「今日は、場所提供ありがとうね、マンダレイ」
「お礼なら、洸汰に言ってあげて。あの子が、"伊口兄ちゃん達と一緒が良い"何て言い出したりしたから」
「そうなの?ふ~ん、外堀はどんどん埋まってるみたいね、マンダレイ」
「言わないで、マグネ。私、10歳も年上なのよ、こんなおばさん嫌でしょ」
「そこは、人それぞれよ。大人しく、埋められた外堀歩いて城攻めしなさいな」
「···機会があったらね」
そう言って、プッシーキャッツのメンバーの所に向かうマンダレイ。今日は、プッシーキャッツの持っている山で、トムラ事務所とプッシーキャッツ+αの合同お花見。+αというのは、コンプレスが招待したリューキュウや、、子供が洸汰君だけだとという事で、治崎の所の壊理ちゃんと保護責任者の二人が加わっているから。
何人かは思惑を抱えてそうだけど、楽しそうだから、私は傍観しながらお酒を楽しみましょう。
「あ、こらトガちゃん。お酒は駄目よ」
「でも、トガは今年成人です」
「お酒は、二十歳からってのは変わってないわ。だから、貴女はこっち」
「ぶー、今日は無礼講って聞いたのです」
「でも、だ~め」
「···仕方ないのです、仁君にお酌だけしてあげるのです」
「それなら良いわ。あ、トゥワイスの好きなお酒はこれよ」
「ありがとうなのです!マグ姐!」
「いいえ、頑張んなさいよ。私はいつだって、恋する子の味方何だから」
フフフ、本当に楽しみね。
▼▼▼
「は、初めまして、斎日壊理です」
「初めまして、出水洸汰です」
目の前で、マンダレイと筒美さんに付き添われて、初々しく自己紹介しあう子供二人を、微笑ましく見守る俺と治崎。やっぱ、治崎に声かけて良かったぜ。
「おい、治崎。子供相手に、そんな射殺すような目を向けんなよ」
「···向けていない。そっちこそ、いつの間に子供を引き取ったんだ」
「ちげぇよ。洸汰君の親は、海外で起こってる大規模森林火災に、日本の派遣チームの一員として消火活動に行ってるだけ。俺はその間、ちょっと頼まれてるだけだよ」
「何故、マンダレイも一緒に居る?」
「洸汰君の親戚だからだよ」
「···お前、いつの間に結婚何てしていたんだ?」
「してねぇって。あんなすげぇヒーローが、俺みたいな若造の事務員選ぶ訳ねぇだろ」
「それもそうだな」
「ひでぇ、治崎こそ」「パパ!あっちで遊んで来て良い?」
「···ああ、危ない事はするなよ」
「うん。行こ、ママ、洸汰君、マンダレイさん」
「···パパ?···筒美さんが、ママ?」
「···聞くな、色々あるんだ」
「···飲むか?」
「···ああ」
「はい、どうぞ」
「ありがとう、リューキュウ」
「今はプライベートですから、名前で。出来れば龍子と呼んで下さい、迫さん」
「おっと、これは失礼。では改めて、ありがとう、龍子君」
「いえ、どういたしまして」
カチンと良い音は奏でないコップを合わせ、お酒を口にする。
「ふぅ、綺麗ですね」
「ああ、本当に」
「···どちらを見て、仰られているんですか?」
「綺麗な花だよ。それと、その花に負けない、綺麗な君を」
「っ!」
こちらを見る彼の手が、下ろしている前髪をかきあげる。
「綺麗な物は、ちゃんと両目でみるべきだ。それに、僕には全てを見せていて欲しいね」
「迫さん」
本当に、この人の前では、10代の頃の初心な私に戻されてしまうわ。
「お二人さん、そういうのは誰も居ない所でするべきだ。ガキの教育に悪い」
「仁くん、何も見えないです、聞こえないです!」
「あ、あら、ごめんなさい」
「おっと、こりゃ失敬」
「仁くん!いったい何が行われていたのですか?!教えて欲しいのです!!」
「お前にゃ、まだ早い」
「みぃ~つぅ~けぇ~たぁ~~!!!」
和やかに飲み食いしている所に、ソイツは降ってきた。
「おい、トムラぁ、何私に黙って楽しそうな事してんだよ」
「知るか。つか、何でここが分かったんだよ、色ボケ兎」
「色ボケ兎言うな!ミルコ様と呼べ!!んなの、予測と勘に決まってんだろ」
「ちっ、この野生児め」
「ほれ、第五位様に酌しやがれ」
相変わらず、傍若無人な奴だ。まぁ、無駄に暴れられて、桜を蹴り散らされてもアレだから、コップに酒を注いでやる。
「んくっ!ぶふぅーーー!!!ゲホッゲホッ!!」
「あ~あ、もったいねぇ」
「て、テメェ、何注ぎやが···ひゃ······zzz」
褐色なので分かりづらいが、顔に赤色が差して、目がトロンとなり、俺の膝を枕に崩れ落ちるミルコ。
「えっと···彼女、大丈夫なの?」
「寝てるだけだ、放っといていい」
「···アンタ、ミルコに何飲ませたの?」
「荼毘から貰った新作だ。"ヒーロー殺し"を越える"ヴィラン抹殺"だとよ」
「···何で、そんなの持ってきてるの?」
「···何となくだ。マスター、他の奴が飲まないように、厳重に封印しといてくれ」
「分かった。流子さん、くれぐれも興味本位で口付けないでね」
「あれ見せられて、そんな勇気は出ないわ、朧さん。というか、第五位膝枕して優しげに髪の毛すきながら、平然と酒飲めるアンタに驚愕よ」
「···昔飼ってた犬と、手触りが似てるんだよ」
「犬って···」
忘れられねぇよ、もんちゃん。俺が、崩しちまった、最初で最後の生命。
『探すのが遅くなってごめんね、間に合わなくてごめんね、志村転孤君』
『···あなたは』
『私はアイスメイカー。ヒーローです』
「···朧さん」
「何?流子さん」
「アレで、ただミルコがトムラに絡んでるだけの関係なのよね?」
「···一応ね。でも、トムラも拒絶してないから、悪い気はしてないんじゃないかな?」
「そう···」
「まぁ、ミルコはこのままトムラに任せよう」
「そ、そうね」
「俺達も、二人に倣ってイチャついてみる?」
「えっ!?」
「いや?」
「···いやじゃない」
「あ!それとさ、これ終わったら家に来て。ちょっとサインして貰いたい書類があるから」
「え?はい」
▼▼▼
「先輩、コップが空いてますよ」
「ああ、すまない、13ご···亜南」
「いえいえ」
「···亜南も」
「はい、お願いします」
ホワイトデーの時にやらかした代わりに、植物園等を巡った帰り、折角なので飲みませんかと言われ、"今日は詫びなのだから、素直に従う様に"と、ミッドナイトに厳命されているので、亜南(13号呼びは禁止されている)の家で、亜南の料理をツマミに飲んでいる。
「ふへへ、せんぱ~い」
「···そろそろ、俺は帰るぞ」
「え~、だめですよ~、きょうはかえっちゃだめですよ~」
「···お前、飲み過ぎだ」
「ぜんぜんですよ~」
「たく、大人しくもう寝ろ。食器は片付けておくから」
「···つれてってください」
「···分かった」
ふにゃふにゃになっている亜南に肩を貸し、寝室へと向かう。俺も、想定よりも飲んでいた様で、少し足元がふらつくが、亜南を連れていく位は大丈夫そうだ。
「ほら、着いたぞっ!!」
「ふふふ、やっとつかまえました」
先程まで、殆ど脱力していた亜南の体に突如力が入り、酔いと油断で反応出来ず、ベッドに押し倒された。
「亜南、どけ」
「いやです、せんぱい」
「亜南」
「せんぱい、ぼく、せんぱいのことが、むかしからだいすきなんです。でも、このままじゃ、せんぱいはぜったいてをだしてくれないので、もう、ぼくがおそっちゃいますね」
「あ、亜南!」
「せんぱい、あいしてます」
▼▼▼
「全く、緊急事態って飛んできてみれば、甲斐性が無いわね、相澤君」
「そうだぜ、イレイザー。据え膳食わぬは男の恥って言うじゃねぇか」
「うるさい」
「あっ?今すぐ引き返して、今度は13号と一緒に縛りつけんぞ」
「···スマン」
「まぁいいわ。今回は、あの子の詰めが甘かったのだから。でも、あの子の思いは本当よ。それは、分かってあげて」
「···分かっています」
「···白雲の店で、飲み直すか?」
「···ああ」
「あ、俺結婚するから」
「「「はっ?!?」」」
13号は、後一歩という所で寝落ちしてしまいました。
そして、次回が最終回となります。
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