レジェンドレース。それは肉体の全盛を越えてなお走り続ける伝説のウマ娘と走ることのできる特別なレース。
「相手が強いほど燃えるんだ〜。もちろん、勝つのはボクだけど!」
「ト、トウカイテイオーさん、対決ありがとうございました〜しんどい〜」
ヒシミラクルはトウカイテイオーとのレジェンドレースを終え、息も絶え絶えになっていた。
トウカイテイオーは消耗こそあるもののいつもの余裕綽々の態度でヒシミラクルにあるものを手渡す。
「うんうん、くるしゅうない! それじゃあこれ、少ないけどいつものね!」
「あっ、はい! また挑戦することがあったらよろしくお願いしま〜す」
レースを終え、もらったあるもの……トウカイテイオーの顔が描かれた星型のピースを手にヒシミラクルは思った。
(……そういえばなんだろう、これ。トレーナーさんに渡すと喜んで受け取ってくれるから気にしたことなかったけど……
コイン? チップ? みんなどういう気持ちで自分の顔入りピース配ってるんだろ。でもお金とかよく偉い人の顔が書いてあるし、トレーナーさんだけが使える秘密のお金なのかな。
どうにかして私が使えたりしないかな〜走ってるのは私だもん、私にだってメリットがあったっていいはずじゃない?)
そんなことをつらつら考えながら廊下を歩くヒシミラクル。本来トレセンウマ娘なら伝説のウマ娘とレースできること自体が凄まじいメリットのはずなのだが。
「あっー! それってもしかして、テイオーさんのピースじゃないですか?」
「あっキタちゃん。そうだよ〜」
するとたまたまキタサンブラック、サトノダイヤモンドとすれ違った。テイオーピースに目を輝かせるキタサンブラック。
「……一枚いる?」
「いいんですか!? ありがとうございます、大事にします!!」
彼女のトウカイテイオー好きはヒシミラクルも重々承知なので、ごく普通の善意で渡してあげた。
すると、サトノダイヤモンドも身を乗り出し聞いてくる。
「もっ、もしかしてマックイーンさん! マックイーンさんのピースもお持ちではありませんか、ヒシミラクル先輩!?」
「うーん、今は持ってないんだけど……でもこの前10枚くらいもらってトレーナーさんに渡したっけ」
「そうですか……」
しょんぼりするサトノダイヤモンドを見て、なんとも言えない罪悪感を覚えるヒシミラクル。しかし、ふと閃いた。
(マックイーンさんのピースだって私が貰ったんだし、ちょっとくらい拝借する権利あるよね?)
「というわけでトレーナー室から持ってきたよ」
「わあマックイーンさんが1人…2人…10人も!!」
「うう……だけどテイオーさんは1人でも絶対だもん!」
「そ、そんなことないよ! いくらテイオーさんでも10人のマックイーンさんには手も足も出ないはず!!」
「あーあーちょっとケンカしないで〜」
普段は頼もしすぎる後輩たちだけどやっぱりまだまだ子供っぽいところもあるんだな〜と微笑ましく思いつつもヒートアップしないよう先輩として考える。
その時、ふと閃いた! このアイデアはケンカの仲裁に使えるかもしれない!!
「……な、なんだかお昼は終わったのに食堂が賑やかだね、クラウンさん」
「如果、トラブルじゃないと良いのだけど……ねえ。これ、ダイヤの声じゃない?」
「ほんとだ、キタさんと……ヒシミラクル先輩の声もする」
その後、食堂でシュヴァルグランとサトノクラウンが見たものは。
「……ユニヴァースちゃんを召喚してスキル発動!」
「なんの! 究極テイオーさんステップで無効です!!」
「だけどその隙にマックイーンさんの紅茶で私のコンボは完成します!」
((なにやってるんだろう、三人揃って……))
ウマ娘TCGデュエレーサー……をピースで代用したごっこ遊びに3人揃って熱中する姿に、二人で肩を竦め。
後日ヒシミラクルは勝手にウマ娘ピースを持ち出した罰としてみっちりプールトレーニングをする羽目になったのだった。