ヒシミラクルはわからない   作:じゅぺっと

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後輩の名は……

「え〜〜〜これ絶対くっついてるでしょ!? お願いメロンになって〜〜〜!」

「あ…ヒシミラクル先輩」

「あっ、おはようシュヴァちゃん」

 

 トレセン学園の休日。ヒシミラクルは朝から談話室でスマホゲームをしていた。そこへシュヴァルグランが通りかかり、この前の件で少し親交ができた二人は話し始める。

 

「それ……あれですよね、最近話題のスイカゲームってやつ…」

「そうそう! シュヴァちゃんもやる?」

「えっ」

 

 ヒシミラクルが屈託のない笑顔でスマホを手渡す。

 

(ヒシミラクル先輩、優しいな…この前も助けてくれたし、気さくだし…貴重な休日を僕みたいな何も目をかけるところのない後輩の相手をしてくれるなんて……)

 

 シュヴァルグランも会釈をして受け取ろうとした。しかしここで思考に電流走る。

 

(待てよ……本当は一人で集中して遊びたかったのに気を遣わせてしまったんじゃ…!? もしかしたら誰かと併走の待ち合わせをしてる時間つぶしだった可能性も…そうだよ、G1レースを3勝もしてる先輩が談話室でただ無目的にのんびりゲームしてるはずないじゃないか……!!)

 

 ヒシミラクルが首を傾げている間に、どんどん良くない方に思考がエスカレートしていくシュヴァルグラン。

 

(ああああ失敗した、挨拶だけしてさっさと消えればよかった、先輩が明るく話しかけてくれたからってちょっとうれしくなっちゃった僕のバカ……!)

 

「そ、それじゃ一回だけやったら僕帰ります……」

「えっ、もしかして忙しかった? ごめんね……」

「いや、そうじゃないんです! もう今日は釣りくらいしかやることなくて暇で!!」

「あれっ、じゃあなんで?」 

 

 心配そうに見つめてくるヒシミラクルに失礼にならないように、シュヴァルグランは必死に頭を回す。回した結果良くない方向に勘違いしていることには気づかずに。

 

「その、無理して時間を使って貰わなくても大丈夫ですわかってますから……」

「うぇ!?」

 

 その時、ヒシミラクルの思考に電流走る。

 

(わかってるってもしかして……バレちゃった……?

 

シュヴァちゃんのフルネームを微妙に思い出せていないことに……!!)

 

 なにせ今まで特に縁のなかった後輩である。妹さんがシュヴァち、キタサンブラックがシュヴァちゃんと呼んでいたのは聞いたのだが後半部分がわからない。

 

(シュヴァルフラン…シュヴァチグランド……ダメだ本格的にわかんなくなってきちゃった、いやアシュヴァッターマンだっけ?

 

 自信家だらけのトレセン学園の中でちょっと自信無さげで親近感湧いたからって名前もわからないのに気安くゲームなんか誘っちゃダメだった私のバカ〜〜〜)

 

「やっぱりヒシミラクル先輩……僕の他に、いるんですよね……?」

 

 シュヴァルグランは自分の他に待ち合わせた人がいることを確認したのだが、名前を思い出せていないヒシミラクルにはこう聞こえた。

 

(バレてる……! 三姉妹のフルネームどころかデュラメンテさんの名前も大分怪しいのが……!

ああああ……!)

 

 正しくはドゥラメンテ。ともあれ後輩たちの名前をちゃんと覚えてない罪悪感と恥ずかしさでどんどん真っ青になっていくヒシミラクル。

 

「ごめん……私は……先輩失格です……」

「えええそんな……僕は悲しませるつりじゃ……ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

 余計なことを言ってしまったと釣られて申し訳なくなるシュヴァルグランだった。

 

 

「よーし今日もはりきってセイヤソイヤッッワッショー……って二人ともどうしたんですか!?」

 

 

 通りかかったお助けキタちゃんに話を聞いてもらって、改めて3人でゲームをすることになったのはまた別のお話でした。

 

 

 

 

 

 




筆者は競馬知識がなく横文字が苦手なので新しいウマ娘が出るたびに名前を覚えるのに苦労します。
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