ヒシミラクルはわからない   作:じゅぺっと

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ロジカル✕パワー

「さあミラクルさん!!! プールに行きますわよ!!! さあ!!! さあ!!!」

「やだーーー! 離してカワカミちゃん!」

「今鍛えずいつ鍛えるんですの!!!」

「明日! 明日やるから!」

「そう言ってもう3日も経ちますわ!!!」

「大体なんでカワカミちゃんが私のプールトレーニングに付き合うのさ!」

「そちらのトレーナーさんがプールトレーニングに協力してくれたらキングさんのレジェンドピースを10枚くれると約束してくださいましたからですわ!!!」

「トレーナーさんめ、とんでもない約束しやがって!」

 

 トレセンのプール前でヒシミラクルは、姫にやりたい一般パワー系ウマ娘カワカミプリンセスに身体をホールドされながらなんとか抵抗を試みていた。

 しかしプール前でこれだけ騒いでいたら当然他の生徒も通りかかるし邪魔になってしまう。

 

「オイ、うるせェぞお前ら。さっさとどけ」

「シャカちゃん!」

「その呼び方ヤメロ」

 

 声をかけたのは計算とロジックを操る理論派ウマ娘、エアシャカール。何かのデータを取るのかプール付近だというのにパソコンを持っているのは相変わらずだ。

 

「ほうらミラクルさん!! 早く入らないから叱られてしまいましたわ!!」

「イヤ、お前のほうが邪魔なンだよ」

「わかった、入るけどいきなり100キロは無理だから5キロくらいにして!!」

「重さか距離か知らねェけどメチャクチャだな」

「何をおっしゃいますの!! 私の計算では本来300キロは目指せるところを!! かーなーり優しくしているんですのよ!!」

「無理だってば!!」

「……オイ、何をどう計算したンだ」

 

 計算、という言葉に釣られたのかシャカールの眉根が少し釣り上がった。実際重さにせよ距離にせよ、ウマ娘ならば300キロの負荷をかけるトレーニングは不可能ではないわけだがしかし。

 

「大体、トレーニングってのは継続してナンボだろォが。ここまで嫌がるヤツに無理やりやらせたところで論理的なトレーニングなんか出来やしねェのは明白だろ」

「その通り! シャカちゃんいいこと言った! 聞いた!? カワカミちゃん!!」

「な……!!!」

 

 カワカミプリンセスは、エアシャカールの反論に驚いたのかその場に硬直した。

 

「なんて素晴らしい計算ですわ〜〜〜!!! それがロジカルの力なんですの!?」

「イヤ今のは別に計算したわけじゃ」

「シャカールさんとも一緒にトレーニングすればより効率的に鍛えられそうですわ!! さあ一緒に鍛えましょう!!」

「なンでそうなるんだよ!?」

 

 なんと、カワカミプリンセスは片腕でヒシミラクルを、もう片腕でエアシャカールを抱えあげて歩きだしてしまった。ウマ娘二人の抵抗をものともしない。

 

「……まあ今のうちに運動しておけばファインちゃんとのラーメンも美味しく食べれていいんじゃないですかね」

 

 というより、ヒシミラクルは既に抵抗を諦めていた。ここから反論してもどうにもならないと悟ったのだ。

 

「オイ、勝手に力尽きてンじゃねェ!! あとラーメン食いに行く前提ヤメロ!! クソッ、離せオレまで脳筋になる!!」

「まあご冗談を!! わたくし姫としての振る舞いも学んでおりますのよ!! さあ、おプールしばきますわよ〜〜〜!!!」

 

 しかしここで、3人の前を破壊神・タニノギムレットが通りすがる。パワーだけでいえばトレセン最高峰の彼女を前に、一瞬シャカールは助けを求める目線を向けた……が。

 タニノギムレットは特に何を語ることもなくそのまま通り過ぎてしまった。

 

(シャカール……このトレセン《舞台》では足を止め言の葉を紡いだ時点で物語の役者になるしかないのだ……そのルール《真理》を見抜けなかったとは……やはりお前のロジック《論理》も未だ完成していないと結論付けざるを得ない……)

 

 

 

 

 




※この後ラーメンは殿下とシャカールとミラクルとカワカミの4人で美味しく頂きました。
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