今回は難産気味でした
久々に悪役ムーブすると加減が分からなくなりますね…なので軽めにしました
「おっ、居た居た……お前達、良くやったな。近日中に罪人が大量に発生するから、そん時になったら狩りに行かせてやるからな。
もう少しだけ、働いてもらうぜ?あの小娘を向こうの広場の中心に遠回りしながら追い立てろ。その間に俺が広場の中心にトラップを仕掛ける。…ステイッ、ステイッ…まだだッ、まだだッ……よし!今だ行けっ!ゴーゴーゴー!!」
雨が降る中、電柱の上に立って悩んでいる表情をしているクリスから離れたとあるビルの屋上にて、猟犬達に追い付いた翔真は雨で濡れて輪郭がぼんやりと見えている猟犬達を褒めつつ次の命令を出し、タイミングを見計らって合図を出せば猟犬達はクリスの方へと走って行った。
「さ、て、と!俺も先回りしますかねぇ〜……どうやって捕まえようか…蜘蛛の糸で簀巻きにして逆さ吊りにするか、蜘蛛の巣を張って絡め取るか………いや、両方やっちまうか。
身動きが取れない状態で選択肢が実質1択しか無い提案されたらどんな顔をするのか、楽しみだぜ」
猟犬達が向かって行くのを確認してから自身も所定の位置に罠を張り巡らせる為、移動しながらどう言うタイプの罠を張るか考えていたが面倒臭くなれば両方の罠を仕掛ける事にした。
そんな事を考えている間に目的地に到着し、広場の中心に追い立てられたクリスを捕まえる為の罠を仕掛けていく。
「瀕死のリテラシー♪メカニカルに殺す♪売人や吊るワイヤーやホルムアルデヒドの通り♪乾くシナジー♪合成スイートで湿し♪高層のメガ神殿に狂乱のファンドの雨♪」
とても上機嫌に、『仮面ライダーキルバス』の姿と声で歌いながら蜘蛛の巣を張り巡らせていく。
よく見れば蜘蛛の糸が地面に張り巡らされいるのが分かるが、姿が雨粒によって輪郭しか見えない猟犬達に追い立てられ冷静に判断出来ない状態であろう獲物なら、容易く引っ掛かる程に簡素に出来ていた。
「さあ♪地を埋めつくすほど♪キミの影が産む♪狂気のパレードが来る♪キミの名の下に♪
よし、後はこれを置いて完成だな。このトラップ名は……雪音ホイホイで良いかな?」
罠を設置した後、罠の中心に袋入りのあんぱんと牛乳入りの瓶を置くと、明らかにそこに罠があると教えている様なものだった。
そして、少し離れた場所から猟犬達が吠える声とクリスの歌声が聞こえてくれば広場を囲う様に植えられている木々の中に姿を消すのであった。
「クソっ!何なんだあの犬っころ共!姿が見えねぇから何時、何処から襲ってくるか分かりゃしねぇ!」
広場の中心へと意図的に追い立てられている事など露知らず、雨で目を凝らせば何とかその輪郭がぼんやりと見える猟犬達からクリスは逃げていた。
自分を狙っている猟犬達を倒そうにも、一匹を狙えば他の猟犬達が別の方向から襲い掛かってくるので狙いを定める事が出来ず、高く飛んで上から撃ち抜こうにも頭上の電線や周囲の木々や、民家の屋根にも数匹程が自分を狙っているせいで走って逃げる以外の選択肢を潰されていた。
「チッ!犬っころ共に誘導させられちまったか…ハァ?なんであんな所にあんぱんと牛にゅっ!?」
徐々に雨が強まる中、広場の中心近くまで追い立てられてようやく、意図的にこの場所へと誘い込まれた事に気付いて逃げようとするも視界の端にポンッと、置かれたあんぱんと牛乳入りの瓶に理解が追い付かず一瞬だが思考が停止すると…
罠が起動すればクリスの両方の足首や手首にロープの様に太い蜘蛛の糸が巻き付き、動きを阻害するように蜘蛛の糸が全身に絡み付くだけで無く、糸が巻き付き簀巻きにした上で逆さ吊りにするまでほんの数秒の出来事だった。
罠にかかったのを確認した猟犬達はその姿こそハッキリとは分からないが、雨で輪郭だけ見えるその姿はまるで雨水に溶けるように形を崩し、そのまま地面に吸い込まれる様に元の場所へと帰っていった。
「んなっ?!くっそ!何だこれ!」
「やあ、やあ……この間ぶりだねぇ?イチイバルの装者、雪音クリス!
フィーネと二課からの逃亡生活を楽しんでいるようで何よりだ!」
「誰だてめえ!なんであたしの事を知ってやがる!……もしかしてっ!あの犬っころ共をけしかけたのはてめえか!」
「ああ、そうさ!この場へ来て貰う為に少々、この子達に協力してもらったのさ。
君の場合、こちらから話し掛けたとしても悪態ついて逃げるだろうから、こう言った形を取らざる負えなかったんだよ」
「誰が怪しさ満点の不審者の話しなんか誰が大人しく聞くかってんだっ!」
「おやおやぁ?そんな事を言っちゃっても良いのかなぁ?雪音クリスゥ!君にとってもだが、かなり魅力的なお誘いなんだぜぇ?なんせ……戦争と言う悪意から、この世界を救おうって話なんだからなぁ!」
逆さ吊りとなったクリスが自身の身体に絡み付き、巻き付く蜘蛛の糸の拘束を力づくで解こうと藻掻いていれば雨が振る中、『仮面ライダーキルバス』の姿で歩いて近付きながら自分へと話しかける翔真に警戒心を一気に引き上げる悪態をつくクリス。
そんなクリスの言葉など気にしていないらしく、飄々としながら自身の目的を話す為、まるで悪魔からの甘美な誘いかの如く、お誘いと言う名の取引を持ち掛けるのだった。
「ふ、っざ?!…………その魅力的なお誘いってぇ、話の中身を詳しく言えよコスプレ野郎…」
両親は死に、信じていた人には利用され捨てられたその心は傷付き、ひび割れていた。
そんな心の隙間にスルリと入り込むかの様な言葉とお誘いに心は揺れ動き、半ば興味本位で翔真の話しを聞こうとするクリスだった。
「おっ?興味を持ってくれたか…ああ、良いぜ!話してやろう!
なあ…お前さんは戦争の火種をなくしたい、戦う意思と力を持つ者を叩き潰し世界から争いをなくしたいってのがお前の願いだろ?その願い、この俺様が叶えてやるよ!
俺様が信用出来ないってなら、お前の願いを叶える為だけに俺様を利用しろ!んで、願いが叶って利用価値が無くなれば捨てればいい!俺様は何も気にしないから心配とかするなよ?
あと、今なら特別サービスとしてフィーネ自身とフィーネの目的もついでにぶっ壊してやろうじゃないか!だから、俺の手を取れよ雪音クリス……俺様と一緒に争いと言う名の病巣だらけの世界を、俺達の手で病巣を取り除き、救ってやろうじゃないか!」
「何言ってやがる……そんな事したって争いの種は無くなりやしねぇ…逆に増えちまうだろうが!そんなんで争いの種が無くなれば苦労しねェんだよ!」
話しを聞くつもりはあるらしいクリスの態度にわざとらしく、嬉しそうなモーションをとってたかと思いきや、単語だけを聞けば胡散臭く芝居がかった言葉遣いに怪訝そうな顔をするクリス。
だが、翔真の言葉を聞けば聞くほどに所々で自分が欲しかった言葉が混ざっているからか、胡散臭い誘いが徐々に真実味を帯び、目の前のコスプレ野郎を信じても良いかもしれないと無意識的に思い始めていた。
「だ、か、ら!俺様が叶えてやるんだよ!お前は今にも壊れちまいそうな心と、疲れ切った体を癒やす為に休んでいればいいのさ!
お前さんが2、3日でも休んでいる間に俺様が争いの種を全て燃やし尽くしてやろう!戦争を起こそうとする奴等を!己の欲望を満たす為に人を傷付ける奴等を全て!一人残さず、この世から消してやろう!」
「あたしは…あたしみたいな目に遭う人を減らしたいから戦ってんだ!だから休む暇なんかねぇ!
んなこと、出来る訳ないだろ!不可能だ!フィーネだって言ってた…あたしのやり方じゃ争いを増やすだけだって!
それに…なんで、なんであたしみたいな奴に手を差し伸べやがる!てめえもフィーネと同じように、あたしを利用するだけ利用して捨てんのか!」
「だから休めって言ってんだよバーカ。寝不足で休み無しで動きっぱなしの頭でまともな考えなんか出来る訳ねぇだろ?
確かに…お前の持っている中途半端な力じゃ、争いの種は減るどころか増えるだろうな。でもな……星を丸々一つ、滅ぼせる程の圧倒的な力を前にすれば話しは別だろ?俺様にはその力がある!争いの種が増える前に消し飛ばしちまう力がな!
はあ?何言ってんだか……雨に濡れて一人で泣いている子供が居んだったら手を差し伸べるのが大人だろ?
それにだ、もう相手が応えてくれないのにその相手からの愛を求め、その求めても返って来ない愛に狂い、それ故に狂ったまま自滅しかけ、この星の人間と共に滅びようとしている小娘と一緒にするな」
「っ!?余計なお世話だっ!あたしの体はあたしが一番よく分かってるんだよ!
なんだよ…何言ってんだよてめえ……星を滅ぼせる程の圧倒的な力だとか…頭でもイカれてんのか?
だ、誰が一人で泣いている子供だ!あたしを子供扱いすんなっ!それに、意味わかんない事ばっかり言って煙に巻くつもりなんじゃないだろうなっ!」
「そう言うなら、これ以上は何も言わねぇから好きにしろ。
俺の頭は至って正常さ……ただ、お前は俺の力の片鱗しか……いや、片鱗さえも見ていないかもな。
実際、子供だろう?まあ、意味わかんない事ばかり言っていると思っているなら、そう思えば良いさ。で、雪音クリス…お前は俺の手を取るか?それとも払いのけるか?」
翔真の言葉の所々にクリスが欲しかった言葉が巧妙に混ぜ込まれ、徐々にクリスの思考が誘導されて行く。
それでもクリスの思考を完全に誘導しきれていないのか、はたまた意図的に思考を完全に誘導するつもりが無いのか…それもあってか翔真から差し伸べられた手を見てキッ!と睨みつけるのだった。
「本当、なんなんだよてめえ……わっけわかんねぇ事ばっかり言いやがって…
てめえの手を取るかどうか以前に、さっさとこの拘束を解きやがれ!手を取る以前の問題だろ!」
「おっと、失敬失敬……すっかり忘れていたよ。えーっと…ここをこうして、あーして…こーやって…ほいっ、これで動けんだろ?」
差し伸べられた手を取る前に自分の拘束を解けというクリスからの要望に、忘れていたなんて言う翔真の言葉に苛立ちを隠せなくなり始めているクリスだが、空中に何かを描く様に手を動かす翔真がパチンッ!と指を鳴らせば逆さ吊りの状態から何故か反転し、首から下を拘束していた糸が霧散する。
「それで…改めて俺の手を取り協力関係を結ぶのか、それとも手を払いのけて協力関係を結ばない方を選ぶか?」
「んなの…………てめえみたいな怪しさ満点なコスプレ野郎の手なんか取る……わけねぇだろ!
確かにてめえの提案はあたしからすれば魅力的だったけどな…あたしの目的を達した後、てめえは必ずあたしの敵になる!その手を取ればあたしは、てめえの描いた本当の計画の共犯になっちまうんだろ!だから、その手は取らねぇ!」
拘束が解かれたクリスが自身の体を手で払いながらも差し伸べられた手を掴むかと思いきや、差し伸べられた手をバシッ!と払いのけた。
そしてクリスは自身の思いを、考えを口にして目の前の翔真に眉間に向けクロスボウの引き金を引こうとすると……
「クククッ…アーッハッハッハッハッ!フハハハハハハッ!ハッハッハッハッハッ!いいねぇ!いいねぇ!選択肢を間違えりゃあ、地獄行きの片道切符を手にするかもしれねぇのに!それでも臆さず己が正義を押し通すとはなぁ!自分の正義を真っ直ぐ貫く為の勇気!これだから、人間ってのは面白い!」
「っ!?な、な、なんだよてめえ!急に笑い出しやがって!気色悪ぃ!」
クロスボウを向けられているのに突然、大声で笑い出す翔真。
キルバスの声も相まってか、狂った様に笑っているみたいに感じ取れてしまうのもあり、クリスも引いているらしくその気味悪さに後ろへと後退していた。
「フッフッフッフッフッフッ……ああ、合格だよ、合格。見事、合格した君にはコイツを進呈してやる」
「何が合格だっ!…なんだ、コレ?こんな玩具なんか要ら「玩具とは酷いなぁ……それを肌見放さず常に持ち続けよ?どうしようもないくらいのピンチになったら、大声で呼びな……『エボルト』ってな?どんな所に居ても、俺様が助けに行ってやるよ」はぁ?あたしにこんな玩具を四六時中持ってろって言うのかよ!?」
しばらく大笑いしていた翔真が漸く、笑うのを止めるとパチパチと拍手をしながら合格だと言って奏に渡したのと同じ空のフルボトルをクリスへと向かって投げ渡す。
それを反射的に受け取るクリスも使用方法が分からないからか、ボトルを試しに振ってみるとカチャカチャ鳴るので玩具だと思って投げ返そうとする。だが、それに被せる様に翔真が喋り始めると投げ返すタイミングを逃してしまったらしく、ボトルを強く握り締めていた。
「だから、玩具じゃないんだよなぁ……それは言わば、お助けアイテムだから持ってろって言ってんだよ。ああ、それとだ…お前に差し入れを持って来た奴だが俺様よりは信用出来るから頼れる時は頼るんだぞ?宿無しの白猫ちゃんよ?」
「お助けアイテムだぁ?んなの要らっ?!って、誰が白猫ちゃんだ!このあんぽんたん!」
「ハッハッハッハッ!そのくらい元気があるならもう心配は要らないな!また、何処かで近々会うかもなぁ?じゃあな、雪音クリス!」
ボトルを投げ返すつもりのクリスにお助けアイテムなんだから持っていろと言いつつ、ちょっとからかえば茹で蛸のように顔を真っ赤にしてクロスボウを撃とうと引き金を引くが、何かで引き金を固定されているのか矢は放たれずクリスの意識が一瞬、そちらの方に向くとテレポートジェムを叩き割れば陣が出現し去り際の言葉を残して翔真は転移するのだった。
「くっそ!逃げやがって!あのコスプレ野郎っ!次会ったらぜってぇ逃さねぇからなっ!」
ほんの一瞬、目を離した隙きに逃げられてしまえば地面へと八つ当たりするかの様に地団駄を踏んで、次こそは逃さないと決意するのであった。
そして、転移してあの場から逃げた翔真はと言うと……
「いやー…面白かった、面白かった。さてと、カ・ディンギル……俺様の目的の為にもその力を利用させてもらうぜ?
白いパンドラパネルともう一つの黒いパンドラパネルを使うには、莫大なエネルギーが必要だからな………それに、白いパンドラパネルが使える様になれば他の世界を行き来が出来るしな」
二課内部、エレベーター側からも見える壁面に4本の蜘蛛の脚を突き刺し移動しながら、壁面に何かの文字と図形を所々に描き足していた。
「さーてと、長く熟成させた恋に己の魂を絡め取られ、愛と言う名の底なし沼に引きずり込まれ、溺れた小娘の愚行には、ひと摘みのスパイスと、ドロドロになるまで濃く煮詰めた悪意の塊を加えて……さあ、さあ!これにて道化の仕掛けは全て完了だ。
カ・ディンギルを使った時、お前が長年温めてきた計画の崩壊が始まるぜ…フィーネ?」
パッと見は気付かないだろう……いや、そもそも誰も気付くはずが無いのだ。文字は間近かつルーペ等を使って見ないと判別しにくいレベルで小さく書かれ、図形は壁面に溶け込ませる様に描き足されていたのだから。
要所要所の重要な箇所に全て描き足し終われば変身を解除すると案の定、重力に従って落ちていく。
「では…帰りましょうかね。あの子を可愛がりに……」
自然落下状態でも焦る事もなく、材料は人の大腿骨で作られ黒く染まった楔を勢い良く投げ、壁に突き刺されば最後の仕上げを完了すれば指を鳴らすと翔真を囲む様に黒い球体が出現し、その球体が一瞬で消滅すると翔真の姿は消えていた。
そして…壁に突き刺さった楔の側面に幾つかは文字化けした数桁の数字が浮かび、すぐに消えると楔が意思を持った様に蠢き液状化すれば壁の中に吸収され、内側から壁全体に広がっていくのであった。
今回はどうでしたかね?
所々に伏線やらをばら撒きましたがフィーネ戦でどこら辺まで回収出来る事やら…
では皆様、また次回お会いしましょう
オリジナルライダーでの戦闘&暴走
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両方有り
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戦闘のみ有り
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暴走のみ有り
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両方無し
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戦闘のみ無し
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暴走のみ無し