八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第百六話「~White Day~響香と電気のお泊まり」

 

 

 

 

「じゃあ、上鳴君。響香の事、よろしくね」

「はい!お任せください、お母さん!!」

「ウチは不安しかないんだけど。いってきま~す」

 

 迎えに来た上鳴と、家を出るウチ。

 今日はコイツと二人で、二つ隣の県に遠出して、好きなバンドのライブを見に行く。結構な倍率だったと思うけど、バレンタインのお返しという事で、頑張ってチケットを入手したらしい。

 

「あ、先に渡しとく。これ、クラスの男子全員からのお返し。砂藤のお墨付きだから、味は保証する」

「ん、ありがと」

「楽しみだなぁ!結構良い席取れたと思うぜ」

「はいはい、はしゃぎ過ぎて、トラブル起こさないでよね」

「やめて!俺、A組の中じゃギャグキャラ寄りだから、フラグ立てないで!!」

「何それ。そん時はウチ、他人のふりするから」

「見捨てないで、耳郎様!!」

「あ、バス来た」

「スルーしないで、耳郎様~~!!」

 

 正直、ウチも大分浮かれていた。

 まさか、あんな事になるなんて、思いもしなかった。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「いや~、凄かったな~。やっぱ、生で聞くと違うわ~」

「だね、ウチもあんな演奏出来るようになりたい」

「耳郎なら出来るって、文化祭ん時だって凄かったじゃん」

「アレは、皆のお陰。ウチだけだったら、あそこまで盛り上がってないよ」

「んなことねぇのにな~」

 

 ライブが終わり、ライブから帰る一団に混じって、感想を言い合いながら駅に向かうウチら。

 目当てのグッズも買えたし、何のトラブルもなくライブを満喫出来た。後は、無事に帰るだけ。そう思っていたのに、

 

 

『え~、只今○○県全域に大雨·洪水警報が発令されております。それにより、運転を見合わせております』

 

 

「···どうする?待つ?」

「···あっち着いても、もう終電過ぎてるんじゃね?」

「···だよね。どっか、泊まれるトコ空いてたらいいけど」

「探すなら、急いだ方がいいだろ。ここら辺、宿泊施設とかそんな多くなさ気だし。俺は、別に野宿でも良いから、取り敢えず、お前の寝床を確保しとこうぜ」

「え、でも···」

「ほら、片っ端から掛けまくっぞ」

「う、うん」

 

 携帯を取り出して、ネットで近辺にある宿泊施設を探し始める上鳴。ウチも、携帯を取り出して探し始める。

 

「···やっぱ、未成年だけじゃ泊まらしてくんねぇか」

「親の同意書何て、今からじゃ間に合わないし」

「どうすっかなぁ」

「別に、ウチも野宿したっていいよ。訓練で何回かしてるし」

「つってもなぁ···」

「泊まれるトコ無いんなら、仕方な(bbb)···ヤオモモ?はい、もしもし」

『響香さん、今どちらに居られますか?』

「○○駅、運転見合せで上鳴と立往生中。宿も無くて、途方に暮れてる所」

『やはり、そうでしたか。でしたら、家の別荘をお使い下さい』

「へっ?」

『少し歩きますが、家の社員慰労用の別荘地が近くにありますの。丁度、一つ空きが有りますので、そちらをお二人に提供致しますわ』

「いいの?!」

『ええ、両親の許可も頂いておりますわ。ただ、そこはお一人様用ですので、少々手狭かもしれませんが』

「雨風凌げるだけで十分、ありがと、ヤオモモ!あ、でも、お金とかは···」

『私が立て替えておきますので、お二人の出世払いで構いませんわ。では、地図をお送りしますので。別荘地に着きましたら、受付の者に、ヒーロー仮免許をお見せ下さい。それで、鍵を受け取れるようにしておきますわ』

「ホントありがとう!!」

『いえ、ではお気を付けて。それと、頑張って下さいね、響香さん』

「え?ヤオモモ?!···頑張るって何を?」

 

 

「雪花さん、上手くいきましたわ」

『さんきゅ、百。フフフ、一つ屋根の下、気にしあう男女が何もしない訳がなく』

「お下品ですわよ、雪花さん」

『百だってノリノリだった癖に』

「あら、そうでしたかしら?」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

「では、此方の建物になります。では、ごゆっくり」

 

 ウチらが案内されたのは、一階建ての木造の立派なコテージ。外装も内装も立派で、ウチらみたいな一般庶民が使うのは、少々気後れする。

 

「···取り敢えず、飯にするか」

「···だね」

 

 何となく、隅っこの方に荷物を置いて、道中で買ったコンビニ弁当をレンチンする。

 

「「いただきます」」

 

 モグモグ モグモグ

 

「···風呂、どっちが先に入る?」

「···上鳴が先で良いよ」

「···分かった」

 

 モグモグ モグモグ

 

「···」

「···」

 

((気まずい))

 

 ヤオモモから話を貰った時は、藁にもすがる思いだったから気にしてなかったけど、こうして、上鳴と二人っきりになると、変に意識してしまう。

 いや、バレンタインの時、父さんに邪魔されなければ告白してたのに、今更何を緊張する。あの時みたいに、自然に、普通に、同じように、再現すればいいだけだから。

 

「あの···さ、上鳴」

「お、おう、何だよ耳郎」

「えと···その···」

「···」

「ウ、ウチと···ウチと······」

「···」

「ウチと一緒に入る?」

「ひょえっ!!」

 

 何を口走ってるんだろうか、ウチは。

 

 

 

「······」

 

 どうしてこうなっているんだろうか。

 湯船に浸かりながら出入口に視線をやると、磨りガラスの向こうで、動く人影と衣擦れの音。そこで、耳郎が服を脱いでいる。

 いや、耳郎が提案してきた事だけど、ガチのマジで一緒に風呂入る何て事になると思わないでしょ!

 

「は、入るよ」

「お、おう···て、ちょっ!!」

「···」

 

 タオルで隠す位はしてると思ってたのに、耳郎は本当に何も身に付けずに入ってきた。謎の湯気とか光に隠れる事無く、もうズバーンである。

 此方に背を向けて、髪や体を洗う耳郎。その姿に、視線が離せなかった。

 

「···見すぎ」

「す、すんません!!」

「ほら、寄って」

 

 泡を流し終えた耳郎が、湯船に入ってくる。スラッとした足、形のいいお尻、白い背中、見慣れた黒髪とうなじ、という順で視線の前を降りていき、俺の胸に耳郎の体が預けられる。

 

「···」

「···」

「···っ!」

「当たってる」

「ちょっ!じ、耳郎さんっ!!」

「ウチ、ヤオモモとか雪花とかみたいに、スタイル良くないし、これで無反応だったらどうしようかと思ってた」

「···耳郎」

「上鳴、ウチはアンタが好き。こんな恥ずかしい事しちゃう位、上鳴電気が好き」

「···」

「ねぇ、上鳴。ウチを、アンタの女にしてよ」

「俺なんかで、良いのかよ。俺、お調子者だし、バカやるし、ウェイってなるし···」

「そんなアンタが、ウチは大好きなの」

「耳郎···俺も、耳郎が好きだ。耳郎響香が大好きだ!」

 

 真っ赤な顔と潤んだ瞳で振り向く、世界で一番可愛い女の子の唇にキスをする。

 

 

 

 なぁ、峰田。貧乳も捨てたもんじゃねぇぜ。

 

「いでででで!!」

「いま、むねのことかんがえたでしょ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「響香、梅雨ちゃん、おめでとう!!」

「お二人とも、おめでとうございます」

「やったね!梅雨ちゃん、響香ちゃん」

「これで、A組女子全員恋人持ち!いやぁ、今度の女子会が楽しみだなぁ」

「ニッシッシッ、根掘り葉掘り聞いちゃうよ~」

「ケロケロ、何か恥ずかしいわね。でも、ありがとう」

「大人の階段登った感想は?響香」

「うっさい!黙れ!誰が言うか!!この、万年発情期!!」

「はぁっ!!盛ってんのはあっち!!私は愛を受け止めてるだけ!!!」

「誰が盛っとるだ、コラァ!!」

「ホワイトデーだから、あれやこれやのリクエストに応えてあげたでしょうが!!」

 

「おい、お前ら。ここは学校だ、乳繰りあうなら家でやれ」

 

「あ、13号先生を猫カフェ連れていって、途中から13号先生ほっぽって自分が楽しんだ挙げ句、13号先生を拗ねさせた相澤先生、おはようございます」

「···除籍するぞ」

 

 

 




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