「ねぇねぇ、君一人?俺らとお茶でもどう?」
「俺ら、良い所知ってからさぁ」
「冷えた体、あっためてあげるよ~」
駅構内から外に出ると、雪がちらつきだし、島の暖かさに慣れた体に寒さが染みる。マフラーをしっかり巻き直し、傘を差して歩き始める。
待ち合わせ場所に指定された所に来ると、目当ての人物が、野郎三人に囲まれて声を掛けられていた。目線が合った。
「あ、かっくん遅い~」
「アホか、まだ集合時間十分前だろうが」
「ぶーぶー、それが寒空の下で、健気に震えながら待ってた恋人に言うセリフかー?」
「健気でもねぇし震えてもねぇだろうが。···ほれ」
「···お昼、かっくんの奢りだからね」
野郎共を無視して容赦なく押し退け、わざとらしく頬を膨らませながら文句を言う彼女。傘を持つ方の脇を空けて待つ。非難めいた目線をしながら、腕を絡ませてくる。厚着の所為で、アレの感触を感じ難いのが残念だ。
「「「···リア充爆発しろ」」」
どこかで、負け犬が吠えている様だが、そんなのを気にしてやる必要はねぇ。
▼▼▼
「世間は、クリスマスに向けて模様替えって感じだね。何か、この前まで那歩島に居たから、浦島太郎になった気分」
「···だな」
「お、今年の新作!可愛い~」
那歩島でのヒーロー活動を無事終えた私達は、相澤先生から完全休養を命じられた。折角なので、久しぶりにかっくんと健全にデートである。アレをヤッてばかりじゃないんですよ、これでも。
今日の予定は、アウトレットでノープランのフリーダム。洋服とか小物見たり、体感ゲームとかアクティビティで体動かしたりと、その時の気分で色々との予定。
まぁ、勝負系でかっくんの負けが込むと、アレの時に大変なのですがね。
「あ、これとかどう?」
「出久以外に、誰に需要があんだよ」
「透曰く、尾白君も似たような奴愛用してるらしいよ」
「···物好き過ぎんだろ」
「まぁ、人のセンスは千差万別だから。私は、これかな?」
"ゆき"って書かれた白無地のTシャツを、かっくんに見せる。自分には、"ばくしんち“って書かれたTシャツをあてがう。
「······部屋着位でしか、着れねぇぞ」
「···私も、人前で着る勇気はない」
緑谷君みたいに、堂々と皆の前に着ていける程、チャレンジャーではない。
「ほっ!(ゴロゴローガコーン!)ああ、一本残った~」
「おら、ぶっ飛べ!!(ゴロゴロードカーン)おっし、ターキーだ」
「いやいや、かっくんのだけ効果音物騒すぎない?」
「ああ?知るか、普通に投げとるだけだわ」
お昼のお店選択権を賭けて、ボーリング1G勝負。流石、才能マン。難なくストライクを連発しやがる。
「うがぁあ~、負けた~」
「へっ、飯行くぞ」
「···私も食べれる辛さの店にしてよ」
「······分かっとるわ」
「うわ、絶対恋人の事考えてなかったよ、この激辛好き」
「私は、野菜炒め定食と杏仁豆腐」
「麻婆定食、深紅だ」
「本当にいいアルか?変更は利かないアルよ?」
「上等だ、この店で一番を持ってこいや」
「ふっふっふっ、これを注文するのは、神父さん以来ネ。腕が鳴るアルよ~!!」
なんかもう、いつの時代?って感じの、コテコテな二次元中国人な店長が営む中華料理屋。そこで、予想通り辛さMAXの注文をするかっくん。
店内はザワッとするし、店長は妖しく眼を光らせるし、本当に大丈夫かい?
「お待たせアル。しっかり、味わって食べるネ」
「へ、旨そうじゃねぇか」
「うわぁ~、辛さで目が痛いんだけど」
店長直々に運んできたそれは、赤を通り越して朱であった。グツグツビチビチしてるのも、禍々しくてもうヤバい。それで、眼を輝かせるのは、愛する彼氏と言えどドン引きですよ。
「「いただきます」」
「また来るアルよ~。今度は、もっと凄いのを用意しとくネ!!」
「おう、楽しみにしてるぜ、店長」
「ご馳走さまでした~」
汗ダラダラになりながら、しっかりと完食したかっくん。店長と漢の固い握手を交わして店を後にする。
「次はどこ行くんだ?」
「いや、一回汗流そうよ。インナーびっしゃこじゃん」
「ちっ、仕方ねぇ」
という訳で、スパにご案内。レンタルの水着に着替えて、いざ。
「あ゛あ゛~~、ごくらくごくらく~」
「おっさんみたいな声出すな、アホ」
仕方ないじゃないのさ。これが、様式美というものだよ。それに、このジャグジー中々のもんだよ。
「······おい、さっさと上がんぞ」
「ええ~、もうちょっと堪能しようよ~」
「······テメェの体は、見せもんじゃねぇんだよ」
「······さいですか」
まぁ、男共の不躾な視線は感じてましたけどもね。特に、貴方がお育てになった胸部の脂肪に。
マッサージもって思ってたけど、予定変更かな~。パッと見、男性スタッフしかいなさげだったし。彼氏を、爆弾魔にはしたくないからね~。
「雪花、準備出来たか?」
「もうちょっと···うっし、完璧」
スパの後は、カラオケ行ったり、登山道具見るのに付き合ったり、今度、皆でやるクリスマスパーティーのプレゼントを、何にするか選んだりしながら過ごした。
そして、夜。私達は、都内の超高級ホテルのスイートルームで、かっくんはスーツ、私はドレスにバッチリかっちり着替えております。
持つべきものは、偉大な親という訳で。お父さんが貰ってた、宿泊チケットを使わせて頂きました。夕飯は、ドレスコード有りの超高級日本料亭の個室で、夜景を眺めながらディナーでございます。
「いや~、美味しかった~。流石、ミシュランに載ってるお店だったね」
「···ああ、そうだな」
「···フフッ、かっくんのここは、もう我慢出来ませんか?」
「······ちっ」
「ねぇ、かっくん、脱がしてくれる?」
▼▼▼
「あら?ルミナイネン?···足元、ちょっとおぼついてないけど、大丈夫?」
「え?リューキュウ?···そちらは、凄いツヤツヤしてますね」
「おや、ダイナマイト君。朝から、偉いスッキリした顔だね」
「お前、Mr.コンプレス···島に居る時より、何かやつれてねぇか?」
朝食のバイキングで、リューキュウとコンプレスさんに出会った。リューキュウ、搾り取ったんですね。お互い、性欲の強いパートナーを持つと、大変ですね。
コンプレスさんに、シンパシーを感じた視線を送った所為で、チェックアウトの時間まで、再びかっくんに貪り尽くされるとは、今の私は知るよしも無かった。ちゃんちゃん。
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