八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

129 / 244
「初孫轟家」

 

 

 

 

 その日、轟家に新たな家族がやってきた。

 

 

「びええええ!!!!」

「お~よしよし、恐かったなぁ~」

「······」チーン

 

 部屋の角で、体育座りしながら灰になるお義父様。

 原因は、萌お義姉様の腕の中で、大粒の涙を流しながら泣き叫ぶ赤ちゃん。先日、無事お産まれになった、燈矢お義兄様と萌お義姉様の子供、轟緋衣(トドロキ アカエ)ちゃんですわ。

 最初は、お義母様が緋衣ちゃんを抱っこされ、冬美お義姉様、夏雄お義兄様と上機嫌に順々に抱っこされていったのですが、お義父様の腕に抱かれた瞬間、これでもかという程の大号泣。萌お義姉様の腕に戻されたのですわ。

 

「もう、この人は。自分の子供にも泣かれていたのに、泣かれない訳ないじゃないの」

「まぁ、怖えもんな」

「焦凍、貴方は泣いていないわ。ずっと、キョトンとしてたのよ」

「そうなんですの?」

「ええ、あの人が唯一抱っこ出来たのが焦凍なのよ」

 

 しみじみと語るお義母様。でも、その情景は容易に思い浮かべられますわ。

 

「顔の感じは、義姉さん似だな」

「でも、目元はお兄ちゃんそっくり」

 

 泣き止んで、寝息を立て始めた緋衣ちゃんを、顔を寄せあって覗き込む夏雄お義兄様と冬美お義姉様。頬をツンツンしたり、腕や足をふにふにしたりと、デレッデレといった感じですわ。

 

「百、はい、抱いてみな」

「え、あ、はい、萌お義姉様」

「そうそう、そういう感じで優しく」

 

 萌お義姉様から、緋衣ちゃんを受け取り、見様見真似で腕に抱く。暖かくて、柔らかくて、軽いのに重い。この子の生きる未来の為に、私達は頑張らなければならないのですわ。

 

「キャッ!」

「っ!!」

 

 服の上から、胸に吸い付いてしまわれました。赤ちゃんは、何でも口に入れてしまうと聞いた事がありますが、本当なのですね。

 

「おっと、お腹が空いたのかな。百、良い?」

「はい、お返ししますわ」

 

 緋衣ちゃんを、萌お義姉様にお返しし、お義母様に付き添われて隣の部屋に移動されました。

 

「百」

「はい、何ですか?焦凍さん」

「···」

「焦凍さん?」

「···焦凍、さてはお前、赤ん坊に嫉妬してるな?」

「あら、そうなんですの?」

「···んな事ねぇ」

「いや、その顔で言われても説得力無いから。この調子じゃ、自分の子供の時が心配だよ」

「だから、してねぇって」

「百ちゃんの胸は俺のだって、顔に書いてあるよ」

「っ!!だからちげぇって!!」ダッ

「あ、焦凍さん!!」

「逃げた」

「うん、逃げた」

「夏雄お義兄様、冬美お義姉様、焦凍さんをからかうのは程々にして下さいまし。色々と大変なのですから、特に夜が」

「···ごめんね」

「···頑張って」

 

 明日はお休みですから、朝までコースでしょうか。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「キャー!可愛い!!」

「本当に」

「猿みてぇにちんちくりんだな」

「産まれたばかりは、皆そうよ」

「ちっちゃくて可愛いのです!トガも、赤ちゃん欲しいのです」

 

 

「おめでとう、お父さん」

「頑張れよ、大黒柱」

「ちゃんと家族サービスしろよ、お父さん」

「もうちょっと大きくなったら、緋衣ちゃん連れてきなさいよ、お父さん」

「で、次の子はいつのご予定で?」

「当分はねぇよ。つか、テメェらがお父さん言うんじゃねぇ」

 

 荼毘の子供の写真を見て盛り上がる女性陣と、からかい混じりに祝福する野郎共に別れた店内。雄英高校夏合宿の打ち合わせが一段落したと思ったら、話は荼毘の子供に移ってそのままだ。

 

「これからは、そう頻繁には来れなくなるな」

「···まぁ、流石にな」

「ヒーロー活動はどうするんだ?」

「家には母さんが居るし、仕事終わったらさっさと帰ってこいって言われる位で、多分今までと変わらねぇよ」

「そっか」

「おい、何湿気た面してんだ、クソガキ」

「ドワッ!」

 

 ミルコが、いきなりのし掛かってきた。

 

「止めろ、この色ボケ兎!」

「兄貴分がちょっと来れなくなる位で、図体でかくても寂しがりかぁ?仕方ねぇ、私が側に居てやるよ」

「寂しくねぇし、頼んでねぇ!!」

「ふっ、素直じゃねぇ弟分を頼むな、ミルコ」

「へっ!テメェこそ、萌とガキンチョ大事にしやがらなかったら、蹴り飛ばしに行くから覚悟しとけよ」

「はっ、上等だ」

「おい!俺を無視すんな!!」

「おっと、僕達はお払い箱かい?」

「馬~鹿Mr.、信頼してんだよ。お前らなら、頼まなくてもやってくれるってな」

「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない」

「やってやるぜ!嫌だ、面倒臭い!!」

「トムラ君の事は、トガ達に任せるのです!」

「気合い入れんのはいいけど、全員、書類とかは期日までに出してくれよ」

「···だから、俺を無視すんなーー!!!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「キャー、フニフニ可愛い!!かっくんも触ってみなよ」

「···興味ねぇよ」

「···もしかして、炎司叔父さんみたく泣かれたら嫌だから~とか思ってる?」

「思ってねぇわ!!」

「ちょっ!声大きい!起きちゃうでしょ!」

「んぐっ···」

「ほら、大丈夫だから」

「······柔けぇな」

「ね、大丈夫でしょ」

「···けっ!」

 

 

「···なぁ冷、もう一度」

「駄目よ、あなた」

「···だが」

「もう少し大きくなってからにしなさい」

「···ううむ」

「私が居ない時に、緋衣に接近するのは禁止ですからね」

「·········」

「いいですね!」

「···うむ」

 

 

 

 




評価と感想をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。