「···」ソワソワ
「なぁ、荼毘君。今日の所長、めっちゃソワソワしてるけど、何かあったのかい?」
「···母さんから貰ったチョコを、食べようか悩んでるだけだよ。いい歳こいて、何やってんだか、クソ親父が」
「そういう荼毘だって、結構な頻度で引き出しの中確認してるよな。アレだろ、そこにバーニンから貰った奴が入ってんだろ?」
「···赫灼熱拳」
「ちょっ!照れ隠しでそんなの社内で使おうとするな!!!」
▼▼▼
「はい、バレンタイン」
「うおおお!!サンキュー!!!」
家に誘われ、ギターの練習で来慣れている耳郎の部屋でソワソワしながら待っていると、戻ってきた耳郎が顔真っ赤にして、体ごとそっぽを向きながら差し出してきたのは、可愛い袋に詰められたチョコ。
耳郎は、女子の中では一番仲が良いとは思ってる。でも、あくまで、音楽の趣味が合う異性ってだけだから、貰えたら嬉しいけど、どうなんだろうなぁって思ってた。
「喜びすぎ。形も歪だし、あんま出来よくないけど」
「んな事関係ねぇって!耳郎の手作りってのが重要なの!」
「っ!そ、そう···って、ここで食べんの!」
「だって、電車の中とか暖房効いてるし、人多いし、家帰ったら溶けてましたじゃイヤだし。てな訳で、いただきま~す」
袋から一つ取り出して、口に放り込む。まぶされたココアとチョコの甘さが口の中に広がる。多分、味とかは売られてる奴の方が良いんだろうけど、今の俺は、どんな高級なチョコよりも美味しいと言うだろう。
「ごちそうさん、美味かったぜ!」
「う、うん、それは良かった···えと、あのさ、上鳴···」
「ん?」
食べ終えて、耳郎に向かって手を合わせると、耳郎がイヤホンジャックを指でくるくるしたり、落ち着かない雰囲気で何かを言おうとしている。俺達の間に、変な空気が流れる。こ、これは、まさか!
「えと、あのさ···ウチ······上鳴の事が」
「響香!美味しかったぞ!!!」
耳郎が核心を口にしようとした瞬間、耳郎のお父さんが部屋に駆け込んできた。
「···」
「···」
「···」
三人の間に、今度は冷たい空気が流れる。
「父さん···」「···あなた」
「あ、いや、あの、これは、えと···」
「上鳴、ごめん。今日の所は帰ってくれる?」
「お、おう。お、お邪魔しました~」
「また学校で」「また遊びにきてね、上鳴君」
耳郎の部屋の扉を閉める際に見えた光景は、助けを求める様な顔と、迫る四本のイヤホンジャックだった。
「···耳郎は何を言うつもりだったんだろうな。やっぱ、あの雰囲気は告白······まさかな」
ホワイトデーのお返しの時にでも、聞いてみるかな。そう思いながら、口の中に残る甘い余韻と共に、帰路に着く上鳴であった。
▼▼▼
「とっても美味しいよ!お茶子さん」
「良かった。梅雨ちゃんに、スパルタ指導してもらった甲斐があったんよ」
学校から帰宅し、夕飯も食べ終え、片付けや宿題、お風呂何かを済ませ、万全の状態で、お茶子さんの手作りしたチョコ大福に舌鼓を打っている僕。
今まで、バレンタイン何て母さんからしか貰った事なかったから、まさか女の子の手作りを食べられるなんて、去年の今頃は思ってもみなかった。
「あれ?机にあるんわ、引子さんからの?」
「あ、うん。僕はこれがあるから、お茶子さん食べていいよ。二人で食べてって言ってたし」
「なら、何個か貰おうかな」
母さんは今日明日、町内会の温泉旅行でいないから、まぁあの···色々と期待しない訳ではないけど、余りがっついて嫌われたくないし、あくまでそういう雰囲気になって、お茶子さんの同意があったら···吝かではないというかなんというか。
「···でくく~ん」
「···?お茶子さん?」
頭の中で、誰に言っているのか分からない言い訳を駆け巡らせていると、お茶子さんのふにゃふにゃした声が耳に届いた。
「ねぇでくく~ん、なんか、あついね~」
「お、お、お、お茶子さん!!」
顔がちょっと赤くて、表情もぽやや~んとしているお茶子さんが、徐にパジャマのボタンを外し始めた。パジャマが、パサッと床に落ち、お茶子さんお気に入りのピンクのブラジャーと白い肌が、さらけ出される。
ゆっくりと、しかし、しっかりと僕を見据えて近付いてくるお茶子さん。
「でくく~ん」
「うぶっ、お、おひゃこひゃん」
どうしていいか分からずあたふたしてると、お茶子さんの胸に顔を包まれ、そのままベッドに押し倒されてしまった。そして、お茶子さんが妖しい眼で僕を見下ろしている。
「でくくん、ここ、すごいあつい。ぬがな、あついやろ」
「お、おひゃこさん!!」
プリッとして弾力のあるお尻が、視界を埋めつくした。腰から下に浮遊感を感じると、パンツごとズボンが思いっきりズラされた。
「あいかわらず、おっきいやね~」
「お、おちゃこさん···」
「ちいさくせんといかんよね、いただきま~す」
「うあっ!!」
自身の分身を包む生暖かい快感に苛まれつつ、チラッと視界に入った、お茶子さんが食べたであろうチョコの箱。
(アレは、確かブランデー入りの···もしかして、お茶子さん酔っ払ってる)
「うくっ!お、お茶子さん!!」
「ほかのこと、かんがえとったら、あかんよ。ほら、でくくんも」
僕のアレを弄くりながら、履いているズボンと下着を器用に脱いでいくお茶子さん。
「うちのほてり、さまして」
たまには、こんな積極的なお茶子さんもいいなと思いながら、緑谷出久は獣になるのだった。
▼▼▼
「すまんな、テンタコル。急に呼び出して」
「いえ、大丈夫です、ギャングオルカ。それで、俺に用事とは?インターンの件で何か?」
「いや、お前に渡す物があっただけだ」
インターン先であるギャングオルカ事務所に、急に呼び出され、何やら生暖かい視線に晒されながら、所長室に行くと、専らギャングオルカが体を湿らす様の、水の入ったペットボトルを入れている冷蔵庫から、丁寧にラッピングされた箱を取り出して、手紙と一緒に渡してきた。
「これは?」
「お前のファンから、お前宛にだ。雄英では、受け取り拒否されているからな。ウチにわざわざ届けに来られた」
「···俺に、ですか」
「すまんが規則でな、中身は改めさせて貰ったが、危険物や誹謗中傷が書かれた物ではないよ」
「いえ、それは構いません」
「フン、お前もこれで一端のヒーローだ。その人の思いを裏切らない様に、これからも気合いを入れて励めよ。用事はこれだけだ、帰っていいぞ」
「あの、その人はどんな方でしたか?」
「ん?ああ、狐ベースで···緑の体毛の異形系個性の女性らしい。俺よりも1m近く背が高いとも言っていたな。お前、心当たりあるか?」
「···ヒーロー活動中に、暴漢に襲われそうになっている所を助けた記憶があります。その時、少しお話もしました」
「なるほどな。ファンは大事にしていけよ」
そう言って、ギャングオルカは俺の頭を、わしゃわしゃと撫でた。
『テンタコル様へ。あの日は、ありがとうございました。
私は、この異形の個性の所為で、今までも沢山嫌な思いをしてきました。こんな個性じゃなかったらと、何度も思ってきました。
でも、あの日、貴方が語ってくれた夢を聞いて、自分でも何かしようと思いました。今後産まれてくる、私達の様な異形系個性の子達が、哀しい思いをしないように、自分に出来る事を。いつまでも、悲劇に浸って俯いてちゃダメですよね。
貴方と共に、私も想いを紡いで行ければと願っております』
「···俺も、頑張ります」
障子君のこれが、フラグになるかどうかは、運命のイタズラ次第ですかな。
それと、今更なんですが、CPタグ(出茶とか轟百とか)っていります?この子とこの子がくっつくの!?みたいな驚きを、という浅い考えでつけてないんですが、あった方が良いんですかね?
評価と感想をよろしくお願いします。