という訳で無法都市編開幕!
※本章から補助的にAIを使い始めました。
物語や基本となる文章は自分で書いて、地の文だったり、良い感じの描写が思い浮かばない場合、また推敲する際にAIを使ってます。
AI文章の使用比率で言えば、20%あるかないかだと思います。
第1話 いざ征かん無法都市
ブシン祭が終わって幾ばくかの時が過ぎた。
あ、ブシン祭は何やかんやで姉さんが優勝した。
僕──というよりも、オイボレーノ・クソジージ改めシャドウが引き起こした騒動によって一時は大会そのものが中止になりかけたけれど、国の威信を賭けた大会という事もあって、オイボレーノを失格処分として、アイリス王女と姉さんで決勝を行おうって話になったんだけど、肝心のアイリス王女がコンディション不足を理由に棄権した事でブシン祭優勝者は姉さんになった。
「シド、ちょっと付き合いなさい」
当然と言えば当然なんだろうけど、こんな形で優勝した為、姉さんはとっても不機嫌だ。
「えぇ〜〜めんど」
「問答無用」
姉さんは急に僕の寮に現れては無理矢理首根っこを掴まれて庭に連れ出された。
姉さんの手には2本の木刀──その片方が僕に投げ渡された。
それを受け取ると同時に姉さんが斬りかかってきた。
「うわっ!?」
僕は大げさに転んで偶然木刀を避けた様に装う。
「いきなり何すんだよ姉さん」
「八つ当たり」
そりゃ酷いと思いつつ、僕は立ち上がり姉さんと斬り合う。
カッカッカッ!と木刀がぶつかり合う軽い音が庭に響いた。
姉さんの動きはいつもより荒々しく、攻撃は直線的だが力強さが増している。
「今日って、確か商会連合だっけ、なんか凄いお金持ちの人達とパーティーじゃなかったけ?」
「そんなもん断ったわよ」
「それ、大丈夫?後が怖くない?」
「大丈夫よ。向こうも運だけで優勝した私と無理にコネクション作る気もないらしいし。私の代わりにアイリス様やベアトリス様、アンネローゼとのコネクションを築こうと躍起になってるわよ──こないだの王城でのパーティーでも、私をそっちの気にアイリス様達の方に輪が出来てたしッ!」
その言葉と同時に剣戟が激しくなった。乾いた音が鋭い破裂音に変わり、木刀同士が激しく擦れ合う。姉さんの怒りは明らかに剣先に乗り移っていた。
運も実力の内って言うし、何なら運も絡む商売業の人たちからしたら幸運の女神的な姉さんとのコネクションを築きたいと思うんだけどな。
そんな事を考えながら、僕は姉さんの機嫌が治るまでサンドバックになった。
「ふー、スッキリした」
「それはようござんした」
こっちは全身痣だらけだよ。僕じゃなければ骨何本か折れてたんじゃないかな?
「どうやら鍛錬は怠っていないようね」
「まーね」
「その調子で励みなさい」
「はーい」
「私は秋休み王都を離れるけど、私がいない間も鍛錬を怠らないようにね」
「へー」
「何処に行くのか聞きなさい」
「え、興味ない」
「そう、どうやら鍛錬が足りないようね」
「ど、何処に行くの!?わー!ボク、キニナルナー!」
「無法都市よ。そこで血の女王の討伐を行うみたいだから参加しに行くの。アンタも来る?」
「吸血鬼の祖だっけ?んー僕は良いや。お土産期待してるよ」
「ええ、血の女王の首を持って帰るわ」
「それは要らないかな」
陰の実力者コレクションとしては少し興味はあるけど、欲しければ自分で取りに行くかな。
しかし、無法都市か……思い返せば行った事ないな。
血の女王の討伐とかいう面白そうなイベントがあるみたいだし、この機会に行ってみるかな?
行くなら、シド・カゲノーとしてではなく、ブシン祭の時みたく、変装して行くかな?
そんな事を考えながら、寮に帰るとコソコソと寮を抜け出そうとしているジャガと、何故か全身真っ黒に日焼けしているヒョロの姿が目に入った。
「何してるの?」
「うおっ!?びっくりした。なんだシドか」
「驚かさないで下さいよ」
「っで、何してるの?」
「おお、実はこれから無法都市に行こうと思ってな!」
「無法都市?危険じゃない?」
道中魔物や盗賊が多く湧くって聞くし、ヒョロとジャガで辿り着ける様には思えないかな。
「ええ、勿論承知の上です。だがしかし!」
「無法都市には命懸けでも行く価値がある!」
「それって?」
「「 童 貞 卒 業 ! 」」
「魔剣士学園の校則では在学中、娼館に通ったり、売春行為は一発停学……悪ければ退学もあり得る!」
「しかーし!無法都市にまでは学園の目が届かない上、俺ら貧乏貴族でも手が届く格安娼館が立ち並ぶと言う話です!」
「「僕ら/俺らが望むフロンティアが無法都市にはある!」」
「……ふーん。頑張ってね」
ヒョロとジャガともここでお別れかな。
新しくつるむモブキャラ探さないと。
2人の間を通り抜け、部屋に戻ろうとして両肩をヒョロとジャガに掴まれた。
「おやおや〜?どこに行こうとしてるのですか?シドくーん!」
「俺ら親友だよな。ならば共に征くぞ!囮……じゃなくて、金蔓……でもなくて、旅の仲間は一人でも多い方が良いからな!」
ヒョロの奴、さては道中魔物が出たら僕を囮にして逃げる気だな。EDになるように魔力弄ってやろうか?
「「いざ征かん!無法都市!夢の童貞卒業の旅へ!!」」
まあでも、無法都市に行く理由付けできたし良いかな?
僕は半ば引き摺られる様にして王都を後にした。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
(──臭い)
それが無法都市に足を踏み入れたクレアが最初に抱いた感想だった。
呼吸をする度に腐敗臭と排泄物の不快な空気が喉を通り肺を満たす。
道行く人々は皆薄汚れた衣服を纏い、中には裸同然の者もいる。
建物は廃墟と言って良い有様で、戦痕が刻まれ、今にも倒壊しそうだった。
(あまり長居はしたくないわね)
王都──それもミツゴシ商会によって近代化された都で生活した身としては、無法都市の居住環境はメンタルが削られる。
「おい嬢ちゃん!ひとりかい?」
「俺らと楽しい事しようぜ!」
下卑た笑みを浮かべた男達に囲まれる。
(面倒ね……男避けにシドを連れてくるべきだったかしら?)
クレアは男達を無視して、歩みを進める。
「おい、無視すんなよ」
男が肩を掴もうとし、クレアが手を振り払う。
「てめぇ、調子に乗んなよ!」
その事に男は激怒し、襲い掛かろうとする。
クレアは剣を抜き応戦しようとして──
「おいおい、女一人に二人がかりか?そりゃ男としてどうよ?」
冷たい金属音と共に一本の槍が間に割って入った。
「なっ、いつの間に!?」
「てめぇ、何もんだ!?」
「てめぇらに名乗るほど、安い名はしてねーよ。さっさと失せろ。これ以上の問答は死体が転がるだけだぞ」
「ひっ……!」
「お、覚えてやがれ!」
槍使いの男の眼光に、男達は怯みその場を去っていった。
「礼は言わないわよ」
「いらねーよ。そんなもん。俺はただ、血の女王討伐前に下手な騒ぎを起こしてほしくなかっただけさ──そう言えば言い忘れていたな。ブシン祭優勝おめでとう」
ブシン祭──その言葉にクレアは眉を顰め、槍使いの男──ランサーを睨んだ。
「おいおい、そう睨むなよ。皮肉じゃねーぞ。真心で祝ってんだ」
「はっ、運だけで優勝した事に?」
皮肉にしか聞こえないわねと、クレアはランサーを睨んだ。
「そう卑下すんなよ。ブシン祭本選に勝ち進んだだけでも名誉な事なんだぜ。俺なんか予選敗退だよ……」
「貴方こそ、自分を卑下し過ぎじゃない?予選でシャドウと当たったんだって?それがなければ貴方も本戦出場は確定だったでしょう。相変わらず運のない男ね」
その言葉にランサーは苦笑しながら髪を掻き上げた。
「俺に運がないのは百も承知さ、だからこそ、俺の不運で引き寄せる困難を自力で跳ね除けられる様に鍛えてんだ。予選突破できなかったのは力不足が原因だ──それに本戦を突破した所で待ち受けるのは世界各地で名を連ねた強豪達だ。仮に俺がお前さんと同じトーナメント表で戦っても、準決勝まで勝ち残れたか怪しいもんだ」
それは偽りのない本心だった。
ランサーは魔剣士学園の生徒でありながら、既に騎士団に入団している若手有望株とされているが、それは=学園最強という訳ではない。
在学中のローズには負け越していたし、クレアとの模擬戦も互角──実戦経験の差から僅かにランサーが有利と言えるが、2人の実力に差は殆どない。
「女神の試練では辛勝ながらも古代の戦士を撃破、ブシン祭では決勝こそ優勝候補筆頭のアイリス様の棄権によって優勝したが、準決勝まで勝ち抜いた実力は本物だろ。こちとら女神の試練で無様晒した上、ブシン祭では予選敗退してんだ。そう卑下されると、こっちの立つ瀬がない」
「…………」
そう言われてはクレアも黙らざる得ない。
実力は互角でも、実績ではクレアに分配が上がる。
「分かったわ。認めて上げる。私の方が圧倒的に格上ね。これからはクレア様って呼びなさい下僕」
「オイ待て、誰が下僕だ」
「あら、サーヴァントの方が良かったかしら?」
「誰が使用人じゃい。家の位で言えば俺の方が上だぞ?」
「あら、実力でも実績でも勝てないからって、家柄を持ち出すつもり?家の品位が問われるわよ?ランサー・ガーシンダ様?」
「コイツ……!」
ランサーは額に青筋を浮かべた。
「つまり、女神の試練では古代の戦士を呼び出しながら敗北、ブシン祭では予選敗退──この悪い印象を払拭する為に血の女王討伐という功績を欲している訳ね」
図星を突くクレアにランサーは「ああ、そうだよ。その通りだよ。たっく、可愛げのねー奴だよ、お前は……」と答えた。
「そう言うお前は、運だけでブシン祭を優勝したという風潮を払拭する為に血の女王に挑むのか?」
「ええ、そうよ……悪い?」
「いいや、悪かねーよ。要するに俺達は同じ目的で命懸けの作戦に参加する同類って事だ。これから命を預け合う中だ。仲良くしようぜ」
そう言って手を差し伸べるランサー。
クレアは怪訝な表情を浮かべつつ、少なくとも見ず知らずの魔剣士達よりも、人となりを知るランサーの方が信頼はできると考え手を取った。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
無法都市へ向かう道中、僕達は魔物に襲われたり、盗賊に襲われたりしたけれど、腐っても魔剣士学園に通う魔剣士3人が居るわけで──
「ヒャッハー!汚物は消毒だ!」
「身包み置いていくのです!」
「うん。どっちが盗賊か分かったもんじゃないね……」
多少危険な場面はあれど、僕らは無事に無法都市へと辿り着いた。
もしかすると、僕が居なくてもヒョロとジャガは無法都市へ辿り着けていたかもしれない。
少しだけ、彼らの事を見直す──
「「うっひょーい!遂に着いたぞ!我ら童貞卒業のフロンティア!!」」
──必要はないね。うん。ヒョロとジャガはヒョロとジャガだ。
無法都市へと足を踏み入れると、そこには吉原遊郭を思い起こさせる和風建築物が建ち並んでいた──またガンマ達が何かやってんのかなと僕は訝しんだ。
「いらっしゃいまし〜」
「お兄さん達、安くしておくから、うちによっていきんなし〜」
格子窓の奥から着物を着た遊女達が手招きする。
「「うっひょぉぉぉぉぉ!!」」
ヒョロとジャガが鼻を伸ばす。
「いくら?」
僕が値段を聞き、差し出された値段表を見てヒョロとジャガが顔を強張らせた。
この遊郭はちょっと位が高い場所だったらしい。
ヒョロとジャガは血涙を流しながら、自分達の身の丈に合った遊郭を探し歩いた。
「ひっひっ、うちは安いよ。どうだい?よってかないか?」
角を曲がったところで、老婆が現れた。皺だらけの顔に紅を塗りたくっているのが妙に生々しい。
「「……」」
ヒョロとジャガの表情が強張る。
「いくら?」
「一発2000ゼニーさ。口でもま〇こでも好きな場所に出して良いよ」
「だってよ?」
「いやいやいや!ないですよシド君!」
「精〇どころか精魂まで吸い付くされそうだ!」
「おやおや、嬉しいね。こんな老婆相手に腟の締まりが良さそうだなんて……」
「言ってねーよクソババア!!」
「ストライクゾーンの広い僕でも流石にゾーン外ですよ!申告敬遠するレベルです!!」
という事で別の店を探した。
「そこのお兄さん達。よければうちに寄っていきませんか?」
鼠色の衣を羽織った客引き男が現れた。彼はニタニタ笑いながら片手で手招きする。
「うちの遊女たちは“訳あり”なんでね、超特価!なんと一発1000ゼニーから。しかもNG行為なし!」
ヒョロとジャガが顔を見合わせる。
「あー、良いよそう言うのは」
「どうせ、老婆の遊郭ってオチでしょ?」
「いいや、うちには十代から二十代までの遊女しか居ないよ。ロリっ子に、獣耳娘、エルフまで幅広い娘を格安で提供できるよ」
「マジで!?」
「最高じゃないですか!」
客引きの男の案内にヒョロとジャガが浮かれた様子で着いていく。
しかしまあ、安いという事はそれ相応の理由がある訳で、今回もその例に漏れなかった。
客引きの男に連れられて通された遊郭に並ぶのは、骨が浮き出るくらいに痩せ細ったロリっ子、片耳を欠損したケモ耳娘、虚な瞳で天井を見つめるエルフ──
「おいおいおい、ヤベー所なんじゃないのか?ここ」
「違法遊郭だったりしません?ここ」
訳ありのレベルが想像以上だった事に怯えた表情を浮かべるヒョロとジャガ。
そんな2人に客引きの男は微笑んだ。
「ははは、面白い事を言いますね。大丈夫ですよ──この無法都市に法律なんてありませんから」
「「ひぃ!?」」
他の都市なら違法って事ね。
「流石に可哀想なのは抜けないかな」
「はは、ご安心を、今は接客中でここには居ませんが、ちゃんと正常な娘も置いてますよ。訳あり娘達と比べれは少し値は張りますが、相場よりも安い金額で提供しますよ」
そう言って客引きの男が渡してきたパンフレットには、恐らくこの遊郭で働く遊女達の写真が載っていた──裸で、
「「ぶっは!」」
女性の裸体に見慣れないヒョロとジャガは鼻血を出して倒れた。この世界にはエロ本がないからこのパンフレットの衝撃は2人にとっては凄まじい物だったろう。
「ああっ……神よ……」
「我が聖典の書よ……」
ヒョロとジャガはパンフレットを胸に抱きしめながら天を仰いでいる。まるで聖遺物でも崇めるかのような有様だ。
「お客様達?」
客引き男が困惑した顔で覗き込む。
「こ、ここここ、このパンフレットって買えますか!?」
「是非とも我が家の家宝として持ち帰らせて頂きたいです!」
「残念ですがお客様──それは非売品です」
「「ぐっはぁぁぁ!?」」
まるで死刑宣告を受けた囚人のように絶望の表情を浮かべる2人。そんな2人に客引きの男は微笑んだ。
「そのパンフレットは販売はしておりませんが、当店にはミツゴシ製のカメラを用意しております。有料オプションで遊女に好きなポーズをさせて写真を撮る事が可能ですよ」
「「いやほーーい!」」
その言葉を聞いてヒョロとジャガは息を吹き返し、パンフレットを食い入る様に見つめて、どの娘を指名するのか、どんなポーズを取らせるのか猥談を始めた。
「俺はこの銀髪の娘だな。仰向けポーズから……」
「僕はこの黒髪の娘ですね。〇〇〇〇してから両脚を……」
「お、おお……だったら俺はこうやって横座りさせて腕を……」
段々とエスカレートしていく猥談に客引き男は苦笑いを浮かべている。
「貴方は指名したい娘は居ないのですか?」
「ん?僕?……うーん」
正直僕は遊女には興味なかった。
無法都市へ向かう口実作りの為にヒョロとジャガに同行した訳だし、こうして無法都市に着いた以上、目標は達している。
後は適当なタイミングで抜け出して、無法都市の観光なり、陰の実力者ムーブができればそれで良い。
けれど、ここまで来て何もせず遊郭を出るというのは、モブらしくない行動かな?
「直ぐに相手できる娘って誰?」
僕はパンフレットに夢中になっているヒョロとジャガに聞こえない様に、小声で客引きの男に聞いた。
「それでしたら、このピンク髪の娘──マリーがもう直ぐ客の相手が終わります。準備が出来次第お通しできますよ」
「じゃあ、その娘で」
「承知しました」
僕は未だにパンフレットに夢中になるヒョロとジャガを尻目に、待合室へと通された。
ここで明らかになるみんな大好きなランサー君の家名。
由来は言うまでもないよね?
ブシン祭編の時に思い付きたかった……
本章では意外とランサーが活躍するかも?
本作が面白いと思って頂けたのであれば、感想、高評価、お気に入り登録のほど宜しくお願いします!
シド君のエクスカリバーの射程は?
-
1、七陰まで
-
2、シャドウガーデン関係者まで
-
3、射程?そんな物は存在しないッ!