オルトがミハゾノ街遺跡の市街区画を進んでいく。拡張視界に表示されている矢印は
既存の遺跡に残っているであろう未調査部分を、リオンズテイル社の端末設置場所の情報を利用して発見することこそ、オルトが
取り敢えず矢印の場所を目指し、当たりであればその場で遺物収集を行う。ハズレであれば別の地点を目的と設定して遺跡探索へと変更する予定だ。少なくともこの遺跡内で発見されているモンスターの中でオルトが1人だけで対処するとしても苦戦するような個体の報告はされていない。
市街区画内であっても建造物が崩れ、その瓦礫が散乱して車両での通行が困難になっている箇所も多いので、今はバイクを車内に残して徒歩で進んでいる。瓦礫で塞がっていようと、付近に足場と出来る建造物があれば、接地機能を駆使して一度壁を経由して飛び越えるので苦にはならない。
『にしても、なんであんな高所にあるんだろうな? 見晴らしは良いかもしれないけど、あそこまで階段で登ると考えると萎えるな……』
以前の経験からそこに遺跡の未調査部分が存在している可能性は十分にある。事前に手に入れた地図にも該当箇所の情報は載っていない。正確にはセランタルビルという名称と位置は記載されているが、ビルの内部構造などろくすっぽ載っていなかった。
もっともその地図はネットに無料で転がっていた程度の確度の低い物だったからという理由も十分考えられる。しかし、その理由の内情は単純に発見が困難な場所だったからというよりも、純粋に到達難易度の異様な高さが
『稼働中の遺跡を何個か見たけど、その中でも上位の壮麗さだな。それだけ整備も行き届いてそうだ』
クズスハラ街遺跡の外周部の地下施設、ヨノズカ駅遺跡、ユウセツ駅遺跡など稼働すればその様相を一変させる遺跡の脅威度は計り知れない。オルトの知っている最上はそもそも一つの都市としての機能を残しているファナの管理区域だ。
オルトはセランタルビルにファナの管理区域にほど近い雰囲気を感じていた。
ファナはそんなオルトに自信を感じさせる笑顔を向ける。
『取り敢えず、接近してみましょうか。他の人は無理でも、私が調べれば案内も可能になるかもしれません』
実際に今まで多種多様な遺跡内でのファナの案内によって、遺物収集やモンスターとの戦闘で生き残って来た。少なくとも確率はゼロではないと分かっただけでも期待できると判断して、オルトは笑って頷く。
『あの外観を維持してるほどのビルだし、階段どころかエレベーターとか
『その手の設備の使用はお勧めしませんがね』
『あー、……やっぱりどっか故障してるとか?』
『いえ、ここからビルの状態を確認する限り、自動修復機能は今も稼働していることは確かです。動作自体に問題はないでしょう。ですが同時にビル自体のセキュリティも当然機能しています』
そしてその視線をビルへ向ける。
『そもそも私達はミハゾノ街遺跡から見れば、ただの武装した不審者であり、遺物へ、向こう側から見れば商品へ触れた時点で窃盗犯へと認識が変わる程度の存在。歓迎など期待しても無駄かと。それこそビルの設備の使用権があると思いますか?』
説得力のある理由をファナが言い終えると同時に、ビルまでの間に出来ている瓦礫の山が拡張視界上で透過され、下敷きになっている平たい機械系モンスターが露わになる。全身を地面に固定化させ、上に乗っている瓦礫に干渉しないよう丁寧に照準調整を
その銃口が調整終了と言わんばかりに停止する。銃口から伸びる弾道の先にはオルト以外いない。その機械系モンスターは明確にオルトを認識しており、ハンターという武装した不審者の排除を実行しようとしていた。
それを見たオルトが僅かに希望論に傾いていた認識を改める。
『なるほどね』
長距離狙撃用に製造された銃身から撃ち放たれた銃弾が瓦礫を削り取り、直進する。徐々に重力に引っ張られながら銃弾の先端が
自身へ迫る銃弾を視認しつつ、オルトが自身に着弾する少し手前で引き金を引く。装着されたエネルギーパックから供給されるエネルギーによって、射出速度などを調整された対機強装弾が撃ち出される。同じ弾道を
それでもオルトの狙いは銃身の内側。装甲で守れる外部とは違い、内部の耐久力ではその低下した威力であっても耐え切れず、そのまま本体の制御装置まで
ミハゾノ街遺跡の市街区画を巡回している警備機械たちは、今日も招かれざる客達へ対処していた。
オルトは自身の訓練も同時に行う
使わないならばそれでいい。そもそも、そういった余分な機能は過去の事例や当人達の経験から必要と感じられた結果生まれ、積み上げられていった技術だ。使わなければいけない事態に遭わないに越したことは無い。しかし、使えないのであれば話は別だ。
命に関わる万が一がいつ起きるか分からないのが東部の常識。使える物を持っているのであれば
もちろんファナのサポートを受ければ、オルトの動きを更に昇華させた達人級の近接格闘技術での応戦や、引き延ばされた時間感覚の
もちろんファナはオルトとの契約により、求められれば、オルトのみに危険が生じれば最大限のサポートを実施する。それでもファナとの接続が不安定になったり、そもそも完全に切断された場合、
その関係に他者が入り込む隙は無い。作らせはしない。
共有されないが、共通の思考だった。
訓練場所として利用している市街区画は瓦礫やモンスターの残骸、倒壊したビルなどが不規則に道路を塞ぎ、簡易の迷路のようになっている。
その上で瓦礫の山のすぐ隣の敷地は不自然なまでに綺麗だったり、完全に倒壊したビルの横には真新しいビルが建っており、少々ちぐはぐな光景にも思えた。
『無事な場所とそうでない場所の格差が激しいな。なんでだ?』
『恐らくその境界ごとに警備機械や整備機械の担当区画が違うのでしょう』
それらの機械の性能や整備される時期が担当区画ごとに差があり、その差が明確な形として区画の境目として表れている。
その説明を受けたオルトが頷く。
『そうなると……、綺麗な場所は比較的安全か凄い危険かの二択か』
『どちらなのか確認に行きますか?』
『やめとくよ。折角セランタルビルが近くなってきたんだ。遺物の量も質も建造物の外観に左右されるっていうなら、セランタルビルに勝てる場所は無いだろうしな』
『では少しばかり速度をあげますか。周囲のハンターが増えてきましたからね』
『了解だ』
ファナが笑う。それがどんなに
ミハゾノ街遺跡の市街区画を進むオルトの視界には多くのモンスターが映る。基本的に全て機械系だった。一見生物系のような見た目であろうとも、頭部を吹き飛ばせば、制御機械とそこから発せられる信号を即座に送る為の回路、その指示に忠実に従う各器官を構成していた部品を辺りに散乱させる。
普通の大型犬のような見た目をしていても、体毛で覆われ、その挙動も含め犬と
『髭も体毛も頭部も、その中身も含めて全部が機械の犬か。この遺跡では機械系モンスターが多いって記載されてたけど、そもそも生物系モンスターがいないだけか』
『この遺跡では生物系モンスターが繁殖可能な余裕を持てるだけの食料が少ないですからね。後は単純に警備機械に駆除されてしまったのかもしれません。あちらに生えている街路樹も金属製です。既定のナノマテリアルで構成する様に製造されていますので食料にするのは少しばかり困難ですね』
オルトがその街路樹へ眼を向ける。そこには青々とした葉の一枚一枚が本物の様に風に揺られている樹々が等間隔に並んでいる。しかし、情報収集機器で注意深く探ってみれば、その内部構造が自然なものとかけ離れており、外見だけの偽物であることが分かる。
『なるほどね』
造花の類い。そう説明されれば違和感を抱く程度には本物と見分けがつけ
だが、本物ではないだけに利点もある。義体の植物であれば、季節に沿った景観の変化が可能。全体を構成する
ミハゾノ街遺跡の市街区画でセランタルビルを目指して進むオルトの頭上を、小型の飛行機体が何度も通り過ぎる。
『さっきからずっと、あの高度を維持したまま右往左往としてるな。そのくせ襲ってこないし、……偵察用か監視用って事か?』
『そうでしょう。気にする程でもありません。……さて、オルト。あちらを』
情報収集機器がファナによって操作され、遥か前方に位置するセランタルビル周辺の様子が立体的に捉えられる。その光景を見たオルトが表情を少し険しく変えた。
拡張視界上に表示される矢印はオルトよりもずっと
更にその支配地にはセランタルビルの防衛機械、兵器群が存在していた。大型のミサイルポッドを複数装着した自律兵器。機関砲を搭載した歩行台座のような機械群。今まで市街区画内で遭遇した機械系モンスターとは別格であると一目で理解出来るそれらがビルを防衛していた。
『あいつらがファナが注意した理由か。上を飛んでる奴はあいつらのお仲間って事かな? 中央に居る防衛機械がもう少し大きかったら、この前戦った警備機械に匹敵したかもな』
『今まで遭遇したのは市街区画全体に配備されている機体で、あれらはセランタルビルが独自に防衛用として配備した機体群なのでしょう。性能も違います。指示系統も独立していると考えて問題無いかと』
『性能はともかく指揮系統もミハゾノ街遺跡から離れているって事か? 厄介と考えるべきか、周囲からしたら敵ではない誰かが、明確な敵と戦ってくれることを良しとするかって感じかな? うーん、……よし』
オルトは少し悩んだ末に結論を出した。セランタルビルへと行くことは変わらず、その上で一つだけファナへ要望を出す。
その内容を聞いたファナは自信のある笑みで返す。
『分かりました。では始めましょうか』
その内容への疑問を返すことはしない。今はそれを淡々と、ただ当然の様に
先に進むと判断したオルトに、ファナは手を貸す。
いつも通りの流れだ。ただ戦う相手が強力になっていってしまうだけ。それに
オルトは全てを
遅々たる進行だがいつかファナの依頼を達成してみせる。それがファナのサポートという、前払い分に見合うのかは分からずとも、既に前払い分として受け取っている以上、応えないという選択肢など存在しない。
我が儘にも優しく対応して貰った。対応し切れない相手から生還させてもらえた。借りだけが、時間が経つに連れて積み重なっていく。それを見ぬふりなど決してせず、それに応えるように努力を積み重ねていく。
その意思を自身で否定するのであれば、それは既にオルトではない。
そして何よりも、数は力だとしても、今まで勝利を収めてきた相手より弱い存在が、多少の群れを成していたからと尻込みする程に憶病であったのならば、最初からオルトはハンターになどなっていない。
リュックサックから取り出したエネルギーパックと弾倉を強化服や銃に装着し、それぞれの残量を最大へと戻す。回復薬を限界まで服用しておき、口の中にも数錠含んでおく。流石に邪魔になる可能性を考慮してリュックサックは近くのビルの一室へと隠しておく。
街道の一つに立てば、瓦礫の山を挟んでセランタルビルと一直線上になる立ち位置となる。
一呼吸入れるように、長い時間を掛けて深呼吸をして精神を集中させる。
覚悟を決めた。
後は踏み込み、体現するだけ。
(さて、覚悟を示そうか)
お互いの意思決定が一致した瞬間、オルトは両手にK2R複合銃を持ち、強化服の出力を最大にし、セランタルビルへ接近し始めた。
先に服用していた回復薬が、遺跡を進む際に溜めていた全身を蝕む僅かな疲労をすべて取り除き、同時に鎮痛作用も効き始めて使用者であるオルトの痛覚を鈍化させる。
そよ風がまるで暴風であるかのように感じるほどの速度で駆けるオルトは、強化服の
オルトの生身の動きに対して、ファナが強化服側で
セランタルビルとオルトの間に障害となるように存在する巨大な瓦礫の山へ向けて高速で駆けていく。見上げるほどに高い瓦礫の山の手前まで数秒も掛けず接近し、蹴りの威力が最大になる最適な位置へとオルトが強力に踏み付ける。そこを刹那の時間のみ接地機能で強力に固定させ強靭な軸足を作り、その地点まで移動する際にオルトの
瞬間、爆散するように瓦礫の山がセランタルビル周辺の開けた一帯へと盛大に飛び散る。衝撃を間接的に受けたことで、掛かった負荷の向きが変化して空へ飛んでいく物もあれば、地面を高速で転がり続け、その先にあった別の瓦礫を巻き込んでいく物、近隣の廃ビルに衝突して地面へ墜落するものなど様々だ。
しかしそれを引き起こしたオルトは、その結果までの時間を悠長だと思うほどの時間間隔の中にいる。目の前に花火のように広がった瓦礫群を抜き去る勢いで、再度最高速度で地上を駆け始めた。
障害物が無くなったことで、肉眼でも捉えられるようになった防衛機械群がオルトへとその銃口を、砲口を、既に向けていた。高速で接近してくる反応が有ったのだ。当然、その様な挙動を見せる不審者は
防衛機械を中心とした警備機械達の武装はミハゾノ街遺跡の市街区画に配備されている機械系モンスターたちの武装を超える性能を持っている。それはこの遺跡に足を伸ばすハンター達にとって常識とさえ言えることだ。
機関銃から放たれる銃弾であれば、雨の様に浴び続ければ数分と掛からず強化服の
その上、同時に撃ち出されている砲弾は巨大で、人が喰らって生存を望めるような代物ではない。その後を追うように発射され続けている小型ミサイルは
並みのハンターが見れば臆するような状況下であっても、オルトは一切の焦りを見せることなく両手の銃で冷静に照準を合わせていく。狙うはファナのサポートによって映し出されている自身の移動経路の障害となる銃弾や砲弾、小型ミサイルのみだ。
オルトへ接近していた小型ミサイルが、砲弾が中心を銃撃され、貫通したことで内部の火薬に点火し暴発し、連続して引き起こされた爆炎と爆風が周囲を揺らし、近くの弾丸等の弾道へ影響を与える。一つ一つの爆風が他へ与える影響は微々たるものであっても、その数が、桁が増えていけばその効果は上昇していく。それでも自身の誘導性能を最大限発揮し、爆炎で構成された障壁を通り過ぎ、反対方向の標的へ着弾しようとしたが、その先にオルトの影は無い。
しかしオルトは、引き金を引いた時には既に跳躍を開始していた。
オルトは
平面から立体的に行動を変えたオルトの動きに付いて行くために、防衛機械は最大火力となる砲弾や、扇状のミサイルポッドを搭載した車両を展開して小型ミサイルの量を増やし続ける。更には大型のミサイルを放ち始める車両も現れる。逆に、比較的小型の機械系モンスターは数での点となる銃撃をしても無駄と判断し、被弾による動きの制限を主な目的へと変更し、面での攻撃を開始する。搭載されている機関砲に装填されている弾倉を切り替え、有効射程の長さを捨て、圧倒的な速度で接近してくるオルトへ、時間が経てば経つほど有効に働く散弾を放ち始めた。
戦闘開始から時間が経ち、現状尤もセランタルビルの脅威となっているオルトへ向けて、防衛機械たちが周囲への展開ではなく、オルトという個人を、驚異的な武力を持った不審者の排除を選び、オルトのいる方向へとその総戦力を集結させ、更に苛烈に濃密な弾幕の嵐で以て攻め続けていた。
その圧倒的物量をしても、オルトの進行速度を落とすことは叶わない。砲弾の通過した後には一瞬すら長く感じる程度の時間だけだが、その巨大な物質が通ることで発生する安全な空間が出来る。ミサイルの後部にあるスラスターに味方の弾丸が誤って入れば誤爆を引き起こし、周囲の小型ミサイル、果てには大型ミサイルも巻き込み誘爆を起こす。そしてそれを敢えて発生させてオルトの移動を阻害する。
それら全ての
オルトの2
もしオルトが地上での戦いしか出来ない者であれば、既に死体となっているほどに地面は乱雑に抉られており、爆風や着弾の衝撃によって浮かび上がった倒壊した廃ビルの一部などが、オルトの新たな空中を駆ける為の足場として再利用されていた。
オルトは両腕を全力で振りながら自身が通る道を邪魔する銃弾や砲弾、果てには
高額の回復薬に物を言わせた鎮痛効果の高さ。そして同時に伸びた
ファナのサポートによって精度を増していく挙動、未来予知を疑わせるほどに精密に計算された照準補正を受けた射撃性能によって、周辺を飛び
砲弾に関しても既にかなりの距離を詰めたことで砲口から飛び出てすぐの場所で撃ち貫かれ、爆発する。それを一番近い場所で受ける防衛機械は表面に展開された
普通のハンターであれば着弾の余波だけで木っ端微塵になるような威力であろうと、オルトも、防衛機械も、お互いが展開する
大小問わず、空中を駆けるミサイル群は、細かく動き回るオルトを追い詰めるには速度が足りず、勢いよく射出されながらも自身の軌道上にオルトを収める
最初から最後まで、
『アーミーマメストラよりマシ! アーミーマメストラよりマシ! あの暴風区域よりずっと、マシッ!』
要望に沿った戦闘を行なうと危険度が増す。ファナから事前にそう教えられた上で、オルトはそれを為すと宣言して現状を作り出している。セランタルビル周辺に配備されている3桁に届きそうなほどの機械系モンスターの部隊。それも一機ごとに、小型の個体でさえも、銃撃爆撃のどちらも高い威力を有する武装を、取り付けられており、数を揃えているのだ。
細かな銃弾は常にオルトの周囲を飛び交い続ける。人間大の砲弾がオルトの逃げ場を無くすように本人から外れた場所も含めて大量に撃ち出されている。小型のミサイルが更に
砲弾やミサイルに直撃する訳にはいかない。躱す必要のない程に威力を減衰させた銃弾は完全に無視し、躱し切れないほどに密集した場所では、その中で一番密度の薄い場所へと
悲鳴混じり情けない声を念話で発しているオルトとは対照的に、非常に落ち着いているファナは随分と余裕のある笑みを浮かべていた。
『全くですね。あの時と違って逃げ場も多数、防護コートのおかげで更に強固に、扱いやすくなった
『なんか! 想定する事象に! 大きな差がある気がする!』
『はしゃぐ暇があるのでしたらよく狙って撃ってください。幾らサポートがあるからと言ってもそれはサボる言い訳にはなりませんよ? それとも、辞めますか? そちらの方が非常に楽になりますが』
『嫌だね! 絶対、辞めない!』
宣言を体現する為に、オルトは顔を引き締めた。
そして、オルトがとうとう防衛機械の眼前へと到達する。主武装だと確信出来る砲塔の発射口付近へと跳躍した。周囲が遅く感じるほどの体感時間の中で、その巨大な砲の中を覗く。オルト程度であれば簡単に収まってしまいそうなほど長大な砲塔から、内部に再装填されていく砲弾を、極限の集中によって緩やかになった世界で目視する。
事前に利用した足場は程よく巨大な瓦礫であり、最初の蹴りによって空高く舞い上がり、今ようやく銃弾飛び交う低高度まで落ちて来たのだった。
そしてその大きさを
だがそれが破壊されるまで待つ必要などない。オルトは空中を防衛機械へと跳んでおり、一見逃げ場はない状況だ。しかしオルトも今更逃げ場など必要としていない。
砲塔の内部が光り、巨大な砲弾が射出される。
人間大の体積を有し、それに見合った質量と破壊力を持った物へ、オルトは極限の集中の中、時間が停止したかのような錯覚の中でタイミングを合わせて
砲塔から全身を露出させた砲弾の下部へと、ファナの膨大な演算処理によって
防衛機械の砲塔に着地したオルトはその上を数歩で踏破し、砲弾の後を追う。周囲を囲んでいた機械系モンスターの群れも、流石に防衛対象を傷付けることは許されていないのか銃口が砲弾へと向けられるが、オルトがそれを許すことは無い。
機械系モンスターが照準を合わせた瞬間に、既にオルトはK2R複合銃の照準を合わせ終えており、引き金を引く。
K2R複合銃を下方から上方へ振るい、それぞれの角度で撃ち出された銃弾が連続して勢いよく着弾し続け、まるで
計算されつくした着弾地点へと撃ち込まれたことでファナの意図した通りに爆発が引き起こされ、オルトが走る道の外側へと爆風が向く。その結果、オルト達の戦闘によって今の今まで巻き上げられ続けた粉塵や今まで使用されてきた砲弾やミサイルの爆煙に含まれる微細な粒子、それらによって上昇させられた周辺の色無しの霧が勢いよく押し込まれ、普段とは比較出来ないほどに強力な威力減衰現象を引き起こし、簡易の盾として機械系モンスターの撃ち出す弾丸を空中が受け止め続け、金属のカーテンが形成され、文字通りの弾幕が二枚、確認出来るようになった。
僅かな瞬間に出来上がった弾幕によって生成された細い経路を、オルトが強化服の出力を全開にして駆ける。両手に握っていたK2R複合銃すら手放し、それらは補助アームを使って腰付近へと下げ、無手となったオルトは大きく腕を振り、可能な限り低く姿勢を維持したまま空気の壁すら突破していく。
周囲の激しい
一話にどの程度の文字数が読み易い?
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