八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

109 / 244
第九十四話「八木雪花と遅めの初詣と···」

 

 

 

 

「改めまして、新年明けまして、おめでとうございます」

「「「おめでとうございます」」」

 

 ヒューマライズ事件から数日。

 世間は、三が日を後ろにずらすという異例の対応で、初詣やら何やら、お正月を満喫中である。

 かくいう私も、轟家の皆さんに新年の御挨拶にお伺いしました。まぁ、本命は別ですがな。

 

「雪花、これを。一つは、ダイナマイトに渡してくれ。事件解決をしてくれた、No.1からの礼だとな」

「ありがたく~」

 

 炎司叔父さんが懐から出した熨斗袋を、平伏して受けとる。インターンの稼ぎがあるとはいえ、高校生にとって、新年のお年玉は貴重な収入源ですからね。

 今年もトムラ事務所に顔出して、せびりに行かなければ。

 

「雪花、早く行くぞ」

「へいへい、百に会えるのが待ち遠しくて仕方ないんですね、焦凍の坊っちゃんは」

「当たり前だろ」

「···少しは恥ずかしがったりせい、可愛げの無い」

「お前に可愛げ見せてどうするんだ」

 

 という訳で、私達はこれから初詣です。かっくんと百と現地で合流予定。あっ、お茶子は緑谷君親子を連れて実家に帰省中。他の皆も、地元の神社に参るらしく、皆と会えるのは新学期入ってからだね。

 

「ちょっ!こっちは草履なんだから、そんな早く歩けんのだってば!!」

「···飛べよ」

「折角の一張羅が濡れるだろうがボケェ!!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「あけましておめでとうございます、爆豪さん」

「···ああ」

「お体の方は、もう大丈夫なのですか?」

「···ああ」

「とてもご活躍された様で、クラスメートととして誇りに思いますわ」

「···ああ」

 

 やる気の無い相槌ばかりで、何なんですか。相変わらず、雪花さん以外には塩対応過ぎませんか?!焦凍さん、早く来て下さいまし。

 

「ねぇねぇ彼女~。さっきから見てたけど、そんなツレナイ男を放っといてさ、俺達と初詣しな~い?楽しませてあげるよ~」

「···結構ですわ。私、お待ちしている殿方が居ますの」

「ヒュー、わたくしだって!殿方だって!君、良いとこのお嬢さん?」

「凄い興味あるな~、詳しく教えてよ、俺らの行きつけでさ!」

「ですから、お断りしております。命が惜しければ、今すぐ離れることをお勧めしますわ」

「何?俺ら危害加えられちゃう?いいのかな~、俺の知り合い、すっげぇヒーローの所で働いてんだぜ?!捕まっちゃうよ~」

「···凄いヒーローとは?」

「聞く?聞いちゃう?どうしよっかな~。君が俺らに付き合ってくれるなら、教えてあげるよ~」

「···はぁ、では結構ですわ」

「もう、ツレナイな~。特別に教えたげる、何とNo.1ヒーロー"エンデヴァー"のエンデヴァー事務所さ!!俺、エンデヴァーの息子のショート君と知り合いなの!!」

「···プッ!!ですって、ご存知ですか?焦凍さん」

「いや、見たことねぇな」

「へっ?」

 

 騒ぎを起こしてはイケナイと、話に付き合ってあげていましたが、思いもがけない事を口走られましたわ。

 

「俺がエンデヴァーの息子の焦凍なんだが、どこかで会った事あったか?」

「「「す、すみませんでしたーー!!!」」」

 

 威圧感たっぷりに、ナンパ男さん達に詰め寄る焦凍さん。相変わらず、格好いいですわねぇ。

 

「あれかな、焦凍に会わせてあげるよ~なんて言って、アレな所に連れ込んでるのかな?全員の顔、写真に納めたから、後で余罪がないか確認してもらおう」

「俺、百以外の女と会う気はねぇぞ」

「···そういう話じゃねぇよ、ボケが」

「フフッ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたしますわ、焦凍さん、雪花さん」

「あけおめことよろ~」

「ああ、よろしく、百。爆豪も、あけましておめでとう」

「···けっ、おめでとさん。ほら、さっさと参んぞ」

「その前に、着飾った彼女に一言!ほれ」

「······ちっ!悪かねぇよ、雪花」

「よし、行こう」

 

 満足した顔で、爆豪さんの腕に抱き付いて歩き出される雪花さん。本当に、あの二人は相変わらずですわ。

 

「百、とてもキレイだ」

「あ、ありがとうございます、焦凍さん。私達も行きましょう」

「ああ」

 

 差し出された左手に手を重ね、指一本一本をしっかりと絡めて握り、雪花さんと爆豪さんの背を追う様に歩き出す。

 まぁ、私達も、相変わらずなのでしょうけど。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「ふ~、漸くお参りできた~。百達どこかな?」

「待たなくていいだろうが。待ち合わせ場所は決めてあんだからよ」

「そか、流れ塞き止めてもあれだしね。よし、おみくじやろう」

「大吉以外だったら燃やす」

「燃やすな、括れ」

 

 おみくじ位で物騒な。

 

「おや、爆豪君に八木君じゃないか。あけましておめでとう!今年も共に切磋琢磨していこう!」

「おめでとうございます、お二人とも」

「···ああ、委員長」

「おめでとう、飯田君···と、もしかして発目さん!!うわぁ!凄い綺麗!!」

 

 おみくじを買う列に並んでいると、いつもの四角眼鏡に立派な袴姿の飯田君に出会った。その側には、これまた立派な振袖姿の発目さんが、飯田君と腕を絡めて立っていた。

 

「天哉さんのお母さんが、用意してくれたんです。私のドッかわベイビーが採用された記念にと」

「母が、"一度でいいから、女の子を着飾ってみたかったの"と、とても張り切ってね」

「···けっ、母親ってのは、どいつも一緒かよ」

「まぁ、男の子しかいない母親の、共通の夢なんじゃない?」

 

 かっくんのお母さんである光己さんしかり、緑谷君のお母さんである引子さんしかり。

 

「では、また新学期に。行こうか、明君」

「はい、天哉さん!」

 

 あの二人は、正直どう弄れば進展するか分からないんだよなぁ。いや、何もせんでも、いつの間にかくっついてそうだけど。でも、このままノータッチは私のプライドが。

 

「おい、雪花」

「ん?何?今、飯田君と発目さんを、私も楽しめる、弄りくっつける方法を考えてる所なんだけど」

「···余所見すんな」

「はい?」

「···俺だけ見てろや」

 

 はぁ~、この爆発絶倫焼き餅彼氏は、本当に可愛いんだから。

 

「···今日ね、お父さん達、新年会とかで明日の夜まで居ないの」

「···そうかよ」

「思う存分、私を好きにしていいよ」

「その言葉、撤回させねぇからな」

 

 

 

「···雪花からだ」

「雪花さんは何と?」

「諸事情により、先に帰るって」

「雪花さん···は~、そういう事なのでしょうね」

「···なぁ百、俺らも」

「·········」

「···ダメか?」

「···ダメじゃ、ありませんわ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「事務所、がらんがらんなのです」

「所長はミルコに連れていかれ、ミスターはリューキュウの下に。マスターと秀一は、プッシーキャッツの所へお呼ばれ、だったか。なんつうか、春だねぇ」

「まだ、全然冬ですよ、仁君」

「物の例えって奴だよ、トガちゃん」

「普通モードの仁君も、何か久しぶりなのです」

「今はオフだからな」

「そんな仁君も、トガは好きですよ」

「へいへい、あんがとさん」

「···ちうちうして良いですか?」

「ダメだ」

「むぅ、仁君のケチ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「······かっくん、これ何日目?」

「年末前にやって以来だな」

「···一週間以上、溜まりに溜まっていると」

「思う存分、好きにして良いんだろ?」

「···休み休み、お願いします」

「覚えてればな」

「死因が腹上死だけはいやーーー!!!」

 

 

「しょ、しょうとさん」

「どうした?百」

「そ、そろそろきゅうけいを···」

「···いやだ」

「っ!!!」

「もっと、乱れたお前が見たい」

 

 

「緑谷君」

「は、はひっ!お茶子さんのお父さん」

「···君は、お茶子と······したのかね」

「···はい」

「よし、殴らせろ」

「お父さん!!?」「お父ちゃん?!?!」

「まだ貴様に、お父さんと呼ばせる気はなーーい!!」

「「あらあら」」

 

 

 

 




評価と感想をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。