俺はリクのお兄ちゃんだぞ!   作:傘葉

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ジードのプラモ発表で舞い上がっておりました


次元の先へ

「シェア!」

 

 ダークロプスゼロスラッガーの猛攻を搔い潜り、胸のカラータイマーを模したディメンジョンコアを殴りつけた。一歩後退るダークロプスゼロだったが、続けて放った一撃は軽々とその鉄腕で挟み込まれる。そこで体を半回転、強引に拘束を解くと、セーレのその右足とダークロプスゼロのそれとがぶつかり合った。

 

 衝突によりスパークが発生。重低音を響かせながら弾けると、セーレとダークロプスゼロを吹き飛ばした。

 

 地を削りながら着地した両者だが、互いに目立ったダメージはない。その場で足を踏み抜き、踏みとどまると相手に向かって構えを取る。

 

「レッキングバレット!」

 

 セーレが放つは黒き無数の弾丸。掌を握りしめた甲から赤黒いエネルギーが生まれていく。複雑な軌道を描きながら踊るように宙を走る弾丸は、吸い込まれるようにダークロプスゼロへと殺到する。

 

 対するダークロプスゼロは腕をL字型に組むと、宙を駆ける無数のエネルギーの塊へと意識を向けた次の瞬間、闇が一帯を飲み込んだ。次々と墜ちていくレッキングバレット、それを行った怪しげな光の根元は、ダークロプスゼロの右腕。

 

 ダークロプスゼロショット。元になった戦士と同じ系統の秘技は、その身に迫る驚異をことごとく破砕した。

 

 全てのレッキングバレットを打ち落としたダークロプスゼロは、それを放った主へと視線を向けた。だが、そこにはもう、人影はなかった。

 

「トォラァ!」

「────!」

 

 それと取って代わるように頭上から落ちてきた黒い影、セーレだ。レッキングバレットを囮にしその隙に上空に

逃走、距離を取っての蹴りを放った。

 上空より向かってきた一撃に、ダークロプスゼロの反応が遅れる。頭部パーツに深く刺さった一撃により大きく後ろに吹き飛んだ。

 

 宙を舞い地面で何度もバウンドしながら土煙を発生させる。その隙を見逃さず距離を詰めるセーレは、瓦礫の中でよろよろと立ち上がっているダークロプスゼロの姿を捉えた。

 

 セーレは腕に赤黒いエネルギーを溜めると、大きく腕を上げ攻撃の構えを取る。だが横から妨害が入った。それは先ほど倒したポーンズの内の二体。周りに他のポーンズの姿は見えないが、おそらく早期に復帰した者達が先行したのだろう。二体はエネルギーを重ねバリアーを貼るとセーレの一撃を防いだ。

 

「こいつら!」

 

 驚いたのも束の間、左右から挟まれ腕を掴まれた。一体ずつ一本の腕を拘束しており、そう簡単に腕を動かせない。エネルギーを溜めて無理矢理拘束を解こうとするも、外部からの圧力でエネルギーの循環が思うように行われていなかった。

 

 思わぬ伏兵に横やりを入れられたが、こんなところで足止めを食らっている暇はない。ポーンズ達の優先度はダークロプスゼロより何段も下だ。セーレの頭の中には、ダークロプスゼロに搭載されたある装置に関する危惧があった。万が一あれを使われれば────

 

「不味い………!」

 

 しかしそんな願いは叶うどころか、最悪の方向へと向かっていった。

 

 完全に体勢を立て直したダークロプスゼロがセーレを見つめる。一瞬、そのバイザー越しのモノアイを捉えたセーレは、感情のないダークロプスゼロから何かどす黒い何かが放たれているのを感じ取った。

 

 空中に飛び上がったダークロプスゼロは腕を左右に大きく開いた。するとそれと呼応するように、胸部に設置されたアーマーが左右に展開する。内部回路を露呈させながら、胸の奥に搭載された時空移動装置、ディメンジョンコアを展開、胸部アーマーを再び固定することで発射待機状態に入った。

 

 数秒のチャージ時間が訪れる、だが逃げる隙など与えられない。

刹那の静寂、かくしてそれは放たれた。

 

「これ、は………!」

 

 ディメンジョンストーム、それは文字通りの嵐。軽々とセーレ達を飲み込んだ竜巻は、暴れ馬のように辺り一帯を暴れまわり、陸を抉り、宙を切り裂く。そして、それは虚空を貫いた。

 

 時空移動装置ディメンジョンコア、それは文字通り、多次元への抜け穴を生成するオーバーエネルギーの発生装置。その名に恥じぬ威力を以て、ガラスを金づちで割ったように、次元の壁を崩壊させた。

 

 次元の壁の崩壊により発生した歪つな重力場に吸い込まれ、セーレとそれを拘束している二体のポーンズは抵抗する隙を与えられる間もなく、穴の中へと吸い込まれた。

 

 そして残ったのは、一体の機械人形。悠然とその場にとどまるその胸の内では、勝利の余韻に浸っているのか、或いは争いの虚しさに心を打ちひしがれているのか………

 

 

 

 

 そしてまたもう一人、別の男がいた。

 

「やった………やった、やったぞぉー!セッ、セーレをぉぉ!あい、あいつを!倒……倒し………倒したんだ!ベリアル様………これで私を……私だけをぉー!」

 

 顔中を涙で汚し、狂ったように叫びながら、喜びを爆発させていた。その顔は醜く歪み、その腕は何かを掴むように、虚空へと向けられている。その手が目指す先はただ一つ、偉大なる主の栄光なる覇道。何人たりとも、その道を汚してはならない。

 

 これで紛い物はいなくなった。偉大なる力を持つ者はたった一人、あの御方だけに………!

 

 

 

 

 

 かくして、この戦いは終わりを迎えた。哀れにも凶行に走った、一人の偽りの勝者を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは次元と次元の狭間。座標、時間、重力、温度、あらゆる要素が曖昧になる未知の領域だ。

 

 この場所を訪れる者というのは、滅多にいない。その理由として、まずは、そもそも次元を越えられる力を持つ者が少ないというのが上げられるだろう。特殊な時空間移動装置や、平行世界へのアクセスは、扱い以前にその能力を入手することが非常に困難だ。一部でこれらが、神の所業と言われているのも無理はないだろう。

 

 そして次の理由が、この場所の特異性だ。この場所は次元と次元の間にある隙間、言わば隣り合う次元同士の衝突が激しい非常に不安定で、危険な場所なのだ。ここに踏む入るには、次元の歪みを通る必要がある。一度ここに入ったら、次にこの場所から抜け出せるのは、いつになるか分からない。自前で時空間の移動手段を持つ者は別として、この場所にたまたまでも入ってしまった者は、次元の歪みが次に発生するときを待つしかない。

 だがそれは、いつ現れるのか。もしかしたら瞬きをした次の瞬間には出てくるかもしれないし、これから一ヶ月経っても出てこないかもしれない。そんな場所に、好きでわざわざ足を運ぶ者など、少数派も少数派だろう。

 

 しかしそれは裏を返せば、ここは極端に人目が少ない。つまりは、悪事には持って来いの場所でもあるのだ。

 

 そして今はここに一人、仮面を着けた青い巨人が足を運んでいた。

 

「あの男も相当切羽詰まっていたようだなぁ。ここまで強引な手段を取るとは………だが、これで役者は揃った」

 

 巨人の前に、無数の小惑星の破片が流れ着く。これらは、ダークロプスゼロのディメンジョンストームにより流れ着いた戦闘の残骸。今回はその残骸達が流れ着く先を、事前に巨人が弄っていたのだ。

 

 そしてその残骸の中に、瓦礫とは違う三つの異物が混ざりこんでいた。一つはセーレ、そして残りの二つというのは、それに巻き込まれたポーンズの二体。

 ゆっくりとセーレに近づく巨人だったが、それに反応するように、残りの二体────ポーンズ達が立ち上がった。

 

「腐ってもウルトラマンのコピーという訳か。だが………」

 

 よろよろと立ち上がった二体のポーンズ、まだディメンジョンストームを受けた影響が残っているようで、その足元がおぼつかないでいる。

 

 両腕にエネルギーを集めた仮面の巨人は、それを一気に解放。必殺技トレラアルティガイザーにより。二体のポーンズは悲鳴を上げる事も許されず、まとめて雷撃に飲み込まれた。

 

 だが、それを見届けた仮面の巨人は何事もなかったかのように、軽快な足取りでセーレに近づく。だが、気を失ったままのセーレは、目と鼻の先に他人が近づこうとも、意識を取り戻す様子はない。

 

「さぁて、眠れる獅子はどちらを選ぶ?」

 

 聞いているはずもないのに、耳元に顔を近づけると、妖艶な声色でセーレに問いかけた。それは地獄への誘いか、あるいは………

 

「ふふふ、では手始めに、この力は預からせて貰おう」

 

 セーレの胸元、すなわちカラータイマーに手を伸ばした巨人は、そこから禍々しいオーラの何かを取り戻す。

 

「なかなか活が良いエネルギーじゃないか」

 

 それは、セーレの体内に蓄積されたベリアルの力、その体を形成する大部分のエネルギーだ。

 

「肉体が崩壊をしないよう、少々細工をさせてもらったよ。これで君は、生まれながらの光の戦士と何ら変わりが無くなった。あとは、私に魅せてくれ」

 

 虚空へと手を伸ばした巨人は、空間を歪ませ、この次元からの抜け道を形成した。そしてその中に、セーレの体を放り投げる。

 

「君の選ぶ未来に、幸があらんことを」

 

 妙に芝居がかった動きでセーレを見送った巨人は、くるりと体を一回転。また別の次元へと穴をこじ開けた。

 

「さて、彼が起きる前に、アレの回収を急がねば」

 

 こうしてあの戦いの真なる勝者、ウルトラマントレギアは新たなる歯車を稼働させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつはひでぇな………」

 

 ある宇宙のある開拓地となっている辺境の惑星にて、二人の若者が岩盤が剥き出しとなった鉱石の発掘場を訪れていた。この星の住人である二人は、仕事でいつもこの地に足を運んでいる。しかし、そんな彼らはいつものように仕事に来た、という空気ではなかった。

 

 その要因となっていたのは、この採掘場の中央に深く突き刺さった隕石の破片だ。

 

「まさか昨日の夜に、こんなもんが落ちてきてたとはな。防衛艦隊は何をしてたんだ?」

 

 身内への苦情を吐き捨てた青年は、悪態をつきながらも、調査を進める。今更文句を言っても仕方がない事は分かっているのだが、どうにもやり切れない感情が湧いてくるのだ。

 数年前に起きた大戦争から何とか復興し、新たな採掘場を展開していた矢先にこれだ。そんな内情が出てくるのも無理はないだろう。

 

「はぁーすぅー………よし!」

 

 大きく一呼吸、今は調査が先だと気持ちを新たに切り替える。するとその矢先、もう一人の若者の声が聞こえてきた。

 

「兄貴ー!人だ、人がいるぞ!」

「ホントかナオ!」

「まだ息もある、助かるかもしれない!」

「分かった、今救護班を呼ぶ!」

 

 青年は腰元に携帯していた通信機を口元に近づけると、口早に要件を伝える。

 

「こちらラン。採掘場で救助者一名を発見、すぐに応援を頼む!」

 

 

 

 惑星の名はアヌー。

かつてベリアル帝国の戦乱に巻き込まれ、救世主ウルトラマンゼロがこの宇宙で初めて降り立った星である。

 

 

 

 

 




というわけでアナザースペース編突入です
あれ?全然お兄ちゃん要素ないんだが………


・セーレ
トレギアによって力の約8割を奪われた

・トレギア
一度元の宇宙に戻ってダークロプスゼロの回収に

・ラン、ナオ
後年中の人が、花……木々……空……風……とジィィド!となった兄弟
この二人の世界は、映画の時間軸から数年後だと思ってもらえれば

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