「改めまして、新年明けまして、おめでとうございます」
「「「おめでとうございます」」」
ヒューマライズ事件から数日。
世間は、三が日を後ろにずらすという異例の対応で、初詣やら何やら、お正月を満喫中である。
かくいう私も、轟家の皆さんに新年の御挨拶にお伺いしました。まぁ、本命は別ですがな。
「雪花、これを。一つは、ダイナマイトに渡してくれ。事件解決をしてくれた、No.1からの礼だとな」
「ありがたく~」
炎司叔父さんが懐から出した熨斗袋を、平伏して受けとる。インターンの稼ぎがあるとはいえ、高校生にとって、新年のお年玉は貴重な収入源ですからね。
今年もトムラ事務所に顔出して、せびりに行かなければ。
「雪花、早く行くぞ」
「へいへい、百に会えるのが待ち遠しくて仕方ないんですね、焦凍の坊っちゃんは」
「当たり前だろ」
「···少しは恥ずかしがったりせい、可愛げの無い」
「お前に可愛げ見せてどうするんだ」
という訳で、私達はこれから初詣です。かっくんと百と現地で合流予定。あっ、お茶子は緑谷君親子を連れて実家に帰省中。他の皆も、地元の神社に参るらしく、皆と会えるのは新学期入ってからだね。
「ちょっ!こっちは草履なんだから、そんな早く歩けんのだってば!!」
「···飛べよ」
「折角の一張羅が濡れるだろうがボケェ!!」
▼▼▼
「あけましておめでとうございます、爆豪さん」
「···ああ」
「お体の方は、もう大丈夫なのですか?」
「···ああ」
「とてもご活躍された様で、クラスメートととして誇りに思いますわ」
「···ああ」
やる気の無い相槌ばかりで、何なんですか。相変わらず、雪花さん以外には塩対応過ぎませんか?!焦凍さん、早く来て下さいまし。
「ねぇねぇ彼女~。さっきから見てたけど、そんなツレナイ男を放っといてさ、俺達と初詣しな~い?楽しませてあげるよ~」
「···結構ですわ。私、お待ちしている殿方が居ますの」
「ヒュー、わたくしだって!殿方だって!君、良いとこのお嬢さん?」
「凄い興味あるな~、詳しく教えてよ、俺らの行きつけでさ!」
「ですから、お断りしております。命が惜しければ、今すぐ離れることをお勧めしますわ」
「何?俺ら危害加えられちゃう?いいのかな~、俺の知り合い、すっげぇヒーローの所で働いてんだぜ?!捕まっちゃうよ~」
「···凄いヒーローとは?」
「聞く?聞いちゃう?どうしよっかな~。君が俺らに付き合ってくれるなら、教えてあげるよ~」
「···はぁ、では結構ですわ」
「もう、ツレナイな~。特別に教えたげる、何とNo.1ヒーロー"エンデヴァー"のエンデヴァー事務所さ!!俺、エンデヴァーの息子のショート君と知り合いなの!!」
「···プッ!!ですって、ご存知ですか?焦凍さん」
「いや、見たことねぇな」
「へっ?」
騒ぎを起こしてはイケナイと、話に付き合ってあげていましたが、思いもがけない事を口走られましたわ。
「俺がエンデヴァーの息子の焦凍なんだが、どこかで会った事あったか?」
「「「す、すみませんでしたーー!!!」」」
威圧感たっぷりに、ナンパ男さん達に詰め寄る焦凍さん。相変わらず、格好いいですわねぇ。
「あれかな、焦凍に会わせてあげるよ~なんて言って、アレな所に連れ込んでるのかな?全員の顔、写真に納めたから、後で余罪がないか確認してもらおう」
「俺、百以外の女と会う気はねぇぞ」
「···そういう話じゃねぇよ、ボケが」
「フフッ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたしますわ、焦凍さん、雪花さん」
「あけおめことよろ~」
「ああ、よろしく、百。爆豪も、あけましておめでとう」
「···けっ、おめでとさん。ほら、さっさと参んぞ」
「その前に、着飾った彼女に一言!ほれ」
「······ちっ!悪かねぇよ、雪花」
「よし、行こう」
満足した顔で、爆豪さんの腕に抱き付いて歩き出される雪花さん。本当に、あの二人は相変わらずですわ。
「百、とてもキレイだ」
「あ、ありがとうございます、焦凍さん。私達も行きましょう」
「ああ」
差し出された左手に手を重ね、指一本一本をしっかりと絡めて握り、雪花さんと爆豪さんの背を追う様に歩き出す。
まぁ、私達も、相変わらずなのでしょうけど。
▼▼▼
「ふ~、漸くお参りできた~。百達どこかな?」
「待たなくていいだろうが。待ち合わせ場所は決めてあんだからよ」
「そか、流れ塞き止めてもあれだしね。よし、おみくじやろう」
「大吉以外だったら燃やす」
「燃やすな、括れ」
おみくじ位で物騒な。
「おや、爆豪君に八木君じゃないか。あけましておめでとう!今年も共に切磋琢磨していこう!」
「おめでとうございます、お二人とも」
「···ああ、委員長」
「おめでとう、飯田君···と、もしかして発目さん!!うわぁ!凄い綺麗!!」
おみくじを買う列に並んでいると、いつもの四角眼鏡に立派な袴姿の飯田君に出会った。その側には、これまた立派な振袖姿の発目さんが、飯田君と腕を絡めて立っていた。
「天哉さんのお母さんが、用意してくれたんです。私のドッかわベイビーが採用された記念にと」
「母が、"一度でいいから、女の子を着飾ってみたかったの"と、とても張り切ってね」
「···けっ、母親ってのは、どいつも一緒かよ」
「まぁ、男の子しかいない母親の、共通の夢なんじゃない?」
かっくんのお母さんである光己さんしかり、緑谷君のお母さんである引子さんしかり。
「では、また新学期に。行こうか、明君」
「はい、天哉さん!」
あの二人は、正直どう弄れば進展するか分からないんだよなぁ。いや、何もせんでも、いつの間にかくっついてそうだけど。でも、このままノータッチは私のプライドが。
「おい、雪花」
「ん?何?今、飯田君と発目さんを、私も楽しめる、弄りくっつける方法を考えてる所なんだけど」
「···余所見すんな」
「はい?」
「···俺だけ見てろや」
はぁ~、この爆発絶倫焼き餅彼氏は、本当に可愛いんだから。
「···今日ね、お父さん達、新年会とかで明日の夜まで居ないの」
「···そうかよ」
「思う存分、私を好きにしていいよ」
「その言葉、撤回させねぇからな」
「···雪花からだ」
「雪花さんは何と?」
「諸事情により、先に帰るって」
「雪花さん···は~、そういう事なのでしょうね」
「···なぁ百、俺らも」
「·········」
「···ダメか?」
「···ダメじゃ、ありませんわ」
▼▼▼
「事務所、がらんがらんなのです」
「所長はミルコに連れていかれ、ミスターはリューキュウの下に。マスターと秀一は、プッシーキャッツの所へお呼ばれ、だったか。なんつうか、春だねぇ」
「まだ、全然冬ですよ、仁君」
「物の例えって奴だよ、トガちゃん」
「普通モードの仁君も、何か久しぶりなのです」
「今はオフだからな」
「そんな仁君も、トガは好きですよ」
「へいへい、あんがとさん」
「···ちうちうして良いですか?」
「ダメだ」
「むぅ、仁君のケチ」
▼▼▼
「······かっくん、これ何日目?」
「年末前にやって以来だな」
「···一週間以上、溜まりに溜まっていると」
「思う存分、好きにして良いんだろ?」
「···休み休み、お願いします」
「覚えてればな」
「死因が腹上死だけはいやーーー!!!」
「しょ、しょうとさん」
「どうした?百」
「そ、そろそろきゅうけいを···」
「···いやだ」
「っ!!!」
「もっと、乱れたお前が見たい」
「緑谷君」
「は、はひっ!お茶子さんのお父さん」
「···君は、お茶子と······したのかね」
「···はい」
「よし、殴らせろ」
「お父さん!!?」「お父ちゃん?!?!」
「まだ貴様に、お父さんと呼ばせる気はなーーい!!」
「「あらあら」」
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