八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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最終話「今日も愉快な八木雪花」

 

 

 

 

「おはよ~、お父さん、お母さん」

「「おはよう、雪花」」

 

 一年前よりも、サイズアップした制服に身を包み、新聞を読みながらコーヒーを口にするお父さんや、朝御飯を準備しているお母さんに挨拶する。

 

「今日から二年生だね」

「授業もより実践的になりますし、何より、後輩達に恥じない背中を見せなさいね」

「うん、いただきます」

 

 食卓についた私の前に、お母さんがご飯を並べてくれる。お米に味噌汁と目玉焼き、日本人の朝食はこれだよね~。

 

「それじゃあ、私達は先に行っているわね」

「気を付けて、来るんだよ」

「は~い、いってらっしゃい」

 

 出勤していく両親を見送り、食器を片付けて、歯磨きとかお化粧とかして、新聞読んで軽くまったりした後、戸締まりの確認をして学校へ向かう。

 

「あ、メリ姉、ミリオ先輩、おはようございます」

「おはよう、雪花。いってらっしゃい」

「おはようなんだよね。二年生、頑張るんだよね」

「は~い、いってきまーす!」

 

 出勤の為、駐車場に向かう通形夫妻に挨拶をする。デイヴさんとお父さんが、結婚祝いとして、二人が若い頃に乗っていた車の進化版をプレゼントしたんだよね。

 見た目が格好良いし、色々ガジェットも着いてるから、近所の子供達に大人気である。

 

「おっはよ~、かっくん」

「おせぇんだよ」

「誰かさんが、また忙しくなる前にって、遠慮無く貪ってくれたお陰ですな」

「···けっ」

 

 校門の所で待つ、変わらぬツンツン頭の、最愛の恋人に飛び付く。春休み中、お父さんや炎司叔父さんに鍛えまくって貰って、最近じゃ、負け越してしまっている。私も、置いてかれないように、もっともっと精進しないとね。

 

「おはようございます、雪花さん、爆豪さん。朝から相変わらずですわね」

「おはよう、雪花、爆豪」

「あ゛あ゛、テメェらに言われたくねぇわ!」

「おっはよ~、百、焦凍。そっちこそ、朝からお熱いじゃん」

 

 ガッツリ腕組んで登校してきた百と焦凍。

 春休みの殆どを、花嫁修行と称して轟家で生活していた百。学校が始まったので、平日は百宅、土日は轟家で生活する予定らしい。たまには、実家に帰ってあげなよ。叔父さんから、百のお父さんが寂しがってるって、この前聞かされたからさ。

 因みに、百の希望で、私が使ってた部屋が百の部屋になっておりました。

 

「おはよう、諸君!こんな所で立ち止まっていると、他の皆の邪魔になる。お喋りは教室で行うんだ!」

「皆さん、おはようございます」

「おはよ~。これは、二年生も学級委員長続投だね」

「もしまた選ばれたなら、喜んでなろう」

 

 登校してきた飯田君に注意されたので、校門を潜って教室に向かう。飯田君は、恋人繋ぎしている発目さんを、サポート科に送り届けてから教室に向かうとの事。

 

「さて、やはり新学年となったからには、アレをやらねばな」

「···やっぱり、するのか」

「アレ?アレとは何ですの?」

「けっ、さっさと済ませやがれ」

「おはよー、級友諸君!!私は八木雪花!!いずれはNo.1ヒーローになる者だ!!二年間、共に切磋琢磨しようではないか!!!」

 

 二年A組と書かれた教室の扉を開けて、去年宣言した事と同じ文言を言って入る。やっぱ、これやんないと始まんないよねぇ。

 

「おはよ~、雪花」

「何かデジャブだね、おはよう、雪花ちゃん」

「おはよ、ウチらも負けないからね、雪花」

「元気なのは良い事だわ。おはよう、雪花ちゃん、百ちゃん、爆豪ちゃん、轟ちゃん」

 

 皆からの暖かい歓迎を受けながら、自分の席へ向かう。

 切島君が、途中で躊躇っちゃって初体験終えれず、どうすればいいかと相談してきた三奈。人生初美容室に行って、髪の毛さっぱりしたけど、やっぱり所々ハネてる透。上鳴君のお陰か、何と、ブラのサイズが一段階上がった響香。弟妹達が変に気を遣って、二人っきりにさせようとしてくるので、逆に意識しすぎてしまうのと相談してきた梅雨ちゃん。

 皆も、元気そうで何よりである。

 

「みんな~、おはよ~」

「おはよう、皆」

「お、緑谷夫妻のご到着!式は、いつのご予定で?」

「···二年になっても、相変わらずやね、雪花ちゃん」

「あはは···おはよう、八木さん」

「照れんな照れんな、一緒に青空の下で、お花見楽しんだ仲じゃん」

「照れとらん!その事はほじくり返さんといて!!」

「え~、何々~?何があったの~?」

「教えて欲しいな~」

「絶対言わへんからね!透ちゃん、三奈ちゃん」

「えっとね~、お花見の時に青んぶっ!」

「雪花ちゃん、シャラップ」

「い、いえふ、まむ」

 

 これ以上からかうと、ガチでぶん投げられそうなので、大人しく止めておく。まぁ、三奈達は察してるだろうけどね~。

 

「お前ら、席につけ」

 

 そっから、他愛ない雑談をしていると、今年は寝袋に入らず、ちゃんとした格好で入ってきた相澤先生。

 

「あ!13号先生とお付き合いを始められた相澤先生、おはようございます!」

「···八木、一週間補習だ」

「事実を言っただけなのに!横暴だ!!」

「一ヶ月が良いか?」

「一週間でどうか」

「はぁ···お前らも今日から二年だ。新入生に誇れる先輩である様心掛ける様に。では、始業式に向かえ」

「「「はい!」」」

 

 さって、今年も頑張りますかね!

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「い゛だだだだだ!!!!!死ぬ!!死んじゃう!!!」

「頑張りなさい!!雪花!!!」

「もう少し!もう少しよ!雪花ちゃん!!」

「ふんっ~~~~!!!!」

 

 

 

「はっ、はっ、はっ!

 

 母親から連絡を受け、俺は人生で一番の速さで駆けた。

 

「爆豪!」「かっちゃん!」

「テメェらもか!!」

「ああ」

「兎に角、急ごう」

 

 同じ様に、全力疾走してきたと思われる二人と遭遇した。出久の言葉に従うのは癪だが、今はそうする以外ねぇ!

 

「雪花は!!」

「今、分娩室だよ、勝己。時間的には、もう少しじゃないかな」

「っ!!」

「待て、ダイナマイト。今は正念場だ、ここで大人しく待て」

「三人の側には、奥さん達がついてくれて居てくれてるから、落ち着いて、息を整えておきなさい」

「そして、覚悟を決めるんだ」

「これが、親になる最初の試練だよ、三人共」

 

 親父や義父、エンデヴァーやウラビティとクリエティの父親に諭され、大人しく椅子に座って、荒れた息を落ち着ける。

 その時間は、永遠にも感じ、あっという間にも感じた。

 

「「「オンギャア!オンギャア!オンギャア!!」」」

 

 特徴的な泣き声が三つ、俺達の耳を打つ。すぐに駆け込みたかったが、また親父達に制止される。ゆっくりと扉が開き、右の扉から出久の母親とウラビティの母親が、真ん中の扉から母と義母が、左の扉からショートの母親とクリエティの母親が、一様に安堵の表情を浮かべて出てきた。

 

「無事に産まれたわ」

「母子共に健康よ」

「さっ、会ってあげて」

 

 先程までの焦燥感は無く、凪いだ気持ちで、両親達に見守られながら、部屋の中へ足を踏み入れた。

 そこには、髪を汗で顔に張り付けて、少し窶れた顔で笑みを浮かべる最愛の妻と、その腕に抱かれる、猿みたいに赤い顔の小さなちんちくりん。

 

「雪花」

「へへ、流石の私も、ヘトヘトだよ」

「よく、頑張ったな」

「そりゃ、人生で一番頑張ったから。ほら、パパが来たよ~」

「へっ、よく寝てやがる」

「抱いてあげて、貴方」

「···おう」

 

 妻の手から、赤子を受け取り、出来るだけ優しく腕に抱く。

 

「名前は決めてある?因みに、予想通り女の子だよ」

「···裂花、爆豪裂花だ」

「裂花」

「そうだ、将来、俺の後を継いで、No.1ヒーローになる奴の名前だ!」

「その台詞は、No.1になってから言いなさいな」

「うるせぇ」

 

 

『うおおおおお、よくやったぞーー!!!』

『うるさい!クソ親父!!』

『お義父様!静かにしてください!!』

『エンデヴァーさん!病院ではお静かに!!』

 

 

「···叔父さんは、相変わらずだねぇ」

「テメェの父親は大丈夫なんかよ」

「···多分。どちらかというと、家に子供用の一軒家が建ってない事を祈ってる」

「はっ?なんだそりゃ」

 

 

 

 




はい、よくある出産オチで、一区切りとしたいと思います。
別作品の息抜きに書き始めた筈の本作が、メインを乗っ取り、一応の完結までこれたのが、本当に驚きです。
多くの方に読んでいただき、評価や感想も書いていただき、本当にありがとうございました。
今後は、ゆっくりまったり気が向いた時に、続きを更新するかもしれませんが、まぁ、余り期待せずお待ちください。
では、またどこかで。

評価と感想をよろしくお願いします。
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