加茂に生まれました。禪院よりマシかと思ってたら全然そんな訳なかった   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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緋獣 其の参

「血が滾ってきた……!躾の時間だよ!!」

 

【刈祓】で生み出した短刀を体内で炸裂させる……名付けるなら【刈祓:炸刃(カリバライ サクジン)】ってとこかな?それに……!!

 

《G,GUGUGUUUUUUUU…!?》

 

「再生しにくそうで大変だねぇ!!やっぱり中身の再生はしにくいんだねぇ!!!」

 

そもそもついさっきまで殆ど有効打なしだった私が突然有効打を叩き込んだ、理解できないのも無理はない。というか緋解が生まれたてだって言うのもあるかもしれない、そのうち術式の扱いだって上達される可能性があるんだ。であればこのまま対処しきれないうちに……!

 

「調伏してあげる……!!」

 

パンっと手と手を合わせる、呪血を圧縮……発射ァ!!あーー……やっぱり穿血とかは液状化で回避されるか。

 

《GU,OOOOOOOOOOOAAAA!!!!!》

 

私がやったら九分九厘どころか十割五分で全身が弾け飛ぶであろうレベルの圧縮度であろう穿血が緋解の体から放たれる。

 

「術式の扱いが拙すぎるよね、制御しきれてない赤麟躍動の時点で薄々察してたけど大方……それも自傷前提でしょ?」

 

その分コントロールが全く出来てない、術式に振り回されてるわんころ擬きには教育をしないとねぇ!!!

 

「これが穿血(本物)だよ!!」

 

圧縮、発射、そして……制御。死角からの穿血は緋解に直撃して緋解がその場から掻き消えた。

 

掻き消えた?

 

「ちょっ、えっ?」

 

これはもう赤血操術の範疇を超している。であれば緋解は…………二つ目の術式を保持している?いや、二つ以上を前提に組み立てたほうがいいかもしれなーーーーーーー待って、緋解は何処?

 

《GUGYA》

 

ーーーーーーーートスッ。

 

なんだこれ、なんか貫通してる?

 

じわじわとボロボロで、もう血で赤黒く染まった服が更に黒くなる。あ、なんだこれ緋解の爪か。

 

◇◇◇◇

殺してやる。緋解が緋禰に抱いた感情はあいも変わらず殺意に塗れたものだった。自らの殺戮衝動を満たす為に殺すつもりだった緋禰は自らの弱点を看破しそれを突いてくる……。殺意が渦巻く思考の中で漠然とそれを感じ取った緋解は()の内に秘められた殺意(術式)の一つ、『幻“虚”像(げん“きょ”ぞう)術式』を起動することを決めた。

 

『幻“虚”像術式』。本来であればこの術式は術者本人を対象に幻を生成する――――、簡単に言えばそれだけの術式である。が、緋解が扱えば話は違う。幻を生成する()()であった術式はそれこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ほどの余りある呪力により元の術式の持ち主である呪霊に比べて圧倒的な出力を発揮した。幻は質量を伴い自我を持ち……本物より本物らしく振る舞う。そして緋解は(本物)に隠れ(偽物)として振る舞う。

 

虚が消えようとも幻が消えることはない―――ーーー。

 

《GUGUGU.GGGGGGGGGGGG》

 

緋禰はゆっくりと腹部に爪が突き刺さったことを認識、理解しぽつりと一言こう言った。

 

「…………はは、驚いた。かくれんぼが得意なんだねぇ……?」

 

◇◇◇◇

あ、これ死ぬかな。多分内臓……それも肝臓がピンポイントで貫かれてる。いやーー……無理だなこれ呪力も殆ど練れないやそもそもこっちの呪血のストックほぼ0なんだよね、正の呪力云々の治癒もこれ出来ないかな。

 

「あ"……ぁ………」

 

ゆっくりと爪が引き抜かれて、ゴポって口から血が溢れ出す。力が抜けて膝をついてしまう。

 

《GUGYAGYA…GUGUGUGGGGGGG……?》

 

あんなにニヤニヤしてたのに何さその顔は……なんでそんなに悲しそうなの?おもちゃが壊れちゃったーとかそんな感じの表情?

 

真っ赤な身体を縮こまらせた緋解はさっきまでの殺意なんて感じさせなかった。むしろ可愛げすらある。手を伸ばして、そっと触れる。ありゃ、案外あったかくないや。――――あぁ、違うなこれ私の体温が下がってるのか。

 

「……噛まないの?最後の最後にいい子になっちゃって、さぁ……」

 

さっきまでの緋解ならまず間違いなくこの時点で殺されてるな、どーしたどーした。急に情緒が成長したのかな?

 

やばいなぁこんな死に際に目標立てたくなっちゃうじゃんか、『あなたを目一杯可愛がる』がメイン目標ってところかな?

 

「(まぁ、もう無理そうだけどさ?)」

 

あぁ、視界が暗くなる。体温がどんどん下がっていくのが自覚できる。さっきまで爆音鳴らしてた心臓の音なんてもう殆ど聞こえないや、力も抜けて緋解撫でてた手が滑り落ちる。

 

悔いは……無かったけど唐突に生えたね、この子残して逝くのちょっと嫌だな。声なんて出せるのかわかんないし、緋解がちゃんと聞いててそれを理解してくれるかどうかすらもわからない。

 

けど、これだけは言いたい。

 

ゴポッ(ーーーーーーーーーーーー)

 

えっ嘘じゃん。言いたいことも言えずに死ぬの?出せるかわかんなかったのは確かだけど出したかったよ?

 

「(いやなんかもう訳わかんなくなってきたな、熱いし寒いしなんか視界はさっきから暗くなったり色味が変わったりするし、血の味が口いっぱいに広がったかと思ったら血が口の中に溜まってる感覚はするのに味がしない。)」

 

うーん、緋解に色々暴言吐いたの謝りたいなぁ。…………もう一回、もう一回だけ試してみようかな?

 

「ご…め"……ゴプッ……ん"ね"………??」

 

なんかきったない音が混じったような気もするけど謝れたしもう何でも良いや、もう目もよく見えないし。

 

 

眠い。

 

◇◇◇◇

「んぇ"っ?」

 

なんか目開けたら凄い目に悪い感じの真っ赤なとこに居るんだけど、何これ地獄?えっひっろ。なんかあり得ないくらい広いし兎に角緋い、ここ何処……?

 

 




次回 『緋獣 あなたに愛を教えてあげる』

お兄ちゃんは虎杖や血塗、壊相が死にかかった時や死んだ時存在しない記憶が流れたり死を感じとりました。お兄ちゃんの術式もまた赤血操術…緋禰と血を分けた緋解も強烈に死を感じ取ったわけです。では緋禰が最後に降り立った場所とは?

緋禰の溜め込んだ呪血はどこに仕舞われていたんでしょうか?

緋く凪いだ地。その風景は果たしてどちらの『緋』によるものなのでしょうか。

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