八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「セロハンテープと赤外線」

 

 

 

 

「お、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

「プアっ!!離すかよぉおお!!」

「くうっ!ガボッ!ゲホッゲホッ!!大丈夫、絶対助けるから!!」

「離すんじゃねぇぞ、峰田!!」

「上鳴こそ、しっかりオイラ捕まえてろ!!」

「おーい!応援呼んできたぞ!!」

「全員で引っ張るぞー!」

「「「せーの!!」」」

 

 

 

「瀬呂君、テレビ見たよ~。凄い活躍だったじゃん」

「いや~、峰田達が居なかったら助けらんなかったよ」

「たく、オイラのミネタビーズが届いたから良かったものの、テープ伸ばす先をちゃんと確認してから行けよな」

「そうそう、幾ら何でも焦りすぎだっての」

「分かってるよ、そんなの。ラーカーズにも、相澤先生達にも、その点はしっかりお叱り受けてるっての」

 

 教室は、今朝から大盛り上がり。何故かというと、我らが瀬呂君が、テレビに取り上げられたからである。

 雨で増水した川に、一人の男の子とヒーローの女性が流されてるの見つけた、下校途中の瀬呂君達。近くに居た民間人の協力もありつつ、見事に救出する事に成功。丁度、取材帰りのテレビスタッフも通り掛かり、一部始終をカメラに納めていたので、その活躍が全国放送に乗ったのである。

 

「羽生子ちゃんからも、お礼を言っておいてと連絡があったわ。友達を助けてくれてありがとうって」

「赤外可視子さんだっけ。サーモヒーロー"IR"ってヒーロー名で、ウワバミの所にインターン中ってニュースで言ってたね」

「そう、去年勇学園との合同訓練で来てた子。何か見覚えあるなぁと思ってたけど、まさかあんな形で再会するとは思わなかった」

「確かに、赤外さんの個性ならば、ウワバミの経験や知識はとても有用ですわね」

「本当、世間て広いようで狭いよねぇ」

「ああ、それと、瀬呂ちゃん。その赤外ちゃんから何だけど、助けてくれたお礼をしたいから、連絡先を教えて欲しいらしいの。私から、羽生子ちゃんを通じて、連絡先を教えても良いかしら?」

「へっ?」「ほう(キラーン)」「何で瀬呂だけなんだよ!」

「駄目なら、お断りしておくけど」

「いや、別に構わねぇけど、そんなお礼される様な事でもねぇんだけど」

「なぁオイラは?!蛙吹、オイラは!?!」

「じゃあ、羽生子ちゃんに教えるわね」

「なぁ!オイラは?!!!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「お、お待たせしました、瀬呂さん」

「ん、俺も今来たばっかだから」

「で、では、行きましょうか」

「おう。あ、その服春の新作でしょ、似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます」

 

 

「くっそ~、何で瀬呂だけ」

「合同訓練の時に、纏わりついてセクハラしてたからよ、峰田ちゃん」

「赤外さん、貴方の事生理的に苦手だって言ってた」

「ゾンビになっても、凄い執念だったからね~、峰田君」

「お前も、いい加減少しは欲望を控えろ」

「ちくしょー!」

 

 物陰から、赤外さんと瀬呂君を見つめる五つの影。

 前日から凄いテンパってて、藤見君ですら心配する位だったから、心配で梅雨ちゃんと一緒に見守る予定だったんだけど···。

 梅雨ちゃんが恋人を紹介したいという事で、常闇君が加わるのは分かるんだけど、八木さんと峰田君が現れた時にはビックリしたわ。八木さんは「A組の恋愛狂いが来なくてどうする!?」、峰田君は「瀬呂だけに良い思いさせてたまるか!」との事。梅雨ちゃんも常闇君も、諦めた顔をしてるから、いつもの事なのかな?

 

「あ、二人を見失ってしまうわ。行きましょう、羽生子ちゃん、常闇ちゃん」

「ええ、行きましょう、梅雨ちゃん」

「うむ」

「···蛙吹、普通にオイラ達の事スルーしたな」

「あ、アレかっくんに似合いそう。今度、お揃にしてみるかな」

「おい!お前もか、八木雪花!!」

 

 あんな大声出して、気付かれないかなぁ。

 

 

「はい、どうぞ」

「す、すみません、えと、お幾らでしたか?」

「いいよ、俺の奢り」

「で、ですが、助けて頂いたお礼···」

「そのお礼が、このデートでしょ?それに、男の子は格好つけたい生き物なの。今日一日、俺に格好つけさせてよ」

 

 そう言って笑う瀬呂さんから、飲み物を受け取る。

 これまで、ヒーローになる為に必死で、男性と二人っきりで出掛ける様な、普通の女の子らしい事はしてきませんでした。

 

「赤外さんて、好きな食べ物とかある?」

「え、えぇっと、目にいいと言われる物を好んで食べます。ブルーベリーとか、よく摘まんでいます。瀬呂さんは」

「俺は、体にいい食べ物。大豆とか、果物ならオレンジが好きだな。最近は、オレンジでスムージー作るのにハマってる」

「スムージーですか」

「ミキサーがあれば、簡単に作れるから手間かからないし、アレンジも楽だしさ。好みの組み合わせ探すのも、案外楽しいぜ」

「なるほど、今度やってみます」

 

 

「クッソ~、瀬呂の奴、何楽しげに会話してやがんだ」

「流石瀬呂君、あのかっくんと友達やってるだけはあるねぇ」

「ええ、とてもスマートですね」

「···梅雨も、ああいうのが良いのか?」

「常闇ちゃんは常闇ちゃんらしくで良いのよ。いえ、常闇ちゃんらしくが良いの」

「梅雨」

「はい、イチャイチャしない。ほら、移動するみたいだよ」

 

 梅雨ちゃん、本当に好い人に出会えたんだね。

 

 

「あ、美味しい」

「だろ?最近見つけたんだけど、味が良いのにリーズナブルでさ。それに、ここのコーヒーがまた旨いんだ。あ、赤外さんはコーヒー大丈夫な人?」

「ええ、大丈夫です」

「このカレーとすげぇ合うんだぜ。マスター、ルブランコーヒー二つお願いします」

「あいよ」

「カレーとコーヒー···隠し味に入れるっていうのは聞いた事があるけど···」

「ま、騙されたと思ってさ」

「お待ちどう。それと、可愛いお嬢さんにサービスだ」

「あ、マスターずりぃ!!」

「あの、ありがとうございます」

 

 

「旨そう···」

「うん、美味しそう」

「はい、常闇ちゃん、羽生子ちゃん」

「うむ」

「梅雨ちゃんのお弁当、久しぶり!」

 

 

 

 

「こういうのも、赤外さんに似合うんじゃない?」

「そ、そうかしら···私、こういう系は着た事ないわ」

「なら、お試しにさ。何事も、やってみてからって言うじゃん?」

「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ」

 

 エスニック系って言うのかしら。私、私服はオフィススタイルのきっちりしたのばっかりだから、とても新鮮。

 

「ど、どうかしら」

「自分はどう思った?」

「その···今度から、こういうのも着てもいいかな」

「だろ?」

 

 

 

「そこはもっと!エロい格好させる所だろうが!!」

「峰田君、グラビアでも見てなさい」

「凄い、赤外さん、全然雰囲気が違うわ」

「常闇ちゃん、どっちの柄が良いかしら」

「···俺は、右が好きだ」

「あの、梅雨ちゃん···」

「羽生子ちゃんは、どっちが良いと思う?」

「···私も、右···かな」

「ケロロ」

 

 

 

「今日は、デートしてくれてありがとう」

「いえ、私の方こそ、お礼をするつもりだったのに、何も···」

「いやいや、赤外さんみたいな可愛い子とデート出来ただけで、お釣りが出る位だって、本当」

「···あの、えっと···また、私とデートしてくれますか?」

「え?」

「こ、今度は、私のオススメのお店とか、その、紹介したくて···」

「···楽しみにしてる」

「っ!!は、はい!!」

 

 

 

「無事に終わって良かったわね、羽生子ちゃん」

「うん、梅雨ちゃん。今日は、付き合ってくれてありがとう」

「いいのよ、羽生子ちゃんと一緒に遊びたかっただけだもの」

「梅雨ちゃん!」ダキッ

「羽生子ちゃん!」ダキッ

 

「けっ!リア充爆発しやがれ!!」

「お前、何故着いてきたんだ」

「瀬呂君が、粗相して嫌われる様な事する訳ないのに」

「···ほっとけ」

「もしかして、寂しいの?上鳴君に続いて瀬呂君まで彼女が出来たら、自分と疎遠になるかもって」

「んな事ねぇよ!!」

「峰田」

「んな目で俺を見んじゃねぇーーー!!!」

「あ、行っちゃった」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「···ふぅ······」

「最近、溜め息が多いわね、IR。何か、悩み事?」

「あ、すみません、ウワバミ」

「良いのよ、それで、何に悩んでいるの?」

「······あの、男の子が魅力的だって思うデートコースって、どんなのでしょうか」

「···えっ?」

 

 

 




もうね、今週の瀬呂君見たら、相手を用意したげたくなったじゃないか。

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