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ハーメルンでもっと曇って(るのが)ほしいので自給自足です。
虚淵さんの沙耶とZeroとほむらちゃんとか好きですね。
とっちらかった文章ですし更新遅いです。
咄嗟に動いてしまった。
気づくとベッドの上だった。
右腕がなかった。
現在、この世界で欠損へ有効な回復魔法は、ない。
勇者との直近の約束が脳裏を掠める。
『魔王を倒したら、僧侶ちゃんとふたりで暮らしたいな。ご飯はー、任せた!』
これだと、苦労するかもしれないなぁ。柄にもなく、少し目が潤んでしまう。
私たちのパーティーには、斥候も魔法使いもいない。今は、ふたりだけのパーティーなのだ。勇者パーティーは複数存在するが、帝都に遅れて行った私たちは、余り者で組まされた。
まあ、相手が快活でかわいい子たちだったので、私も嬉しかったけど。三つ編みの似合う勇者は、私より二歳も下なのに、私より頭一つ背が高かった。
違う、別に私が小さいわけじゃない!
うーん。最初は身長のせいで年下なのに子供扱いされてイラっとしたけど、人助けしてて帝都に遅れた勇者は世間知らずで、少しだけ、揶揄ったりもしてしまった。
度が過ぎたときがあって、その時は珍しく怒られたけど。
おっと、こんな思いは私らしくない。
今回の敵について。彼女が手間取ったのは、相手の悪辣さ故だった。大して強くもない兵士の侵入を許した。絶対に通してはいけない敵を殺せなかった。どちらも、相手がかつての味方の肉体を操っていたからだ。毎回こんな敵ばかりじゃない。今回は本当に相性が悪かった。無差別に苗を植えつける黒魔道師に対して、全てを守ろうとする勇者はあまりに無力だった。
彼女も、私が腕を失ってから己の甘さに気づいたらしい。看護師からは、まだ命のある「かつての味方」を斬っていたと聞いた。彼女がひどく塞ぎ込んでいたとも、聞いた。
彼女の甘さは私が原因だ。私が、彼女を傷つけたくなかったからこそ、今まで過保護に立ち回ってきたのだ。道中の賊は私が殺した。拷問でもう助からない捕虜たちも私が殺していた。
今の私みたいな傷が幾つもあって…などと自嘲する。
トントン、扉を叩く音がする。
「どうぞ」
「良かった〜!目が覚めたんだね!ほら、魔力回復ポーションだよ!」
「今起きた所だから。もうちょっと静かにして」
「はーい」
あれ…?扉を開けた瞬間だけ、勇者の笑顔に陰りが見えたような気がしたけれど、気のせいかな?今は、怪我人に対する態度ではないほどの明るさ、笑顔だが、それが彼女の魅力である。私も対応こそ冷たいが、彼女のことを嫌いにはなれない。
「ところで、なぜポーションなの?別に私、魔法を使う用事、ないけど…」
「え?いやだなー!」
勇者は当然とばかりに胸を反らした。
「その腕を治さないとじゃん!」
「え…」
「だって、僧侶ちゃんは国内最高峰の僧侶なんでしょ?普通のお医者さんは治せないみたいだけど、僧侶ちゃんなら」
「私も、この腕は治せないよ」
空気が凍った。
「冗談やめてよ…僧侶ちゃん、そういうの面白くないよー?」
「冗談じゃない」
「またまたー、前にあたしを騙した時だって」
「だから!冗談じゃないって!もう治せないんだって!」
これだけ時間が経っていると、魂の形が変わるとか自然治癒では治らないからとかの、至極真っ当な理由で、回復魔法は効かない。切れた腕があれば良かったけれど、そもそも今回は消し飛ばされた。
察しの悪い勇者に、つい苛立ってしまった。すぐにはっとなるが、もう遅い。いや、勇者に元一般人とかを殺させちゃった時点で、私の目標『勇者を絶対に傷つけない』は失敗だけど。
もう少し、時間かけて伝えてあげたら良かったかな。
いや、勇者だって本当は気づいてたんじゃないだろうか?腕が治らないこと。それなのに、我儘な子だ。
「そ…うなの?」
「ごめんなさいね。こんなことになってしまって」
勇者の、力が抜けた手がポーションを床に落とした。勇者の瞳の光は消えないけど、なんだか弱くなったようにも見えた。
そのままこちらに来て、抱きつくように私の服に顔を埋める。
「ちょっと、痛いんだけど」
「嘘…嘘嘘嘘…嘘だって言ってよ」
「大丈夫。あなたががんばってくれたお陰で、私は生きてる。それだけで十分じゃない?村も守られて」
「こんなの…こんなの嫌!なんで、私たちがこんな目に…」
「落ち着いて。息を深く吸って、深く吐くのよ」
「無理!」
「落ち着くのよ。スリープ」
私は勇者を眠らせた。
ふと、私の中に知らない感情がある、そう自覚した。
私にすがった彼女に、私は下劣にも興奮したのか?今まで、守ってきた彼女に対して、私は…。
これ以上、考えてはいけない。考えてはいけないのに、頰が緩んで仕方がない。
私は狂ってしまったのだろうか?
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