士道龍聖に憑依したようだが、俺には爆発なんてできない 作:死に戻り医学生
これから俺が一次選考終了までを過ごすことになる部屋に入った瞬間、興奮しだして急に体を乗っ取ったのは良い。
士道の武器は"超空間感覚"...
絵心甚八から鬼ごっこ...入寮テストの話を受けて、いかにも微妙そうな反応をしたのもまぁ良い。
鬼ごっこはトレーニングに近いもので、ウォーミングアップなどで取り入れられることもあるだろうが、フィールドの中で爆発を望むと言う士道のエゴイズムに合ったものとは言えない。
ここで"オニ"になれば
そうして制限時間136秒の鬼ごっこが始まった。
はじめにボールを受け取ったモブDは焦ったように周囲を見渡し俺、つまり士道を見つけると、ノータイムでわずかな助走からかなりスピードのあるシュートを放ってきた。
おそらくは
Dは部屋の真ん中にいたため入り口の脇に立っていた俺とは20mほど離れており、いくら高速シュートという武器があると言えど避けれらることを考えれば容易に当てられるものではない。
しかし士道が特に立ち位置を変えずぼーっとしてるのを隙と見たか挑発と見たか、彼は自分の武器を信じて強襲を仕掛けてきたのだ。
俺は鬼にならないようにと、思わず体の主導権を奪いボールを避けようとした。
しかし体は俺の思い通りにはならなかった。
「良いパスだな♪」
その軽快な言葉とともに士道はシュートラインの左側に回り込むと、軸足中心に体を左回転させながらDの顔面へ
体を左回転させながら打ったボールは左に逸れながらDの顔の右上方スレスレを通り、そして士道のプレイに驚愕していたモブSの顔面に吸い込まれていった。
「そんな...不可能だろ」
「ありえねぇ...あんな高速シュートをドライブ返しで顔面に?」
「なんなんだあの悪魔は...」
そのまま気絶したSを見て他のメンバーが口にしたのは、Sの脱落が決まったことへの安堵ではなく、今のプレイに対する驚愕であった。
「ヒヒヒ、ナイスゴールだぜ」
士道は自分で自分を抱くようにしてそう呟き、それに呼応するように俺は背中がムズムズした...士道が言うところの、サッカー細胞が分裂するかのような感覚だった。
そんな士道の不気味な様子に沈黙が走る中、Dだけは怒りと悔しさの入り混じる歪んだ顔で俺を睨み付けていた。
「お前誘いやがったな?
俺が最下位だったからってふざけてんのか」
「
ただ痺れるパスではあったぞ脇役ちゃん」
「パスじゃねえよ触覚野郎」
「ふーん。
あの程度のスピードシュートがご自慢なのね」
「...潰す」
Dは転がっていたボールを軽く蹴り出すと、助走をつけて先ほど以上のスピードのシュートを士道に向けて放った。
_____
絵心甚八はある塔のチームZの入寮テストを眺めていた。
そのチームでは開始して数秒で"オニ"によってかなりスピードのあるシュートが放たれ、狙われた選手がそれに合わせて
最初に"オニ"となったDのキックのクオリティは事前情報にある通り日本有数のものであり、それをドライブ返しした上にゴール位置の選手の顔面を的確に射抜いた士道の能力もまた、唯一無二たる個性と言えるだろう。
身体捌きもまたこの選考に求められる能力の一つであり、そう言う意味では士道の動きは「ボールに当たると"オニ"になる」というルールに沿ったものではないと言えるが...
(あのポジショニングは"オニ"からのボール、つまりはパスを待ったものか...
この選考は選手達に己のシュートによる勝利を欲するという"エゴイズム"を学び、自覚させるためのものだが...このゲームに隠された特性を初っ端から見抜くとはな。
口だけのやつでもないようだ)
絵心はそのプレイや心理を的確に分析し、唯一無二足るストライカーである士道の存在に高揚を感じていた。
そしてまた、敗北が決まったSからボールを奪って再度"オニ"となり、Dが士道に向かってシュートを打ったのを見て、高揚はさらに押し上げられた。
(士道の挑発に乗る形ではあるが、
集団の常識に囚われないストライカーが二人いると、こうも狂うものなのか)
絵心がそう考えている間にも、Dは士道に向けてシュートを放ち、士道は室内を駆け回りながらそのシュートをダイレクトで"ゴール"にいる選手に的確にぶつけるという流れが続いていた。
技術的には士道が高度だが、それに喰らい付いてシュートスピードが上がっていくDにもまた期待できるだろう。
そんなやり取りが三回ほど繰り返されたあとで士道が急に立ち止まり何かを話し始めたのを見て、絵心はさらに画面に見入った。
_____
「はぁー。
多少は面白そうだと思ったがこの程度か。
これじゃ俺の心は爆発しないぜ?
脇役ちゃん」
そう言う士道の通り、俺の背中からは当初のムズムズの感覚が消えていた。
俺は今までの数回のスーパープレーの応酬に興奮していたが、どうやら士道のサッカー細胞はその流れがお気に召さなかったようだ。
「助走つけて多少シュートの速度を上げたのはいいが、それ以外は何も面白みがねぇ」
「なめんな触覚野郎っ!」
そう言ってDは最初と立ち位置が被った状態で再度20mほど離れた士道へシュートを放った。
残り時間は15秒であり、これがラストのやりとりになるだろう。
俺の目から見ても明らかなほど最初よりスピード、威力が上がっており、いくら士道と言えど簡単にドライブ返しできるものではない...と思った。
しかし背中に細胞が分裂する感覚は現れず、むしろ落胆する士道の感情が流れ込んできていた。
そしてそれと同時に、俺に肉体を操っている感覚が再生した。
「いい加減飽きてきたからな」
そう言うと士道はDに向かって走り出し、そのシュートを体スレスレのところで躱した。
士道の筋肉が熱を持つ感覚や、地面を踏み締める感覚を感じる中で、俺は全く異なるものを士道から受け取っていた。
「っざけんな!
これが狙いかお前」
Dはそう憤慨しボールを取ろうと走り始めたが、俺には士道が不意打ちで避けたわけではないということがわかっていた。
なぜなら、俺には士道の
士道には先ほどまでのようにドライブ返しをしてゴール位置の選手に当てるという
しかし今回士道が選んだ
その映像の中で、今避けたはずのボールは
「おードンピシャ」
後ろから来ていた。
Dのシュート程のスピードがあれば、壁に跳ね返り威力が減衰したあとでも十分士道の速さに追いつける。
士道は後ろから来るボールに対して目を向けることなく
Dは意表をつかれたためか立ち上がることもできず、そして無慈悲に終了を告げるブザーが鳴り響いた。
「お疲れ、才能の原石共よ。
D、お前は失格だ」
誰もが沈黙する中で絵心甚八による総評が始まり、Dがそれに文句を言うも淡々と返される中で、士道のサッカー細胞は爆発するかのように分裂し続け、それと同時に俺に対しこう問いかけていた。
お前は俺を爆発させることができるのか、と。
サブタイトル...爆発の糧にもなれそうにない
所々でオリ主の凡人ぽさとか、士道の爆発についていけない感じを書きました。
モブの名前の由来と設定など
D...DropoutのD
本文中の説明通り、全身のバネを利用した高速シュートが武器のモブ。
カイザーインパクトほどの威力はないが、失格にならずブルーロック で切磋琢磨してたらそうなってたかもしれない。
一応瞬発力という武器もあり、助走との掛け合わせでシュートの威力、スピードを上げるという成長を見せたが、士道の爆発の前に敗北。
喧嘩早い。
S...SurviveやStayのS
はじめはLoseのLにしようと思ったが、話に起伏をつけた結果生き残ったためL->Sに名前が変わったモブ。ちなみにDはRivalのRからDに変わった。
士道の爆発に巻き込まれたがエゴイストのおかげで生き残った。
特に武器とか性格とかは考えられてないし、今後出るとも限らない。
現状、モブに普通の名前を与えるつもりはないです。モブに名前がついてても覚えづらいし、無個性なままで終わらせたい。二次創作だから許されることですね。思い返してみるとオリ主の名前も考えてなかったです。
この話を書いてるうちに「士道龍聖はブルーロック をどんなふうに過ごしてきたのか」という妄想が強くなってきたからでしょうか。
今の自分の中でこの作品は、キャラ妄想を神様視点とも言えるオリ主で小説風にリメイクした二次創作と言えます。
原作との展開の変化はあり得ますが、今後特に変化や不都合がない限りこの方針は変えません。