「ロディーー!!!」
「受けとれ!!デクぅうう!!!」
隣国まで後少しという所で、ヴィランの襲撃を受けた僕とロディ。襲撃班のリーダー的存在らしき、手を弓に変える女性ヴィランと、昨晩ロディを襲った鬼に変身する男性ヴィラン。
ヴィランの攻撃で吹き飛ばされ、崖に何とか捕まっているロディが、崖上にケースを投げる代わりに、掴んでいる場所が崩れた。
「くっ!ロディ!!」
助けに行かなきゃいけないのに、ヴィランの妨害が。地面に向かって落ちていくロディを、見ているしか出来ないなんて。
心の片隅に最悪の光景が浮かんだ瞬間、冷たい風が頬を撫でた。
「やっと見つけた、タイミングばっちしじゃない?デク」
「八木さん!」
白銀を纏って飛翔する白い影、イギリスにいる筈の八木さんが、ロディを救出した。
▼▼▼
「ナイスガッツ、共犯者君」
「ぅ~~···へっ?······誰?!」
「氷雪ヒーロー"ルミナイネン"、以後よろしくね(ニコッ)」
「(ドキッ)お、おう」
緑谷君が、ヒューマライズに関する重要な情報を入手した可能性がある、という事で、私に緑谷君救援の応援要請が降り、「私に変われー!」と言いながら、マグ姐の個性でトムラさんとくっつけられたミルコを横目に、隣国クレイドに飛び、オセオンチームの救援班とオセオン·クレイド国境で合流した矢先、響き渡った戦闘音。
すぐさま急行し、盛大に落下中の共犯者扱いされてた青年を確保。落ちてくる岩や礫を避けつつ、崖上に戻ろうとすると、ヘリに乗ってた女ヴィランが飛び降りてきた。こっちを狙ってじゃない、投身自殺とか覚悟決まりすぎでしょ!
「なっ!!」
「たく、ヒーローの目の前で死のうとすんな。命は助けにゃならんのよ、ヒーローって奴は」
当然、雪で落下を阻止する。ガッチリ雪達磨にして拘束も。舌噛んで自殺企図しそうだし、軽く雪拳で顎ぶん殴って気絶させとく。
「さて、大量殺人犯した指名手配犯の所に行きますかね。動かないでね···えっと······」
「ロ、ロディっす」
「OK、ロディ君。すぐ、地面に立たしてあげるから」
「お、お願いします」
女ヴィランを後ろに引き連れて、緑谷君達がいる所に戻る。···かっくんが滅茶睨んでくるんだけど、何故に?まぁ、気にしないでいいか。
「ロディ、大丈夫?!」
「あ、ああ、この人のお陰でな。はっ!ケースは??!」
「ここだ、緑谷」
「んな事よりも、テメェ。コイツは俺の女だ、気安く見てんじゃねぇよ」
「ひっ!!」
「かっくん!今はそんな事言ってる場合じゃないでしょうが!!」
「あはは···って、それはっ?!」
「おっと、どうした緑谷」
ズバァっと飛んできて、私の腰をガッツリホールドし、ロディ君を威嚇するかっくんを他所に、緑谷君が何かを発見した様だ。
「ええっと···ここかな?いや、こっち?」
「そこは駄目なのか?」
「それじゃ、元に戻っちゃう」
岩場に隠れて、ケースに隠されていたメカニカルパズルを解いている三人と、かっくんの膝に座らされて後ろからギュゥッとされている私。髪に顔埋めて深呼吸してんじゃないよ、かっくん。
あ、ヴィラン二人は隣で冬眠中。秘匿回線で本部に連絡しといたから、誰かしらが回収してくれるでしょう。
「···よし、開いた」
そうこうしてたら、ロディ君が華麗な手つきでパズルを解いた。中からは、何かの電子キーと情報チップが出てきた。
「麓に町があった。そこで、それの中身を調べるぞ」
待ってろよ、ヒューマライズ。すぐにとっちめてやるから。
▼▼▼
『申し訳ありません。クレイドに逃げられてしまい、私の権限ではこれ以上の追跡は···』
「気にするな。クレイドなら、ここに来る事は難しいだろう。追跡は切り上げ、計画の実行に集中してくれ」
『はっ!人類の救済を』
逃げられたか。しかし、情報ではプロではなく仮免許取得したての学生だと言うでないか。彼らが、盗まれた情報を解析出来たとして、そこからプロヒーローの派遣には時間が掛かるだろう。しかし、
「···Gを目覚めさせておきなさい」
「はっ!」
「最早、我らの勝利は揺るぎない。さぁ、人類の救済を始めよう」
「「「人類の救済を!人類の救済を!人類の救済を!」」」
この世から、個性という名の病魔を駆逐する。
▼▼▼
『ヒーロー達よ、どうか世界を救ってくれ』
情報チップに残されていたのは、ヒューマライズの恐るべき計画の全貌と、隠された奴らの本拠地、そして爆弾の大元がある場所。
不味い、状況は非常に不味い。まさか、狙いはプロヒーロー達だったなんて。私らの事を分かってるじゃないか、フレクト·ターン。
「今すぐ本部に連絡して」
「無駄だよ、焦凍」
「うん、八木さんの言う通りだよ、轟君」
『大変です!街は大パニック状態で交通はマヒ、怪我人も続出しています!!』
テレビの向こうで、悲鳴を上げなから逃げ惑う人々。これを見て、自分達が狙われているからと立ち止まるなら、その人はヒーローじゃない。
「なら俺達が、この解除キーでトリガーボムを止めて」
「どうやって?私の個性で皆を運ぶにしても、二時間で辿り着くのは不可能だよ。本部から、飛行機を手配するにも···」
「いや、方法ならあるぜ」
「ロディ?」
パズルの件といい、緑谷君がロディ君と出会えたのは幸運だね。いや、もしかしたら運命だったのかも。神様が、私達に与えてくれたチャンス。フレクト·ターンの言葉を肯定するのは癪だけど、機会は平等に与えられるのかもね。
「行こう、世界を救いに」
▼▼▼
「各地でトリガーボムを発見!しかし、敵の妨害にあってヒーロー達が近付けません!!」
「ルミナイネンより入電!"トリガーボムの解除キーを入手。ルミナイネン·デク·ダイナマイト·ショート、敵本拠地に解除に向かう"との事です!!」
「何!?子供達だけでか!?危険過ぎる!!」
「しかし、最早彼らに賭けるしか···」
「くっ!!」
「雪花、緑谷少年、爆豪少年、轟少年···」
妻や娘、教え子達が戦っているというのに、私は、何故見ているしか出来ないんだ。いや、私はもうオールマイトではない、ただ八木俊典という元ヒーロー。ここにいるのも、アドバイザーとしてで、現場に出る事は、法律上禁じられている。
「っ!アメリカから緊急連絡!!オールマイト、貴方にです!!」
「何?繋いでくれ」
『やぁ、師(マスター)』
「君は!!」
そこに映ったのは、アメリカNo.1ヒーロー"スターアンドストライプ"。彼女も、トリガーボムの対応に動いている筈だが、何故?
『何をしているんだい?師。貴方は、そんな所で画面を見ていて良い存在じゃないだろ?困っている人が居たら、どんな時でも駆け付けて助ける。それが師、オールマイトじゃないのかい?』
「しかし、私は···」
「行けよ、俊典」「行きなよ、オールマイト」
「グラントリノ?!塚内君も···しかし、私はもう免許を返納して···」
「まだだよ」
「え?」
「お役所仕事でね。君が、グラントリノと一緒に、年末ギリギリに提出するもんだから、処理は年始の始業まで持ち越しされてるのさ」
「へっ!年寄りは書類仕事が苦手なんだよ。もちっと楽で分かりやすいのを用意しろや」
「考えておきます。まぁという事で、法律の上では、君はまだヒーロー"オールマイト"だ。さぁどうする?平和の象徴」
塚内君が、数日前にヒーロー協会に提出した、私のヒーロー免許を懐から出して、私の前に掲げてきた。
「たが、どうやって本拠地まで?二時間では、どんな方法を使っても···」
『丁度、うちで最も速いとびっきりが、日本の米軍基地に居る。一人分の片道切符なら用意出来るよ、師。ああそれと、貴方のwifeから伝言だ。"ちゃんとヒーロー納めして、夫になって下さいね"とね』
「···ふっ、そこまでされて、黙ってはいられないな。皆、ありがとう」
「オールマイト、これが正真正銘、君の最後のヒーロー活動だ」
「ほれ、お前さんのヒーロースーツだ。かましてこい、俊典」
塚内君から免許を、グラントリノからスーツを受けとる。
『師、いつものあれを聞かせてほしい』
ふっ、リクエストには応えねばな。
「もう大丈夫!何故って?私が、行くからだ!!」
▼▼▼
「いいか!一瞬でも雪花の着替え見やがったら、俺が殺す」
「いや、百ならともかく、雪花の着替えに興味ねぇし」
「お茶子さんだったら気になるけど、八木さんだから···」
「あ゛あ゛!!今なんつった!?!」
「百の体程、完璧なもんはねぇって言ったんだ。特に、あの胸のハリと弾力に、雪花が敵う訳ねぇだろ」
「お茶子さんの、あの柔らかい触り心地こそ至高だよ、かっちゃん」
「···良い度胸だ、テメェら。雪花の体の素晴らしさを、語り聞かせ殺したるわ」
「本人居る前ですんな、恥ずかしいわ馬鹿!!!」
「お前ら、今から世界救いに行くんだよな?」
はい、我慢できずにオールマイト出動です。多分、その後の展開に頭悩ますだろうけど、もう未来の自分に丸投げする。
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