ある日の放課後、とあるファミレスに、塩崎茨·取蔭切奈·柳レイ子·小大唯の四人が集っていた。
「「「勝負下着!!」」」
「こ、声が大きいです!!」
「あ、ごめんごめん。でも、まさか茨の口から、そんな言葉が出るとは思ってもみなかったからさ」
「鉄哲と、何かあった?」
「いえ、何かあった訳では···何もないから、というのが今回は···」
「ん?」
「···はい、その、あの、そろそろ、轍鐵さんとの関係を一歩進められれば···と」
いつも、きっちりかっちりお固めの茨が、俯きがちに頬を赤く染めてもじもじと話す様は、同性ながらキュンとするものがあった。
「でも、勝負下着ねぇ。そう見えなくもないのは持ってるけど、あくまでデザインとか気に入ってだから、そういう目的で買ったのはないわよ」
「ん」
「そうね。私も、こう如何にもってのはないわ」
「···そうなのですか」
「じゃあさ、これを機に、皆で何か買ってみる?買わなくても、どんなのが実際あるのか見れば、何かしら参考になるかもだしさ」
「···まぁ、いいけど」
「ん!」
「皆さん、ありがとうございます」
「じゃあ、いつ行くかだけど···」
「ンフフフ、良いこと聞いちゃった☆」
▼▼▼
「「「···」」」
「やぁやぁ、奇遇だねぇ。君らも何か買いに来たのかい?」
「ホント、偶然だね~!!」
「茨ちゃん!私も協力させて!!そして、参考にさせて!!」
「···三奈さんはともかく、八木さんと葉隠さんはお帰り願いたいのですが」
休日、女性下着専門店にやってきた四人を、八木雪花·葉隠透·芦戸三奈のA組恋愛三銃士が待ち構えていた。
「そもそも、何でいるのよ」
「昨日ね~、私もあのファミレスに居てね~、聞こえちゃったんだよね~」
「よりにもよって、一番うらめしい相手に聞かれたとは」
「ん」
「んなの透から聞かされたら、もう出動するしかないじゃん」
「茨ちゃん!!一緒に、あの堅物達を誘惑しよう!!!大人の階段登ろう!!!」
「···あの、お心は嬉しいのですが、その、もうちょっと声を······」
「はぁ···ま、追い返しても無理矢理ついてくるんだろうし、諦めて入りましょ」
「うっへっへっへっ、ドエロい下着を着る塩崎さんが楽しみだぜぇジュルリ」
「雪花、アンタ中身峰田と入れ替わってない?」
「いや、雪花はこれが平常だから、うらめしいことに」
「ん~、やっぱベビードールかなぁ。ちょっと透ける位?ヒーロースーツに寄せたデザインだと、背徳感増してより良いと思う」
「いや、ここはこういったビスチェだよ。下は絶対ガーターベルト」
「いや、それだと鞭持たせたくなっちゃうから。最初は、こう清らか~な感じが良いって。この穢してはいけない存在を、自分のモノに出来るって思うと興奮するじゃん」
「確かに。でも、ギャップ狙いで、ガウンの下からこういうテディな奴が現れても、それはそれで良くない?」
「ん~、一理ある。けど、それ百のヒーロースーツと被るくない?」
「あ~、悩ましいね~」
入店前の、おどろおどろしい喜悦に満ちた雰囲気とは打って変わって、めっちゃ真剣に議論を交わす雪花と葉隠。お店にある物ひっくり返す勢いで、あ~でもないこ~でもないと。
「意外、真っ先にこんなのとか薦めてくると思ってたのに」
「ん」
レイ子が手に取るのは、がっつりオープンなブラとか、真ん中に穴の開いたショーツとか。私もそう思ってた。何なら、紐とかニップレスのみとか言ってくると思ってた。
「清楚さを残すなら白···でも、ワンチャン手を出しても良いんじゃないかと思わせる黒···」
「私はその気ですってアピールの為に、真っ赤でも良いね」
「「塩崎さんはどれが良い?」」
「えっ!?ええっと、あの、えっと···これで」
「よっし、私の勝ち!」
「くっ、負けた」
二人の勢いに圧されながら、アワアワと手に取ったのは、雪花チョイスのスケスケベビードールと、大胆なカットのTバック。
「でも!勝負下着は何着あっても良い!こっちも買っておこう!!」
「それはそうだね。マンネリ対策に、色んなのあった方がいいのは確か」
「えっ?えっ?ええっ?!!」
「店員さーん、フィッティングお願いしま~す」
こんらん状態のまま、店員に促されてフィッティングルームに消えていく茨。私ら、見てるだけで何もしてない。芦戸なんて、ひたすらメモ帳に文字を書き連ねている。
「出番、無かったね」
「ん」
「まぁ、目的は達成されたから、一応良しじゃない?」
「···折角だし、私達もどれか買ってみる?」
「···折角だしね」
「ん」
「「おやおや~、私達の出番?」」
「···おふざけ無しだからね」
▼▼▼
「···轍鐵さん、あの」
「おまっ!な、な、なな、な、何て格好してやがる!?」
「轍鐵さん、私の···初めてを、貰って頂けないでしょうか」
「···茨」
「······」
「本当に良いのかよ」
「···はい」
「···俺も経験ねぇからよ、下手でも笑うなよ」
「切奈?どしたの、それ」
「ちょっとね、買ってみた。どう?」
「いや、うん、似合ってる···」
「ねぇ、柔造、ほどいて」
「ほどくだけでいいの?」
「馬鹿、分かってる癖に」
「···なぁ、レイ子」
「何?」
「こんな下着、元からあったっけ?」
「なっ!何勝手に漁ってるのよ!!」
「いや、レイ子の増えてきたし、新しい衣装ケース買ったからそっちに移そうとしてただけで、偶々見つけたと言うか」
「······」
「···着ないの?」
「着ない!!」
「···着ないの?」
「着ない!!」
「着よう」
「着ない!!」
「···自分から着るのと、洗脳で着させられるのと、どっちがいい?」
「っ!!···今回だけだから」
「じゃあ、次からは洗脳する事にする」
「この、変態!!」
「ん」
「唯」ゴクリ
「ん!」
「最初に謝っとく、暴走したらごめん」
「ん!!」
「えっ?出来なかった!?!」
「···うん」
「しかも、入れる寸前でお預け?!?」
「···うん」
「「切島ーーー!!!!」」
鉄哲君て、アレが鉄になっても、出る物出るんだろうか。
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