戦姫絶唱シンフォギア 333回、転生した男   作:黒色晩餐

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さて、ギアを纏ったのに何故か色違いの『ブラッドスターク』となった翔兄…何をやるつもりなんですかねぇ

もしかしたら滅多打ちにして心を折っちゃうかもしれませんね?


第11話〜歌い、叫ぶは心の闇。打ち合う刃はその者を映し出す鏡なり〜

「イイねぇ…最高だ!久々に気分が昂ぶる!血が!肉が!頭から足の指の先まで!全てが!最高にハイってやつだ!

アァ…斬りてぇな……ぶった斬りてぇなぁ!!生きた人間を!死の恐怖に顔を歪ませ逃げ惑う人間を!今まで目の前の狂人に愛されていたと信じていた人間を!裏切られ、絶望した顔の人間を!切り刻み、肉から吹き出る真っ赤な血のシャワーを浴びたい気分だ!!」

 

天之尾羽張を地面から引き抜き、地面に先を向けて軽く振るだけで刃の先の地面は割れ、それを見た翔真は高らかに笑っていた。

 

「それがっ!それが貴様の本性か!伊吹翔真!やはり貴様を生かしておくのは危険だ!奏だけではない!立花や小日向までも斬るならばここで、貴様と刺し違えてでも止める!!」

 

「ならば来い!戦う事に恐怖を抱き!戦う事を放棄し逃げる臆病者と成り果てた!なまくらよ!」

 

「だとしても!貴様を野放しにする程、私は落ちぶれてはいない!例え恐怖で足が震えようとも今、この時!我が身は剣となり貴様を斬る!」

 

翔真の言葉に翼は怒りを露わにさせる。だが、怒りにより視界が狭くなることも無く逆に視界は広く感じ、頭の中も前に翔真に対して怒りを湧き上がらせ熱くなっていた時と違い思考はクリアで声は荒げているが冷静でもあった。

 更にはいつの間にか掴んでいた刀の重さは感じられなくなり、むしろ今まで以上に軽く、手に馴染むような感触だったお陰か翔真へ向けた一太刀は躊躇うことなく振るわれる。

 

「っと……おやおや…ビビるのは卒業かぁ?このまま人斬りの味をもっと覚えたくて、お前もウズウズしてんのか!いいぜ!好きなだけ付き合ってやる!」

 

「違う!私は貴様の蛮行を止める為に刃を振るうのだ!貴様がこの空間から外に出て、人斬りとなる前に!」

 

そんな一太刀を軽々と受け流すようにいなし、隙きの出来た脇腹へといなした際の勢いを利用して回し蹴りを放つ。

 放たれた蹴りの進行方向へと飛び、回し蹴りをモロにはくらいはしなかったがそれでも重く鋭い一撃に翼の体は悲鳴をあげる。

 

「そんなのはただの!言い訳!詭弁!ごまかし!屁理屈!

その程度の理由付けで俺は斬れん!斬れんぞ!貴様自身が心の奥底から求め!心の奥底から湧き出る真の望み以外では!その刃が潰れ、欠けたなまくらで幾ら俺を斬ろうが少しも通らん!」

 

「っ……そ…う……だっ……今の私は貴様の言った通りの刃が潰れ、欠けたなまくら!ならば火に焚べ、熱し、また打ち直し!刃を研ぐ!そして私は新しい剣として生まれ変わるのだ!」

 

「ならば!それを俺に見せてみろ!なまくらと言う貴様から!生まれ変わった新しい剣を!この俺に!

屍の山を作り上げ!血にまみれ!愉しく嗤う人斬りの剣にな!」

 

なまくらから打ち直し、生まれ変わろうとする決意をした翼へ地面が罅割れる程の力で地を蹴り、一瞬で距離を詰めれば明らかに命を刈り取る剣筋で翼へと凶刃が振られる。

 それを難無く翼は受け切りそこからはお互いに刃を打ち合い一部の隙も無く、一振りに己の心を乗せ合っていた。

 

わがよ(たれ)ぞ常ならむと 全霊にていざ葬るっ!

 

What the hell's going on?! Can someone tell me please--!

 

迷いを断ち切る術など 覚悟を牙へと変えるしか…知らない!

 

Why I'm switching faster than the channels on TV I'm black then I'm white!

 

お互いに歌いながら刃を交える度に火花が飛び散るほどに激しく打ち込み続ける。

 方や自らの迷いと恐怖を打払い、新たなる決意と自身が剣となり刃を振るう理由を見せつけるように方なを振るっていた。

 そして、もう片方はこの先に現れるであろう敵に対して怯まず、恐怖に呑まれないようにする為、狂い、敵を切り刻み、越に浸り、この世の悪意を全て煮詰めたかのようにドス黒い狂気を刃へと纏わせ、刀を振るい続けた。

 

「貴様っ!何故そのような刃を振るう!そこまでして人を斬りたいか!」

 

「斬りたいねぇ!斬り刻みたいねぇ!そうすれば少しは気分が晴れるってものよ!

お前はな!これからっ!様々な狂気を!悪意を!防人である限り一生!対峙し、斬り続けるのだ!その身が剣であるならば!臆病者で!理由が無ければ戦えぬ!風鳴翼のままであるなら!いつか!これらの感情に呑み込まれ!人斬りの鬼となるだろうよ!」

 

一振り一振りの全てが重く、1人の命を軽々と刈取ろうとするかのような刃は徐々に振り抜く速度が上がっていく。

 それこそまるで、これからが本番だと。敗者の命は無惨に刈り取らない限り終わらないと言わんばかりの剣筋へと変わっていく。

 

星を見上げ誓いを立てる もう逃げない…もう泣かないと!

 

NO!!! SOMETHING ISN'T RIGHT!!MY ENEMY'S INVISIBLE, I DON'T KNOW HOW TO FIGHT!!

 

嗚呼…羅刹(らせつ)蒼翼(そうよく)よ!今こそさぁ…全(ぜん)の解放をっ!

 

THE TREMBLING FEAR IS MORE THAN I CAN TAKE WHEN I'M UP AGAINST THE ECHO IN THE MIRROR!?

 

お互いの歌と刃ば拮抗し合う中、翔真の声が掠れた声となった瞬間の一撃。その時だけは翔真の方が力負けし、軽く十数メートルは吹き飛ばされていた。

 

「チッ…時間切れ……理を歪め、俺が女だと世界そのものに誤認させたが流石にもう無理か……」

 

勢い良く吹き飛ばされ数度、地面に体を強く叩きつけながらようやく止まれば砂煙の中で立ち上がり、ギアを解除する。

 ギアを解除し、砂煙から出てきた事で見えたその姿は全身が刀で斬られたような傷口が残り、そこかしこから出血し、左目は完全に潰れ、左腕はひしゃげた様に複雑に折れ曲がり、口からはダラダラと血を吐き出していた。

 

「何故だ!何故、貴様はその様な姿になっても戦うのだ!痛くないのか!死ぬのは怖くないのか!」

 

「痛ぇし、死ぬのだって怖ぇさ……だがな、戦いから逃げた結果、救えた筈の命を!目の前で失う方が何千倍も怖ぇに決まってんだろ!それを味わえば貴様でさえも堕ちるぞ……人斬りの鬼に!復讐に囚われた亡者にな!」

 

並の人間ならば痛みと出血により気を失うか、絶命しているだろう大怪我をした翔真…血反吐を吐きながら喋り始めると、今までの転生先で起こした実体験でもあるからかその言葉には妙な説得力があった。

 翔真もこのままではまともに戦えないと判断したらしく、一切の躊躇いもなく右手に持った天之尾羽張で自らの左腕を切り落とし、痛みにより動けなくなる前に刀を地面に刺し、潰れた左目を抉り取った。

 

「貴様!?何をしている!自ら勝負を捨て、自害するつもりか!」

 

「いいや、ラウンド2だ…風鳴翼。

この先も防人として、剣として生きて行くであろうお前には本物の化物を…怪物を…鬼を…亡者を……この世の地獄を!先に見せてやる……お前が恐怖と狂気に呑まれ、堕ちた時の未来を!修羅となるのはどうなるかって事をな!」

 

切り落とした腕と目は瞬時に再生し、十全の力を出せるようになりはしたが如何せん疲労と精神力の消耗までは再生していなかった。

 立つのさえギリギリの所を彼女が立ち止まる事で起き得る最悪の事態。それを回避させる為だけに己の中から狂気を湧き立たせ、苦痛さえも一種の快楽だと脳と体に誤認させていたのだ。

 

「ならば見せてみよ!私はもう立ち止まらぬ!貴様の狂気!私の新しい剣で断ち切ってやる!」

 

「その程度しか覚悟が出来ないなまくらなど、へし折ってやる。そのまま一生、なまくらを振り続けてお遊戯を楽しんでいろ…」

 

地面に突き刺した天之尾羽張を引き抜くもそれを持つ手は既に限界に等しく、一振るいするのさえも全身が悲鳴を上げるほどであった。

 それ程までボロボロに翔真がなっている事など知らない翼は目の前にいる人の形をした狂気を、自分を嘲笑う道化に一矢報い、自身の覚悟を知らしめるため、刀を前へと突き出し一直線に突撃する。

 

「これが!私が!打ち直し!研いだ!新しい剣だぁぁ!!」

 

「はっ!たかが一直線!決死の突撃が貴様の新しい剣か!そんなもの、笑いのネタにもなりやっ!?」

 

ただただ愚直な一直線の突撃。剣の道筋が分かっている以上、避ける事など容易く避けようとした矢先、体の方が先に限界を迎えたらしく足も、体さえも一切動かせないまま、その一突きは翔真の心臓と肺へと突き刺し、引き抜いたのだった。

 

「あ゛?…あ゛ぁ゛……ク゛ソ゛か゛っ…テ゛メ゛ェ゛の゛…粘り゛…勝ち゛か゛よ゛…………覚悟、決まった目のいい女に、な゛ったな…風鳴翼……」

 

「何故避けなかった……あの程度、貴様なら避けられる筈だ!」

 

天之尾羽張を握っていた手の力が抜けると地面に落ち、心臓から溢れ出る血は刀を通じて肺へと流れ込み、口と心臓を一突きした傷口から血を溢れさせ、血の泡を口から吐き出しながら喋る翔真の顔は先程の狂気に歪みきった顔ではなく、どことなく穏やかで響や未来を相手にする時のような表情に変わっていた。

 

「体が限界なんだよ、クソッたれが。俺はな、不老でもなけりゃ、不死身でも無いんだ…………………あっ…やっべ、響に怒られちまう…大、大、大好きなツヴァイウィングの片翼を傷物にしちまったし……俺の服もボロボロで血塗れだ…」

 

「貴方、それを分かっていてこんな事をしたんでしょ?自業自得じゃない……そんなになってまでどうして私と戦ったのよ」

 

「ただの気紛れと、落ち込んだお前が追い詰められて泣く姿を見てや「やっぱり生かしておかない方が皆も幸せになるかしら?」……初めて人を斬ったお前がこの先、トラウマを抱えたまま歌えなくもなり、戦えなくもなってSAKIMORIからNEETにならない様にする為だよ」

 

突き刺された傷口は肉体も限界を迎えているせいか瞬時に回復する事はなく、ゆっくりと内側から再生していきながらも出血が止まれば何時ものように翼を揶揄かおうとする。

 だが翼に切っ先を向けられ、面倒臭そうな顔をしながらかなり遠回しかつ揶揄かうのはやめずに初めての人斬りでメンタルブレイクした翼を立ち直らせるためだと白状し始める。

 

「言い方は気に食わないけど……それにしては随分と荒療治すぎるんじゃない?」

 

「アレくらいが丁度いいんだよ、俺の経験上はな………現に、持てないと言った刀を持って戦い、俺の心臓を突き刺したじゃねぇか」

 

「もし、失敗したらどうするつもりだったの?」

 

「そん時は……ちょちょいっと、お前のトラウマになった部分の記憶を消すだけだ。

もちろん、俺を斬っちまった前後と荒療治が失敗したところまでな?まぁ、それやっちまうと俺も1週間かそこらは昏睡するし、記憶を消された方にも若干の不具合が起きるから最終手段だな」

 

荒療治のお陰で治ったのだから良いだろうと言う翔真に失敗した場合を聞いてしまう翼は即座に後悔した。

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべながらサラリと、対象者に何かしらの不具合が起きるが記憶を消すと翔真は言い始めた。

 

「……貴方、あの二人からコッテリ絞られなさい。ついでに奏には虐められたって泣きつくから奏と叔父様と緒川さんにも叱られるべきね」

 

「アハハハ……こりゃあ、逃げるべ…き………オイオイ…響かそれか弦十郎か!?それとも両方か!なんで境界をぶっ壊して入ろうとしてんだあんの物理コンビ!

やべぇ!やべぇ!やべぇ!!体が限界とか言ってる場合じゃねぇぞクソッたれ!」

 

この後は回復薬を使って傷を癒やし、『神々の箱庭』を閉じて終わりかと思いきや……ズンッ!ズンッ!と空間内が揺れると右目を閉じた翔真が焦り始める。

 『異空間収納』から『上級回復薬』を取り出し、一本は翼へぶっかけ、もう一本は自分で飲み干せば強制的に回復し即席のドアを作り出すとそのドアが破壊され吹き飛ばされた。

 

「しょーうーにーいー!また血だらけ!しかも!翼さんも血だらけ!何をしたの!」

 

破壊されたドアの先にはギアを纏い、怒り心頭の響が居た。しかも後ろには本気で怒っている未来と奏、その後ろにはOTONAとNINJAがいた。

 

「Oh……こいつは逃げるが勝ぢっ!?」

 

このままだと確実にヤバいと感じたのかテレポートジェムで逃げようとするも、響のロケットダッシュにより即座に確保された上に馬乗りでマウントを取られるのだった。

 

「ねぇ、翔兄?私、翔兄が傷付くのを見るのは嫌って言ったよね?なのになんでまた傷付いてるの?やっぱり私と未来がどれだけ翔兄を大切に思ってるかわからせないとダメナノカナ?」

 

「未来さんや…助けてくれない?助けてくれたら後日、2人きりでデートするから」

 

「んー……ダメです。今回は色々と見逃せないですし……翼さんを傷付けたら怒るってイイマシタヨネ?」

 

「翔真、流石のあたしも翼を傷付けられて黙っている程、お人好しじゃないぞ?」

 

「翔真君、これから君は彼女達にたっぷりと叱ってもらうから覚悟しなさい。

翼、こっちに来るんだ。緒川君に付き添ってもらいメディカルルームで治療を受けるように」

 

「翼さん、早くこちらへ来てください」

 

「えっ、でも…翔真は私が立ち直らせる為に……」

 

弦十郎と緒川以外の2人が空間内に入り、怒りの感情を露わにさせながらこれから説教をするのだと翔真に思い知らせ、回復薬で傷は回復したが血だらけの翼をこの空間から出させようとしているOTONA2人に、翼は遠慮気味に出ようとせずにいれば…

 

「翼さんは、ちゃんとした治療をしてもらってきてください!

それと、この部屋で2人きりになって何をしていたのかも教えてもらいますからね?」

 

翔真へ馬乗りになり逃げられないよう足で挟め、拘束している響は笑顔なのだが、目が一切笑っていない笑顔の状態で言ったお陰?か翼は『神々の箱庭』から出て行き、精密検査と治療を受けに行くのであった。




これにて騒動の一幕は終演となります。

ギアを何故、纏えたか…どの様にして理を歪めたか…そして!翔兄の貞操はどうなるのか!

次回、逃げるが勝ちだがコイツぁ無理だ!

最近バトルと流血に欠損ばかりだからここいらでラブのテコ入れじゃあ!!

あ、作者は鬼の形相でアークワンとヘルライジングとブラックホールを使う気満々で殺意増し増しな翔真が追いかけてきているのでしばらく逃げます!
次回の後書きは誰になるかはサイコロの出目次第!ヒロイン投票上位6名から!さらばっ!

翔真の悪役ムーブ、感想は?

  • よし、もっとやれ
  • やり過ぎてビッキーと393に怒られろ
  • それよりイチャラブを見せろ
  • ヒロインを守って曇らせてしまえ
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