ゴブリン殺すべし   作:庭顔宅

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第六話

 

村を出てから数週間たった。そしてやっと街に着いた。そう村ではなく、街だ。感動した。地図が無かったのは想定外だった。ただひたすらに町で聞いた話を頼りに歩きに歩き、偶に馬車に乗ってやっと冒険者ギルドがある街についた。

 

大満足だ。これだけで達成感がある。だけどまだ休めない。もう日が暮れかけている。宿を探して、飯食って寝よう。明日は朝一に冒険者ギルドだ。

 

「へいおじちゃん、1本頂戴」

 

「あいよ」

 

注文をしてすぐさま熱々な肉が刺さった棒を渡される。空腹に促されるまま肉を頬張る。3口ほど食べたところで、俺は声をあげる。

 

「おじちゃん、この町で安くていい感じの宿知らない?安さ重視で」

 

まずは良い宿の情報収集だ。たとえ収穫がなくても、最悪の場合この焼き鳥が俺の晩飯になるだけだ。つまり何処に落ちても問題なし。

 

「ほう?」

 

そう言って屋台のおじちゃんは俺を舐めるように見た。そして満足したのか、また視線を手元に戻した。

 

「今日来たばかりか。それなら大通りを超えて曲がり角を2つほど直進した辺りに憩いの宿ってのがあるよ」

 

「ほんとう?ありがとう。もう1本頂戴」

 

「まいど」

 

晩御飯を豪華にしようと言いながら焼き鳥を2本も買ってしまった。…どうせなら限界を超えてお腹一杯まで食べるか。資金には少し余裕がある。祝いだ、ケチな事を言うのはやめよう。

 

そう思い、焼き鳥を食べながら憩いの宿へ向かった。

 

 

「ふぅ…疲れた」

 

宿に着き部屋を取ったボレアースは、部屋に入った瞬間に重い荷物を床に放り投げ、ふっかふっかなベッドに倒れ込む。

 

「あ~~~久々のベッドだ~~……っは、ダメだ。このままじゃ寝てしまう。」

 

そのまま熟睡してしまいそうな所を、なんとか理性で本能を取り戻し起き上がる。そのまま立ち上がり、腰にある2本の剣と太もものベルトを取り外す。その代わりに荷物から財布を取り出す。そして今日使うであろう金額を小袋に移す。

 

再度所持品を確認し、荷物を簡単にまとめ片付けた後、宿を出ていく。そして良い感じの酒場を探し歩く。

 

空はすでに暗かった。人工の明かりが付き、盛り上がっている声が聞こえてきた。このままでは決めらないと、直感で店を決めることにした。さっそく中に入る。

 

その酒場は2階もあり、見える範囲の席は8割ほど埋まっていた。店の外観も良く、なかなか良さそうだった。

 

「お一人様ですか?」

 

「一人です!」

 

「こちらへどうぞ」

 

店員さんに案内されるとおりに席に着く。席の場所は中央付近だった。お一人様なのに、目立ちそうな場所に案内するとは、なかなかひどい店員さんだ。まぁお一人様が悪いか。

 

「お決まりでしたらお呼びください」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

メニューを見る。やはり村のラインラップとは格が違う。どれを選ぼうかと、値段と食欲と財布と相談しながら考える。

 

その楽しいひと時は今、終わりを告げる。ボレアースは手を挙げながら店員さんを呼んだ。そして注文する。持ってきた金額の半分ぐらいまで使うこととなってしまった。だが後悔はない。おいしいご飯が俺を待っている。

 

ルンルンと自然と体が左右に揺れながら待つ。

 

だが突然、その動きは他者に止められる。

 

見知らぬ人が、一直線にこちらへと近づいて来ていた。そして遠慮も躊躇もなく肩に手を置かれた。

 

「おい、嬢ちゃん一人かい?」

 

声がする方を見てみると、見るからに荒っぽそうな三十路程度のジジイだった。正しいかはわからないが、もう顔がジジイだ。頬は赤く、洗い吐息から酔っ払い特有の酒臭さがうかがえた。そのジジイの後ろに2人ほど仲間と思われる人たちが見える。

 

「一人です」

 

「お!なかなかいい顔してんじゃねぇか!」

 

そう言うジジイは遠慮なく、席に座った。その仲間も次々に座った。

 

いわゆるはしごする、というやつなのだろうか。酒豪だねぇ。相席は構わないがもう少し遠慮という言葉を脳に刻んでほしい。近いぞジジイ共。臭い。うまい飯が不味くなっちゃう。

 

「近いですよ。少し離れてください」

 

「なんだよつれねぇ事言うなって」

 

「そうだそうだ」

 

隣にいるジジイ2人は手を伸ばせば触れるであろうほど近い。というかその内の一人が肩に手を回してきた。ずいぶんと馴れ馴れしい。村のジジイ共よりも馴れ馴れしい。これが都会か、いろんな人がいるなぁ。

 

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