戦姫絶唱シンフォギア 333回、転生した男   作:黒色晩餐

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 いやはや、今年も暑い暑い。そのお陰で排熱が間に合わずにモンハンやってる時のPCやらウマ娘やパズドラで周回してる最中のスマホも熱くなるから冷房で部屋をキンキンに室内を冷やす始末です。
 今年の夏も去年に負けず劣らずの猛暑となるらしいので読者の皆々様も昼間や就寝中の熱中症と脱水症状にはお気をつけてください。
 尚、冷房をケチった結果、急な気温の上昇で身体が適応しきれずブッ倒れて緊急搬送された上、検査でしばらく入院までして、クーラー買って涼んでいた方が結果的には安く済んだ作者からの失敗談でした。


第33話〜ジワリ、ジワリと蝕まれる肉体。紅き蛇は何を見る〜

 そこは永遠に感じる程に長く、足元や周囲をほんのりと照らし一定間隔で設置された非常灯の光だけしかない薄暗く、真っ直ぐで一本道な廊下を一人の男が歩いていた。

 

「さて、と…今回の生贄達のお陰であの巫女の計画に横槍を入れる仕掛けは全て済んだ……後はカ・ディンギルが起動さえすれば、仕掛けた術式が起動して侵食が始まる…月の一部を破壊するくらいのエネルギーなら使わせてやる。その後はデュランダルのエネルギーは不活性化状態のパンドラパネルの活性化と俺の計画に使わせてもらうぞ、フィーネ」

 

 非常灯に照らされる男の影は人の形をしていなかった。歩みを進め一瞬、非常灯と非常灯の間に出来た影の中に自身の影が同化し、次の非常灯に照らされた影はまた別の姿をした影に変わっていた。

 そのまま長く薄暗い廊下を歩き続け、何度も別の姿をした影に変わっていく中で突然、非常口の扉が視界の先に出現すれば扉を照らす明かりは赤黒く、非常口部分的の文字は解読不可能な程、グチャグチャに文字化けしていた。

 

「たっく…相変わらずこのホラゲみたいな仕様はなんとかならんのか……」

 

 扉の前で立ち止まった男は溜め息を吐きながらもドアノブを掴みガチャガチャと数度ノブを回すと、扉のみが崩れ落ち、新たに血のように真っ赤に染まり、所々に手形が残された扉が形成されると重苦しい音と共に扉が開かれる。

 

「マスターからの頼みでモそれは許容出来ないですヨ。此処は私専用ニ作った工房なんですかラ」

 

 扉の先は50畳程の広さの部屋ではあるが窓は無く、壁や床は黒い石材で作られ、室内は白い蛍光灯の光で照らされているが何処か物騒な雰囲気が室内を満たしていた。

 それもそうだ。一部の壁には銃や剣が立て掛けてあるがそれ以外にも様々な国で使われた拷問器具が置いてあったりするのだから。

 

「ヴィア、また拷問器具を増やしたな…使わないからコレは必要は無いと言っているだろ」

 

「いーやーデースーよー!ここ最近はちょいチょイ使ってるンですかラ。ちゃんと取引すればいイのに、騙して金だけチョロまかそうとする馬鹿を躾けるのにハ丁度いいんですヨ〜」

 

 部屋の奥にある赤黒い色をした大きな机の上には大量の紙が山積みとなっており、その山の陰から身長197cmに口周り以外は髪で顔全体が隠れ、膝辺りまで届きそうなくらい伸びたダークグリーンの長髪と、まるで医者が着ているような白衣姿で所々カタコトな言葉のまま喋る自動人形がその姿を見せるのであったが…その白衣には所々、返り血が付着していた。

 

「躾けた奴らはどうなった?」

 

「もちロん、彼等のアジトへ戻してあゲましたヨ?色々な生物や植物ト合成した後で飢餓状態にして、ネ?」

 

「アジト諸共、情報引き出す前に全滅してんじゃねぇか…」

 

「いえイえ、喰うナらボスや取引を主導しテいた者以外を喰うようニ設定していまスからゴ心配無く。生キ残ったボスの脳ミソを弄っテ情報ヲ引き出シ、資金や素材を奪っタら後は用無しでスし、躾けた奴ニ喰わせてから自壊させて証拠や遺体モ残していませんヨ?」

 

「結局は全滅してんじゃねぇか……そう言えば、俺のコピーはどうなった?」

 

「死者に口なシ、死体ハ合成素材ニ、ですヨ?マスターのコピーなラ、細胞分裂を促す溶液に浸したマスターの腕から増ヤした細胞カラDNAヲ抽出し、それを使って人工受精さセ、成長促進剤ヤ培養液を混ぜた液デ満たさレた人工子宮にテ成長させていまス。現在の細胞分裂ノ速度から予想すると、予想ヨり成長が早くて今のマスターと同じ姿に成長するまデの期間が予定シた期間より1ヶ月ハ短く出来まス」

 

 ヴィアはケタケタと面白そうに笑いながら喋っていたのだが、翔真からコピーの件を問われると真面目な雰囲気へと変わると工程を話し始め現在は何処まで進んでいるのか、どのくらいの期間で完成するかも答え始める。

 

「血肉は錬金術の糧とし、己が命も未来の為にだな。そうか…なら、短くなった期間で肉体の方を強化してくれ」

 

「わかりましタ。どノくらい強化シますか?」

 

「そうだな……ハザードレベルが6.0以上でも耐えられる身体にしてくれ。培養中のコピーの内、一体は今回の計画で俺の死体代わりに使うから4.0程度なら耐えられる仕様にしておいてくれ」

 

「でハ、『ネビュラガス』と適当な『フルボトル』が必要になりマすね…ルビが強化版『トランスチームギア』を作る為に使用中ですかラ、後で持ってこさせまショう。で、此処にわざワざ来た本来の目的ハ?」

 

「ああ、頼んだぞヴィア。完全なる神の器となる聖遺物『シエル』の肉体を作ってもらいたくてな……この血と髪の毛のDNAを使って作ってくれ」

 

 翔真は成長途中のコピーが予定より早く完成するならばと、短くなった期間を使って肉体の方を強化するようにと強化内容を伝えながら頼んでいればヴィアから本来の目的は何なのかと問いかけられる。

 その問いかけに対し、『異空間収納』から血が染み込んだハンカチと毛根付きの黒い毛髪が5本、それぞれチャック付きの小さなポリ袋に入れてある状態で取り出すとそれをヴィアへと渡す。

 

「製作期間はどのくラいですか?」

 

「遅くても1年半だ。シエルが力を使っても耐えられる肉体を製作してもらいたい」

 

「では、マスターの細胞を追加で使用シても?一般人の細胞で製作スるなら、1年半の期間デは聖遺物のパワーに耐えられル肉体を作るのは不可能デス」

 

「俺の細胞を使った割合が高くないなら好きにしろ。素材もケチらず使って肉体の強度や再生力も強化しておけ」

 

「了解シました…で、この血ヤ髪の持ち主ハ誰ですカ?」

 

「小日向…小日向未来………響の幼馴染で俺が愛している人だ」

 

「マスターの奥様の1人デ、近い将来には神にその器を奪われる娘ですネ」

 

「ああ。だから、響と未来が傷付け合わないようにする為にも…そして、あの耄碌老害ジジイの玩具にさせない為にも…例えシエルを肉体とした結果、世界が滅びかけ、それを阻止する際に俺の肉体が崩壊し本当に死ぬ事になったとしても、この計画だけは完遂させる」

 

 どうやって手に入れたのかと、その手段を聞くのは野暮だ。何せ、ある人物のコピーを作る為の素材を渡す際のマスターの顔は苦虫を噛み潰したような顔でしたから。

 アア…その顔、その顔が見たいノですマスター。我々ニは見せてくれない、その表情ヲ…馬鹿な素材達が見せル恐怖に歪んだ表情とは違ウ…愛故に何も知らせズ、守る為ニ隠す事に苦悩し、悩み続けルその表情…彼女達がトても妬まシく羨ましイ……マスターから沢山ノ愛を貰える彼女達ガ…

 

「随分ト、優しイですネ……それヲ阻止するナラ、マスターが全て解決シてしまえばイイのでは?」

 

「それをやれば世界の因果律によって修正が入るんだよ。この世界の物語が始まる分岐点まで時が戻され、この世界の住人達の記憶はリセットされる。その際、異物である俺の記憶だけは残っているが助けに行っても間に合わない場所へ強制転移又は、ラスボスより強い敵と異次元で戦う羽目になるんだよ」

 

「過去にそンな目に遭った事ガ?」

 

「最初の頃にそうなる原理が分からずにやり過ぎた結果、しくじって何回かだがな。そうなるボーダーラインは違う世界でも共通化されているみたいだからそこさえ守って、俺が敵として試練を与えたり、邪魔したりさえすれば幾らでも調整可能なのは今までの世界で既に立証済みだ」

 

 何度失敗した事か……最初の頃なんて転生したぜチートだヒャッホー!みたいなテンションで主人公やメインキャラが活躍する場面を奪ったら目の前が即、暗転して裏ボスみたいなのと死に戻りしまくりながら戦う羽目になったのはいい思い出だ。

 だからこそ、何度か検証を重ねて修正される法則を見つけてからは気を付けるようにしてんのさ…神様からのミッションをクリアしつつだがな。

 

「ソうなんですかー……中々、難しイのですね。世界に横槍を入れて救済すると言う行為ハ」

 

「その世界の主人公やメインキャラクターになったり、神様から転生特典てんこ盛りとか異世界召喚とかされた場合のみ、やり過ぎても問題無いって事とは過去に神様から聞いている。だが、今の俺はそうじゃない……そもそも、メインキャラクターになって皆と手を繋いで仲良く協力して世界を救おうだなんて…性に合わないんだよ」

 

「マスターは悪役トして立ち塞ガったり、自らの命を犠牲ニして助ける方が好きですモのね」

 

「そっちの方が俺は死んだとしてもその世界の住人は引きずらないし、俺も後腐れ無く次の世界に行けるからな………長年、転生者をやっていると神様からのミッションもクリアしつつ、転生先の世界でどれだけ心残りを残さずに死ぬかが目的にもなり始めるんだよ」

 

 俺が代わりに死んで世界が救われるってなら、幾らでも死んでやるさ。元々、その世界に存在しない筈の人間が消えて世界が正常に動き出すんだからな。

 そもそもだ、転生者や転移者ってのは世界からすれば外部から侵入してきた一種の細菌やウイルスとも言える…それらが好き勝手に暴れんだったら抵抗してくんのは当たり前の事だ。だからこそ、やり過ぎは良くねぇんだ…下手をすれば世界が崩壊すんだからな…

 

「そう言ウ割には、過去にやらかシっぱなしのままフェードアウトした事で一部の人々ガ過去のマスターに囚わレ引きずり続けテいますよね?」

 

「うぐっ…それを言うんじゃない。俺だって予想していなかった不本意な死に方で心残りありまくりだコノヤロウ。…だからこそ今回、転生先を選ぶ時にこの世界、そして…この時代にしたんだからな」

 

「デハ、立花響達との関係ハお遊びだったと?」

 

「んな訳ないだろ。響達を異性として好きって事に対して嘘偽りは無い。そもそも本来の目的はキャロルを救う事なんだが………なーんか、嫌な予感がすんだよ…」

 

「ア、昔のお弟子サんは助けてあげないノですか?」

 

「あの石頭で馬鹿で阿呆で泣き虫のチビ助など知らん。迷うなら迷うだけ迷って泣きっ面見せてから、師匠の名前でも呼んで助けを求めたら少しくらいは助けてやるかもしれんがな」

 

「ソコまでしないト助けないとは随分ト、嫌っていますネ?」

 

「嫌ってなんかねぇよ。ただ、俺はあのろくでなしクソ野郎とは絶対に手を組むなと耳にタコが出来るくらい教えたのに、組みやがったから俺から積極的に助ける気はねぇってだけだ……素材の調達に困ったなら俺の拠点に保管してた素材使えってんだよ馬鹿弟子が…」

 

「………ヤーイ、ツンデレマスター。一番可愛がっていた弟子が他の大嫌いな錬金術師と仲良くして拗ねちゃった不器用ツンデレマスター」

 

 全く遠慮などせず翔真へ対してズバズバと心を抉るような事を言うヴィアからの言葉に翔真はかなりのダメージを受ける中、昔の弟子に関する話になれば何処かイラつきを隠せていない翔真がボソリと嫉妬混じりの表情で何かを呟く。

 なんと言っていたのか聞こえていたヴィアは少しの沈黙の後、唯一髪に隠れていない口はニィィィと、笑みを浮かべながらケラケラと笑ってからかい始める。

 

「っせえ!誰がツンデレじゃい!趣味の拷問とかは目を瞑ってやるから後は頼んだぞヴィア。俺のコピーとシエルの器を作る件、間に合わせるように!それと、からかった罰としてコピーを追加で10体、今のコピーが完成間近になったら増産しろ。いいな!」

 

「イヤイヤ、今の発言はツンデレですヨ、ツンデレ。ハイハーイ!何時でも増産出来るよウにしておきますネ?」

 

 ケラケラと笑われただけでなく、ツンデレとまで言われてしまうと翔真は顔を赤くしながら当てつけのように現在製造中であるコピーの追加をからかった罰として命令するのだった。

 そもそもコピーの増産を命令されても今回と同じ工程を踏めば良いだけで、期日は定められていないのだからそこまで急ぐ事でもないのだ。現在製造中のコピーが完成間近になったら空きの培養槽で製造を始めれば良いだけなのだから。

 

「だったら頼んだぞ。あと、足りなくなると面倒だから追加の分を渡しておく」

 

「おぉ!気前がいイですね!マスターの肉と血ハ、私達にとっても大切な燃料になりマすから。少し、食べても良いですカ?」

 

 翔真がそう言うと自身の左腕を肩から切り落とし、丸々1本をヴィアへと渡せば切り落とした左腕の切り口から溢れ出す血が勿体無いらしく口を大きく開き、それを飲みながら左腕を少し食べても良いかとヴィアは首を傾げながら問いかける。

 

「1cm程度なら喰っていいぞ。お前の一口はデカいからな」

 

「一口がデカいは余計な一言デすよ、マスター。なら、遠慮なくいただきマーす」

 

 切り落とした左腕から溢れ出た血を全て飲み干した頃、翔真から食べても良いとの許可を得れば全ての歯がギラリ、と刃物のように鋭い歯で言われた通り1cm程、左腕を噛み切ればゴリッ、ボキッと骨を噛み砕きながら咀嚼し飲み込んでいく。

 その間に翔真も左腕を再生し、小さなカケラとビー玉程度しかない大きさの賢者の石を取り出すと、カケラを傷口から吹き出した血によって汚れた衣服に触れさせると、染み込んだ血の痕は消滅し切られた服も元に戻ったのを確認すればビー玉程の賢者の石を口内に含み、噛み砕いていく。

 

「ヴィア、美味いか?」

 

「うまひでふよ、マフター。んぐっ……それより、何で貴重ナ賢者の石を食べてるんですか?」

 

「最近、身体の一部を欠損する事が多いからな……死なない限りは再生すると言っても流石に、頻繁に再生しているせいでそろそろ限界が近い…欠損部位を再生させるのも無条件ではないからな」

 

「なら、欠損しないヨうに立ち回ればいいジャないですか」

 

「簡単に言うがな、変身する度に身体に負荷はかかるし、ベルトの一部は適合した人間以外にはデメリットが発生するんだ。それこそ、エグゼイド系やビルド系のドライバーとか暴走系の変身アイテムなんてモロにデメリットばかりだ」

 

「へー…そうナんですね」

 

 こんの野郎…そっちから聞いてきた癖に興味が無くなると適当に返事しやがって…こちとら常に綱渡り状態なんだぞ。ガングニールを纏った響から一発食らったら最悪、スキルが発動せずに回復間に合わずに死ぬ可能性だってあるんだ。

 

「下手したら変身解除すれば俺の身体は塵となり儚く散るんだ……だから、万が一が無いように変身中は肉体が崩壊しないように常に再生してんだ。常に負荷をかけてりゃ、どんなモノでもいつか限界が来るもんさ」

 

「あ、もう一口食べテも良いですか?最近ハ良質な素材を食べてナいからお腹が空イて空いて…」

 

 わざとらしく頭を垂れるとまるで、今にも死にそうなくらい空腹だと言わんばかりに自分のお腹を擦りながら元気の無い声を出していた。

 

「もう一口だけだぞ。それ以上を喰ったら素材が足りなくなるだろ」

 

「ハーイ。しっかし、最近は罠に引っ掛かる馬鹿が少なくなっテきたから、私達を動かす為の素材ヲ集めるのも苦労しますヨ」

 

「それに関してはもう少し待て。『デュランダル』を掠め取れさえすれば工房内のエネルギー問題は解決するからソッチに回す分の素材を使えるようになる」

 

「ワーイ、ワーイ。じゃア、男の純情を騙す結婚詐欺師が余っていたら私の所に回してクださいね?すこーし、拷問ヲして今までの罪と、お金の隠し場所を吐かせてかラ、生きたままゆっくり、少しずつ食べまスから」

 

 ゴリッ、ガリッ、ボリッ、と骨を噛み砕いてじっくりと味わいながら咀嚼するヴィアは、翔真からの『デュランダル』を奪取さえすれば工房内のエネルギー不足問題は解決する。

 その言葉を聞いたヴィアは棒読みではあるが喜び、自身のエネルギーとする為の食糧もとい、生贄の種類を指定するのだった。

 

「…………ヴィア、悪趣味だぞ。意識して食らえば食った対象の記憶を読み取れるのに一々そうするなんて…しかも生かしたままとは悪趣味としか言いようがないぞ」

 

「食べるにしても味気無い食事よりも多少ハ、ピリッとした刺激が無いと物足りないデすからね。人間の絶望や恐怖や怨みとかの不幸な感情はいいスパイスになるんでスよー?あ、でも…喜びや希望や愛情とかの幸福な感情はあまーい、あまーい、砂糖菓子みたいな味になるんですヨねー……だから、薬漬けにして幸せホルモンをドバドバっと出さセて食うのも良いかモですね?」

 

「……もう知らん、好きにしろ。罪人相手にどうしようがお前達の勝手だがな、やるなら他者からは見えない、バレない場所でやれ」

 

 過去の味を思い出しながら爛々(らんらん)としているヴィアの感性に呆れ返り、好きにしろと言いながらも『異空間収納』から『トランスチームガン』と『コブラフルボトル』と『テレポートジェム』を取り出す。

 

「もっちろん、言われなくてもそうしますヨ?マスターの義理の娘さんや、お弟子さンがここに来るようになったりした時に、見られたら大変デすから」

 

「例え、そうなったとしてもお前達の個人部屋兼工房がある場所には入れさせないように、セキュリティは強化するからな。あと、コピーの進捗に関しては逐一グラに報告しておけよ」

 

「はーい。では、マスター…ご武運ヲ」

 

「ああ…お前達も、気を付けて作業しろよ」

 

 ふざけた雰囲気だったヴィアが真面目な雰囲気に変わるとこの後に起こるであろう件の無事を祈る言葉を伝えながらお辞儀をすると、翔真も返事をしつつフルボトルをゆっくり上下に振り、蓋を正面に合わせ、『トランスチームガン』に装填する。

 

【コブラ!】

 

『トランスチームガン』から不気味な音声が聞こえるとテンポが良いが何処か不気味な機械音が鳴る。

 

「蒸…血…」

 

『トランスチームガン』を上に向け、[ミストマッチトリガー]を引くと煙が吹き出し、全身を包み込む。

 

【MIST MATCH!】

【コ・コッ・コブラ…! 】

【コブラ…!】

【FIRE!】

 

煙に包まれたまま姿が変わり、煙が晴れると同時に花火のような音と雷が周囲にほとばしり『ブラッドスターク』の姿が現れる。

 

「言われなくても安全第一の、現場ネコ案件が発生しないよウにしますよ」

 

「そうしてくれ。そんじゃあな」

 

 手に持っていた『テレポートジェム』を床に叩きつけ割れば足元に陣が出現すると起動し、『ブラッドスターク』に変身した翔真は何処かへと転移されるのだった。

 

 

__________

 

「さてと…響達はスカイタワーでフィーネが陽動としてばら撒いたノイズと戦闘中だが、もう終わる頃か………コッチでも既に襲撃が始まっているようだな」

 

 どうやら転移先は私立リディアン音楽院高等科の校舎内の何処かの屋上らしく、周辺からは銃声と恐怖混じりの悲鳴が聞こえていた。

 冷静に分析しながらも『異空間収納』から『エボルドライバー』、『コブラエボルボトル』、『ライダーエボルボトル』を取り出すとドライバーを腰に装着し、ボトルをドライバーのスロットに装填する。

 

【コブラ!】

【ライダーシステム!】

【レボリューション!】

 EVレバーを回すと『エボルドライバー』内部の発動機[EVダイナモ]が高速稼働し始め、それに合わせて2本のエボルボトルのパーツが上下に動き歌唱しているかのように稼働し始める。

 ベートーベン作曲の交響曲第九番、いわゆる『第九』と呼ばれる曲に酷似している待機音が流れ始めると、[ファクトリアパイプライン]が前後に展開され、その前後にそれぞれのボトルのハーフボディが生成されるがハーフボディには黒いモヤがかかり、更には黒い煙まで噴き出し始めると前後に展開された[ファクトリアパイプライン]の外側、翔真の真後ろに合計3つの[EVライドビルダー]が現れる。

【Are you ready?】

「変、身」

 翔真が両手を自身の胸元付近で交差させ、手前にゆっくりと突き出せば展開された[ファクトリアパイプライン]が翔真を挟み、スーツが着用されると同時に黒いモヤが全身を薄く包み、その姿は赤色と紫色が混ざり合っていない宇宙のようにも見えた。

 更には3つの[EVライドビルダー]が重なり合い、まるで翔真を中心とした天球儀が形成されていくかのように見える。

【コブラ! コブラ! エボルコブラ!】

 重なり合った[EVライドビルダー]が弾け飛ぶと黒いモヤも晴れ、胸部に組み込まれている天球儀のような[アーミラリアクター]と呼ばれる特殊変換炉と額に組み込まれていた[マスタープラニスフィア]と呼ばれる測位装置がしばらく回転してから静止する。

 

「エボル、フェーズ1……ってね?さてと、雑魚を狩りつつ標的を探すとしますか」

 

 先ずは視界の先に捉えた大型ノイズを始末する事に決めれば一切の迷い無く屋上から飛び降りるのだった。

 地面へと真っ直ぐ落下していく中、標的を見つけた飛行型ノイズや小型ノイズが翔真へと突撃するが、『トランスチームガン』による銃撃で呆気なく炭化し、その身を崩していった。

オリジナルライダーでの戦闘&暴走

  • 両方有り
  • 戦闘のみ有り
  • 暴走のみ有り
  • 両方無し
  • 戦闘のみ無し
  • 暴走のみ無し
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