「はい!仁君にチョコのプレゼントなのです!!お返しにチウチウさせて欲しいのです!!」
「···来月にな、ちょっとだけだぞ」
「本当ですか!!忘れたら承知しないのです!!」
「忘れねぇ忘れねぇ。で、本命は渡せたのか?あの緑谷ってガキだろ?」
「?何を言っているのですか?出久君は義理ですよ。お茶子ちゃんから渡して貰うようお願いしたのです。お茶子ちゃんと梅雨ちゃんとの、友情の義理チョコなのです」
「あ~、そうだったのか」
「本命は仁君ですよ。仁君が持っているのが、正真正銘、渡我の本命チョコなのです」
「はっ?!?こんなおっさんに、本命チョコなんて勿体ないでしょ」
「でもでも、本命チョコは一番大好きな人にあげるものなんですよね?本に書いてありましたし、お茶子ちゃん達もそう言ってたから間違いないのです!!」
「いやいや、もっと他に居るでしょ」
「居ないですよ」
「そ、即答?!」
「カアイイ人は沢山居ます。チウチウしたい人も沢山居ます。でも、私をチウチウして欲しいって思うのは、仁君だけです」
「···」
「知ってますか、仁君。渡我は、今年で結婚出来る年齢何ですよ」
▼▼▼
「冬美さん、寒くないかい?」
「大丈夫、一応氷結の個性持ちだから。啓吾さんこそ、重くない?」
「全然、羽の様に軽いばい」
冬美さんを抱え、街の明かりをイルミネーションに空中散歩。どこかお洒落なレストランで、と計画してたけど、冬美さんが「啓吾君の見ている世界を見てみたい」とリクエストされたので、喜び勇んで羽ばたいている。
「綺麗···これが啓吾君が、お父さん達が守ってる世界なんだよね」
「ああ」
「···ねぇ、啓吾君」
「ん?」
「私、啓吾君に何をしてあげられるかな?貴方の活躍を、ただテレビ越しに見ているだけ。ただ、無事を祈って待っているだけ」
「···それで十分。貴女という止まり木がある、それだけで、俺は飛び続けられる」
「···時々不安なの。啓吾君が、いつか遠くの遠くに飛んでいってしまうんじゃないかって」
「冬美さん」
「ねぇ、啓吾君。私、貴方の子供が欲しいです」
「えっ?!」
冬美さんの言葉に、思わず静止してしまう。
「···駄目、かな」
「···俺も、冬美さんに、俺の子供を産んでくれたらって、願ってる」
「···」
「でも、俺はヴィランの息子。親の愛情なんて、知らない。そんな俺が、親になる資格があるのか、不安なんだ」
「啓吾君···ふふっ、それは誰だって思う不安だよ。お兄ちゃんだってお父さんだって、皆不安なんだから。大丈夫、貴方はヒーロー"ホークス"。想像してみて、いつか、私達の子供に、お父さんは誰もが尊敬する立派なヒーローなんだって、自慢してあげるの。とても、素敵じゃないかな?」
「···ああ、それはとても素敵だ」
「それに、親になるのは貴方だけじゃない。私と一緒に親になるの、ね」
「···とても、心強いばい」
「だから、貴方の子供を産ませてください、啓吾さん」
「冬美さん、俺の子供を、産んでください」
▼▼▼
「さぁ、男共!!ありがたく受け取りなさーい!!」
「···今年は、眠り香入ってないですよね?ミッドナイト」
「安心しなさい。ちゃんと対策したわよ、イレイザー」
毎年恒例、ミッドナイトによるチョコ配り。去年は、チョコにミッドナイトの個性である"眠り香"が混入しており、男性職員全員が、その場で朝までぐっすりで大変だったのだ。
「あれ?数が足りませんね。数え間違えましたか?」
「ああ、それはいいの。イレイザー、あんたの分は別の子が作ってくれてるわ」
「···はい?」
「ほら、13号」
「う、ええっと、先輩。その、いつもお世話になっているので、そのお礼に、どうぞ」
「···ああ、ありがとう」
チョコを手渡されると、ビュンとミッドナイトの後ろに隠れる13号。正直、ヒーロースーツ姿であるが故に、全然隠れられてないが。
「Oh!羨ましいぜ、イレイザー!!どんなのか見せっへぶ!」
「山田君、今は静かにしておきなさい。それとも、私がた~っぷり可愛がってあげましょうか~?」
ミッドナイトに簀巻きにされる山田は置いておいて、受け取ったチョコを取り出してみる。
「こ、これは!!」
そこに居たのは、仲良く寄り添う白猫と黒猫。
「ホウ、コレハ素晴ラシイ出来映エダナ」
「中々のクオリティ、可愛らしいですね」
「···13号」
「は、はい!何でしょうか、先輩」
「これを、俺に食えと言うのか」
「え、は、はい。えと、気に入りませんでしたか?」
「···逆だ。こんな可愛い猫達を、俺に食えと、そんな残酷な事をお前は言うのか?!?」
「へっ?」
「俺には無理だ。俺には、この子達食べるなど、出来ない」
「いや、食べろよ」
「食べなさいよ」
「食べるべきです」
「食エ、粗末ニスルナ」
「食べなければならないだろ」
「食べて···いただけないのですか?」
なんと言われようと、俺には、不可能だ。
「···総員、イレイザーを取り押さえて!」
「「「了解!!」」」
「くっ、何をする!離せ!!」
「はいはい、大人しくしててね~。口開けさせて~」
「や、やめろ」
「13号、口の中に放り込んであげなさい」
「先輩、一生懸命作ったんです。味わって食べてくださいね」
「やめろーーー!!!」
チョコは大変美味でした。次、猫を作るなら、食べれない物で頼む。by.イレイザーヘッド
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「···一言Tシャツ、また増えたね」
「え、うん」
「これだけは、やっぱりセンスを疑う」
「···そんなにかなぁ」
こちらに背中を向けて、服の入った三段ケースを物色する葉隠さん。家に来ると毎回やるから、葉隠さんの中では恒例行事になってるみたい。
「···そろそろいい?」
「ん~、もうちょっと···」
「···本題忘れてない?」
尻尾で背中をチョンチョンとしつつ、物色する手を止めようと声を掛けても、Tシャツ取り出して、広げては畳み広げては畳みを繰り返している。
「"とおる"って無いかなぁ···わっ!!」
「俺も、そろそろ我慢の限界かな」
尻尾をお腹に巻き付けて、胡座をかく足の上に引き寄せて、そのまま後ろから抱き締める。
「···お尻に固い物が当たるんですけど」
「だから、我慢の限界って言ったでしょ」
「チョコは、後にするの?」
「後でいいかな」
「透明のまま?」
「今日は、見えてる方で」
「ん、了解」
する前に、見える見えないの確認から入るのは、僕らだけの特別な儀式みたいで気に入っている。見えなくても、それはそれで想像が働いて興奮するんだよね。
「そろそろ散髪する?葉隠さん」
「そうだね。大分維持出来る様になったし、美容室行ってみようかな」
「この無頓着ヘアが、どうなるのか楽しみだな」
「乞うご期待って奴だね」
「まぁ、その前に、今の葉隠さんを楽しませて貰おうかな」
「···尾白君のえっち」
「それだけ、葉隠さんが魅力的なのが悪いかな」
「あんっ!もう、ばか、すけべ、おさるさん!!」
「男は皆、獣だよ」
▼▼▼
「雪花は、ちゃんと渡せたかな」
「あの子の事ですから、余計な事をして偉い目にあってそうですけど。それと、バレンタインで他の女性の話は駄目ですよ、旦那さん」
「娘だろ?」
「今の私は母親でなく、妻ですから。娘でも、他の女性です」
「HAHAHA!それは、悪い事をしてしまったな」
「ふふ、冗談です」
その娘が、彼氏の暴力(R18)にのたうち回っている事を梅雨とも知らず、行きつけの店で逢瀬を楽しむお父さんとお母さんであった。
「しかし、爆豪少年には、そういう事の手加減を教えてあげなければいけないかなぁ?」
「···貴方も大概ですよ。強力なヴィランと戦うよりも、貴方との夜の方が、死を覚悟してましたから」
「えっ!!?」
「初めてだったのに、容赦なくここにSMASH決めたのは誰でしたかしら?」
「その節は、大変失礼いたしました」
▼▼▼
「···おはよ~」
「···おはようございます。随分と、大変だったようですわね」
「···百も、人の事言えない感じじゃん」
「···ええ、いつも以上に凄かったですわ」
「···お茶子も、魂昇りかけてない?」
「···何も聞かんとって」
「おはよー。うわっ!死屍累々!!」
「···透は、搾り取ったんだね」
「唯、足カクカクしてるけど、大丈夫」
「···ん」
「レイ子も、目が死んでるけど、どしたの?」
「···そっとしといて、思い出させないで」
「切奈、何で分離して下半身抱えてるの?」
「察して。···柔造の奴、涼しい顔してどんだけモンスターなのよ」
「···大丈夫か~?お前ら」
「クソッ、次こそ土下座して止めてくれって言わせてやる」
「ミスター、今まで手加減してくれてたのね、凄いテクニックだったわ。もう戻れないかも」
「大丈夫、義姉さん。今、幸せで一杯だから···でも、」
「「「腰が抜けた」」」
「やれやれ。でも、妊娠してなかったら、私もここの仲間入りしてたんだろうなぁ」
「それで、冷まで同席させて話とは何だ、ホークス」
「···冬美さんを、俺にください」
「あら、まぁ!!」
「···何を言ってるのか分かってるのか?」
「はい。轟冬美さんを、俺の嫁にください!」
「······」
「貴方」
「···もとより、貴様以外に娘をやる気は無い。だが、もし娘を泣かせる様な真似をしたら、即刻消し炭にしてやる」
「はい」
「式は、いつ頃を考えているの?」
「冬美さんと話し合って、取り敢えず、燈矢君の子供が産まれてから、ですかね」
「そう、娘をよろしくね、啓吾君」
「はい、お義父さん、お義母さん」
何でホークスと冬美さんがプロポーズしあってるんだ?そんな予定無かったのに。交際始めて半年位だよね?これも、速すぎる男だからか?
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