俺はリクのお兄ちゃんだぞ!   作:傘葉

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怪獣墓場へ

「スペシウム光線!」

 

 セーレの発射した光線は、青い軌道を描きながら真っ直ぐに小惑星に迫る。本日十回目の挑戦、ようやくの成功だ。しかし、

 

 

「くっ、操作が……!」

 

 

 命中する寸前で光子エネルギーが霧散、無数の青い粒子が辺り一面に広がった。

 

「また駄目だ…」

 

 あの星での一件以来、光線技の特訓に励むセーレであったが、中々芽が出ずにいた。

 成功したのはスライの指導通りに行った最初の一回のみ、それ以降はどれだけ数をこなしても、どれだけ工夫を凝らそうとも、まともに成功出来た試しは無かった。

 

「うーん、なんで出来ないんだろうな〜」

 

 先ほどまで目標にしていた小惑星に腰掛け、セーレは自分の両腕を見つめる。ウルトラマン、ジャック、ダイナ………スライに見せて貰った資料に映る戦士たちの動きを何度も研究した。しかし彼らの真似をしたところで、セーレの問題点は改善されることは無かった。

 

「やっぱり俺とウルトラ戦士では、体の構造が違うからなのか?」

 

 頭に浮かぶのは一つの考え。

 

 自分の体に混ざっているベリアル因子についてだ。これはレイブラッド星人由来の遺伝子であり、光の戦士であるウルトラマンの因子とは非常に相性が悪い。しかし、こればかりはどうしようもない。

 

「俺も光の戦士に生まれていたら………」

 

 心の内から湧き出る激しいナニカ。

 

 自分とはまったく違う戦士たち。ここ数日、スライの持つ情報の中にいる彼らの在り方を見れば見るほど、そのナニカは積もっていくばかりだった。

 セーレはそのナニカの正体を知らない。だが、決して不快ではない、むしろ一種の安心感のような感情をそのナニカに抱いていた。

 

「ふむ……少し考え方を変えましょうか」

「スライさん?」

「セーレ様はベリアル陛下のデスシウム光線を参考にこれまで経験を積んでこられました。それが体に染み付いた結果、逆に足を引っ張っているのではないかと」

「足を引っ張っる?」

「イメージの先行、とでも言いましょうか。セーレ様の思考と体が一致せず、体に余分な負担をかけているのではないかと、私は考えます」

 

 これまでセーレの周りには、ベリアルの他に戦闘の参考にする人物がいなかった。ベリアル軍にウルトラの力を持つ者がいないのは、当たり前といえば当たり前だという事を加味しても、彼は一人で鍛えていた時間が長過ぎたのだ。

 

 スライがセーレの指導者になったのも数年ほど前のこと。彼の指導を持ってしても、長年の悪癖を治すのには骨が折れていた。

 

「そうですね……せっかくこの宙域にまで来たのです。どうせならあそこで続きをいたしましょう」

「この辺りに何かあるの?」

「ええ、あらゆる死者の魂が行き着く次元的特異点、怪獣墓場です」

 

 

 

♦︎

 

 

 

 怪獣墓場、そこは多次元から死者の魂が集まる吹き溜まり。あらゆる場所、あらゆる時間に繋がっているため、通常の物理法則が成り立たない、一種の特異点となっていたのだ。

 

 だが、それ故の利点も存在する。多次元から流れ出てくる無数のエネルギー、それを利用することでの一時的な能力強化が見込めるのだ。そしてそれを目的として、この地を訪れる者も一定数存在する。

 

 そして今回、セーレとスライがここを訪れたのもそれが目的だった。

 

「この地を死者の眠る場所として、聖地と崇める者もいます。やり過ぎにはご注意を」

「それは分かったけどさ……なんでスライさんは人間サイズになってるの?」

「少し、古い友人を訪ねようかと思いまして」

「………」

 

 言葉に詰まる。

スライから以前聞いた事があった。かつてベリアルの部下として、共に戦った四人の仲間がいた事を。皆個性豊かで、衝突することなど数え切れないほどあったが、それでも背中を預ける事が出来る戦友たちがいたことを。

 

 そしてセーレは感じていた。彼らの話をするときの、スライの声に混ざる悲しみを。

 

「貴方が落ち込む必要はありませんセーラ様。すぐに戻りますので、励んでいてください」

「うん……気をつけて」

 

 セーレを一瞥したスライは、怪獣墓場の中心へと一気に加速、あっという間にその姿は小さくなった。

 

「……しんみりしてても仕方ないよな」

 

 スライの姿が見えなくなると、セーレは思考を切り替える。

自分は彼の戦友について何も知らない。そんな分際で彼らのことを思うのも、何か違う気がしたからだ。

 

 

 

 怪獣墓場の入り口から少し離れた宙域には、他の次元から流れ着いた無数のデブリが漂っている。ここは怪獣墓場の中でも中心部に次いで重力が安定しており、この地を訪れる者の中では聖地の一つになっていた。

 

「にしてもすごいな。他次元の力ってのは」

 

 怪獣墓場に入ったときから、今まで体験したことのない高揚感を感じていた。それにエネルギーの供給が安定している影響か、心なしか体が軽くなっている。

 

「んじゃまあ、いきますか!」

 

 

 イメージするのは先ほどまでの光の戦士たち───ではない。

 

 

「デスシウム光線!」

 

 

 セーレは怪獣墓場に来る前にスライに言われた事を思い出す。

 

 曰く今の自分には、変な癖がついてしまっているらしい。しかしその癖は、闇の力を効率よく使う為にベリアルの編み出したやり方を、知らないうちに真似ていた結果であると。

 

 そして結果は………

 

「よし!」

 

成功だ。

 

 命中した小惑星が、黒いエネルギー波によって粉々に粉砕される。スペシウム光線を打つ時の鍛錬の影響もあり、照準も良好。一寸の狂いもなく目標を捉えた。

 

「光線の纏まりも上がってる。これなら………!」

 

 自身の成長を確認出来たセーレの胸の内は、喜びで溢れかえる。しかし、まだまだ一歩前進したに過ぎない。もっと派手に喜びたいところだが、まだまだ出来ない事は両手で数え切れないほどある。

 

 早速もう一度光線を放とうと、別の小惑星を捉えたとき、セーレの後ろから声が聞こえてきた。

 

「見つけたぞ!」

「っ!……誰だ!」

 

 セーレが振り向くと、先ほど破壊したデブリの破片の上に立つ4つの影が見えた。

 

 極悪宇宙人テンペラ星人、冷凍星人グローザ星系人、策謀宇宙人デスレ星雲人、そして暴君怪獣タイラント。どれも、かつて宇宙で悪名を轟かせた強敵たちだ。

 

「お前か!あの御方のモノマネしてるっていうパチモンは!」

「パッ……パチモン⁉︎」

「我々の主たるあの御方を愚弄するとは言語道断!その首、ここで討ち取らせてもらう!」

「■◾️■◾️!」

「ギャアアア!」

「待ってくれ、何の話だ!」

 

 全員が。事前に示し合わせたかのように息のピッタリと合った動きで、セーレに指を向けた。それに対するセーレは、何か誤解をしているのではないかと、それを解こうと対話を望む意思を見せる。

 

「あなた達は何かを勘違いしている!俺は何も───」

「いろんな奴から聞いたぜぇ?だからこうして、わざわざ地獄から蘇ったんだ」

「ネタは上がってるんだ、神妙にお縄につけ!」

 

 しかし、彼らは聞く耳を持たないらしい。その証拠にデスレ星雲人とタイラントは、既に戦闘体勢に入っている。

 

 彼らは激しい興奮状態になっている。まともに話を取り合うのは不可能だろう。それに数的有利は言わずもがなあちらが上、まともな戦闘になるかどうかも怪しい限りだ。

 スライの帰還を待つというのも一つの手だが、望みは薄い。これも無しだ。

 

 ならば、セーレの取れる手はただ一つ、

 

「デュア!」

 

「なっ!あの野郎!」

「逃すか!」

 

 逃亡だ。

 

 両腕を前方へ真っ直ぐに伸ばし、全速力で距離を取る。包囲されればあっという間に袋叩きだ。

 

一刻も早く、一分一秒でも速くこの場を離れるために、だんだんと速度を上げていく。

 

 しかしテンペラ星人達も歴戦の猛者、それを簡単に見逃すほど甘くはない。

 

「くっ!」

 

 無数の熱線や冷気、光弾を嵐のように放ってくる。かろうじてそれらを躱しているセーレだが、スピードは少しずつ落ちてきている。

 

(どうする………反撃すべきか?)

 

 セーラの中で迷いが生じる。

おそらくこのまま逃げ続けても、いつかは追いつかれる。ならばその前に、ここで一度反転、牽制をしてもう一度逃げるという手を考えついた。しかし、もしタイミングを間違えれば、一気に集中砲火で落とされる。

どうするべきか………、その迷いが命取りになるとも知らずに。

 

「もらったぁ!」

「うっ……!」

 

 突如背中に、黒い影が迫った。

完全に死角になっていた角度からの攻撃に、無防備な部位が狙われたのだ。セーレはそのまま、黒い影と共に落下していき近くにあったデブリ帯に突っ込んだ。

 

「ギョホホホ!思いのほかあっけなかったな!」

  

 見上げた先にいるのは、地獄星人の異名を持つヒッポリト星人。どうやら奴らの仲間らしい。

 

 しかし先ほどの攻撃でセーレを仕留めたと思ったのか、高笑いをして油断している。

 

「セイッ!」

「うぉっと!」

 

 彼の腹部へ蹴りを入れると、すぐさま地面を転がり回避。距離を取って光輪を放つ。

 

「デスシウムスラッシュ!」

 

 黒い歯車のような形のエネルギー光輪を発射、しかしそれは、先ほどから追いかけてきていたテンペラ星人達によって撃ち落とされた。

 

「見た目だけでなく技の名前でパクっているとは……許せん!」

「そうだ!俺たち五人が、あの御方の分までお前を叩きのめしてやる!」

「お前達は、一体……!」

 

「そこまで言うなら、冥土の土産に教えてやろう……いくぞお前たち!」

「「おう!」」

「■◾️■◾️!」

「ギャアアア!」

 

 

 

「ヒッポリト星人 地獄のジャタール!」

 

「テンペラ星人 極悪のヴィラニアス!」

 

「グローザ星系人 氷結のグロッケン!」

 

◼️◼️◼️◼️ ◼️◼️◼️◼️!(デスレ星雲人 炎上のデスローグ!)

 

ギャアァァァ!(暴君怪獣タイラント!)

 

 

 

『我ら、ダークネス────
◼️◼️◼️◼️!」

 

 

 

「おいデスローグ!なぜ合わせない!」

「◼️◼️◼️◼️!」

「………何を言ってるかさっぱりわからん………グロッケン!」

「えーなになに?『そもそもなぜお前が仕切っている。まだリーダーは決まってないはずだ』だって?」

「おお、確かにそうだ。ジャタール、なぜお前が仕切っている!私たちはお前の部下になった覚えはないぞ!」

「何だと!奴が居ない今、他に誰が指揮を取るというのだ!」

「なら私でもいいだろ!」

「そうだそうだ!」

「何を!」

「◼️◼️◼️◼️!」

「ギャアァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのー帰っても良いですか?」

 

「「「駄目だ!」」」




あいつら、一体どこのダー◯クネスファ◯ブなんだ⁉︎


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