今作は作者がプライベートで制作していた小説の、アイカツ編の抜粋です。
エピソードによって時間が飛ぶので、その間にあった出来事を前書きとして掲載しておきます。
読み苦しいと思いますがご了承下さいませ。
Episode.1 「プラネットへの招待状」
一人の少女がデザイナーズフォン(現実世界で言うスマホ)のプレーヤー機能で音楽を聴いていた。左手にはデザイナーズフォン、右手にはドレスらしき絵が描かれた紙が数枚。
少女の名は「ミズホ」。戸籍上、家族が居ない「孤児」となっている。彼女は先輩の
「Land Queen」の名前を聞いて、分かる人には分かるだろう。このブランドは何代も前の「リオレイア中毒」の先輩が作った歴史があり、ミズホは部活動見学でブランドの存在を知った時、爽夏と意気投合し即刻で入部を決めたのだった。
「~♪」
ミズホは近くの席に座った。口ずさみながら、ドレスのデザインの修正をしていく。彼女にとってこの時間は、「魔法少女」という夢か現か分からないストレスを忘れられる唯一の時間だ。
「~♪」
ミズホが聴いているのはカバー曲として有名なアイドルが歌っている。悲しげな歌声だが、聴衆の心を大きく動かす力が伝わってきた。
そのアイドルの名前は「リッカ」。まるで雪のように儚い雰囲気を醸し出す、上品なアバターで活動している。アイドルなんて自分には無縁だけれど、彼女のように憧れの的になれる存在が正直言って羨ましかった。
その時だ。
「…好きなんだね、その曲」
横からクラスメイトの
「桜、どうしてここに?」
ミズホが聞くと、桜は一枚の正方形のカードを取り出した。プラスチックで出来ていて、片面にドレスが描かれている。他の文字や絵は無い。
「ドレスの打ち合わせに来たんだ。って言っても、新作はどんな感じか~とかそういう話なんだけど」
桜の言葉を聞いて、ミズホは首を傾げた。
「ドレス・・・・・?形だけじゃん。アクセサリーとか何も付いてないよ?」
「そうそう」
桜は首を縦に振る。
「この型紙に『ドレシア』の力を融合させて初めてドレスが完成するんだ。ミズホがいつもデザインしてるでしょ?」
そう言って、桜はミズホが持っているのと同じような一枚の正方形のカードを取り出した。しかし、桜が持ってるものはミズホのと違いキュートなデザインになっていて、表面には薄いピンク色のユニコーンが描かれている。下部には「ハートフルユニコーン」の文字が記載されていた。
「可愛い!じゃあ私がデザインしたドレスで、ステージに立っているアイドルが居るってこと?」
「そうそう、『Land Queen』だったら翠先輩とかね」
「へぇ」
ミズホはやっと納得した。
「アイドルって面白そうだね」
その「面白そう」というワードに、桜はミズホに顔を近づける。そして、不敵に笑ってこう言った。
「私たちと『アイカツ』しない……?」
ミズホの頭は真っ白になった。
「ア、アイカツ⁉流石に無理だよ桜!歌唱力もないし、ダンスも下手だs」
「言い訳無用!ほら、おいで!」
「ギャー!」
「・・・?」
彼女のそばに居た爽夏が、桜に無理矢理連行されるミズホを首を傾げながら見つめていた。
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ミズホが連行された先は、サークル「
「あれ、すごいボロボロだけど…」
ミズホが言うと、桜はポケットからデザイナーズフォンを取り出した。
「だって…、部員が6人しか居ないんだもの、もう廃部寸前なんだよね」
桜の声は悲しそうだ。
「それなりの戦績を残せてるのもごくわずかだし」
「そう、なんだ」
ミズホは呟く。
桜はミズホに一枚のカードを手渡した。ピンク色のカードで、上部には"
「『アイドルライセンス』っていうカード。『ミラーイン』……まぁログインするのに必要なやつ。どーぞ」
「ありがと」
ミズホはアイドルライセンスを見た。まだアカウントが登録されていないのか、アバターの画像や名前は記載されていない。
「これってどうやって登録するの?」
「えっとね」
桜は鏡の前に立ち、デザイナーズフォンにアイドルライセンスをスキャンした。その液晶にアイドルライセンスがそのままそっくり表示される。
「行くよ」
そして、デザイナーズフォンを鏡に向けた。すると、ピンク色の可愛らしいアバターが鏡に映った。
ミズホが目を丸くしている横で、桜は鏡に手を伸ばした。その動きをコピーするように、アバターも手を伸ばす。
両者の手が触れ合った瞬間、桜の肉体は鏡の中へ吸い込まれていった。
「……うわァ」
思わず声を漏らしながら、ミズホもアイドルライセンスをスキャンした。彼女の場合、自身の姿をそのまま真似たような、黒髪のアバターが姿を現した。
ミズホはその鏡に触れた。すると、まるで重力が無くなったように身体が軽くなり、光り輝きながら鏡に吸い込まれた。
~ミラーイン☆~
数秒して、ミズホは足が地面に着くのを感じた。目を開くと、サークルの部室とは全く違う、色鮮やかでポップな世界が広がっていた。
ミズホは髪を引っ張ったり、頬をペチペチと叩いてみた。現実世界と同じように、痛覚がちゃんと存在する。
「うわあ…!」
夢じゃない!夢じゃないんだ!
興奮していると、すでにミラーインしていた桜のアバター「サクラ」が近づいてきた。薄いピンクと白色のグラデーションが掛かった髪の毛が緩いウェーブになっている。
そして瞳は明るい桜色に染まっていた。
「ようこそ『アイカツプラネット!』へ」
「え、サクラ!?めっちゃ可愛い!」
まじまじと見るミズホを見て、サクラは照れた。
「ありがとう、ここで週2くらい活動しているんだ。そうそう!」
サクラはB5サイズの紙をミズホに渡した。その紙の上部には「デビューオーディション」と書かれている。
「来週、ツキイチのオーディションがあるんだけど、参加してみない?」
「へ?」
いきなり高度な話を持ち出され、ミズホはぽかんと口を開けた。
「マジでアイドルになれと……」
「本気!本気と書いてマジ!」
ミズホはとりあえずその紙全体に目を通した。
「えっと…合格基準は『制限時間内にドレシアの捕獲』?簡単じゃん?」
「……って思うよね?毎回受かるの1割くらいなんだよ。ドレシアはそう簡単にアイドルに力を貸してくれないし」
サクラは膨れっ面になった。
「さすがアイドルって感じだなぁ…。ナメてました」
ミズホは申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「私は小5で受けたけど……かなり難しかったよ」
「小5!?」
「うん」
「…………ほへー」
自分との格の違いに、ミズホは眼を回した。現実世界では同い年でも、ここではサクラの方が圧倒的に年上に感じる。
「本当にすごいなぁ、サクラって。『先輩』ってつけた方がいいかな?」
「そんなことないよ!一緒にスタエデを立て直す為の仲間なんだし」
サクラは照れくさそうに頭を掻いた。
その時、少し離れた場所から大きな歓声が聞こえた。二人が声のした方を振り向くと、大型のドームがあることに気付いた。
「行ってみよ!」
「うん!」
二人はドームへ一直線に駆け出して行った。
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ミズホとサクラはドームへ入った。熱狂する人々の間を抜け、最上階の席からステージを見下ろす。
ステージを見ると、透き通るような水色の髪のアイドルが、大勢の観客の歓声を浴びながら歌っている。
「リッカ先輩だよ、スタエデが誇るトップアイドル」
サクラは「リッカ」と呼ばれたアイドルを指差した。
「え?スタエデってことは、同じ学校なの?」
「知らなかった?今、高専部の電子科に居るんだよ」
「マジ!?さっきミラーインする前に聞いてた人と一緒だ!ファンなの!」
ミズホは感心して目を輝かせた。
『Cards out on the table, what you say? I need you, you need me, you're mine』
リッカはカバー曲「MOONLIGHT SUNRISE」を歌っている。ステージには大きな鍵と蝶の装飾が施され、リッカの美しさをさらに引き立てている。
「もうすぐだよ…」
サクラはじっとステージを見つめる。
次の瞬間、ドームの照明が全て消え、一つのスポットライトだけがリッカを照らした。それに応えるように、彼女を片手を前方に伸ばす。そこから、熱帯魚の姿をしたドレシアが飛び出した。そして高く舞い上がると、光となってリッカの胴体に飛び込んだ。するとリッカのドレスが、白銀を基調としたマーメイドラインの上品なドレスへと変わった。
それと同時に、ドーム中に光り輝く銀色の粉塵が巻き上がる。その中に大粒の泡や水面のオーラが混じり、ドームの隅々まで放たれる。
まるで現実の光景とは思えない。いや天国やそれに勝る世界があったとしても、こんなに輝かしいものなんてあるわけがない。簡単に言葉で表せないような美しさが眼前に広がっている。
「すごい!流石トップアイドル!」
ミズホは思わず拍手した。
『I guarantee I got ya!』
「キャアアアァァァァァァ!」
曲が終わると、消えた音源の倍以上の歓声が上がる。ミズホもサクラもその場に立ち上がって手を叩いた。
歓声を浴びながら観客席へ一礼するリッカの姿は、まるで大きな一輪の花のようだった。ミズホはその姿を脳裏にしっかりと焼き付けた。
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二人はプラネットからログアウトし、部室に戻った。
「私もね、こんなトップアイドルになるのが夢なんだ」
ふと、サクラが言った。
「私はまだプレミアムレアドレシアも仲間に出来ないけど、いつか一緒に二人でデュオするんだ」
「絶対出来るって!小5でアイドルになれたならそれなりの力があるってことでしょ!」
ミズホはサクラの肩を叩く。
「ま、私はオーディションに受かるかすら怪しいけどな!アハハ」
「もう、ダンス練習とかいくらでも付き合うから頼ってね」
サクラは笑うミズホに呆れながらも、そっと笑顔を返した。
丁度その時、二人がログアウトした時と同じように鏡が光った。ミズホが視線をそれに向けると、青みがかかった長髪の女子生徒が立っていた。高身長かつスリムで誰もがうらやむ体型をしているが、目元は前髪で隠れ暗い印象を与えている。
(リボンで黄色……。高専?)
制服のアクセサリーが黄色のリボン。これは「高等専門部4年生」であることを意味している。中等部の生徒であるミズホにとっては未知の領域。
「
「……あ」
(え?)
桜の言葉に、ミズホは驚きを隠せなかった。
彼女は高等専門部電子科4年生「
「あ……、お疲れ様……」
聞こえるか聞こえないかの声量でしか喋らない彼女を見て、ミズホはどこか失望してしまった。同時に、何がプラネットの中で彼女の原動力になっているのか、少々疑問と興味が湧いた。
ミズホが考え事をしている内に、六花は静かに部室を後にした。
「さ、私たちも早く終わらせてご飯食べよ」
「う、うん」
外はもう夜、皆で夕飯を食べる時間。二人は待っているであろうクラスメイトのもとへ急いだ。
皆さん、初めまして。瑠璃咲ずい(pixiv名:「みずほ」)です。今まで書こう書こうと先延ばしにしていたマイキャラ小説を書いてみました。
作者自身文才がゴミなので、分かりにくい時はpixivに掲載しているマイキャラのイラストをご覧ください。
実は、最初pixivに掲載しようと思っていたのですが、歌唱シーンを載せるとJASRACに怒られるらしいので、このシリーズだけここに載せることにしました。楽しんでもらえたら嬉しいです。
それでは、次回またお会いしましょう。