戦姫絶唱シンフォギア 333回、転生した男   作:黒色晩餐

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本編直前話となります

前回のライブ後、響が退院する前とした後の話になります

後半辺りから残酷なシーンがあるのでご注意ください



本編前〜実の妹じゃないのに守る価値があるのかって?兄と呼ぶならば何が何でも守るに決まっているだろ!〜

 

あのノイズ襲撃から数日が経った頃、政府から被害者の数が発表され被害者の総数8701人。

 そのうち、 ノイズによる被災で亡くなったのは全体の1/3程度であり、 残りは逃走中の将棋倒しによる圧死や、 避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死であることが、 週刊誌に掲載されると、一部の世論に変化が生じ始める。

 そして、複数の同じ姿をした、緑色の人物が避難路を確保したり避難誘導をしたりノイズから守ったりしていた事もその後で、週刊誌に掲載されたり報道されたが時既に遅かった。

 死者の大半が人の手によるものであることから、 生存者に向けられたバッシングがはじまり、 被災者や遺族に国庫からの補償金が支払われたことから、 苛烈な自己責任論が展開されていくのであった。

 その時、とある人物が今回の事で緊急記者会見を行うとの知らせを受け、大勢のテレビ局の報道陣やカメラマンが集まっていた。

 

「皆様、お集まり頂きありがとうございます。

本日は私、伊吹翔真からこの場を借りて皆様にお知らせしたい事があってお呼びしました。

ツヴァイウィングの公演中に認定特異災害ノイズが大量発生した一件についてです」

 

スーツ姿で登場する翔真の顔にはガーゼが貼られていたり、頭には包帯が巻かれていたり他に見える場所にも細かい傷が痛々しく残っていた。

 記者会見を開いた理由を言えばカメラマンがフラッシュを焚いて写真を撮ったり記者達から質問攻めが始まる。

 

「言われない誹謗中傷を受けるからと社長達には隠すように言われましたがあの日、あの場所に私も居ました。

確かに週刊誌に掲載された事に間違いはありません……ですが!あの惨劇を直に見た私からすれば現状の生存者達に対する、苛烈な自己責任論は行き過ぎだ。

もし、あの場で生き残った人達全員が罪人だと言うならば、誹謗中傷を続けなさい」

 

衝撃の発言に会場が騒がしくなる中、翔真の雰囲気が変わったのを察した記者達が静かになればマイクを持って翔真が喋りだす。

 

「そして、「あのライブに行かなかった『人殺し』じゃ無い自分は人を殺して、生き残った生存者を誹謗中傷しても良いんだ!」とか、「俺は、私は、あのライブで死んだ人達のためを思ってやっているんだ!」とか、そう言った免罪符を勝手に作り、生存者を追い詰めるならば好きなだけ、満足するまでやれば良い……そうすればお前達も『人殺し』の仲間入りだ」

 

何時ものテレビで話す時と同じ声のはずなのに、何故かその声はとても酷く、重く、暗く、更には殺気も混じっていると記者も、テレビ越しの視聴者さえも錯覚するほどだった。

 

「傷を負った人を追い詰め、自殺へ追いやったり、その人や周りの人生を壊す行いをする以上、お前達が言う、生存者は『人殺し』と同じ場所に立つのだと覚悟しろ。

正義の暴力を振りかざし、他人を嬉々として傷付ける愚か者は必ず報いを受けるだろう」

 

人気急上昇中で女性だけで無く、男性にも人気な筈の伊吹翔真から紡がれる言葉の一つ一つがその場に居た記者やカメラマンの中に残り、更にはテレビ越しの視聴者にさえも残った。

 ネットでは既に肯定派と反対派に分かれ、議論がなされる中、その言葉を聞いた肯定派から反対派へと移る人も出始め、肯定派と反対派の数がほぼ同じとなっていた。

 

「あと、あのライブで生き残った人が罪人ならば俺も『人殺し』の罪人だ。なら…俺は今日限りを持ってこの業界を引退する。

罪人がこれ以上テレビに出るのは不謹慎だろ?それなら、俺も出る訳にはいかない。

だが、それではい終わりは他の方々に迷惑をかけるしプロとしては恥ずべき行為だ。

なので、既に出演が決まっている番組やステージ、開催が決定済みのライブを全て終わらせ次第、完全に引退する」

 

更には突如として引退宣言。マネージャーも聞いていなかったのか驚きの顔を隠せず、予想外の発言に記者達はしばらくの沈黙の後、一気に質問攻めへと移る。

 

「残念ながら決定事項だ。生存者が罪人だと言われる限り、俺は引退宣言を覆らせるつもりは無い」

 

記者からの質問攻めに対して答えることはせず、一方的に言い放てば記者会見会場から出て行く翔真とその後に続いてマネージャーも出ていった。

 

「ちょっとちょっと!引退するだなんて聞いてないわよ!それに、あんな事を言ったらアナタにターゲットが向くじゃない!」

 

「言ってないからね。ここで誰かが言わないと生存者全員に対して、魔女刈りと同じ事が始まる……人の悪意ってのは無限に湧き出てくるものだからね」

 

見た目はやり手の爽やかイケメンのマネージャー。だが、口を開けばオネエ口調で翔真への説教を始める。

 翔真は何処か諦めた様な表情のまま何時もの口調で喋る。

 

「だとしてもよ!もう少しやり方があるわよね?」

 

「大丈夫……正義を騙って憂さ晴らしをする奴等は必ず、報いを受けるから。

そんじゃあ、俺は実家に戻ったりしてるから、収録の時は前日に電話してから迎えに来て欲しい」

 

廊下を歩き真っ直ぐ控室へと戻ればスーツを脱ぎ、別の服に着替えながら何かを知っているかの様に喋る翔真に長い付き合いだからこそ、これ以上言っても意味が無いと察すればマネージャーは溜め息を吐く。

 

「いいわ……社長にはアタシから言っておくわ…アナタって昔からその顔する時は譲らないんだから。

迎えに行く前の日と直前に電話するから必ず、出るのよ!いいわね?」

 

「ありがとう、マネージャー。

はーい。じゃあ後はよろしく〜」

 

スーツから私服に着替え、黒髪のカツラを被って伊達眼鏡をかければ何時もの調子で控室から出て行く。

 そのまま記者会見会場のあるビルから出て近くの立体駐車場に行けば料金を払い、バイクを停めてある階へと向かうためエレベーターに乗る。

指定した階に到着すればエレベーターのドアが開くと同時に早歩きで出てくれば停めてあったバイクからフルフェイスヘルメットを出し、カツラを脱ぎ伊達眼鏡を外して収納スペースにしまってから跨るとフルフェイスヘルメットを被り、エンジンをかける前にスマホを取り出し画面を見る。

 

「母さんから…………行き先変更だな」

 

メールの中身を見れば会見前に響の意識が戻ったとの連絡で、バイクのエンジンをかければ立体駐車場から出てくると真っ直ぐ響の入院している病院へと向かった。

 

「響!大丈夫か!」

 

「翔真、ヘルメット被ったままよ。外しなさい」

 

「え…ええっ!?翔兄!?…う、うん。大丈夫だよ」

 

早る気持ちを抑えながらバイクを運転し、病院に到着すればバイクを停めると母親からのメールを再度見て部屋番号を確かめる。

 フルフェイスヘルメットを被ったまま部屋へと走って向かい、ドアを勢いよく開ければ全員がポカンとする中で母親が翔真だと言えば全員が驚きの顔を見せる。

 翔真は被ったままなのに気付いてはヘルメットを脱ぐと病室に入る。

 

「ああ、良かった……響…本当に良かった」

 

「しょ、翔兄…皆が見てるよ」

 

あの時、響の胸から鮮血が散る瞬間を見てしまったからか目から大粒の涙を流し、ヘルメットを机に置くと響に近付き力いっぱいに抱き締める。

 響は自身の両親や翔真の両親に見られて恥ずかしそうにし、大人組は静かに病室から出て行った。

 

「ねぇ翔兄、あの日にライブ会場に居たのって本当?」

 

「ああ、本当だ。行くのを内緒にしてごめん………助けてやれなくてゴメンよ、響…」

 

「ううん、翔兄が悪い訳じゃないもん…翔兄こそ体は大丈夫?それに、本当に引退しちゃうの?」

 

「俺は大丈夫、そこまで酷い怪我はしてない…………引退はそうだな…このまま生存者への迫害が続くなら引退するさ」

 

病衣を着ている響を抱き締め大粒の涙を流し謝罪の言葉を繰り返す翔真。そんな翔真の背中を撫でながら慰める響からの引退するのかと言う問いかけにピクリと反応する。

 ゆっくり離れ、服の袖で涙を拭い取ってからベッドに腰掛けると響の頭を優しく撫でながら答える。

 

「私…翔兄には引退して欲しくない……ツヴァイウィングの2人と同じくらいキラキラしてる翔兄が見たい」

 

「………それは考えておく。響が退院した後も収録とかライブがあるからしばらくは引退はしないさ。

それに、生存者への迫害が無くなれば必ず復帰する。響との約束は破ったことないだろ?」

 

「本当?復帰したらまた、キラキラしてる翔兄を見せてくれる?」

 

「ああ、復帰したら必ずな。だから響、リハビリ頑張るんだぞ」

 

「うんっ!」

 

「じゃあ、約束だな。」

 

昔からこの無垢で元気な笑顔に幾度となく救われたことか…暗く沈んでいた気持ちさえ既に晴れていた。

 何時もやる約束の指切りげんまんをしてから立ち上がれば机に置いたヘルメットを持つと病室から出ていく。

 

「響ちゃんとのお話はもう済んだ?」

 

「ああ、済んだよ母さん。響のリハビリが終わって退院する前にちょいちょい戻るから」

 

「いいわよ。帰ってくる前には電話してね?ご飯多めに作るから」

 

「ありがとう。じゃあ行ってくる」

 

「Береги себя、翔真」

 

病室のドアの横で待っていた母親から、声をかけられれば軽く家族同士の会話をしてから病院を後にし、今の住まいへと帰宅するためにバイクを走らせる。

 

______________

 

「ただいま……」

 

「おっかえりなさーい☆貴方のアイドル!☆ラミエルちゃんデスッ☆」

 

「……………星を飛ばすな。さっさと帰れ。ガブリエル呼ぶぞ」

 

「もー!冗談だよ!暗くなってる翔真っちを明るくさせようとふざけただけなのにー!」

 

今の自宅へと戻り部屋の電気を点けるとソファに座っていた金髪ツインテのツルペタ幼(ryこと、ラミエルがハイテンションで挨拶してきた。

 今の状態で一番相手をしたくないのが呼んでもいないのに来やがった…後でガブリエルにチクってやる。

 

「で、なんの用だよ」

 

「いやー、翔真っちお困りセンサーがビンッビン!に反応したんでーサボ…サポートしに来ちゃいました☆」

 

「仕事が嫌になったんで俺のサポートと言う名のサボりをしに来たって事か…………まぁいい…ラミエル、俺は今から害虫退治に出かける…お前は害虫の巣を見つけろ」

 

「アイアイサー!翔真っちの可愛い妹ちゃんこと、ビッキーの家を荒らす害虫の巣でいいんだよね?」

 

「今回は生存者を狙う全ての害虫の巣だ」

 

「ヤッフー!殲滅戦だー!血祭りだー!害虫駆除だー!一家3、7、5、6、4、37564だー!」

 

「うるせぇな……少し黙ってろ」

 

『異空間収納』から『トランスチームガン』と『コブラフルボトル』を取り出せばフルボトルをゆっくり上下に振り、蓋を正面に合わせ、『トランスチームガン』に装填する。

 

【コブラ!】

 

『トランスチームガン』から不気味な音声が聞こえるとテンポが良いが何処か不気味な機械音が鳴る。

 

「蒸…血…」

 

『トランスチームガン』を上に向け、[ミストマッチトリガー]を引くと煙が吹き出し、全身を包み込む。

 

【MIST MATCH!】

【コ・コッ・コブラ…! 】

【コブラ…!】

【FIRE!】

 

煙に包まれたまま姿が変わり、煙が晴れると同時に花火のような音と雷が周囲にほとばしり『ブラッドスターク』の姿が現れる。

 

「先ずは見せしめに数人、家族と住んでいる害虫を駆除だ」

 

「はーい。翔真っちと、こう言うことするのって、249回目の転生先以降だね〜」

 

「俺だって本来は無駄な殺生はしたくないが……正義の暴力を振りかざす愚者に慈悲はない」

 

『トランスチームガン』で全身を煙が包み込み、煙が晴れると翔真とラミエルの姿は無くなっていた。

 

 

翌日の朝、生存者の自宅を特定し、グループで襲撃を企てていた肯定派の人間が突如として行方不明になる事件が全国で十数カ所、同じ日に起きたのだった。

 その日の出来事はSNS上で話題となると『肯定派神隠し事件』と言う名前で広まる事となったがそれでも肯定派が減る事は無かった。

 

___________

 

響が退院する前日の夜、響の父親は既に失踪しており母親と祖母の2人が自宅で寝ていると外に不審な3人の人影がいた。

 

「ここが生存者が住んでる家か?」

 

「ああ、確かにこの家だ」

 

「じゃあ早速正義の鉄槌を食らわせてやろうか」

 

「お〜、面白そうだな。俺も混ぜてくれよ」

 

そんな3人に混ざるように突然現れた『ブラッドスターク』の姿をした翔真。

 突然現れた人物に驚きを隠せず、リーダー格の男が殴りかかる。

 

「なんだお前っ!邪魔するな゛!?あ゛、あ゛ぁ゛」

 

「くそっ!まさかお前が『肯定派神隠し事件』の犯人か゛ぁ!?」

 

「ひっ!?お、俺は誘われただけなんだ!生存者を迫害するつもりなんてな゛ぁ゛…あ゛…か゛ぁ゛……」

 

3人の内、2人は猛毒により苦しみながら全身を分解され衣服さえも全て消滅する。最後の1人は死の恐怖に怯え、腰を抜かし一生懸命言い訳を言うも相手にされず片手で首を掴み、持ち上げれば苦しそうに呻き声をあげる。

 

「シィー……良い子は寝る時間だぜ?こんな時間に起きているだなんて悪い子だ…そんな悪い子は地獄行きだって、ママに教わらなかったか?」

 

「あ゛っ…ク゛ッ、ア゛……」

 

ギチギチと徐々に手の力を込め首を絞めていくと苦しそうに呻き声をあげ、抵抗し続ける男の首がゴキンッと鳴れば全身の力が抜ければ、ダランとなりその一生を終える。

 

「あーあ、終わっちまった……最近は根性の無い雑魚ばかりだなぁ…まだノイズと戦う方がいい運動になるぜ」

 

「わぁー、残酷ですねぇ。流石のラミちゃんもドン引きぃー」

 

「さてと、他の害虫も駆除したら帰って寝るか」

 

「え、無視ですか?虫ですか?ラミちゃんのギャグは無視しですか?」

 

「ウゼェ……どこぞのヴァカめ並にウゼェ…」

 

ここ数日はウザさマシマシのラミエルにストレス値が爆上げ状態。

 イライラしながらも片手で掴んでいる男だったモノを他の2人同様に猛毒で消滅させれば夜道を歩きながら目的地へと向かうのだった。

 

___________

 

それから更に数日後、退院した響と本当の幼馴染である未来を迎えに『ダッジ・チャージャーSRTヘルキャット』の最新モデルで車体は白色のに乗り、放課後の校門前にまで来れば2人が出てくるのを待っていた。

 

「校門前に停めてるよっと…これですぐに来るだろ」

 

響と未来の2人にメールを送ればかけていた曲の音量を下げ、窓を開けて待っていると…

 

「翔兄ー!遅くなってごめーん!」

 

ブンブンと腕を元気に振りながら走って近付いてくる響とそれを追いかける様に走る未来が近付いてきた。

 

「いいさ。ほら、2人とも送るから乗りなさい」

 

「はーい!じゃあ私はこっち!」

 

「もうっ響、翔真さんに送ってもらうんだから、礼儀として先にお礼言って。ありがとうございます翔真さん。」

 

「あっ、そうだね!ありがとう翔兄!」

 

当たり前のように助手席側に座る響にお礼を先に言うのが礼儀だと叱る未来に言われるとニコニコとした笑顔でお礼を言う響。そんな響に軽く溜め息を吐きながらも未来は後部座席の真ん中に座った。

 

「じゃあ、帰るか」

 

「うんっ!翔兄は私達を送ったら、どっちの家に帰るの?」

 

「マンションの方かな。マネージャーから明日の朝から収録だって話だしね」

 

「へぇーそうなんだ…お仕事、頑張ってね翔兄!」

 

「翔真さん、お仕事頑張ってください」

 

「はいはい。2人とも、学校で嫌なことがあったらすぐに言えよ?自分で解決しようとはせずに遠慮なく俺に頼るんだ」

 

「っ!?うん、必ず翔兄に頼るね」

 

最初は未来の家へと車を走らせながら、嫌なことがあれば遠慮なく頼るように言えば響は何か心当たりがあるらしくゆっくり頷く。

 

「私も…翔真さんに頼ってもいいんですか?」

 

「もちろん。未来ちゃんは響がお世話になってるからね。それくらいは問題ないよ」

 

「はいっ」

 

未来も遠慮がちにだが、頼っても良いのかと聞き返してくるので頼っても問題ないと返答すれば未来は嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「さてと、ここで合ってるかな?」

 

「はい。翔真さん、送っていただき、ありがとうございました。

じゃあね、響。また明日」

 

「いいって事よ…じゃあな」

 

「じゃね未来!また明日ー!」

 

未来の自宅前に到着し、車を停めると未来がお礼を言って車から降りる。

 響は元気に腕を振りながら挨拶をすれば未来もそれに応えるように小さく手を振り、家の中へと入っていった。

 

「そんじゃあ、帰っか」

 

「うん」

 

ゆっくり車を発進させればしばらくお互いに沈黙を貫くも耐えきれなくなった響から話しかける。

 

「ねぇ翔兄、また迎えに来てくれる?」

 

「響が望むなら何度でも迎えに来てやるって。だから、学校で何をされたか言いな」

 

「えっ?何をされたか言えって…何も…何もされてないよ。本当、翔兄は心配性な「気付いていないとでも?さっき言っただろ?俺を頼れって」………うん…私、イジメられてるの…あのライブの生き残りだからって…」

 

響の口からイジメられていると聞けばやっぱりなと、いった反応を見せながらも帰宅ルートから外れ遠回りをし始める。

 

「そうか……なら、しばらくは耐えろ。俺がなんとかしてやるから」

 

「いいの?翔兄の負担にならない?」

 

「その程度、負担になんかならねぇよ。だから頼って頼って頼りまくれ。良いな?」

 

「うん……翔兄が困った顔するくらい、沢山頼っちゃうから覚悟してよね?」

 

そんな響に耐えるよう言うのは酷だが、翔真がなんとかすると言えばその言葉を信じ、冗談っぽい事を言えるくらいには響自身の心にも余裕ができ始める。

 

「アハハハ…そいつは大変だ。俺が困った顔をするくらい沢山頼るか…いいぞ。

響が頼ってきた時に俺が困った顔したら、響の願いを俺が叶えられる範囲で1つ叶えてやる」

 

「本当?本当の本当に私のお願い、叶えてくれるの?」

 

「ああ、本当だ。ただし、叶えられる範囲でだからな?」

 

「うんっ!わかってるよ、翔兄!」

 

冗談っぽい事に対して冗談っぽい事で返せば響は本気だったのか、嬉しそうに笑みを浮かべる。

 そんな笑みを見てしまえば今更、冗談だとは言えず叶えられる範囲で叶えると約束した。

 そして、しばらくすると響の家の前に着けば車を停車させる。

 

「じゃあまたな、響。俺の方でも調べて、なんとかするから」

 

「ありがとう翔兄。うん、信じてるから!じゃあね!」

 

車から降りた響に車内からニコニコと笑顔で軽く手を振り返しつつ、家の中に入ったのを見れば表情がスッと変わり無表情になる。

 

「さてと……今日から本格的な害虫駆除の開始だ」

 

普段の翔真からは信じられないほどの低い声。車を発進させそのまま自宅へと戻れば『ブラッドスターク』へと変身し、その日から本格的な害虫駆除と言う名の狩りが開始された。

 

肯定派の中でも過激派のリーダー格や、最初期に煽動するような記事を書いた記者達の殆どが、沢山の人達が居る場所でいきなり、穴という穴から血を噴き出して亡くなったりする。

 更にその中には突如、重度のヤク中になった人間のような行動を取り、街中で刃物を持って暴れたりしながら最後には『ライブ会場の惨劇の被害者達に祝福を!』や『被害者達の鎮魂を願い!我が命を捧げる!』等の言葉を残して自分で首を切り裂き亡くなるといった不可解な事件が多発した。

 

最初は偶然だとか否定派の工作だと騒がれていたが、どこからか「ライブ会場の惨劇の『被害者達』を利用して生存者達を迫害した事による『被害者達』からの呪いや祟り」だとか、「肯定派はカルト宗教の隠れ蓑」だとかの噂が流れ始めると肯定派を抜け、反対派へと鞍替えする人が増えていった。

 最初の頃は多数派だった肯定派は時間をかけながら少数派へと変わっていった。

 

そして、最初の頃に響をイジメていた人達も自らの罪を認め、響に謝ったりしていたが中には性根が腐った生徒も居たらしく、響に対するイジメが更に悪質なものへ変わっていった。

 だが、ある日を境に悪質なイジメをしていたグループ全ての一家が丸ごと、食事中の状態で姿を消し行方不明となっていたらしい。

 

____________

 

そしてある日、全てのテレビ局の電波が同時ジャックされた。

 同時ジャックされたほんの数十秒という短い時間、砂嵐の映像と共に、とある音声のみが全国に流れたのだった。

 

「アイツだよ、えーっと……そうそう!『伊吹翔真』が会見でも言っていたじゃないか!

『正義の暴力を振りかざし、他人を嬉々として傷付ける愚か者は必ず報いを受けるだろう』ってさ?

実際、誹謗中傷したり実際に行動していた奴等は悲惨な死を遂げたじゃないか。

俺は待っているぞ…『正義の暴力を振りかざす愚者』が愚かな行為をする時を……そしてその愚者が葬り去られる時をな!」

 

その音声は人によっては若い女性の声だったり、中年男性の声だったり、子供の声だったりと一人一人が違う声に聞こえたらしく、録画されたその時の映像を何度再生してもノイズ音だけで音声解析の結果も、ノイズ音のみだったらしい。

 そして、SNS上ではその音声が被害者達からの警告だと拡散された事で実質、肯定派は消滅したのだった。

 





長かったですが、最後まで見ていただき感謝します。

最後辺りは『ブラッドスターク』に変身したオリ主の悪役ムーブ?と、最後の最後がホラーっぽいので終わりましたがどうでしたか?
最後のホラーっぽいやつの補足としては何故、一人一人が違う声に聞こえたり、何度再生してもノイズ音だけなのかは、ラミエルも協力して天使の力を使ったからです。

次回からは本編開始なので今回みたいな重々しい感じは少なくなります

読者にとってのメインヒロインは誰?

  • 立花響
  • 小日向未来
  • 風鳴翼
  • 天羽奏
  • 雪音クリス
  • フィーネ
  • マリア・カデンツァヴナ・イヴ
  • 月読調
  • 暁切歌
  • セレナ・カデンツァヴナ・イヴ
  • エルフナイン
  • キャロル・マールス・ディーンハイム
  • レイア・ダラーヒム
  • ファラ・スユーフ
  • ガリィ・トゥーマーン
  • ミカ・ジャウカーン
  • サンジェルマン
  • カリオストロ
  • プレラーティ
  • シェム・ハ
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