ヒシミラクルはわからない   作:じゅぺっと

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映画ウマ娘プリティーダービー新時代のネタバレを含みます。


逆転ミラクル! 薬で縮んだポッケと黒ずくめの女(後編

前回のあらすじ。ポッケ、タキオン、カフェ、ダンツの4人が新時代の扉関連の撮影の帰りにファミレスに行った際、デザートに仕込まれた毒薬によってポッケの体が小学生サイズに縮んでしまった。

 

当然タキオンが疑われるが、ダンツの頼みで弁護を引き受けたヒシミラクルの指摘によって毒薬はポッケのパフェではなくタキオンのゼリーに入っていたことが発覚する。

 

しかしカフェはタキオンが犯人という姿勢を崩さない。いつもと違う雰囲気を感じつつも反論できないダンツとミラクルだが、そこに現れたポッケはカフェこそが犯人ではないかと問い詰める。

 

「驚愕ッ! では君は……マンハッタンカフェこそが犯人だと言いたいのか!?」

「この前公開されたオレ達の映画でもあった通り、タキオンの研究室はカフェの珈琲スペースでもある。お前なら、タキオンの薬をこっそり持ち出すくらいわけねぇよな? カフェ」

「まぁ……そこは否定できませんね」

 

 この場にポッケ本人はおらず、そのトレーナーが蝶ネクタイ型通信機からポッケの声が響く。その声にカフェは相変わらず四杯目の珈琲を飲みなから対応する。

 

「そんな……カフェちゃんが、タキオンちゃんに薬を盛ったってこと?」

(カフェちゃんが、真犯人……? たしかに今日のカフェちゃんが少し様子がおかしい。私の名前を間違えるしイジワルな言い方するし……けど)

 

 タキオンを弁護しなければいけないミラクル、ダンツにとって、それは好都合。だけど、なにか引っかかるものを感じた。

 

「マンハッタンカフェ、どうなのだ? まさか君がやったのか?」

「仮に。毒薬をタキオンさんに一服盛ろうとしたものの、ポッケさんが間違って飲んでしまったとして……それを誤魔化すためにタキオンさんに罪をなすりつける。そんなこと、マンハッタンカフェがすると思いますか……?」

 

 

 あまり堂々とした自分の善性の主張。しかしざわざわと、傍聴しているトレセンウマ娘……特にカフェと親しいもの達が次々口にする。

 

『カフェさんがそんなひでぇ事するわけねぇべ!』

『模範的ステイヤーの彼女に限ってそんなことはあり得ません!』

『とてもじゃないけど、タキオンがやったとしか思えないわ』

 

「静粛ッ! みなの気持ちはわかったが、静かにするようにッ!」

 

 理事長の一喝で声は収まったが、カフェへの信頼は厚い。それに比べてタキオンの疑われっぷりに心が折れそうになるミラクル。

 

(まぁ、私もカフェちゃんの仕業とは思えないけど。このままじゃタキオンちゃんが犯人になっちゃう……あっ、そうだ!)

 

 一応、カフェが犯人の可能性は生まれた。そして今は声だけとはいえ被害者のポッケがいる。

 

「理事長さん! 弁護側は、ポッケちゃんの証言を要求します! 事件が起きる前のこと、本人から直接聞けば新事実がわかるかもしれません!」

「承諾ッ! ジャングルポケットのトレーナー、代わりに証言台に立ってくれるか?」

「ナベさんは立って口パクしてるだけでいいぜ、オレに任せろ!」

「仕方ないのう……」

 

 証 言 開 始 〜新事実の扉〜

 

「改めてオレの名前はジャングルポケット。昨日は写真撮影の帰りに4人でファミレスに行った。

 

ドリンクを取りに行く途中、黒ずくめの女の怪しげな取引を目撃してな。

 

取引をみるのに気を取られてたオレはいつの間にか仕込まれた毒薬に気づかなかった。

 

そんでパフェを食べた時に気を失って、目が覚めたら……体が縮んでたわけだ」

 

 証言を聞いた体育館全体が静まり返る。呆気にとられている、と言い換えたほうがいいかもしれない。

 ミラクルも、あまりの内容に脂汗を流しながらそれでも聞くしかなかった。

 

「く、黒ずくめの女?」 

「ああ、はっきり見たぜ。全身真っ黒なウマ娘でな」

「ダンツちゃん、見覚えある?」

「そんなの、あのファミレスにいなかったと思うけど……」

 

 困惑するミラクルとダンツと対照的に、カフェは五杯目の珈琲を注ぎながら笑う。

 

「理事長さん……ポッケさんは小さくなったショックで記憶が混濁しているようです」

「たしかに、にわかには信じ難い話だが……」

「さっきも、私たちがずっと一緒に走る約束をしただとの言っていましたが……その件については菊花賞でお話したはずです。私は……『お友だち』に追いつきたいだけ。まぁ、ポッケさんの発言が雑なのは今に始まったことではありませんが……」

 

 あからさまなイヤミ。もちろんポッケは聞き逃さなかった。蝶ネクタイ型通信機から怒気のこもった声が響く。

 

「んだとカフェこらもっぺん言ってみろいや今すぐ表に出てレースで決着つけてやる体が小さくなっても速さは同じだだいたい黒ずくめの女と取引してたのはカフェだろうが都合が悪くてとぼけてんじゃねぇぞオイこっちみ」

 

 ブツッ……と音がなってポッケの音声が突然途絶えた。トレーナーが通信を切ったのだろう。向こうで怪物のようにぐにゃぐにゃしながら暴れるポッケの姿が目に浮かぶ。

 

「すまんのう、担当ウマ娘が取り乱して……話を続けてくだされ」

「では気を取り直して……弁護側、彼女の言う黒ずくめの女についてなにか心当たりはあるだろうか?」

「えっ!? えっと、えっーと……」

 

 しどろもどろになるミラクル。とはいえ、ありませんといえばせっかく引き出した情報が無駄になってしまう。頭を掻き、ひきつった半笑いになりながらそれでも答えを絞り出した。

 

「黒ずくめのウマ娘……しょ、勝負服を着たカフェちゃん……とか?」

 

 再び、体育館が静まり返る。ただし今度は、呆気にとられてではなく呆れていた。

 

「撮影時は勝負服を着ていましたが、帰りは当然制服です」

「ポッケちゃんでも、さすがに勝負服を着たカフェちゃんを見間違えないかな……」

「警告ッ! 弁護側はマジメに発言するようにッ!」

「はい……考え直します……」

 

 理事長の心象が悪くなってしまった。もう一度、一連の会話を振り返ってみる。

 

(……ポッケちゃんたちは、映画関連の撮影の帰りでファミレスに寄った。映画の内容は、ポッケちゃんも知ってる)

 

 タキオンとカフェの個人スペースは繋がっているのは映画でも示されていると言っていた。

 

(映画の中ではポッケちゃんがタキオンちゃんの残影をみながら走ったり……休止宣言したタキオンちゃんに詰め寄るシーンもあったっけ)

 

 誰が最強か決着つける。そう意気込むポッケに対しタキオンとカフェはそれぞれの走る答えを持っている。

 

(そうだ、カフェちゃんの『お友だち』も映画ではカフェちゃんのイメージから表現されてて……まさか!?)

 

 とんでもない答えが奇跡的にミラクルの脳裏に浮かぶ。しかし、もう答えはこれしかない。

 

「……わかりましたよ、黒ずくめの女の正体、そして事件の真犯人が!!」

「驚愕ッ! では弁護人、その黒ずくめの女の正体とは……!」

 

 ミラクルは気づけばカフェに対しビシッと指を突きつけていた。

 

「ポッケちゃんの見た黒ずくめの女の正体は……『お友だち』です!!」

「お友だち、って……さっきもカフェちゃんが言ってた、あの?」

「しかしあれは……いわゆる、『幽霊』のようなものではないかッ!!」

 

 ざわざわ……と体育館内がどよめく。カフェのお友達については彼女と親しいものは知っているが、その実在を見たものは誰もいないからだ。イマジナリーフレンドのたぐいと思っているものも多いだろう。

 

「毒薬はタキオンちゃんのゼリーに入っていました。カフェちゃんとそのお友達なら、毒薬を持ち出すことができた……そして、ポッケちゃんもダンツちゃんも言っていますが今のカフェちゃんは様子がおかしいです。いつもより意地悪で━━きゃん!?」

 

 突然、ミラクルの顔に黒い液体が覆いかぶさり、鼻腔を珈琲の香りが刺す。

 マンハッタンカフェが、手にしたカップごと珈琲をミラクルにぶち撒けたのだ。

 理事長が、驚いて目を丸くする。

 

「マ、マンハッタンカフェ!? なにをするのだ!」

「失礼……手が滑りました。しかしあまりに寝ぼけたことを言う弁護人には良い目覚ましになったのではありませんか?」

「そんな、カフェちゃんが珈琲を乱暴に扱うなんて……!」

 

 悪びれずすっとぼけるカフェの態度に、ダンツや傍聴しているウマ娘たちが驚く。ミラクルは顔にかかった珈琲をハンカチで拭きつつ話を再開する。

 

「と、とにかく……この通り、今のカフェちゃんはいつもと違います。彼女は、『お友だち』に体を乗っ取られてしまったんです!」

「……異議を唱えます。あまりにもバカバカしい。だいたい、ポッケさんに私のお友達が見えるわけがありません。ダンツさんにもタキオンさんにも見えたことはないのに」

 

 たしかに今まで、カフェのいうお友達が他の誰かに見えたことはないしポッケには霊感の類はない。だがそれでも、ポッケには黒ずくめの女として姿が見えていたはずだ。

 

「どうだろうか弁護人、ジャングルポケットに『お友だち』が見えていた理由……説明できるだろうか?」

「もちろん、できますよ(たぶんね)」

 

 根拠と呼べるかどうか分からないが、ここまで言ったのなら差し切るしかない。

 

「……ポッケちゃんは、菊花賞での走りでカフェちゃんに何かを感じたそうですね。あの映画、新時代の扉でカフェちゃんのお友達が映像表現されたことで……菊花賞をカフェちゃんと走ったポッケちゃんにだけは、『お友だち』があの真っ黒な姿で見えるようになったのです!」

「そんな、バカなことが……!!」

 

 カフェが、コーヒーカップを机に叩きつける。ウマ娘パワーで叩きつけられた机にヒビが入った。もはやカフェとは別物の、荒々しい気性が露骨に現れている。

 

「わかるような、わからないような……まず、幽霊に薬やモノを触ることは可能なのか?」

「カフェちゃんの言う幽霊は、ポルターガイストとかタキオンちゃんの研究資料を燃やしたりとか色々触れるみたいだけど……」

 

 理事長もダンツも、『お友だち』が怪しいという理屈に納得できていないようだ。

 

「騙されては、いけません……。そもそも、ミラコーがいくら私のせいにしようとしても、タキオンさんが犯人でない証拠にはなっていません」

 

 六杯目の珈琲を注ぎ直しながらカフェが言う。そして、また名前を間違えられるミラクル。

 

「お友達……幽霊が犯人だなとと考えるより、素直にタキオンさんが薬を使いポッケさんの体を小さくしたと考えるほうがよほど自然ではありませんか?」

「たしかに……黒ずくめの女を見たというのも、ジャングルポケットの証言以外に根拠はないしな」

「でも、今日のカフェちゃんの態度はアキラカに変です!」

「自然ッ! 友人がこのような事件を起こし、あまつさえ自分を犯人扱いされれば少しばかり取り乱してもなにもおかしくはないッ!」

「そ、そんなぁ……!」

 

 やはり、実在すら怪しい『お友達』の仕業と証明するのは不可能なのか。ミラクルが頭を抱える。

 

「結論ッ! やはり、弁護側の主張はタキオンが犯人でない根拠とは言い難いッ! それでは、判決を言い渡す!」

「うう……ごめんね、ダンツちゃん……」

「ミラクル先輩……私こそ、お願いしたのに力になれなくてすみません……私にも、カフェちゃんのお友達が見えていれば……」

 

 お互いに謝るミラクルとダンツ。やはりタキオンの薬によって体が縮んだ以上、犯人は彼女でしかあり得ないのか。

 諦めかけたとき、カフェは血に飢えた猟犬のように鋭い笑みを浮かべて言った。

 

「まぁ、何も見えないあなたがたにしては頑張ったほうでしょう……お友だち、なんているかどうかもわからないものを犯人呼ばわりした度胸だけは褒めてあげますよ」

「いるかどうかも、わからない……?」

 

 その通りだ。反論の余地もない。しかし、その勝利宣言は……してはいけないものだった。

 

「判決ッ!! アグネスタキオンは……」

「待った!! 今のカフェちゃん……いえ、『お友だち』の言葉に異議を申し立てます!!」

「な、なんだろうか? 何もおかしくない言葉だったと思うが……」

「あなたが本当にカフェちゃんなら……『お友だち』がいるかどうかもわからないなんて絶対に言えません!」

 

 あの映画を見て、そしてミラクル自身トゥインクル・シリーズでたくさんのウマ娘たちと走ってきたからこそ、確信を持って言える。

 

「私たちウマ娘は、自分の走る理由に嘘はつけないから! カフェちゃんの走る理由である、『お友だち』を否定するなんて……カフェちゃんにできるはずがありません!!」

「Daim! nt………ワタシ、ガ……!!」

 

 聞き取れない不思議な言葉とともに、カフェの体から一瞬だが何か真っ黒いものが飛び出かけたような気がした。ダンツにも見えたようで、2人で顔を見合わせる。

 

『カ、カフェさんがお友だちさんを否定するなんておかしいべ!』

『あの親切なカフェさんが珈琲を投げつけたときからおかしいと思いましたとも!』

『彼女だけの、先頭に見えている景色……そこにウソなんか、つけないと思うわ』

 

 カフェと親しいウマ娘たちも、今のカフェに疑念を持ち始めたようだ。

 理事長も異常を感じとってはいるのだろう。判断に困っている。

 

「し、しかしだな。仮に今のカフェが幽霊にのっとられているとして、タキオンが犯人でない根拠にはならないッ!」

「……いいえ、ありますよ。タキオンちゃんが犯人でないと証明する方法! あの人なら、タキオンちゃんの無実を証明してくれます!」

「驚嘆ッ! ここに来てそんな人物がいるとは……誰なのだ、それは!」

 

 その答えも、既にこれまでの議論の中で示されている。タキオンの無実を証明してくれるウマ娘の名は……

 

「カフェちゃん本人です! さっき『お友だち』も言っていましたが、カフェちゃんなら人に罪をなすりつけるような事はしません。お友だちが体を返せば、真実を話してくれるはずです!」

「あくまでも、ワタシがPtendreだと言うつもりですか……噛みますよ……!!」

 

 ミラクルを睨みつけるカフェの目は、いつもの穏やかさがまるで感じられない。今にも飛びかかってきそうな凄みに怯みそうになるが、ここまで来たら奇跡の大番狂わせを起こすしかない。

 

「あなたが本当にカフェちゃんなら、当然言えますよね? あなたを信じてくれるウマ娘の名前を……フルネームで!」

 

 思えば、今日はカフェから一度も正しい名前を呼ばれていない。それも、普段は話せない『お友だち』に乗っ取られているからだと考えれば説明がつく。

 

「クッ……ネ、ネームcaiiくらいしてやろうではありませんか!」

「じゃあまず、カフェちゃんと同室のウマ娘の名前は?」

 

 東北訛りの、シチーガールを目指すウマ娘。

 

「ユ、ユキノ……シチー!!」

「残念、ユキノビジンちゃんです! さぁ次、この前バレンタインで一緒に和菓子イベントをしたスプリンターの名前は?」

 

 ご唱和ください、学級委員長の名を!という声が聞こえる。

 

「バ、バクシン……オウ!」

「いいえ、サクラバクシンオーです! それじゃあ最後に……天皇賞・秋を制して栄光の日曜日を勝ち取ったウマ娘といえば!?」

「サイレンススズカ!! 沈黙の日曜日を超えたウマ娘……今度こそ間違いないでしょう!」

 

 断言し、勝ち誇った顔をする。しかし……周りのカフェを見る目はどんどん疑いの眼になっていく。

 

「みんな、聞きましたか! ユキノちゃんやバクシンオーちゃんの名前は言えないのに、スズカちゃんだけ覚えている……今喋っているのは、アキラカにカフェちゃんとは別人です!!」

「カ、カフェちゃんは……本物のカフェちゃんをどうしたんですか! 答えてください!」

 

 ダンツがカフェを乗っ取る『お友だち』に涙目で訴える。もはや誰も、ここで話しているのがカフェ本人だと思っていない。

 

「………………………………………………ココマデ、カ」

 

 長い長い沈黙の後、観念したようにカフェの姿をした『お友だち』が呟く。その体から、どんどん黒いモヤのようなものが抜けていく。

 

「この子は……モトモト、ワタシしか見ていなかった。ソレナノニ、最近はTEATEHRのためにずっと騒がしいヤツラと一緒にいて……ワタシもこの子も……限界、だった。特にあのTachyonのせいで」

「まさか……それでタキオンちゃんに仕返しを?」 

 

 『お友だち』が自分でタキオンの研究室から毒薬を持ち出し、カフェの体を乗っ取った後こっそりと本人に飲ませようとしたが、ポッケが口にしてしまったため、その罪を押し付けることを企んだ。そう自供した。

 誤算だったのは、その姿が新時代の扉の映画を経てポッケには見えるようになっていたこと。

 

「カフェちゃん本人は……反対しなかったの?」

「あのRESTAURANTで意識を失ってまだ眠ってる……あの子は、同意してない。全ては……ワタシの、独断だ」

「衝撃ッ! まさか、幽霊が犯人だったとは!」

 

 理事長も、犯人がタキオンでもカフェでもないと納得したようだった。

 『お友だち』はカフェに意識を返す前、最後にこう口にした。

 

「あの子は、レースでワタシしか見ていなかった……周りにおかしいと思われても、ワタシが見えていることを否定しなかった。

 それが嬉しくもあり、不安でもあったんだが……ちゃんと、タクサンノ『友達』がいるみたいだ」

 

 その言葉には、ミラクルの隣りにいるダンツが頷いた。

 

「うん……タキオンちゃんもポッケちゃんも、私だって、カフェちゃんのことを大切な友達って思ってるよ」

「………………………………アリガトウ」

 

 黒いモヤは消え去り、カフェの体が傾く。それを支えたのは……まだ体が小さくなったままのポッケだった。

 

「ポッケちゃん!?」

「なんだよ、オレの体を小さくしたこと直接文句言いに来たのに、消えちまいやがった……ま、今回だけは許してやるか。最近は特にカフェを振り回しすぎたのもホントだしな」

 

 ともあれ、これで犯人ははっきりした。理事長も、扇子のトントンと叩きながら晴れやかな顔をしている。

 

「まさか、こんな結末になるとは……ヒシミラクル、どうやら君はここでも奇跡の大番狂わせを起こしたようだな!」

「そうですね、我ながらホントビックリ……」

「歓喜ッ! 私も生徒を出走妨害で処罰する必要がなくなったのは嬉しい! では今度こそ、アグネスタキオンに判決をいい渡すッ!」

 

 無 罪 !! と書かれた扇子を堂々と広げる理事長。傍聴していたウマ娘たちからも、安堵の声が広がった。

 

「それじゃあタキオンの疑いも晴れたことだし、さっさと解毒薬を作ってもらわねーとな!走る速さは変わらねーが、やっぱ不便だしよ」

「タキオンちゃん、無実の罪で疑われて落ち込んでないかなぁ……」

 

 小学一年生サイズに縮んだポッケの姿はいつも以上に幼い顔をしていてとても可愛らしい。スーパークリークあたりに見つかったらとんでもないことになるだろう。

 

「カ〜〜〜フェ〜〜〜!! よくもやってくれたねぇ!?」

「うわっタキオンちゃん大丈夫? ふらふらだよ?」

 

 そのタキオンは取り調べから解放されたのか、ゆっくりと体育館内に入ってくる。

 裁判の内容は聞かされていないのか、自分に疑いをかけたカフェに文句があるようだ。

 

「この詫びは……今後一ヶ月は私の実験に全面協力して貰うことで払ってもらうよ! 体が小さくなる薬ともとに戻る薬の臨床実験はもちろん、それからペーのパーで新実験が……」

 

 どうやら、自分が無罪になる前提でカフェに実験をふっかけることを考えていたらしくベラベラとまくしたてるタキオン。

 

「なぁ、やっぱコイツ有罪になったほうがトレセンのためだったんじゃねーか?」

「相変わらずの自分ファーストだね〜」

「あはは……でもそのほうがタキオンちゃんらしいよ。それと……ありがとうございます、ミラクル先輩」

 

 一息ついたところで、ダンツがミラクルに向き直る。

 

「ミラクル先輩のおかげで、タキオンちゃんの罪も晴れて、カフェちゃんももとに戻ってくれた……本当に、ミラクル先輩がいてくれてよかったです」

「そんな、今回はたまたま奇跡的になんとかなっただけで」

「オレは通信が切れてからも会話は聞いてたが……ありゃただのマグレじゃねえ、本気でダンツを信じてたから起こせた奇跡だ。オレからもサンキューな。今度礼させてくれよ」

「そうかな……でも、ダンツちゃんのことは信じてたよ」

 

 事件の被害者であるポッケからもお礼を言われ、なんだか照れくさくなるミラクル。

 

「では疑いを晴らしてくれたミラクルくんに私も礼を尽くそう! そうだ、体が小さくなる薬はまだあるから残りはプレゼントしようじゃあないか!」

「いらないよ、そんなの!?」

「ほう? この薬を飲めばプールトレーニングどころではなくなる。なんなら君のトレーナーに使っても良い。君にとって、悪い提案ではないと思うが?」

「…………………………ゴクッ」

「ミラクル先輩、そこは否定してください」

「い、異議あり! とりあえず異議を申し立てます!」

 

 その後、体が小さくなる薬をタキオンからもらったかはどうかは、秘密。

 そして、この事件をきっかけにヒシミラクルがまた犯人の弁護役を頼まれることになるのは……また、別の話。

 

 




逆転裁判風パロディをまたやるかどうか未定ですがネタの考えはあります。
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