戦姫絶唱シンフォギア 333回、転生した男   作:黒色晩餐

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花粉と黄砂が舞い上がる新学期……読者の皆様、いかがお過ごしですか?
作者は今年から微妙に花粉症になり始めたらしく、鼻水がヤッベーイな状態です。
冬にストックしてあった鼻セレブが湯水のように消えています

と、まあ…一先ずこの話は置いといて。
それでは、今回もお楽しみくださーい


第20話〜愛紡ぎ、道化は去り、人形は動き出す〜

 

あれから数時間…外では大体、1〜2分程が経過した頃だろう。

 色々な意味でデロッデロに甘やかされた奏はと言うと…事後だと錯覚してしまうくらい蕩けきった顔をし、息が荒い状態で翔真に腕枕をさせてベッドの上で横になっていた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ……このやろぉ…覚えてろよ…」

 

「甘えたいって言ったのは奏じゃないか…それなのに覚えてろよだなんて、酷いなぁ…」

 

「酷いなぁ……じゃ、 ねぇ!限度ってもんがあるだろ限度がっ!

なんなんだよあの声……あんな声で囁かれたら抵抗なんて出来る訳ないだろ…」

 

会話の内容と奏の蕩けきった表情により事後だと誰しもが勘違いするだろう…だが違う。

 何故なら、ディープキス以上の事は一切していないのだから。ただ、首筋や胸元にキスマークは残してあるのだが、それだけだ。後は愛を囁いたり頭を撫でたりキスをしたり等々……

 

「でも…奏も途中から欲しがってたよね?俺からキスして欲しいってさ。

ベッドの中じゃ響や未来が居たから遠慮してたみたいだけど、2人っきりの時はあんな甘えん坊さんになるとは思わなかったよ………特に、猫なで声で甘えて来た時は可愛かったよ」

 

あの光景を直視した者は最低でもマーライオンの様に口から砂糖を吐き出す程に奏を甘々に甘やかし、愛したのだ。

 この後で響達も甘やかされるかどうか…それこそ神のみぞ知る、だろう。

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜!!こんっの、馬鹿野郎!そう言うのを一々口に出して言うなっ!」

 

恥ずかし気もなく先程の甘やかした時の内容をわざわざ口に出して言いながら優しく、微笑む翔真に茹で蛸のように顔を真っ赤にするとガバッと上半身を起き上がらせ、右手をバッと上げると…そのまま翔真の頬へと叩きつける様に振り下ろした。

 

「ぶへっ!?」

 

振り下ろされた手はお見事と言える程、はっきりと手の平の痕を翔真の頬に残すくらいの威力の平手打ちを翔真はモロに食らったのだった。

 当の本人はベッドに寝転んでいたのもあり平手打ちの威力を殺しきれず、ベッドに頭を強く打つと同時にゴキンッ!と首辺りから音がするとぐったりとしていた。

 

「えっ?お、おいっ!翔真、返事しろよ!」

 

ぐったりとした翔真を見て冷や汗を流し始める奏が翔真の肩を掴み、ユサユサと揺らして意識の有無を確認するが全くの無反応に焦りが見え始めていた。

 

「な、なぁ…冗談が過ぎるんじゃないか?あたしが悪かったから…なんでもするから、返事してくれよ。な?」

 

無反応な翔真の肩を揺らし続けながら話し掛けるも返事は返って来ず、恐る恐る手を口に近づければ呼吸も止まっているのを確認してしまい、自分でも分かるくらいに顔から血の気が引いていった。

 

「嘘だ…嘘だって言ってくれよ何時もの感じでさ……翔真…本当になんでもするからっ!冗談だって言ってくれよ!!」

 

恥ずかしがって勢いに任せて叩いたばかりの悲劇……自分が、自分の手が愛する人の命を奪ってしまったと言う悲劇。

 自然と涙が流れ始めると肩を掴んでいた手に力が込められていく。血の気が引いた顔には自責の念と絶望の色だけが残されていた。

 

「翔真…翔真翔真翔真翔真翔真翔真翔真翔真っ!生きてるって言ってくれ…アンタを……アンタを心の底から愛してるんだよっ!あたしを残して逝かないでくれ!」

 

「……………俺も、愛してるよ。奏…あと、肩がめちゃくちゃ痛いから手、離して?」

 

うーん…気付いたら奏が泣いてるし肩は痛いし……確か、頬をひっぱたかれて頭をベッドに打ったんだよなぁ…そん時に首から変な音が……………あ、もしかして打ち所が悪くてその衝撃で首が折れたか? ………あぁ、それで折れた骨と潰れた頸髄が回復するまで意識が飛んだのか…

 

「な…なっ!?やっぱり死んだフリしてやがったのか!」

 

自分の手で殺ってしまったかと思いきや、自分が愛の告白をしたタイミングで返事をし、微笑みかけて来た翔真からの言葉にバッと肩から手を離し、怒りよりも安堵が上回るがそれを表情に出さず、死んだフリをした事に対して理不尽に怒る素振りを見せたのである。

 

「いやいや……見事なビンタだったよ。そのお陰で気絶してたみたいだし?」

 

「だったらもっと早くに目を覚ましやがれ大馬鹿野郎!」

 

「んな事を言われてもねぇ〜……でもぉ、奏からの愛の告白は聞けたから良かったかな。あと、なんでもしてくれるんだよね?」

 

意識が飛んでいたがどうやら奏の声は聞こえていたらしく時間経過によって、徐々に意識が飛んだ後から意識が戻る直前までの間で奏の言った内容を思い出したらしく、意地の悪そうな笑みを浮かべていた。

 

「っ!無効だ!無効!死んだフリしてたんだから無効だっ!」

 

「えー?……いいじゃねぇかよー減るもんじゃないしー」

 

意地の悪そうな笑みを浮かべる彼を憎めず、そして嫌いにもなれず惚れた弱みとも言えるのだが、尺に触るのかなんでもするの部分は無効だと奏は言い始めた。

 

「いいわけあるかっ!減るんだよ!あたしの…その……理性とか…」

 

「ん?最後が聞こえなかったんだけど、何が減るのかなぁ?」

 

徐々に声が小さくなり、最後は蚊の鳴くような声で言う奏だったが、しっかりと聞いていた翔真は上半身を起こすとニヤケ顔で最後の部分をもう一度、奏に言わせようとしていた。

 

「……言うわけ無いだろ…意地悪する翔真になんか言ってやんねぇ」

 

聞こえていたのにもう一度言わせようとしてくる翔真の意図に気付いたらしく、ムスッとする奏はそっぽを向いてしまう。

 

「ふーん……言わないんだ………言わなくても良いけど今度…二人きりで会う時は覚悟しておけよ?

 

「っ!?覚悟って…あたしに何かするつもりなのかよ」

 

そっぽを向いてしまった奏の頬に触れ、顔を近づければ最後の部分を低い声で耳元で囁やくと、離れ、ベッドから降りれば今度は青い線で陣を描かれた紙を破いていく。

 そして、それを口に含みゴクリと飲み込んだ瞬間、パリィンとガラスが割れた様な音が室内に一瞬鳴り響いた。

 

「さぁ?何をするかは奏の想像にお任せするよ…それと、時間の進み方も元に戻したし、二人には俺は家に帰ったって言っておいてくれる?」

 

「んだよそれ……は?ちょっと待てよ。アンタの口から二人に帰るって言えよな。何であたしが言わなきゃなんないんだよ」

 

突然、家に変えると言い出した翔真に対して奏の表情は明らかに不機嫌そうな表情になっていた。

 

「んー…早くこのボトルを活性化させて、どんな能力なのか調べたいから?やっぱり、錬金術を扱う者としてはこう言う未知なる物は調べ尽くしたいのが性なのよね〜」

 

「だからってあたしを伝言係みたいに使うなよ…」

 

奏から受け取ったフルボトルを活性化させ、早く使えるようにしたいらしく、そんな翔真を見た奏は呆れたように溜め息を吐いていた。

 

「その代わり、コレとコレを渡すから」

 

「?なんだよこれ」

 

溜め息を吐く奏にだけ『異空間収納』から取り出した2つの鍵を渡すのだった。

 

「俺の部屋に出入り出来る為の合鍵と、俺の部屋と工房を繋げている扉を開けるための鍵さ」

 

「工房?あの部屋にそんな御大層な設備を置ける部屋なんて無いだろ」

 

「そりゃあ無いさ。だから、工房がある場所に繋がるように空間と空間を繋げてるんだよ。

 俺の住んでいる部屋の鍵穴がある扉からなら何処からでも、黒色の鍵を差し込んでからドアノブを回せば工房に繋がるから何かしら、危険な目にあったりした場合は使いな」

 

「そんな事を教えても良いのかよ。もしかしたら、その工房にある道具とか盗んで悪い事に使っちまうかもしれないぜ?」

 

翔真が今の住処にしている自宅の合鍵と、今回の転生人生の際に新しく作った工房へ繋げる為の鍵らしい。

 それを渡された奏はつい先程、やられた事への意趣返しをするつもりで悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

 

「フフッ…それは無理だよ。俺以外があの場所から勝手に外に出したら自壊するように設定してあるし、危険度が高い物は直径4mの球状の結界を作り出してからの、自壊+小さいブラックホールが出現して、盗人も一緒に吸い込まれる仕様さ」

 

「はぁ!?なんだよその明らかにヤバいやつ……もし誤作動したらアンタもお陀仏じゃねぇか」

 

意趣返しが出来たかと思いきや、とんでもないセキュリティの中身が翔真の口から出て出てくると奏は苦笑いを浮かべた。

 

「まあ、使用方法、保存方法、移動方法を間違えたら街一つが更地になるヤツとかあるからねぇ……その位のセキュリティは必要なのさ。

 もし誤作動した時でも解除出来る安全装置はあるから、心配しなくても大丈夫だよ」

 

「いや、そんなものを初めから作るなよ…つか危ないから作るな!」

 

「それは出来ないかな。俺の使う錬金術に必要な素材ばかりだし、これから作る錬金物に必須な素材だからね」

 

「……あんな危険な目に遭うのに止めないつもりなんだな…また、沢山の血を流して、体の一部を失うつもりかよ…」

 

それだけ危険な物なのに錬金術では必要な物だからこそ、作らないと言う選択肢は無いと奏に伝えるが、奏は翔真の服の袖をギュッと握り締め、グイッと引っ張ってきた。

 顔は俯き、どんな表情をしているかは見えないが声が今にも泣きそうなくらい震えていた。

 

「アレはさ……素材不足を補う為だし、今回の錬金術に使う為の素材は過剰なくらい集めてきたから大丈夫だって。

 だから泣かないでくれ。泣いている奏より、元気な笑顔で笑うお前を見せてくれ」

 

マズった…これは、確実にマズった……奏を泣かせた原因が俺の錬金術とかなのがバレたら確実に、OTONAやらSAKIMORIだけじゃなくて響と未来もガチギレする。

 これはなんとかして納得してもらわないと…俺の貞操だけじゃなくて命も危ういぞ…

 

「じゃあ、危険な錬金術を絶対に使わないって約束してくれるか?」

 

「……絶対に使わないって約束は無理。手軽に作るヤツなら約束出来るけど、シンフォギアみたいな遺物系や神話に関係する系は生贄が必要だから絶対に無理」

 

「っ……なら、そう言うのに手を出さな「その結果、ノイズに無関係の人々が襲われててもそう言える?」それを言うのはズリィぞ……あたしがそれを言われたら何も言えないのが分かって言っているだろ」

 

ギュゥゥっと服の袖が伸びてしまいそうな出来そうなくらい強く握られた上、手の甲に雫が落ちてくるも奏からの願いには頷けなかった。

 

「ノイズを消すには遺物か、神話に関係する物が必要だ……それを人工的に創り出せるのは俺だけ。他の錬金術師が一生を捧げたとしても、その境地にまで辿り着くことは不可能だ。

 もしも辿り着くとしたらあの裸族かその仲間か、あの子くらいだ……だからこそ、俺以外が創り出せるようになり、悪用しようとする奴が出る前に出来るだけ数を揃えなきゃならないんだ…」

 

「でも……そうなったらアンタの最後はどうなんだ…あたしだけを残して父さんや母さん達みたいにまた、消えるのかよ…」

 

「それこそ核爆発に巻き込またり、宇宙空間に放り出されない限りは有り得ないな。

 俺は奇跡を創り出す道化だぜ?死んだと思わせて実は生きてましたってのは十八番だ。だからこそ、奏が掴んでいる服の袖は俺が着てる服の袖かな?」

 

ポタポタと手の甲に落ちる涙が嘘泣きでは無いと物語っていた。

 だからこそ、奏は翔真の行動を止めたかった。あの日、両親を無くした日の絶望を二度と味わいたくはなかったからだ。

 そんな奏の心配を他所に掴んでいた服の袖は果たして翔真が着ている服の袖かと聞くと、手首を掴もうとするが手首は掴まさらず、バッと正面を向けば翔真が椅子に座っていた。

 

「えっ?あっ!!いつの間に!」

 

「んじゃ、そう言う事だから後はよろしくね〜」

 

「ちょっ!このやろっ!待ちやっ!また逃げやがって!」

 

ヒラヒラと手を振りながらニッコリ微笑むと霧のように体が霧散すると、近くにあった枕を先程まで翔真が居た場所に八つ当たりする様に投げるのだった。

 

________________

 

「久々の工房だね〜。相も変わらず綺麗に掃除されてるって事は……アレはちゃんと動いているようだ」

 

真っ白な室内に陣が出現し、そこから現れては全身で伸びをしてから室内を見回せばホコリは1つも積もっていなかった。

 

「さてと、早くコイツを活性化させて……新しい聖遺物を創り出すより優先して作って奏の為に新しい武器を作らないと…」

 

「お久しぶりで御座います、マスター。8ヶ月と17日と20時間と4分38秒ぶりですね。奥様達とのイチャラブ生活に嫌気がして籠りに来ましたか?」

 

真っ白な室内の一部の壁が黒色に反転し、白い壁が扉として開けばそこからクラシックのメイド服を着たエルフ耳の自動人形が室内へと入って来た。

 

「久しぶり、グラ。そんなんじゃなくて新しい武器を作りに来たのと、必要な錬金素材を錬成しに来たのさ。他の子達は停止中かい?」

 

「そうでしたか…それは残念です。姉妹達と話しの種にでもしようかと思いましたのに………では、久々に工房を動かすのですね。

姉妹達の内、私含めた5〜7までは起動中。1〜4は休眠中ですが何時でも起動可能状態です」

 

「人の痴話喧嘩を姉妹間での話しの種にするんじゃないの…キャロルの所のオートスコアラーじゃないんだから…

じゃあ、休眠中のも起動させて工房に火を入れておいてくれ。燃料はたっぷりあるから遠慮なく炉を燃やし、錬金用の金属を錬成ておく様にと伝えるんだ」

 

ハァと溜め息を吐きながらもやり取りはいつもの事らしく、収納内から山盛りの『賢者の石』と『錬金素材』を出し、それを使用しての錬成を命令した。

 

「あら?私達の従姉妹機が居りますのね。機会があればお会いしてお互いのマスターに関して話し合いたいわ。

全機フル稼働で炉に火を入れ錬成……あの金属ですわね。了解致しました。では…私達『七罪の戦姫(セプテムヴァルキュリア)』はマスターのご命令通り、指定素材の錬成を開始致します」

 

「おう、頼んだぜ。俺はコイツを活性化させてついでに、他のも活性化させてくるから」

 

大量の燃料と素材から翔真の意図を理解したのかペコリとお辞儀をしたグラが陣を展開し、燃料と素材を宙に浮かせばそれを錬成部屋へと持っていくのを見送れば、翔真はフルボトルを活性化させる為の部屋へと向かうのだった。




翔兄の工房にて何が起きるのか。
響と未来とのOHANASIから逃げてしまった翔兄の命や如何に!

次回、オリジナルの変身アイテムが登場します

翔真の悪役ムーブ、感想は?

  • よし、もっとやれ
  • やり過ぎてビッキーと393に怒られろ
  • それよりイチャラブを見せろ
  • ヒロインを守って曇らせてしまえ
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