それは珍しく目が冴えて中々眠れない夜だった。
アタシは自室で何をするわけでもなく、ただ真っ白な天井を見つめていた。
「暇だな……」
ウサギちゃんやドクターはもう寝ている頃だし、今からお酒を飲んだりすると色々面倒になりそうだ。
とは言え、ほとんどのオペレーターが寝静まる時間に何ができるわけでもない。仕方なくデスクに腰を掛け、支給されている端末を起動させて弄ったり眺めたりしていると、無線の中に変なものが混じっているのに気がついた。
『さて、ロドスの眠れナイトラジオ第一回の放送です。このラジオは夜勤のオペレーターもしくは眠れない夜を過ごすあなたのためのラジオとなっています』
どこかで聞いたことのある様なBGMをバックに、聞きなれない男性の声が聞こえる。ラジオの名前にロドスがついているし、おそらくロドス職員。しかし、聞きなれない声だ。
『まぁ、どうせこの時間に起きている人はいないだろうから一人語りみたいにはなりますがもし聞いている人がいるとまずいのでなるべく丁寧に話していきたいと思っています』
どこか気の抜けた声になんだか気が抜けてしまいそうになる。そう言えば、Aceが昔にラジオは聞き流すだけでも楽しめるとかいってたっけ。
無線の音量を少し上げ、ベッドに仰向けになる。
月明かりがアタシを照らす。
ラジオから聞こえる声だけが部屋に響き渡り、なんだか少し変な気分になった。そこにはいないはずのに、すぐ側でアタシだけに話しかけてくれているような。そんな感じ。
『まぁ、ラジオとは言っていますがノリで始めたわけで特にコーナーを設けているわけじゃないのでこれから少しずつコーナーを増やしていけたらなと思います』
「ふふっ、変なの。無計画にも程があるんじゃない?」
『取り敢えず、なぜこんな夜中に無計画でラジオなんてものを始めたのかと言いますと──』
そこからは、ラジオを始めたきっかけと他愛もない雑談だった。
その雑談はきっと、何処にでもあるようなありふれた話題。だけど、そのありふれた話題に少しクスッとしてしまう自分がいた。
* * * *
『さて、そろそろ終了の時間が近づいてまいりました』
ハッと気づいた時には既に一時間が経過していて、月は最も高い場所で光り輝いていた。
『第一回、ロドスの眠れナイトラジオ。皆様はどうでしたでしょうか? 自分は正直初めての事すぎていまだにアタフタする第一回になりました』
声の主は矢張り気の抜けた声で、すこし笑って話していた。
『第二回からはお便りを募集したいと思いますが、果たしてこれを聞いている人がいるのか否か……もし仮に、聞いているとしたら悩みを紙に書いてドクターにでも渡して下さい。では、今回のロドスの眠れナイトラジオはここまで。みなさん、良い夜を』
声の主がそういうと、取り残されたBGMだけが流れ、それも次第に小さくなっていってしまった。
「……なんだかあっという間だったな」
今ならAceが言っていたラジオの面白さが少しはわかる気がする。
ふと、眠気がアタシを襲う。
眠気のままに寝てしまいそうになるけど、その前に一つだけやらなければいけない事がある。
アタシは机に向かい、引き出しからハガキを一枚取り出す。
「お便りってペンネーム?とか言うやつで出すんだよね。それじゃあ──」
夜、多くのオペレーターが寝静まるロドスで一人のオペレーターが趣味で初めたラジオ。
その内容はただ雑談をするだけの、簡素なものだった。
しかし、第一回の放送を経てそのラジオが遠い未来、多くのオペレーターの楽しみになることを声の主はまだ知らない。
そして、彼女──ブレイズが書いたお便りが記念すべき第一通目である。
『情熱フェリーン』
それが、ロドスの眠れナイトラジオの初めてのリスナーである。
最後雑になったのは本当に申し訳ないと思っています。
よければ感想と評価、よろしくお願いします。
それでは、次回のロドスの眠れナイトラジオでお会いしましょう。
皆様、良い夜を
ラジオをしているオペレーターに設定はいるか否か
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いる(色々と深掘りしてもろて)
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いる(軽く書いてもろて)
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要らない