八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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百八話「トムラ事務所お花見大会+α」

 

 

 

 

「今日は、場所提供ありがとうね、マンダレイ」

「お礼なら、洸汰に言ってあげて。あの子が、"伊口兄ちゃん達と一緒が良い"何て言い出したりしたから」

「そうなの?ふ~ん、外堀はどんどん埋まってるみたいね、マンダレイ」

「言わないで、マグネ。私、10歳も年上なのよ、こんなおばさん嫌でしょ」

「そこは、人それぞれよ。大人しく、埋められた外堀歩いて城攻めしなさいな」

「···機会があったらね」

 

 そう言って、プッシーキャッツのメンバーの所に向かうマンダレイ。今日は、プッシーキャッツの持っている山で、トムラ事務所とプッシーキャッツ+αの合同お花見。+αというのは、コンプレスが招待したリューキュウや、、子供が洸汰君だけだとという事で、治崎の所の壊理ちゃんと保護責任者の二人が加わっているから。

 何人かは思惑を抱えてそうだけど、楽しそうだから、私は傍観しながらお酒を楽しみましょう。

 

「あ、こらトガちゃん。お酒は駄目よ」

「でも、トガは今年成人です」

「お酒は、二十歳からってのは変わってないわ。だから、貴女はこっち」

「ぶー、今日は無礼講って聞いたのです」

「でも、だ~め」

「···仕方ないのです、仁君にお酌だけしてあげるのです」

「それなら良いわ。あ、トゥワイスの好きなお酒はこれよ」

「ありがとうなのです!マグ姐!」

「いいえ、頑張んなさいよ。私はいつだって、恋する子の味方何だから」

 

 フフフ、本当に楽しみね。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「は、初めまして、斎日壊理です」

「初めまして、出水洸汰です」

 

 目の前で、マンダレイと筒美さんに付き添われて、初々しく自己紹介しあう子供二人を、微笑ましく見守る俺と治崎。やっぱ、治崎に声かけて良かったぜ。

 

「おい、治崎。子供相手に、そんな射殺すような目を向けんなよ」

「···向けていない。そっちこそ、いつの間に子供を引き取ったんだ」

「ちげぇよ。洸汰君の親は、海外で起こってる大規模森林火災に、日本の派遣チームの一員として消火活動に行ってるだけ。俺はその間、ちょっと頼まれてるだけだよ」

「何故、マンダレイも一緒に居る?」

「洸汰君の親戚だからだよ」

「···お前、いつの間に結婚何てしていたんだ?」

「してねぇって。あんなすげぇヒーローが、俺みたいな若造の事務員選ぶ訳ねぇだろ」

「それもそうだな」

「ひでぇ、治崎こそ」「パパ!あっちで遊んで来て良い?」

「···ああ、危ない事はするなよ」

「うん。行こ、ママ、洸汰君、マンダレイさん」

「···パパ?···筒美さんが、ママ?」

「···聞くな、色々あるんだ」

「···飲むか?」

「···ああ」

 

 

 

「はい、どうぞ」

「ありがとう、リューキュウ」

「今はプライベートですから、名前で。出来れば龍子と呼んで下さい、迫さん」

「おっと、これは失礼。では改めて、ありがとう、龍子君」

「いえ、どういたしまして」

 

 カチンと良い音は奏でないコップを合わせ、お酒を口にする。

 

「ふぅ、綺麗ですね」

「ああ、本当に」

「···どちらを見て、仰られているんですか?」

「綺麗な花だよ。それと、その花に負けない、綺麗な君を」

「っ!」

 

 こちらを見る彼の手が、下ろしている前髪をかきあげる。

 

「綺麗な物は、ちゃんと両目でみるべきだ。それに、僕には全てを見せていて欲しいね」

「迫さん」

 

 本当に、この人の前では、10代の頃の初心な私に戻されてしまうわ。

 

「お二人さん、そういうのは誰も居ない所でするべきだ。ガキの教育に悪い」

「仁くん、何も見えないです、聞こえないです!」

「あ、あら、ごめんなさい」

「おっと、こりゃ失敬」

「仁くん!いったい何が行われていたのですか?!教えて欲しいのです!!」

「お前にゃ、まだ早い」

 

 

 

 

「みぃ~つぅ~けぇ~たぁ~~!!!」

 

 和やかに飲み食いしている所に、ソイツは降ってきた。

 

「おい、トムラぁ、何私に黙って楽しそうな事してんだよ」

「知るか。つか、何でここが分かったんだよ、色ボケ兎」

「色ボケ兎言うな!ミルコ様と呼べ!!んなの、予測と勘に決まってんだろ」

「ちっ、この野生児め」

「ほれ、第五位様に酌しやがれ」

 

 相変わらず、傍若無人な奴だ。まぁ、無駄に暴れられて、桜を蹴り散らされてもアレだから、コップに酒を注いでやる。

 

「んくっ!ぶふぅーーー!!!ゲホッゲホッ!!」

「あ~あ、もったいねぇ」

「て、テメェ、何注ぎやが···ひゃ······zzz」

 

 褐色なので分かりづらいが、顔に赤色が差して、目がトロンとなり、俺の膝を枕に崩れ落ちるミルコ。

 

「えっと···彼女、大丈夫なの?」

「寝てるだけだ、放っといていい」

「···アンタ、ミルコに何飲ませたの?」

「荼毘から貰った新作だ。"ヒーロー殺し"を越える"ヴィラン抹殺"だとよ」

「···何で、そんなの持ってきてるの?」

「···何となくだ。マスター、他の奴が飲まないように、厳重に封印しといてくれ」

「分かった。流子さん、くれぐれも興味本位で口付けないでね」

「あれ見せられて、そんな勇気は出ないわ、朧さん。というか、第五位膝枕して優しげに髪の毛すきながら、平然と酒飲めるアンタに驚愕よ」

「···昔飼ってた犬と、手触りが似てるんだよ」

「犬って···」

 

 忘れられねぇよ、もんちゃん。俺が、崩しちまった、最初で最後の生命。

 

 

『探すのが遅くなってごめんね、間に合わなくてごめんね、志村転孤君』

『···あなたは』

『私はアイスメイカー。ヒーローです』

 

 

「···朧さん」

「何?流子さん」

「アレで、ただミルコがトムラに絡んでるだけの関係なのよね?」

「···一応ね。でも、トムラも拒絶してないから、悪い気はしてないんじゃないかな?」

「そう···」

「まぁ、ミルコはこのままトムラに任せよう」

「そ、そうね」

「俺達も、二人に倣ってイチャついてみる?」

「えっ!?」

「いや?」

「···いやじゃない」

「あ!それとさ、これ終わったら家に来て。ちょっとサインして貰いたい書類があるから」

「え?はい」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「先輩、コップが空いてますよ」

「ああ、すまない、13ご···亜南」

「いえいえ」

「···亜南も」

「はい、お願いします」

 

 ホワイトデーの時にやらかした代わりに、植物園等を巡った帰り、折角なので飲みませんかと言われ、"今日は詫びなのだから、素直に従う様に"と、ミッドナイトに厳命されているので、亜南(13号呼びは禁止されている)の家で、亜南の料理をツマミに飲んでいる。

 

「ふへへ、せんぱ~い」

「···そろそろ、俺は帰るぞ」

「え~、だめですよ~、きょうはかえっちゃだめですよ~」

「···お前、飲み過ぎだ」

「ぜんぜんですよ~」

「たく、大人しくもう寝ろ。食器は片付けておくから」

「···つれてってください」

「···分かった」

 

 ふにゃふにゃになっている亜南に肩を貸し、寝室へと向かう。俺も、想定よりも飲んでいた様で、少し足元がふらつくが、亜南を連れていく位は大丈夫そうだ。

 

「ほら、着いたぞっ!!」

「ふふふ、やっとつかまえました」

 

 先程まで、殆ど脱力していた亜南の体に突如力が入り、酔いと油断で反応出来ず、ベッドに押し倒された。

 

「亜南、どけ」

「いやです、せんぱい」

「亜南」

「せんぱい、ぼく、せんぱいのことが、むかしからだいすきなんです。でも、このままじゃ、せんぱいはぜったいてをだしてくれないので、もう、ぼくがおそっちゃいますね」

「あ、亜南!」

「せんぱい、あいしてます」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「全く、緊急事態って飛んできてみれば、甲斐性が無いわね、相澤君」

「そうだぜ、イレイザー。据え膳食わぬは男の恥って言うじゃねぇか」

「うるさい」

「あっ?今すぐ引き返して、今度は13号と一緒に縛りつけんぞ」

「···スマン」

「まぁいいわ。今回は、あの子の詰めが甘かったのだから。でも、あの子の思いは本当よ。それは、分かってあげて」

「···分かっています」

「···白雲の店で、飲み直すか?」

「···ああ」

 

「あ、俺結婚するから」

「「「はっ?!?」」」

 

 

 

 




13号は、後一歩という所で寝落ちしてしまいました。
そして、次回が最終回となります。

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