八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「修学旅行~キノコは黒に染まるのか~」

 

 

 

 

『いいか、黒色。格好をつけるな、取り繕うな、ありのままの自分でいろ。お前が、その者と永久に共にありたいと願うならば』

『己を···偽らない』

『そうだ、偽るな、黒色』

『うん、俺、頑張ってみる』

『···それとだな、黒色。お前、服を買え』

『···え?』

 

 

 

「天哉さーーん!!!」

「あぷっ!めいふん、へんいはっはほうはね」

「はい!!早くお会いしたかったです!!」

「ぷはっ!僕も、会いたかったよ、明君」

「天哉さん」

「明君」

 

 修学旅行六日目、完全自由日。

 ヒーロー科もかくやのジャンプ力で、飯田の顔面に抱きつく発目を筆頭に、桃色空間を形成するカップル達と、それを見て、恨みがましく灰色空間を形成する独り身で二分されたホテルのロビーで、黒色支配は一人、落ち着き無く椅子に座っていた。それは、何故か、

 

「黒色君、お待たせノコ」

「こ、小森さん!ぜ、全然待ってないよ!えと、服、に、に、似合っててかか可愛いよ」

「ありがとうノコ」

「じゃ、じゃあ、行こっか」

「はいノコ」

 

 そう、意中の人である小森希乃子との初デートだからである。昨晩、小森が一人になった所を見計らって、スマホに収めた出茶との写真を胸に、勇気を出してデートのお誘いをしたら、普通にOKして貰えたので、ライバルで親友で恋愛方面の先輩である常闇にアドバイスを貰って、この日に臨んだのである。

 そんな二人を、我らが恋愛狂者である八木雪花が見逃す筈がなく、同胞である葉隠·芦戸と共に尾行する···予定だったのだが、葉隠·芦戸は普通にダブルデートに行ってしまい、当の本人は、最愛の恋人である爆豪勝己の宿泊する部屋(同室者切島)に連行され、溜まりに溜まった愛情を一身に受けるハメに。(因みに、二つ隣の部屋では、八百万百が同じ様な目にあっている)

 さて、二人のデートや如何に。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「この~木何の木、あの形は最早茸ノコ」

「そ、そうだね。シルエットだけなら、茸に見えるね」

 

 小森コーディネートの、ハワイアンな服装に着替えた黒色は、小森の希望で、某番組で有名な木を見上げていた。午後からは、皆でビーチに行って海水浴となっているので、それまでに勝負を決めなければならない。

 のだが、残念黒色。彼は今、"身長低めではぐれたら大変ノコ"と自身の右手を握っている、小森希乃子の左手の感触で一杯一杯だった。何とか、相槌や返答をするのが関の山である。

 そんな黒色に見つからない様に、相手が良い笑顔を浮かべているとも知らずに。

 

「お、黒色と小森じゃねぇか。お前らもここに来てたんだな」

「鉄哲君に荊ノコ。荊のリクエストノコ?」

「はい、絶対に来ようと決めていましたので」

「つか、黒色が私服で黒以外着てんの珍しいな。流石に、ハワイまで来て黒だったら、暑苦しくてアレだっけどよ」

「···小森さんに、選んで貰った」

「そうかそうか!順調そうで何よりだ!!頑張れよ、黒色!!」

「こ、声が大きい!!」

「希乃子さん、お二人の関係は···」

「それは、黒色次第ノコ」

「そうですか。良き事になる様、お祈りしております」

「荊も、鉄哲君と仲良くノコ」

「はい。では、私達はこれで」

 

 そう言って、腕を組んで、その上から荊(トゲ無し)を巻き付けて、寄り添って去っていく二人。そんな二人の姿が、一瞬自分達に置き換わる。ぶわっと顔が火照るけど、真っ黒だからバレてないと思う。

 

 

 

「あ、希乃子~!アンタ達もアレ目当て?」

「助けて、希乃子!!」

 

 自然を堪能し、ホテル近くのショッピング街に戻ってきた二人は、とあるお店の前で、ペアルックに身を包む骨抜と取蔭、心操によって、腰に捕縛布巻き付けられた上で羽交い締めにされてる柳の2カップルに出会った。

 取蔭の指差す先には、"カップル限定!スペシャルドリンク半額!!"という文字が、沢山のハートマークに囲まれた幟があった。要するに、一つのグラスに二つのストローのアレである。

 

「面白そうノコ」

「え?こ、小森さん?!?」

「丁度、喉も乾いてた所ノコ。私達も並ぶノコ」

「う、うん」

「良かったな、黒色」

「おめでとう、黒色」

「え~っと、ありがとう?」

「因みに、コップの色がまじないになってて、赤は告白成功で、紫が一線越えれるだってさ」

「い、いっせん?!」

「もし、俺が赤で黒色が紫だったら、交換よろしく」

「え、えと、うん、心操」

「人使!!そういうのは、私の耳に届かない様にしてから話して!!」

「···今夜は寝かさないから」

「ひぁっ!?」

 

 柳レイ子の首筋に唇を落とす心操。真似できるとは思わないけど、この大胆さというか積極さは、羨ましいと思う黒色であった。

 その後、店員さんから「GOOD LUCK!!boy」の言葉と共に受け取ったのは、赤いコップだった。

 

「飲まないノコ?」ズズッ

「え、えぇと···」

「ほら、黒色君も飲むノコ」

「う、うん(近いーー!!!!)」

 

 

 

「ふっ!上げて、物間!!」

「行けっ!拳藤!!」

「セイッ!!」

「くっ!!」

「ノコっ!!」

 

 エメラルドグリーン色の、彼女にしては攻めた際どいカットのビキニに身を包んだ、我らがB組の委員長、拳藤一佳のアタックが決まる。

 午後、海水浴なのに何故か始まった、2v2のビーチバレートーナメント大会。一回戦で物間·拳藤ペアに当たった黒色·小森ペア。共に運動神経抜群で、息もぴったりなので、正直手も足も出ない。

 というか、前を向けば拳藤の健康的で凶悪な二つの膨らみ、後ろを向けば、意中の人の、身長の低さに反比例して立派に実った二つの果実。正直、黒色は集中力低下の注意力散漫である。

 

「負けたノコ」

「ご、ごめん、俺が足引っ張って」

「···どこ見てたノコ?」

「えっ?!」

「試合中、いったいどこ見てたノコ?」

「うっ!···そ、それは······」

「言っておくノコけど、女の子には、バレバレノコよ」

「···ごめんなさい」

「罰として、夕方まで埋まってるノコ。円場君達、やってしまうノコ」

「「「イー!!」」」

「うわあああ!!!!」

 

 

 

「んっ!」

「うおっ!黒色、何やってんだ?」

「···光を待っている」

 

 夕陽に照らされるビーチを、良い雰囲気で腕を組んで歩く砂藤と小大は、砂から首だけ出している黒色を見つけた。黒色の口には、OS1の入ったボトルから伸びるストローが咥えられていた。

 

「···この者、触るべからず、小森希乃子。······助けなくていいのか?」

「光は、いずれ訪れる」

「···ん」

「え?ああ、そうなのか」

「ん」

「じゃあ、晩御飯の準備までに帰って来てなかったら、掘り返しにけるから」

「···恩に着る」

「ん」

「ええっと、小森は待つタイプだからって。頑張れよ、黒色」

「···分かった」

 

 そう言って、その場を去る二人。ホテルへの道中、キノコ柄の日傘を持った少女とすれ違ったとか何とか。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「う゛あ゛あ゛あ゛~」

「(ズーン)」

「大丈夫?二人とも」

「···折角、気合い入れてオニューの水着用意したのに、砂浜すら踏めなかった」

「···水着に着替えた瞬間、復活しないで下さいまし」

「大変やったんやね」

「···百」

「···ええ、雪花さん」

「······二人とも、目が恐いんやけど」

「お茶子、○○しないと出られない部屋って知ってる?」

「このホテルの上階に、家で買い取っている部屋がありますの」

「ここに、男の子が元気になるドリンクがありましてね」

「おかわりもございますわ」

「······」ダッシュ

「「待てー!!/お待ちなさい!!」」

 

 

「A組は元気ノコね」

「そ、そうだね」

「今晩、部屋に来て良いノコよ、支配君」

「希、希乃子さん!?!」

 

 

 




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