士道龍聖に憑依したようだが、俺には爆発なんてできない 作:死に戻り医学生
ゲームに夢中になりすぎて、それ以外のものに全く意識がむかなくなることがある。
コントローラーを操作していると言う感覚でさえ分からなくなり、まるでイメージしたプレイが反映されてるかのような気分になるのだ。
それと同等の快感を味わうことができる何かなんて、ゲーム以外に存在しないと俺は思っていた。
この『ブルーロック』という漫画に出会い、士道龍聖というキャラクターに憑依するまでは。
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「常識を捨てろ。
ピッチの上ではお前が主役だ。
己のゴールを何よりの喜びとし、その瞬間のためだけに生きろ。
それが”ストライカー”だろ?」
その台詞を口ずさむとともに、俺は背もたれに寄り掛かり目を瞑った。
それは即ち、ブルーロック という作品を通して示される、この作品の根本原則である。
主人公をはじめとした多くのキャラがストライカーとしてのゴールを望み、御影玲王のような例外はあれど本流として扱われるその原則をもとに描かれるこの作品は、俺の心を爆発的に引き寄せた。
ゲームに没頭していた日々はそれを境に身を潜め、この作品を理解するためだけにサッカーを学び運動を始めるにまで至っていた。
とは言っても、俺はサッカーが好きなわけではなくこの作品の世界観が好きなのだ。
故に、あくまでこの作品を楽しむこと、それをメインに俺は日々を過ごしていた。
ーーさて、好きなシーンでも見返すか。
俺は眠くなってきた目を擦ろうとした。
「…お前はいつまで突っ立っている気だ?
来るかどうかを迷い続ける優柔不断野郎にも興味はねぇ。
初めて聞くようで、しかし親しみを感じるそのセリフに、俺はゆっくりと目を開けた。
自室の椅子にもたれかかっていたはずの俺は、いつの間にか広々とした部屋のど真ん中で一人ポツンと立っていた。
視線の先にはブルーロック の創始者、絵心甚八が階段に座っており、その奥にある開いた扉の先には向こうへ歩いていく二人、御影玲王と凪誠士郎であろう二人の後ろ姿が見える。
ーー夢でもみているのか?
そんな疑問とは裏腹に、俺の体はムズムズと喚き出し、ついには勝手に動き始めた。
「いやぁ、そんなんじゃねぇ。
ただ俺は感動してただけだ」
「感動?」
「ああ、そうだよ。
どいつもこいつもいい爆発をしそうなもんでな。
...俺の爆発の良い燃料になりそうだ」
「そいつはよかったな。
だったらさっさと先へ進め。
一分一秒が惜しい」
「ああ、そうさせてもらうよ」
そういうとともに、体は勝手に進み始めた。
爆発、という単語から察するに、どうやら俺は士道龍聖の視点でブルーロックという物語を見る、という夢をみているようだ。
原作じゃそんなシーンはなかった気がするが、夢なんてそんなものなのだろう。
細かいことは考えず、楽しむとするか。
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この夢を見続けて気づいたことがいくつかある。
まず一つ、士道龍聖の体は俺が操ることもできるが、放っておけば勝手に動くということだ。
例えば、俺は
しかし、俺がアンリちゃんの巨乳にチラリと意識を向けるといつの間に体を自由に動かせるようになり、俺は声をかけられるまでアンリちゃんの胸を凝視し続けていたのだ。
もう一つは、この体はおそらく士道龍聖と感覚や精神を共有しているということだ。
バスで寝落ちするまで、俺は暇つぶしにケータイでノエルノアの名プレー集をみたり原作ブルーロックのストーリーを思い出したりしていたが、その度に背中がムズムズとする感覚がしたのだ。
これまで生きてきた中で初めての感覚で、初めは夢から覚める兆候かと思ったが、しばらくすると治まった。
そして試行錯誤の末、サッカーのことを考えるたびに、その感覚は再生することを発見した。そして何より...『士道龍聖』ならどんなプレイをしたいかと自問自答するたびに、獣の咆哮が響き渡るかのように意識が冴え渡り、まるで俺に「こういうプレーをしろ」と求めるかのような理想的なプレーが頭に浮かんできたのだ。
いわば二重人格状態であり、どっちが
こんなことをつらつらと述べた上で何を言いたいかというと...
士道龍聖さん、お願いだから普通に鬼ごっこに取り組んでください。