八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「修学旅行~ガチンコバトル、継ぐ者達~」

 

 

 

 

「何で俺じゃねぇんだよ」

「はいはい、抑えて抑えて。機会はまだあるから」

「デク君、頑張って。相手が女の子やからって、手加減したらあかんよ」

「うん、分かってるよ、お茶子さん。ここからでも、本気でやらなきゃ負けるって分かるから」

 

 

「これより、シャロン·ロジャー、カミラ·ダンバースペアと緑谷出久、八木雪花ペアによる、親善試合を行う。四名、位置へ」

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

 親善試合とはいえ、まさかこんな早くやりあうとはね~。

 ルールは、制限時間30分以内に相手を戦闘不能にすればいいだけ。要するに、体育祭決勝だね。フィールドも、建物や障害物のないステージだし。あ、因みに、スーツは着てるし、アイテムもフル装備だよ。

 

「八木さん、どうする?」

「ん~、親善試合だしね~、初手はド派手に行こうよ。小細工抜きに、最短でまっすぐ一直線にSMASHってな感じで。そっからは、臨機応変に柔軟な対応をよろしく」

「うん、分かったよ。最初から全力全開で」

 

 そう言って、フルカウルを発動させて構える緑谷君。私も、相手を見据えて戦闘態勢に入る。

 

「それでは、始め!!」

「OFA100%!DETROIT SMASH!!」

 

 開始と同時に、一足飛びに相手に突っ込んでいき、渾身の拳を振りかぶる緑谷君。それを、シャロンが前に出て、中心に星の描かれた円形の盾を構えて受け止める。

 金属を叩く鈍い音の後に、物凄い衝撃波が襲ってくる。アレが、アメリカの盾か。

 

「ゴングは鳴った!こちらも行くぞ!!一撃で倒れてくれるなよ!!」

「上等!!!」

 

 カミラ·ダンバース。ヒーロー名"ミス·マーベリック"。

 個性は超エネルギー。解析不能な未知のエネルギーを、纏ったり放出したりする、波動先輩に似た感じの個性。

 スターアンドストライプの跡を継ぐ筆頭候補。相手にとって不足なし!!

 

「スノウアーミー、ディフェンス陣形!!」

「マーベリック·タックル!!」

 

 白の様な、オレンジの様な光を纒い、足の裏からエネルギーを放出して飛んでくる。私は、雪像を15体作りスクラムを組ませて待ち構える。

 ダンバースさんは、拳を握って両腕を前に出し、その勢いのまま、雪像に突っ込んできた。砕かれた雪像が、陽の光を反射してキラキラと舞う。

 

「これを、無傷で受け止められたのは、シャロン以来だ」

「天候を変えれる様になってから、出直してきなよ」

「じゃあ、そうさせて貰うよ!」

 

 挨拶代わりは終わった、本番はここからだ。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「SMASH!!」

「フンッ!!そんなんじゃ、この盾は越えられないよ」

「流石、全て衝撃を受け止め吸収すると言われている、キャプテン·ステイツの盾だね。本当に凄いよ!!それを、使いこなす君も!!だから、僕も、もっと速く、もっと強く!!うおおおおお!!!!」

 

 凄いのはそっちだよ、緑谷出久。

 貴方が言う通り、この盾はあらゆる衝撃を吸収する、特殊な金属で出来ている。そう、吸収なんだよ。なのに、最初の一撃で、観客席に届く程の衝撃波を出した。この盾が、衝撃を受け止め切れずに、漏れ出た証。

 八木雪花が言っていた。"平和の象徴を継ぐのは私だけど、オールマイトを継ぐのは緑谷君、緑谷出久だよ"と。

 

「私は、シャロン·ロジャー。キャプテン·ステイツを継ぐ者、キャプテン·アメリカ!!」

「緑谷出久。オールマイトみたいな、凄いヒーローになる、頑張れって感じのデクだ!!」

「来い!デク!!お前の全てを、私はこの盾で防ぎきる!!」

「行くよ、キャプテン·アメリカ!!僕の本気の全力で、その盾を貫く!!」

 

 距離を取ったデクの体から、濃い色の煙が吹き出し、姿が見えなくなった。

 

「煙幕何か張ってどうするって言うの。それじゃ、自分の視界を遮ってるだけよ」

「良いんです、それで。僕の姿が、貴女から見えなければ」

「何をするつもりか知らないけど、それで私の盾を貫けるならやってみなさい」

「元より、そのつもりです。それと一つ、決して、盾は下げないで下さい」

 

 煙の中から聞こえた言葉に、ちょっとカチンときた。全部防ぎきって、地面に這いつくばらせてやる。

 

「···っ!!」

 

 神経を集中させて待ち構えていると、煙が揺らいだと思った瞬間、デクが盾を殴り終えていた。そして、ノロイ動きで左拳が出てくる。違う、アレは残像。物凄い速さで、盾を連打しているんだ。

 

「でも、その威力じゃ、私が疲れて腕下ろすよりも、君のスタミナ切れの方が早いよ!」

 

 目論見が甘かったね。この盾に対して、連打こそが最大の悪手だというのに。でもいいよ、君がヘトヘトになるまで付き合ってあげる。

 

「ほら、早く貫いてみなよ!」

「···ええ、そうさせて貰います。キャプテン·アメリカ、これが、今僕が出来る本気の全開です。フルガントレット展開、発勁、黒鞭、変速、」

 

 デクの右腕を、黒い何かがグルグルと巻き付いていく。私のヒーロー的勘が告げている、アレはヤバいと。でも、だからって逃げる訳にはいかない。私はキャプテン·アメリカ。キャプテン·ステイツの跡を継ぐ、アメリカの盾なのだから。

 

「UNITED STATES OF WORLD SMASH!!」

「うおおおおお!!!!」

 

 この日、私は初めて、空を見た。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「···マジですの······」

「···ですの?」

「はっ!?確かにやるようだが、まだ終わっちゃいないよ!!」

「いや、終わりだよ、ミス·マーベリック」

「は?なに言って『タイムアップ!戦闘終了!!』···そういうことですの」

「そそ、この決着は、また今度だね」

「ええ、次こそは白黒着けますわよ、オーホッホ!!」

「···素の喋り方ってそっち?何で、口調を変えてるのさ?」

「······この格好で、この喋り方は格好よくありませんもの」

「さいですか」

 

 

 

 




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