリなの!?」

「家の事情ってナニ!? 昼ドラみたいなヤツ!?」

「彼女っている!?」

 

……よりも先に、クラスの中でもコミュニケーション強者であろう集団が殺到してきて質問攻めが始まってしまった。

斬が上げかけた手をスゴスゴと引っ込めるのが見える。

 

「ええと、袈裟は育ての義父(ちち)に着てけと言われてね。職員室でも特に何も言われなかったものだから……」

 

この状況でクラスメイトを突っぱねるのも感じが悪いし、高校二周目とはいえ別段孤高を気取るつもりも無いので、邪険には出来ない。

斬には目線で謝って、矢継ぎ早な質問を捌きにかかる。

 

しかし中途編入したのは斬も同じだったハズだが、こんな友好的なクラスで何をどうしたらたった五日で孤立することになるのか、見当もつかない。

いったいどんなトチり方をしたと言うのか……。

 

後でその辺りの事でも聞いてみるかと思いながら怒涛の質問ラッシュに答えていると、あっという間に一限目の時間がやって来て、机の周りにたむろしていた生徒達が名残惜しげに席へと戻ってゆく。

 

やっと一息ついて、教卓についた国語教師がプリントを返却し始めた所で振り返ると、斬は弱々しく微笑んでボソッと呟いた。

 

「……人気者だね、空也君」

 

「物珍しいだけだよ」

 

「僕の時は、誰も来なかったから……」

 

「えぇ……そんな事あるかい?」

 

そう聞き返すと、フッと窓の外に視線をやる斬。

 

「自己紹介で噛んで、牛尾君に絡まれて……」

 

「…………難儀な」

 

これが成長系主人公の悲哀か。

斬、どこまでも哀れなヤツ……。

 

せめて俺だけは斬に優しくしてやろうと心に決め、黒板に向き直って授業に耳を澄ます。

休み時間になったら斬に構い倒すか……。

 

 

 

 

そう思ったは良いが、高校二年生の好奇心はそれを許してくれなかった。

休み時間になるたびに、俺が斬に話し掛けるよりも早くクラスメイトに囲まれ質問の嵐で、まったくのんびりする暇が無かったのだ。

俺も俺で、前世も含めてこんなにチヤホヤされた事が無かったので悪い気もせず、ノリノリで質問に答え続けていたらあっという間に放課後になってしまっていた。

 

携帯を持っていなかったので連絡先の交換こそ出来なかったが、今日中に買って持ってくればloin(ロイン)の友達リストはかつて無かった程に賑わうだろう……うへへ。

 

「…………はっ!?」

 

……じゃなかった!

 

斬!

斬はどこへ行ったのか!?

この世界の序盤では、すべての事件が斬の周りで起きるのだ。

出来うる限り斬のそばにくっついて回ろうと思っていたのにこの体たらく。

久々のキャピキャピした空気に、知らず気が抜けていた様だ。

 

気をつけねばと思いつつ、原作の出来事を思い返す。

初日の斬は、どこで何をしたのだったか……!

 

暫く考えてみるが、やはりと言うか、全く思い出せない。

ただでさえ薄い原作の、これまた(うっす)い記憶だ。

細部の場面展開まで思い出せるハズも無かった。

 

「牛尾……月島……悩める主人公…………こういう時、王道漫画なら」

 

もはや勘に頼る他無い。

屋上だ。

学校で学生が物思いにふけるなら、屋上と相場が決まっている。

寝転がれて、空や街を眺められて、キャラクターを乱入させやすくバトルも出来て作画コストが安い!

屋上しか無いだろ。

 

俺は甚だ頼りない推理を元に、屋上に向かってみる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ〜〜〜〜……」

 

深い溜め息をつく斬。

 

「……確かに月島さんはカワイイし、彼氏くらいいたって当然だよね……まだ、好きって程では無かったけど、やっぱりちょっとショックだなぁ……」

 

いや、好きだろ。

完全に恋しちゃってるだろそれは。

 

そうツッコみたくなる様な独り言を零しながら、屋上の四角い……コレなんて言うんだ、階段部屋(塔屋と言うらしい。後日ググった)? に寄り掛かって座る斬が、溜め息混じりに黄昏れているのを盗み見て、思った。

 

(居たぁ〜〜〜〜〜〜〜!? マジで屋上にいやがったよコイツ!? 主人公か! 主人公だったな!)

 

今世の俺は冴えている様だ。

展開にひねりがないとも言える。

それはさておき、斬の友達一号(推定)である自分としては、これ以上甘酸っぱい独白を盗み聞きしてしまうのも後ろめたい。

さっさと出て行って悩みでも聞いてやる事にする。

 

多分これは引きのシーンで、斬のこれ見よがしな独り言が終われば次の日とかに場面転換……という感じだろう。

イベントは気にせず、俺にとっても友達一号である斬と青春トークと洒落込もうじゃないか。

 

「や、斬。こんな所で黄昏ちゃって、悩み事かい?」

 

そう声を掛け近くまで歩み寄ると、斬は面白いように慌てふためいて仰け反った。

 

「え! あ! え、空也君!? どうしてココに!?」

 

「なに、質問攻めに疲れてちょっと風を浴びにね」

 

ウソである。

友達と恋バナしに来ました。

こういうの憧れてました。

 

「そ、そうなんだ……」

 

「そうなんだ」

 

そう言って、黙り込む斬の横に腰掛けると、見るとも無しに空を見上げる。

放課後、屋上、黙り込む二人。

うつむく主人公、空を見上げる坊主……。

おお、まるで漫画のワンシーンみたいだ。

感動。

 

徐ろに、口を開く斬。

 

「僕、父ちゃんに憧れてるんだ」

 

「……」

 

無言で続きを促す。

 

「僕の父ちゃん……もう、死んじゃったんだけど、凄腕の剣客だったんだ」

 

独り言の様にポツポツと、斬は語り続ける。

 

「村山斬之介って言って……研無刀を使いこなして、何十って数の真剣勝負にも勝っちゃう様な、凄い武士(おとこ)で……僕、父ちゃんみたいに成りたくて、この研無刀を持つ事にしたんだ」

 

カチャリ、と柄頭に手を置く斬。

 

「形見なのかい?」

 

「うん」

 

屋上に、まだ少し肌寒い風が吹き抜けて行く。

 

「でも僕はてんでダメで。せっかくの研無刀もロクに扱えなくて鉄クズ呼ばわりだし、この学校に来てすぐイジメにもあっちゃうし……おまけにそれを、女の子に助けられちゃうし……全然武士(おとこ)らしく無いよね」

 

「…………成る程ね」

 

聞けば聞くほど気分が落ち込むようなドン詰まり具合だ。

こりゃ屋上で一人黄昏れたくもなる。

斬の秘めた強さを知っている自分としては、何とか元気づけてやりたい所だ。

 

「斬、君は――」

 

屋上の扉が開くギィィィという音に、半開きのまま口が止まる。

……なんなんだよホントに俺が何かしようとすると毎回毎回……!

 

今度邪魔し腐ったのは何者なんだと塔屋の角からこっそり覗いてみると、果たしてそこに居たのは正に斬がウジウジしている原因の一人でもある月島さんと、見覚えの無い坊主頭のヒョロッとした男子生徒だった。

 

俺の後ろから同じく覗き込んできた斬がハッとした様に口を開く。

 

「月島さんと…………あ、あれは彼氏!?」

 

ずがぁんと勝手にショックを受けている。

 

「ああいや、どうもそんな様子でもなさそ――おっと」

 

「え、何が……うわっ!?」

 

斬がかわいそ過ぎて、思わずフォローしてやろうと視線を動かした瞬間、斬の頭目掛けて飛んでくるボールらしきものが視界に入り――慌てて片手を伸ばしてキャッチした。

 

「どこ投げてんだー!」「うはは、どうよ俺の強肩!」「ウゼェんだよバカコラ」

 

遥か下のグラウンドから、野球部のものらしき声が聞こえる。

なんつうタイミングでなんてピンポイントに硬球なんか投げてくれるんだアイツ等。

斬が俺の手を見てヒエぇと驚いている。

 

……だがコレで思い出した。

 

「牛尾の子分がアホ面下げてあたしに何の用?」

 

月島さんの詰問するような声が聞こえ、斬と一緒に振り返る。

 

「これから剣の稽古が有るんだから、手短にしてよね」

 

「ヒッヒッヒッ……牛尾さんからコイツを預かって来たんだどぉ〜〜」

 

そこでは牛尾の子分らしい坊主頭が、月島さんに果たし状を突き付けていた。

 

そうだそうだそうだった。

放課後の屋上ではこのイベントがあったんだった。

で、たしか原作では、坊主頭の男子が牛尾の子分だと分かる前に、斬の頭にこのボールが直撃して気絶してしまい、結果斬は彼が月島さんの彼氏だと勘違いしたままになるんだった。

 

ホント俺の記憶は頼りにならない。

天下の週刊少年マンガにムダなシーンなど一つも無いのだ。

 

「か、彼氏じゃなかったんだ……っていうか、果たし状!?」

 

横の斬は、俺の気も知らずに百面相をしている。

目を凝らして果たし状の文面を盗み見ようとしている様だが、とてもじゃないがここからでは内容は分からない。

月島さんの表情を見る限りでは、愉快なお手紙じゃ無さそうだ。

 

「んじゃ、渡したからなぁ〜〜」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

もう用は済んだとばかりに校内へ帰って行く牛尾子分。

後に残された月島さんは、手紙に目線を落として険しい顔をしている。

 

さて、新しいイベントと分かればしゃしゃり出ずには居られない。

俺も果たし合いが何時何処で行われるか、斬がどうやってそこに居合わせるかなんて事、当然覚えていないので、いっそ直接聞いてしまえという腹積もりだ。

 

「恋文かな? モテるんだね月島さん」

 

「辰爾君!? なんでこんな所に!?」

 

「馬鹿と坊主は高い所が好きなんでね。さて、随分と熱烈なラブレターとお見受けするが?」

 

「こ、これは……これはあたしの問題よ。辰爾君には関係無いから」

 

俺が物陰から堂々と出て行って探りを入れてみると、月島さんはまずい所を見られたといった風に表情を歪めて、サッと手紙を後ろ手に隠してしまった。

さすが強気系ヒロイン、売られた喧嘩は自分一人で買いたいらしい。

 

階段部屋の陰で斬が「ラブレターっ!?」っとハラハラしているのを後頭部で感じながら、もう少し揺さぶってみる。

 

「ふむ……しかし真剣勝負ともなれば、中立な立会人の一人も入り用だろう? 先程の彼はあちらよりの様だし……ましてお相手があの牛尾(なにがし)ともなれば、勝負は尋常の域を超えかねない。違うかね?」

 

「それは……」

 

お、揺れてる揺れてる。

もう一押しだ。

 

「なに、なにも横槍を入れようなんて気は無いさ。腐っても坊主見習いの俺としては、二人の武士(もののふ)の勝負の行方を見守ってやりたいんだ。実家の寺で事の作法は一通り仕込まれてる。月島さんの誇りを汚すような真似だけはしないと誓うよ」

 

「…………」

 

そう言ってやると、暫く迷っていた月島さんはとうとう、くしゃくしゃになった果たし状を差し出してくれた。

 

「ふむ、ちょっと拝見……本日……というか明日(みょうにち)だな。丑三つ時に体育館裏で待つ、か。古式(ゆか)しいお誘いだ。承知したよ」

 

「助太刀は要らないから」

 

「勿論だとも」

 

そう言うと、月島さんはなおもモジモジとなにか迷っている風に視線を彷徨わせ、ツと俺を見上げて聞いてくる。

 

「……辰爾君は、女が武士らしくしようとするの、どう思う?」

 

おお、真剣な表情。

となれば、こちらも真剣にならざるをえない。

 

一度(ひとたび)刀を持ち、真剣勝負の場に立ったのならば、そこに居るのはただ武士と武士。男も女も関係無かろうよ。斬るか斬られるかだ」

 

そう言うと、月島さんの肩から僅かに強張りが抜けるのを感じる。

どうやらかける言葉は間違って居なかった様だ。

 

「……ありがとう! 辰爾君って、優しいんだね。朝も牛尾君を止めようとしてくれたみたいだったし……ちょっと変わってるけどね!」

 

喋り方とか! そう言いながら、タタタっと軽やかな足取りで階段に向かって走る月島さんは、最後にフッと振り返って言った。

 

「じゃあ今夜丑三つ時に、体育館裏で!」

 

ひらりと手を振って応えれば、今度こそ月島さんはドアの向こうに消えて行った。

 

「…………もう出てきて良さそうだよ」

 

そう声を掛ければ、ずっと隠れて経緯を見守っていた斬がトボトボと歩いてくる。

 

「まったく、彼女、果たし状を置いて行っちゃったよ。しっかり者の様でそそっかしいんだね……で、どうするんだい?」

 

そう問い掛けると、斬は何処か迷いの見える目で俺を見上げて来る。

 

「う、牛尾君と果たし合いなんて……僕のせいで!」

 

「うーん、いや、あの二人の事だ、遅かれ早かれだったとは思うがね」

 

なんせ委員長タイプな真面目堅物強気女子と札付きの不良男子。

明らかに水と油な組み合わせだ。

斬の気持ちも分かるが、ぶつかり合うのは必定だろう。

……その後で恋が芽生えるのも定番だ。

少女マンガの世界じゃなくて良かったね。

 

「……月島さん、勝てるかな?」

 

「さて、けだし短い付き合いだが……彼女の意志の強さは本物だろう。剣の腕も立つらしいし、意地の張り合いで彼女が負けるとも思えんなぁ」

 

そう言うと、斬の表情が俄に明るくなる。

……これで斬がその場に居合わせないなんて事になっても良くない気がするので、ちょっと脅しを掛けておく。

 

「だがあの牛尾とやら、一見するにもう何人か斬ったことがある風だった。対して月島さんは人を斬ったことが無いように見える。カンだがね? 不殺をうたう坊主としては、殺しの有無で優劣を付けたくは無いが……試合でなく真剣勝負となると、分が悪いかねぇ」

 

「そんな!」

 

ショックを受けた様な顔をしているが、今言った事は本心だ。

あの住職の元で生きること十余年。

武僧見習いとして、果たし合いの立ち会いに付き添う事幾十か。

その経験が俺に告げている。

正直、殺し合いで月島さんが牛尾に勝てるとは思えない。

 

「僕、どうしたら……!」

 

想い人の命の危機に、激しく動揺する斬。

 

「……聞こえていただろうが、今夜、丑三つ時。体育館裏だそうだ」

 

それだけ伝えて、斬に背を向ける。

 

「あっ……」

 

「下宿先に挨拶があるんで、ここらでお暇させて頂くよ。斬、後悔はしないようにね」

 

そう言って、屋上を後にする。

俺が引っ掻き回しているせいで細かい所での変化はあるだろうが、斬はきっと来るだろうと、そう思った。

 

 

 





原作では、一コマだけ担任らしき人物がセリフ付きで登場します。
誰も知らないだろうからリストラ。

あなたはジャンプ作品『斬』を……

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