7の外伝やりてぇ!と弟と「こんな人がいたら」というバカ話から書きました。
我ながら駄文ですが消すのも勿体ないと思ってしまったので。

関西弁も丁寧語も難しいです。

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堂島の龍によく似た男

東京・神室町、豪華な部屋のソファに座り、冷や汗をダラダラと流す黒スーツ男の対面には眼帯を付けた男が座っていた。

 

「んで?」

 

と眼帯の男の声に、肩を跳ね上げ、俯いていた顔を声の主にむける。

 

「自分は桐生ちゃんやのぅて『鈴木太一』っちゅうんやな?」

 

「は、はい!!〇〇商事に務めていた、昨日クビになったただの元サラリーマン鈴木太一です!」

 

「もうちょい静かに話せや」

 

「は、す、すみません」

 

どう見てもカタギの人間には見えない男の質問に、緊張からか大声をあげてしまう。

だが何が面白いのか、ニヤニヤと上機嫌に笑いながらドウドウと落ち着かせるように男に声をかける。

 

「ワシは東城会の真島組の真島吾朗っちゅーゆんや、よろしゅうな」

 

「は、はあ?では真島さんとお呼びすれば?」

 

「ん〜、ちょい堅いけどまぁええわ」

 

何故こんなにもフレンドリーに声をかけてくるのかさっぱり分からないが、丁度いい、ここ最近の疑問を聞いてしまおう。と男は混乱した頭で判断してしまった。

 

「あ、あの〜」

 

「なんや?」

 

「その『桐生一馬』さんってそんなに自分とそっくりなんですか?ここ神室町の他に沖縄に蒼天堀、福岡でもそっくりだ〜って声をかけられたんですけど」

 

「そっくりや、双子かっちゅうくらいにな。せやけど雰囲気はさっぱりやな、ワシみたいに付き合いが長いんやったら分かるぐらい違う」

 

「そうなんですか。沖縄で会った女の子、たしかハルカちゃんって名前だったかな、その子にも似たようなことを言われました」

 

「ほほぅ?」

 

男の言葉に真島は面白そうに目を細めた。しかし男が気付く前にその表情は普段の飄々とした顔に戻る。

 

「んじゃ、そっちの質問に答えたんや。次はこっちの質問に答えてもらうで?」

 

「えぇ!?交代制なんですか!?」

 

「順番や順番、そん次はそっちの質問に答えたるから」

 

「は、はぁ。では何を話せば?」

 

「なんで自分クビになったん?昨日とか言うてたよな?」

 

「あ、あ〜それはですね」

 

言いよどむ男に真島は少しだけ威圧的に質問を重ねる。

 

「なんや、そないに言いたないんか?」

 

「いえ、そうではなくて」

 

「なら話してもええやろ?」

 

「え〜とですね、………上司を殴っちゃったんですよ」

 

「殴った?」

 

「えぇ、務めていた会社がいわゆるブラック企業ってやつでして」

 

「そんで?」

 

「結構理不尽な罵倒されたり、無茶なノルマを押し付けられたりしてたんです」

 

「ほ〜」

 

「それで一昨日、とうとう我慢の限界が来ちゃって」

 

「で殴ったと」

 

「えぇ、お腹に一撃、重いのをズドンと」

 

「やるやないか」

 

「それで悶絶してるところを頭を掴んで顔にヒザを叩き込んで」

 

「うん?」

 

「仰向けに倒れたところに馬乗りになって顔の形が変わるくらいボコボコに」

 

「ちょいマチ」

 

「へ?」

 

「一発で終わったんやないんかい」

 

「ははは、いや〜、自分で思ってたより怒り心頭だったみたいで」

 

「それで済ませてええんか?………まぁええわ、ほんでそれからどうなったんや?」

 

「それから、周りに居た三人ぐらいに羽交い締めにされて、上司は病院に、私は怒りが収まったあと家に帰されました」

 

「んで?」

 

「次の日、つまり昨日ですね。上司は入院、私は社長の息子でもある上司に大怪我を負わせたことで解雇。表沙汰にするとブラック企業だと発覚する恐れがあるからってそれなりの退職金と言う名の口止め料を渡されて終わりです」

 

「えらい話がすっ飛んだな」

 

「そうですね。私もそう思います。それで、以前から友人に進められてた神室町で遊ぼうと今日来て」

 

「たまたま外出しとったワシに捕まった、っちゅうことか」

 

「はい」

 

「なるほど、そりゃすまんかったの。折角の気晴らしに水差してもぅて」

 

「いえ、私も自分そっくりな人を知ってる人に話を聞けそうなので構いませんよ」

 

「さよか、ほんじゃ次の質問はそっちの番やな」

 

「それじゃぁ、え〜とですね………」

 

 

 

真島吾朗と黒スーツの男、鈴木太一はそこから交互に質問を重ね、幾ばくかの時間が過ぎた。

自分のそっくりさんの素性を知って顔を青ざめたり、鈴木太一のやらかしで真島が腹を抱えて笑うなどの一時を、始まり方とは裏腹にそれなりに楽しんだ二人の談笑は、真島から「お前の話、おもろかったで」と土産を渡され、黒服の男に案内されてビルから出て行ったことで終わった。

ビルに向かってお辞儀をする鈴木と、窓から眺める真島。

 

「また縁があったら会うかもなぁ。鈴木ちゃん」

 

と真島は一人呟くのであった。

 

 

 

 

仕事漬けで遊べなかった分これから日本全国を旅するんだ。という鈴木太一。

彼は知らない。のんびり旅行の途中、尾道という街で桐生一馬と出会い、波乱万丈の第二の人生が始まることを。




沖縄で遥ちゃんとアサガオの子供達と遭遇、遥ちゃんには即座に違うと判断される。
蒼天堀で絡まれてる女の子を助けたら近江連合に追い回されて渡瀬と面会、事情を聞いて解放される。
福岡ではタクシー会社社長と遭遇、「同じ顔の縁」とよく分からん理由で居酒屋で奢られる。

そっくりさんに関して頭の中は「?」だらけで神室町で外出していた真島吾朗に肩を組まれて連行され、本編の内容となります。
口調が違うという指摘は歓迎です。


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