取り敢えず、余り時系列考えなくて良い所まで。
先に言っておきますが、この後の事を書いたとしても、AFO戦は、戦闘開始→キンクリ→勝った!となります。
45年前。
オールマイトが、その存在を世界に轟かせるちょっと前。正史では、産まれる筈のない命が産声をあげた。
これは、一人のヒーローが、自身の知る悲劇に抗う為に、我武者羅に足掻いた物語である。
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私の名前は、氷叢冬花。
生前大好きだった漫画、"僕のヒーローアカデミア"の世界に転生した、元一般OLです。あ、別にトラ転とかブラック企業に勤めててうんたらとかではなく、趣味の登山をしていたら雪崩に巻き込まれて天に召されました。あ、神様に会ったとかもないですよ。
私がそれに気付いたのは、自身に個性が発現した時です。氷叢という名字、一個上に冷という名前の姉がいる事、氷系の個性、ヒーローという職業。それらが組み合わさって、"あ、ここヒロアカの世界か"と、自然に理解し、それまで、ぼんやりと夢で見ていた前世の記憶が甦ったのである。まぁ、他人のドキュメンタリーを事細かに見ている気分でしたけど。
「しかし、まさかこの家に産まれるとか」
氷叢家。個性が世に広まる前まで、それなりな名家として栄えていた、由緒正しき家柄だったけども、時代の波に取り残されて、今や名ばかりの没落一族。
無能な現当主である祖父、その祖父の言いなりかつ、不満を母や姉、私に当たり散らす凡愚な父。しかも、私を高い値段で買ってくれる相手を探しているとか(姉の方は、直系だから、誰と番わせるか話し合ってる)。商品価値を上げる為に、教育レベルの高い学校に通わせて貰ったのは有り難かったけど、こんな家さっさとおさらばするに限る。
という訳で、元営業トップ成績のセールストークスキルを駆使して、雄英高校に入学する事に成功した。普通科と偽って、ヒーロー科に入ったんですけどね。
雄英ヒーロー科に入った理由?それは当然、
「轟先輩!今日もよろしくお願いします!!」
「···また貴様か」
将来、姉と結婚して地獄を生み出す元凶、轟炎司が一学年上に在籍していたからに他ならない。今から交流を持って、姉との結婚生活に口出し出来る位に親しくなって、轟家を地獄にしない。つか、姉さんを入院何て誰がさせるかっての。
近親相姦とかで血を濃くしてきた氷叢家。その例に漏れず、私もその血のお陰で、個性の出力は高い。氷を生み出し、自在に操る力を磨きに磨いて、雄英体育祭優勝という実績を引っ提げ、自主練している轟炎司にタイマンを申し入れに行ったのである。最初は、相手にされなかったけど、実力を見せつけた後は、良い訓練相手として認めてくれた。まぁ、訓練後の冷却役として有用だったのが大きかったのだけど。
「あ~痛い~、痣になってるかも」
「あらあら、今日はどんな事をしたの?」
「顔面思いっきりぶん殴ろうとしたら、躱されて、逆にぶん殴られた。女の子には、優しくしないとモテませんよ、轟先輩」
「···フン、実戦訓練で手加減してどうする。手数を増やすのはいいが、それで思考が疎かになるのは論外だ」
「分かってますよ~っだ。あ、そういえば、きょうはばんごはんのとうばんだった~、さきにかえるね~。轟先輩、姉さんをしっかり家まで送り届けて下さいね」
「···白々しい棒読みは必要だったのか?」
「ふふ、またね、冬花」
喫茶店に、轟先輩と姉さんを残し、学生寮へと向かう。夫婦のコミュニケーション不足、地獄の轟家を作った要因の一つ。それを解消する方法は、端から交流させとけばいいじゃん。
て事で、私の身の上やら、姉の身の上やら、置かれている環境とかを、ちと盛って語り聞かせたら、No.1ヒーローになるヒーロー性の持ち主だ、文句を言いつつも受け入れてくれた。まだそこまで尖ってないし、なんだかんだ面倒見良いんだよね~。
最初は、轟先輩の風貌にビビってた姉さんも、今ではすっかり打ち解けて、時折良い雰囲気を醸し出したりしてる。ぼつぼつ、二人っきりでデートのお膳立てをしても良いかもね~。
「どうした!そんなんでAFOと戦いになると思ってんのか!?」
「まだまだ!!」
「遅い!!」
轟先輩が卒業し、私も最終学年。
世間では、あのオールマイトの活躍が連日報道され、"平和の象徴"という肩書きが人々の中に浸透しつつある頃、私は一人のプロヒーローに弟子入りしていた。
そのプロヒーローの名前は、グラントリノ。あのオールマイトが震え上がる程のスパルタで鍛え上げた師匠。プロヒーローとして登録されてるから、連絡先を調べるのはお茶の子さいさい。留守電に「AFO、志村七奈、八木俊典、OFA」という言葉と、自分の携帯番号を残しておけば、あっさりと釣り針にかかってくれた。
そして、未来視の個性持ちの人から聞いたとかでっち上げて、原作で起こるAFO関連の出来事を丸っと話した。んでもって、AFOを倒す為に、私を鍛えろと頼んだ。
何でって?全盛期のオールマイトが居るからに決まってるでしょ。重傷を負ったとしても、全盛期オールマイトは全盛期AFOを倒せるというのは、原作で示されている。そこに、準オールマイトクラスのヒーローが加わっていれば、AFOを完全に打倒しうる公算が高い。しかも、死柄木弔、もとい志村転弧には、AFOが直接関わると原作で知っている。そこにちょっかいをかければ、神出鬼没でどこにいるか分からないAFOと、確実に対峙出来る。
年齢から、タイムリミットまで10年あるかないか。それまでに、私自身をオールマイトに手が届く位強くならないと。ここから40年以上、AFOの影にビクビク怯えて暮らすなんて真っ平ごめん被る!!
「ほれっ!足元が疎かになってんぞ!!」
「っ!!はい、師匠!!」
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「くっ!ま、参った」
「はぁ、はぁ、はぁ···これで、私も巻き込んで大丈夫って、分かりましたか?オールマイト」
「本当に、俊典に勝っちまうとはな。こりゃ、お前さんも認めざるをえないな」
「···師匠」
突然師匠に呼び出されて来てみれば、一人の女性ヒーローと本気で戦えと言われた。訳を聞いてみれば、AFOとOFAの因縁に混ぜろとの事だった。
AFOどころか、OFAの存在も知っている事に驚愕した。しかし、AFOの脅威を知っているからこそ、誰かを巻き込む訳にはいかない。彼女には悪いが、負ける訳にはいかない。
そう思って、彼女と対峙したのだが、結果は私の負け。初手のSMASHを受け止められ、氷で作られた城に取り込まれてからは、四方八方から際限のない攻撃を、息吐く暇なくされた。
後一歩という所まで詰めよったが、流石に、体の内側から凍らされては、降参する他なかった。これが、ヴィラン相手なら、体が砕けようがSMASHを決めていただろうが。
「オールマイト、共に巨悪を倒しましょう」
「···ああ。だが、約束してくれ。決して、無理や無茶をしないと」
「···貴方にだけは、言われたくない言葉ですね」
これが、後に最愛の妻となる人との出会いであった。
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